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Subject: [kd 03-01-30] 4国立大学長要請/大学改革を考えるアピールの会発足
From: TSUJISHITA Toru 
Date: Thu, 30 Jan 2003 02:44:14 +0900

国公立大学通信 2003.01.30

--[kd 03-01-30 目次]---------------------------------------------------
[1] 4国立大学長が国大協会長に学長会議等の開催を要請 1/27
[2] 「大学改革を考えるアピールの会」賛同署名受付
[3] 「大学改革を考えるアピールの会」声明 1/28 
[4] 国立大学の独法化・再編統合に反対する交流討論・決起集会2/1
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国立大学関係者各位

宇都宮大の田原学長を代表とする4国立大学長が、国立大学法人法案について
議論する会議の開催を国大協会長に提案しました。日本の長期的未来について
も責任を強く感じている学長の方々が大半であると思いますので、是非、臨時
総会を開催し真摯な議論をして頂きたいと思います。

ところで、以下のようなご意見を頂きました。

「全て仰っておられることは妥当と思われます。しかし、これらを「大学人」
宛にのみ送付しても大きな効果は期待できないと思います。一般国民に解り易
く公知することが重要ではないでしょうか。一般国民は事の重大さを理解して
いないのが実状です。費用がかかると思いますが、新聞広告などマスコミを利
用して、自らの主張を一般国民に周知させることが必要と考えます。」

全く同感で、いろいろな手段で学外への発信を試行錯誤しています。しかし、
重要なことは、事の重大さを理解された大学教員が、無理のない方法で良いの
ですが、学外に発信することだと思います。大学教員は、意識の高い市民と出
会う機会も少なくないと思いますので「口コミ」でも大きな効果があると思い
ます。

ともかく、「当事者」である大学関係者の大半が沈黙し法人化準備に没頭して
いるため、国立大学の独立行政法人化を心配している方も、「自分にはわから
ないが、もしかすると大学にとっては良いことなのかも知れない」と思い慎重
になることもあるようです。

最近は、大学内部で、この件について発言する機会が少なくなっていますし、
また、発言が場違いになるような空気もあります。しかし、法案の国会提出と
いう節目に「法人化してもたいして変らないだろう」と楽観していた人たちも、
具体的内容を見て意見を持つ人も出てくるのではないかと思います。法案を契
機に、社会も国立大学に多少は注目すると思いますので、この数ヶ月に国立大
学の中から種々の意見が上ることが重要ではないかと思います。

名古屋大学の池内教授が中心となって始められた「大学改革を考えるアピール
の会」[2]は、大学社会内に広がる危惧の思いを結集させる場となることを期
待しています。時間が余りない人でも、法人化を危惧しているならば、会の声
明[3]への賛同表明により、効果的な意思表示が出きると思います。

また、時間がある方は、明日2月1日に東大で開催される集会[4]に参加を呼び
かけたいと思います。
                                                             (編集人)

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[1] 4大学長が国大協会長に学長会議等の開催を要請 1/27
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web0301294gakurtyou.html
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「平成14年1月27日

  国立大学協会 長尾真会長殿
                   
                    宇都宮大学長 田原博人(代表)
                    静岡大学長  佐藤博明
                    滋賀大学長  宮本憲一
                    高知大学長  山本晉平


                   学長会議等の招集について(お願い)


  長尾会長におかれましては、大学法人化へ向けた多忙な折りと存じます。さ
て、国立大学法人化法案の策定作業も大詰めを迎え、2月10日には文科省招
集の学長等会議の開催が予定されております。しかしながら、法案策定をめぐ
るこれらの状況やその概要等について、これまでのところ、何らの報告も説明
もなされていません。

 法人化をめぐる、国大協におけるこの間の議論の経緯に照らしても、法案が
完全に固まった段階で、文科省から我々が説明を受けるということでなく、国
大協自らが、状況の説明と意見交換を行うため、学長会議等を開催していただ
くことが必要かと考えます。事態の緊急性に鑑み、上記の点、取り急ぎご提案
申し上げます。よろしくお取り計らい下さいますようお願いいたします。」
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[2] 「大学改革を考えるアピールの会」サイトより
http://homepage2.nifty.com/~yuasaf/appeal/index.html
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「政府は、「国立大学法人法案(仮称)」を現在開催中の通常国会に提出する
とのスケジュールをすでに公表しています。日本の学問・文化にかかわる重大
事態を憂慮する関係各界の有志があいより、性急な法案の成立を思いとどまら
せ、大学関係者を中心として広範な人々に「大学改革」にかんする慎重な検討
を呼びかけたいと考え、「アピール」(*1)を発表しました。アピールに賛同の
方は、署名(*2)(一口1,000円を申し受けます)をお願いします。提出法案の
閣議決定までに賛同者(*3)を集約し、公表すると 共に、関係機関に送付しま
すので、周りの方にも広めてください。

なお、「アピ−ル文」「署名用紙」「郵便振替用紙」については、必要部数を
「アピ−ルの会事務局」に注文すれば郵送され ますのでご利用下さい。」

<郵便振替口座>
口座番号: 00100-5-499016、 加入者名: 大学改革を考える会
(*1)「アピ−ル」全文:http://homepage2.nifty.com/~yuasaf/appeal/appeal.pdf
(*2)アピ−ル賛同署名:http://homepage2.nifty.com/~yuasaf/appeal/appeal_enquete.html
    アピ−ル賛同署名用紙:http://homepage2.nifty.com/~yuasaf/appeal/appeal_sig.pdf
(*3)アピ−ル賛同者一覧:http://homepage2.nifty.com/~yuasaf/appeal/appeal_support.html
ご意見やご感想: アピ−ルの会事務局 (mail@jsa.gr.jp)
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[3] 「大学改革を考えるアピールの会」声明1/28
http://homepage2.nifty.com/~yuasaf/appeal/appeal.pdf
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「私たちは、日本の学問・文化の健全な発展を願う立場から、
    国立大学の「大学法人化」をはじめとする最近の大学改革に
      強い懸念を抱いています

小泉内閣は、「聖域なき構造改革」の名のもとに、国立大学の「構造改革」をも進
めようとしています。もし、この方針を進めれば、国立大学は「大学法人」という
半民営化の状態にされ、国民への負担が増すことはさけられません。また、日本の
学問・文化の発展にとっても大きなマイナスになることも否めません。私たちは多
くの国民の皆さんに、この「大学改革」なるものの内容を知っていただき、私たち
と共に考えていただきたいと思います。

2001年6月、文部科学省は、産業競争力回復のための経済政策の一環として大
学を利用するために「大学の構造改革の方針」(通称「遠山プラン」)を経済財政諮
問会議に提出しました。その内容は、国立大学をスクラップ・アンド・ビルド方式
で統廃合し、民間的経営手法を導入した新しい「大学法人」に移行させ、競争原理
を導入した「トップ30」(現在は「21世紀COE」と改称)なる構想を打ち出し
たものでした。「トップ30」とは、それぞれの分野で優秀な30校を選び出して
厚遇するという差別政策であり、学問・文化のいびつな発展につながると共に、国
民にも受験競争をいっそうあおることになります。

そしてさらに、2002年3月に提出された調査検討会議の最終報告『新しい「国
立大学法人像」について』では、各国立大学の「中期目標・計画」には文部科学大
臣の承認を必要とするなどの、戦後つちかってきた学問の自由と大学の自治を無視
した「法人像」とともに、「大学教職員の非公務員化」を打ち出しました。まさに
大学と大学教職員を政治の意のままに使おうとするもので、学問・文化の健全な発
展が危ぶまれます。

見過ごせない問題として、私立大学や公立大学にも文部科学大臣の認可する認証機
関の評価を受けることを義務づけ、認証を受けられなかった大学には廃校措置もあ
り得るとする学校教育法改定が昨年秋すでに行われたことがあります。21世紀の
日本という長期的な視野に立つとき、現在進められている「大学改革」のもたらす
結果はまことに憂慮すべきものがあると言わざるを得ません。

大学の本来の役割は、人類の優れた学術的・思想的・文化的遺産を正しく受け継ぐ
とともに、それらを創造的に発展させて、新しい時代や社会の要請に積極的に応え
ることにあります。大学という公共的機関はこの二つの役割をはたすことによって、
人類の発展に貢献してきたのです。したがって、もし大学が、特定の政権の恣意的
な課題設定に振り回されるようなものになれば、大学はその役割を果すことができ
ず、人類・社会の発展に寄与することができなくなります。

現在進行中の「大学改革」を、何もせずに許してしまえば、後世の人々から、私た
ちが日本の学問・文化の土台の破壊に手を貸した、と非難されるでしょう。

私たちは、一人でも多くの皆さんが、私たちが提案する以下の要求に、賛同をして
下さることを呼びかけます。

1、政府は、現在開会中の通常国会に提出予定といわれる国立大学法人法案(仮称)
の提出を取りやめ、今後の大学のあり方についてひろく国民的な議論を深めること

2、政府は、憲法第23条の「学問の自由」、および教育基本法第10条で規定さ
れている「教育への不当な支配」からの自由を保障するとともに、「大学の自治」
の下に行われる自主的な改革を尊重すること

3、政府は、大学に課せられている社会的責任を果すために、研究・教育条件を抜
本的に改善し、また学生が教育を受ける権利を十分に保障すること

2003年1月28日
               呼びかけ人
                代表  池内 了(名古屋大学教授)
                 	浅見輝男(茨城大学名誉教授)
                 	井上ひさし(作家)
                 	岩崎 稔(東京外国語大学助教授)
                 	上田誠吉(弁護士)
                 	小田 実(作家)
                 	河井智康(海洋サイエンティスト)
                 	小出昭一郎(元山梨大学学長)
                 	辻下 徹(北海道大学教授)
                 	鶴見俊輔(哲学者)
                 	中村方子(中央大学名誉教授)
                 	浜林正夫(一橋大学名誉教授)
                 	山田洋次(映画監督)
                 	湯浅精二(世界科学者連盟副会長)
                 	弓削 達(元フェリス女学院大学学長)
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[4] 国立大学の独法化・再編統合に反対する交流討論・決起集会
2003年2月1日(土)午後1時から5時まで  東京大学農学部1号館8番教室
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/030201yobikake.html
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