Date: Thu, 14 Feb 2002 09:00:05 +0900
To: tujisita-kd-020214p@math.sci.hokudai.ac.jp
From: Toru Tsujishita 
Subject: [kd 02-02-14](転送)国大協会長への質問--連名募集/人材委員会名簿

--[begin kd 020214 目次]----------------------------------------------
[1](転送)国大協会長への質問--連名募集(締切 2月18日(月)正午)
[2](資料)国大協会則抄
[3](資料)中央教育審議会/科学技術学術審議会 人材委員会の設置について
--[end kd 020214 目次]------------------------------------------------

凡例:♯で始まる文は管理者が挿入したもの。

--[begin kd 020214-1]-------------------------------------------------
(転送)国大協会長への質問--連名募集(締切 2月18日(月)正午)
----------------------------------------------------------------------
Date: Thu, 14 Feb 2002
From: 豊島耕一 toyo@cc.saga-u.ac.jp (TOYOSHIMA Kouichi)
Subject: 国大協会長への質問--連名募集

佐賀大学/全国ネットの豊島です.

国大協の長尾会長宛の質問書を作りました.「独法化阻止全国ネット」の世話
人で文案を作ったものです.同様の疑問をお持ちの方は,連名という形で提出
したいと思いますので,氏名と大学名を豊島までお知らせ下さい.国大協会則
28条を引用していますので,国立大学教職員の方に限定したいと思います.
公開質問書ですので,連名者の所属・氏名も公表します.提出時のわずかな字
句等の修正は予めお認め下さい.

国立大学教職員の方へ質問書への連名をお願いします.募集期限は,集まり具
合にもよりますが,いちおう2月18日(月)正午と致します.

♯ 「独法化阻止全国ネット」=「国立大学独法化阻止 全国ネットワーク」
♯  ウェブサイト:http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet.html

♯ 国立大学協会会則28条を次項[kd 020214-2] に掲載。

-------------------

国立大学協会会長
長尾真様
                 佐賀大学 豊島耕一(代表)
                 xx大学 ○○○○
                 △△大学 □□□□
                 ・・・・・・・・・

 会長におかれましては,国立大学の将来のために日々ご尽力いただいていることと
拝察し,感謝申し上げます.
 ただ今,文部科学省に於ける「国立大学法人」案の検討が最終段階にさしかかって
おりますが,この間国大協と貴職がとってこられた方針,態度には然しながら重大な
疑問があります.国大協会則28条は会員が協会に対し意見を述べる権利を認めてお
りますが,そのためには明確な情報が不可欠です.そこで以下の項目に是非ともお答
えいただき,国立大学教職員によるこの問題の十分な理解とそれを踏まえての議論を
可能にしていただくよう,心よりお願い致します.
 はなはだ勝手ながら,3月5日までに部分的に項目1だけでもご回答をいただけれ
ば幸いです.なお内容の性格上,公開の質問書とさせていただきます.

1.「中期目標」「中期計画」の行政による「認可」がやむを得ないとする理由を明
らかにして下さい.

 独立行政法人制度の設計に深く関わったとされる藤田宙靖氏は,「中期目標」とい
う制度について,「この制度をそのままに大学に適用したとするならば,大学の自治
に対する著しい制約ともなりかねない」と述べています(注1).しかし先に貴協会
が文部科学省の調査検討会議に提出された「意見」には,「法令・予算措置という国
の行為を伴う以上は,文部科学大臣による各大学の『中期目標』『中期計画』の『認
可』はやむをえない」とあります.これはいかなる理由によるものですか.
 すなわち,「政府の関与」という点では,会計検査院による検査(注2)や視学制
度がすでに存在していますが,これでは不足である理由,「大学の自治」を「著しく
制約」しかねないような制度をことさら導入しなければならない理由を明確にして下
さい.

2.前項目のような「認可」制度をとっている国があれば例示して下さい.

 同じく貴協会の「意見」には,「そもそも個々の大学の中期的な目標を大臣が『策
定』するような国はないのではなかろうか」として,「認可」制を主張しています.
しかし「国立学校財務センター」が2000年に出した報告書(注3)によると,そも
そも「認可」制度自体をとっている国もないとされています.貴職の認識はこれとは
異なるのでしょうか.

3.調査検討会議に参加した2000年6月の時点では,国大協は法人化そのものにも
保留の態度でしたが,これがいつどのような理由で「法人化」容認に変わったのかを
明らかにして下さい.

 蓮実前会長の2000年6月14日の記者会見では,「理想的な法人化を目指すために
参加するという理解で良いのか」との質問に,「かならずしも,そこまでいくのかも
わかりません.(中略)最終的にまったく理想的な形態がそこに成立しなければその
後新たな問題が起こるだろうというふうに考えます.」と答え,「法人化」そのもの
にも保留の態度を表明していました.しかし調査検討会議への国大協の意見に見られ
るように,現在では「法人化」容認の態度と考えられます.「理想的な形態がそこに
成立」したのでしょうか.

4.「通則法にもとずく法人化に反対」とは,具体的に通則法のどこに反対なのかを
明確にして下さい.

 この表現の意味がもし「通則法と一字一句でも違えばよい」ということではないと
すれば,通則法のどのような内容に反対なのかを明確にしていただきたい.私たちの
見解では,調査検討会議の「中間報告」による法人化は,通則法の,あるいはそもそ
もこの制度を定義している「中央省庁改革基本法」(注4)の独立行政法人制度と本
質的な違いはないと見ています.貴職は何を本質的な違いと見ておられるのでしょう
か.

5.文部科学省内に置かれ,文部科学省が委員の人選を行う「国立大学法人評価委員
会」は,到底,文部科学省からの独立性を保証するものではありません.そのような
機関によって大学が評価され,その結果に基づき運営交付金の額が設定される仕組み
では,大学の教育・研究活動全般への行政の介入を防ぐことはできません.もしこれ
を認めるのであれば,法人化後のこのようなリスクを防ぐ具体的な方策を例示してく
ださい.

-------------
 最後に,質問の趣旨などについて十分ご理解いただけるよう,独法化問題について
の私たちの見方を述べさせていただきます.
 現在,国立大学の法人化にむけて文部科学省の調査検討会議において最終的な審議
が行われています.
 私たちが,中間報告の「法人化」に対して抱く最大の危惧は,それが憲法の保障す
る学問の自由を根底から脅かすものでないかということです.「学問の自由」の意義
は自明なものではなく,人類が多年にわたる苦い経験を経てその価値を認識するに至っ
たものです.わが国においても半世紀前,大学が時の権力の支配下におかれたときに,
人類的視野に立つ普遍的な洞察を使命とする大学の教員が,あるいは沈黙し,あるい
は唯々諾々と戦争に協力しました.これに対する慚愧,悔悟と,権力支配下におかれ
れば大学は同じ過ちを繰り返すという洞察から,それを防ぐ決意が込められた防壁が
憲法23条と言えるのではないでしょうか.
 憲法12条が命じるように,学問の自由も,国民の不断の努力によつてこれを保持
しなければなりませんが,学問に直接たずさわる大学構成員は,他の国民以上にこの
義務遂行に重い責任があります.高等教育の最高責任者集団の一つである国立大学協
会が,「学問の自由」を多方面から削り取る装置を盛り込んだ法人化案を,政治的状
況を理由に自ら受け入れるとすれば,教育と学問にたずさわる者と,これらを大学に
負託している国民に対する背任行為に他なりません.
 したがって,来る3月に発表される予定の調査検討会議最終報告に,仮に国大協が
反対されない場合には,国大協は,それが学問の自由を脅かすものでないことを明確
に示さなければなりません.
 それは,大学構成員・国民に対する国大協の最低限の説明責任であり,これをおろ
そかにして,大学の説明責任を云々することはできません.
 私たちは,計画されている国立大学法人化の日本の教育・研究の将来に及ぼす影響
の重大さに鑑み,国大協の責任者である貴職が,最終案の討議に際して,上記の質問
事項に対して責任ある明確な回答をしていただくよう強く要望するものです.

注
1)東北大学工学部および東北大学加齢医学研究所(1999年9月6〜7日)における
講演.同氏のサイトにあります.
  http://seri2.law.tohoku.ac.jp/~fujita/
2)会計検査院のウェブサイトにある「検査の観点」によると,次のように幅広い観
点から検査がなされることになっています.
 「検査は,広い視野に立って多角的な観点から行われています.近年,行政改革な
どによる効率的な行財政の執行が強く求められています.そうした状況の中で,正確
性,合規性はもとよりですが,経済性・効率性及び有効性の観点からの検査の重要性
が高まっています.」
3)「大学の設置形態と管理・財務に関する国際比較研究 第一次中間まとめ」
      国立学校財務センター,平成12年1月
  http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/zaimc2000.html
  オリジナル(画像データ) http://www.zam.go.jp/pdf/g/t0000501.pdf
4)http://www.kantei.go.jp/jp/gyokaku/980303houan.html

--[end kd 020214-1]------------------------------------------------------


--[begin kd 020214-2]-------------------------------------------------
国立大学協会会則抄
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第2条:国立大学協会(以下「協会」)は、国立大学を会員として組織する。

第4条:協会は、国立大学相互の緊密な連絡をはかることにより、その振興に寄与す
ることを目的とする。

第5条:協会は、前条の目的を達成するために、次に掲げる事業を行なう。
(1)国立大学の振興につき必要な調査研究
(2)研究及び教育における大学相互の協力援助に関して必要な事業
(3)前2号に掲げるもののほか協会の目的を達成するために必要な事業

第6条:協会において、会員たる国立大学を代表する者は、当該大学の学長又は学長
の職務を行なう者とする。

第7条:総会は、会員の代表者をもって組織する。

第8条:協会がその意志を決定し又は表示する場合は、総会の議によらねばならない
。ただし、緊急の必要があり総会を招集するいとまがない場合においては、理事会の
議により、これを行なうことができる。
2 前項ただし書の規定によってなされた措置については、次の総会においてその承
認を得なければならない。

第11条:会長は、必要があると認めたときは、臨時総会を招集することができる。
2 会員総数の8分の1以上の大学から、議題を示して要求があったときは、会長は
、臨時総会を招集しなければならない。

第28条:国立大学の教員は、協会の事業に関して協会に意見を述べることができる。
2 前項の意見は、文書で提出するものとする。
3 意見が協会に提出されたときは、会長は、これを関係のある事項を担当する委員
会に回付するものとする。
4 前項の規定により、意見の回付を受けた委員会は、必要があると認めたときは、
口頭によってその教員の意見を聴取することができる。

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「規則集」添付文書:
(1)「解説及び質疑応答」(1964.11.26第33回総会)、
(2)「国立大学協会のあり方について」
(1970.10.26地区理事懇談会 第47回総会承認)

1.国大協の性格と目的:国立大学全体の振興、さらには公・私立、海外の大
学との協力援助も

・『国立大学協会の性格は、自主性をもった各国立大学の連合体(federation)
というべきものであり、国立大学協会の活動もその見地から考えるべきである。』
(2)

・『(会則第4条の)後段の「その振興に寄与すること」とは国立大学全体の
振興と解釈すべきであり、国立大学に関する共通の問題についての調査・研究
から、共通の要望の実現の努力まで及ぶものと考えてよい。そのための方法と
して、対外的な意見の表明も含まれる。』(2)

・第5条:『第2号中の「大学」を「国立大学」に改めよとの意見があったが、
本号にいう「大学」とは国立大学だけではなく、公・私立大学、さらには海外
の大学も含める従来の趣旨から原案のままとした。』(1)

・『いくつかの大学グループに共通する問題、例えば、新設大学、単科大学、
入試二期校などの問題をどう取りあげるかが、問題となる、これはそのグルー
プだけにとどまらず他の国立大学にも影響を及ぼすことになるので、国立大学
協会としては、それぞれのグループの立場を尊重しつつ意見の一致をみるよう
に努力するほかはないであろう。』(2)

・『各大学の自治のほかに国立大学全体としての自治をどう考えるかが問題で
ある。』(2)

2.一般教官と国立大学協会との関係

・『国立大学協会は、各大学を会員としており、学長は会員校の代表として会
議に出席している。従って、一般教官も国立大学協会に内包されており、その
意見のとりまとめは、各大学の代表である学長の責任において行なわれるべき
である。』(2)

・『各大学内で一般教官の関係を緊密にするために、次の方法をとることが望
ましい。(1)学長は、評議会、教授会等にできるだけ国立大学協会の活動の内
容を伝えるとともに、それについての意見をまとめて国立大学協会に伝えるよ
う努力する。国立大学協会と各大学の間で意見を往復してとりまとめをしてい
くことが、学内での意見の交換を活発にすることにも役立つことになる。(2)
国立大学協会としても、各方面への要望等について、その結果や経過を各大学
に伝えるように努力する。』(2)

・『一般教官に教員委員・専門委員を委嘱してその専門的な意見を活用する方
針は、従来もとられてきたが、これらの方法による一般教官の国立大学協会へ
の協力は、今後さらに拡大すべきだと考えられる。ことに国立大学協会として、
今後の調査・研究にいっそう力を注ぐべきであるとすれば、専門家としての一
般教官の協力はますます必要となるであろう。その際に地区別・大学別にでき
るだけ広く協力を求めるように努力すべきである。』(2)

--[end kd 020214-2]-------------------------------------------------


--[begin kd 020214-3]-------------------------------------------------
(資料)中央教育審議会/科学技術学術審議会 人材委員会の設置について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/006/020101/s3.htm

人材委員会の設置について

   科学技術及び学術の振興を図り、科学技術創造立国を実現していくために
必要な人材に関して、幅広い観点から調査検討を行う人材委員会を昨年10月
12日の科学技術・学術審議会総会において設置し、12月26日に第1回委
員会を開催した。

1.設置の趣旨

   ○科学技術及び学術の振興を図り、我が国の発展を実現していくためには、
これに関わる研究者や技術者等の人材の養成・確保が極めて重要。

   ○これらの人材に関しては、これまで様々な観点からの議論の結果、様々
な施策が講じられているが、全体に通じる一貫した思想のもと体系的に見直す
ことが必要。

2.委員構成
   別紙のとおり。

3.今後の予定
   ・1月23日に第2回委員会を開催。(月1回のペースで開催)
   ・7月を目途にとりまとめられる部分につき、第1回とりまとめを行う。

人材委員会委員名簿
 
  安 西 祐一郎    慶応義塾大学塾長
  大久保 博 司    本田技研工業常務取締役
  岸   輝 雄    独立行政法人物質・材料研究機構理事長
  小 平 桂 一    総合研究大学院大学長
○ 小 林 陽太郎    富士ゼロックス会長
  郷   通 子    名古屋大学大学院理学研究科教授
  佐 藤 禎 一    日本学術振興会理事長
  谷 岡 郁 子    中京女子大学長
  所   眞理雄    ソニー上席常務
  鳥 居 宏 次    奈良先端科学技術大学院大学学長
  鳥 井 弘 之    日本経済新聞社論説委員
  中 嶋 嶺 雄    東京外国語大学名誉教授
  中津井   泉    リクルート社「カレッジマネージメント」編集長
  似田貝 香 門    東京大学大学院人文社会系研究科教授
  野 依 良 治    名古屋大学大学院理学研究科教授
  藤 野 政 彦    武田薬品工業代表取締役会長、東京大学客員教授
  山野井 昭 雄    味の素技術特別顧問
  吉 田 光 昭    萬有製薬筑波研究所長、元東大医科研所長
     
○       主査  
--[end kd 020214-3]-------------------------------------------------

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管理者:辻下 徹 tujisita@math.sci.hokudai.ac.jp   (配信数:9381)
関連ページ:http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh
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