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Subject: [kd 03-02-20] 「夢はかなうだろうか」
Date: Thu, 20 Feb 2003

国公立大学通信 2003.02.20(木)

--[kd 03-02-20 目次]--------------------------------------------
[1] (北海道新聞「読者の声」)渡邊信久「自治を破壊する国立大の法人化」
[2] 宮崎大学長から国立大学協会への意見書
[3] 『「国立大学法人法案」に反対する大学教職員交流連絡会』の提案
[4] お便り紹介(2/19):「概要」は内容がない、という学長に対して
[5] お便り紹介(2/12)「イラク先制攻撃反対」と「独立行政法人化反対」
[6] 永岑横浜市大商学部教授から小川学長,川内学部長への公開質問状2/11
[7] 「市大を考える市民の会」通信 No.2(2/19), No.3(2/20) URL
[8] (asahi.com 2/18)任期制採用の京大教授、再任拒否の無効求め仮処分申請へ
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各位

  議題にするかどうかも採決するという異様な議事運営が行われた教授会の様
子を伝えるお便り[4]がありました。しかし活発な討論があり、その中で「非
公務員化で、自らの立場は今までと同じなのかという質問があり、民間の被雇
用者と同じである、という答えにがく然とした教員がいました。」という一幕
があったことは印象的です。一昨日、任期制が導入されている研究所で再任を
拒否された方が訴訟を起されたことが報じられました[8]。行政法人化後の大
学では「民間的手法」を取り入れ重役の「責任による」論功賞罰が行なわれる
ことは必至ですから、訴訟は日常茶飯事となる懸念もあります。何という不毛
なエネルギーを大学社会はこれから費やさなければならないことになることで
しょうか。少し想像するだけでも「行政法人化」のもたらす荒廃の凄まじさを
予感します。

  パンセ(新潮文庫、上巻p203) に「人々の健全なる意見」題して「何よりも
大きなわざわいは内乱である。功にむくいられることを人々がのぞむなら内乱
は必ずおこる、なぜなら誰も彼も自分こそむくいられるに値するものであると
いうであろう。長子相続権によって相続するところの愚人からこうむると案じ
られているわざわいは、さほどに大きくもなく、またさほどに確実なものでも
ない。」とあります。研究や教育の世界でも「自分の功」についての人々の気
持ちは全く同様でしょう。「評価に基づく資源配分」が必ずやもらたらすであ
ろう人心の混乱が過小評価されていることも、大学人で行政法人化を推進する
人たちの盲目性を証しています。

  なお、非公務員化の被害者は学生でもあることが十分認識されていないよう
です。現在の高等教育予算で政府が歳出を法的に義務付けられているのは、人
件費だけです。この部分は政府は恣意的には縮小できないため、財務省は「硬
直化した財政」と呼んでこれを憎んでいます。行政法人化後は、高等教育予算
の中で政府が歳出を義務付けられている固定部分はなくなりますから、政策的
に高スピードで減らすことができるようになります。その減少分は、教員規模
の極端な縮小による教育研究の質の低下を避けるとすれば、企業からの研究費
や特許収入などは、米国を見てもわかるように、たかが知れているわけですか
ら、学費値上げに転嫁するしかないのです。国立大学の学費は必ず急騰します。
このことを社会に隠し続けていることは国立大学社会の背信行為の一つと言え
るでしょう。

 「自らの保身のための非公務員化に反対している」という非難を恐れて非公
務員化に反対しないとすれば、その実質的な「被害」は国民に転嫁される以上、
れは罪深い「虚栄心」でしょう。なお、非公務員化により現在の国立大学教員
が企業で兼業できるようになることなど誰も期待していないことは明らかであ
り、産官の人々が大挙して国立大学職員に兼業できるようにすること以外に非
公務員化政策の動機はありません。これが私の「作業仮説」の一つです。非公
務員化に反対し、現在の問題を解決する実質的な提案、たとえば公募制の徹底、
を提案すべきでしょう。
  どんなことも遅きに失する、ということはありません。 (編集人)


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[1] 渡邊信久「自治を破壊する国立大の法人化」
    北海道新聞「読者の声」欄2003-02-19
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(2003.2.15 投書、原題「夢はかなうだろうか」)

「13日朝刊のみらい君の広場に,大学で好きなだけ歴史を勉強したいという
高校生の投書があった.応援したい.

 しかし,大学は大きく変わろうとしている.来月にも国立大学法人法案の国
会審議が始まる可能性が高い.少数の知識人や大学人の反対運動はあるが,国
立大学問題が広く国民の関心を集めていない現状では,事態が好転するとは思
えない.憲法23条や教育基本法10条のもと,戦後かろうじて守られてきた
学問の自由と,そのための大学の自治がついに終わる.

 ノーベル賞の小柴さんが度々話されるように,これまでは大学人が,自身の
信念と良心そして責任において自らの学問領域に価値を認め,深めて来た.来
年からは第三者評価機関という名の「国」が学問の価値を決める.日本の産業
界を支えることを主目的とする巨大な専門学校としての「大学」法人では,お
そらく彼女の学びたい歴史学のような学問の価値は低い.

 果たして,彼女の夢はかなうだろうか.」
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[2] 宮崎大学長から国立大学協会への意見書
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(he-forum 5107 より転載)

                                   平成15年2月14日

国立大学協会法人化特別委員会
委員長 石 弘光 殿
                                     宮崎大学長
                                       藤原 宏志


	  「国立大学法人法案の概要」に関する意見の提出について
 

平成15年1月31日付け国大協企第1号をもって通知のありました標記のこと
について、下記のとおり意見を提出しますので、早急に対応方よろしくお願いい
たします。

				   記

1.「国立大学法人法案の概要」は、国立大学を設置するための「国立大学法人」
について規定するものであり、そこに設置される「国立大学」の中身がほとんど
明らかにされていない。また、「関係6法案の概要」の「(6)国立大学法人法等の
施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(仮称)」の内容も明示されていな
いので、「国立大学」はどういう姿になるのかが不明確である。したがって、両
法案の全容を直ちに明らかにすべきである。

2.「I総則」の2で「大学…における教育研究の特性に配慮」とあるが、ここ
に、「大学の自治および学問の自由」という具体的な特性を明記すべきである。
また、前述の(1)とも関連するが、学部教授会の権限や附属図書館などの位置
付けを明確にすべきである。

3.「法人」の長は学長が兼ねることになっているが、「法人」が「大学」より
上位に位置することは法的に明確に打ち出されている。また、「法人」の役員会
は、中期目標の全体、予算の編成から決算、さらに重要な組織の設置・廃止など
権限が非常に大きくなっている。一方、「大学」の「教育研究評議会」には学外
者が入る可能性があり、審議事項については教育研究の狭い事項に限定されてお
り、「最終報告」と大幅に異なっている。

4.学長は、理事の解任権をもつなど権限が強化される一方、学長選考にあたっ
て、「大学」内部の教職員が関与できることが明記されていない。また、学長の
専横体制を抑えるための学内のチエック機能がなく、「大学」全体の自主・自律
が保障されていない。学長からのトップダウンばかりが強調され、ボトムアップ
の体制が不備である。

5.今後の日程について、2月中に閣議決定、国会上程とのことであるが、法案
の成立のめども明らかでない。法律が成立してからなお、政令や省令を整備し、
2、3、年の試行期間を経て実施されるのが通例である。文部科学大臣が、「国
立大学の法人化は、明治以来の我が国大学制度の大きな転換点」と言われるので
あれば、なおさらのこと、拙速を避け、より整備した形での発足が必要である。
(以上)
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[3] 「交流連絡会」事務局: 共同行動、要請行動の提案
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『「国立大学法人法案」に反対する大学教職員交流連絡会』事務局


「この1週間の共同行動、中央要請行動の内容です。
全国の教職員組合、有志団体への参加を呼びかけます。
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1.「2.20」第1波全国共同行動
 <2/20(木)国大協法人化特別委員会(霞ヶ関ビル)午後3時から>

○各大学においては、学長交渉・懇談、国大協法人化特別委員への要請、討論
会、「法人法案」反対の決起集会、大学外での宣伝など、多様な形態で法案反
対の議論と意思表示の行動を行いましょう。

○中央(首都圏)での共同行動:

 ・都大教が中心となり、国公労連とも共同して宣伝行動(国民向けビラの配布)
   2月20日(木) 午前8:45から9:30
   集合および配布場所 文部科学省前

 ・文科省前の行動に参加できない組合は、大学門前や近くの駅頭で配布下さい。
  配布枚数を2月18日までにお知らせ下されば都大教から郵送するそうです。

 ・首都圏以外でも、このビラを活用してください。
  (都大教:http://www.t3.rim.or.jp/~dakose)

○中央・地方ともに、国公労連をはじめ民間の労働組合(そのナショナルセン
ター)、小中高校の教職員組合との連携も重視して取り組みましょう。

2.「2.24」第2波全国共同行動
 <2/24(月)国大協理事会(学士会館本館)午後3時から>

○中央要請行動:学士会館本館前での要請・宣伝行動
 ・全国の各組合、団体に、この行動への参加を呼びかけます。
 ・この間、各大学で反対署名等に取り組まれている団体、教員有志の方々
  の参加も、ぜひお願いします。
 ・時間:午後2時半から3時まで
 ・内容:
  (1) 宣伝カー(国公労連に支援要請)での演説
  (2) 各組合、団体からの要請文、「全国の国立大学長のみなさんに
    訴える」の連名要請文を代表団が理事会に提出
  (3) その他

連絡先:
『「国立大学法人法案」に反対する大学教職員交流連絡会』事務局
(東京大学職員組合書記局気付)
E-Mail:tousyoku@u.email.ne.jp
TEL/FAX:03-3813-1565
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[4] お便り紹介(2/19):「概要」は内容がない、という学長に対して。
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「組合の申し入れ(全学集会開催、国大協臨時総会に)に対して、昨日学長が、

1.国大協臨時総会の申し入れをしない。

2.「法案の概要」は内容がないので、全学集会等については法案提出時点で、
再考する。現時点では、時期尚早である。

と回答してきました。ところが、国大協の石副会長(法人化特別委員会委員長)
は、自民党文教部会で、明確に、賛意を表明しております。このように、法案
そのもの出てこないと「概要」だけでは、何をいってもしようがない、と逃げ
を打つ学長が結構いるのではないかと思います。それなら、なおのこと、全体
像が不明なものに対して国大協として24日に理事会で賛意を表明するというこ
とを許してはならないはずです。そこで、末尾に添付したような決議文を用意
し、

1.学長は、この溝を埋めるべく、24日の国大協理事会を臨時総会にすべしと
要求するか、あるいは、理事会で賛意を決定することに異議を唱えるべきであ
る。また、15日締めきりの各大学から提出できる意見表明において、どのよう
に述べたのか明らかにすべきである。

2.このことを、学部長が明日の評議会で強く要求すること。できな場合は、
緊急動議=>決議。という方向で話をすすめるべく、教授会に臨みました。

 しかし、もう一押しというところで、協議事項・議題とするかどうかの賛否
をとることになり、出席者約90名中21名の賛成少数で、否決されてしまいまし
た。提案者以外3名で議題になる、とばかり考えていましたので、3名を集め
るのに集中してきましたが、戦略上の失敗をおかしてしまいました。

 しかし、その後もゲリラ的に意見が出され、また、報告事項のところでも
「法人化法案の概要」が添付されていましたので、total40分程度議論されま
した。その中で、非公務員化で、自らの立場は今までと同じなのかという質問
があり、民間の被雇用者と同じである、という答えにがく然とした教員がいま
した。

 また、大学内の法人化対策委員会(?)の方から各学部に出てくる案を検討し
てきたのは、これまで学部将来計画委員会というところでしたが、それとは別
に、「若手」5〜6名で専門に検討するワーキンググループを立ち上げること
になりました。これまでも、「若手」というと単なる「ガス抜き」に利用され
てきた経緯がありますので、そうならないように注意しなければならないと思
います。

 なお、**大学の理念と目標(ver4)という学長名の文章が出てきました。名
大等の「大学憲章」に匹敵するものにしたいようですが、この中の[究める*
*大学]5.柔軟な研究体制というところに、

  専門分野と学部の垣根を越えた研究体制を築き、新たな研究分野
  を開拓する。評価制度と任期制に基づく柔軟な人事制度のもとに、
  研究の活性化をはかる

と任期制が明示されていることに驚きました。

 それでは、今後ともよろしくお願いします。       

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            決議文(案)
                        平成15年2月19日
 **大学学長
  ****** 殿
                     **大学****教授会

 国立大学の法人化において、文科省からは法案の原案すら提示されないまま、
平成16年度実施をめざし今国会で法律の成立がはかられようとしていること
に、我々教育学部教授会構成員は強い懸念を抱いております。文科省は、1月
31日、「国立大学法人法案の概要」を提示し、去る2月10日に国立大学学長会
議を招集し、内容説明がおこなわれたと聞きおよんでおります。貴職において
は、「概要」では内容が不十分で大学構成員への説明等は時期尚早であると述
べられています。そこで、貴職に対して以下の3点を強く要望します。

1.国大協は24日の理事会で、「概要」をもとに法人化に対する賛意を
  表明する予定である。法案の全容が明らかになるまで、意志表明を
  行うべきでないことを、貴職が国大協に強く申し入れること。

2.受け入れられない場合には、理事会ではなく、賛否の意志表明を行
  うことを議題とする臨時総会の開催を国大協に要求すること。

3.また、法案そのものが明らかになっていない現状で、国大協へどの
  ような意見表明(15日締めきり)を行ったのか、明らかにされたい。

 以上、決議する。
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[5] お便り紹介(2.12)「イラク先制攻撃反対」と「独立行政法人化反対」
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「・・・2月1日の東大反対集会に参加したり、その後首都圏ネットから回って
きました「分析メモ」などを見るにつけ、このまま事態が進むといかなること
になるのか、と危惧しております。「イラク先制攻撃反対」に対する関心と同
じように、大学人(研究者)が国立大学の独法化に反対しているのだ、という
新聞広告だけでもだせれば、と思うのですが。なにゆえ「イラク問題」ほど、
この大学問題が大学人の関心を買わないのか、本当に理解しかねます。どう考
えても「大学自治」や「学問の自由」が侵されることは間違いありません。こ
うした基本的人権について大学人の間ではあまりにも当然の与えられたものと
して、考えられてきたために、それが侵されることについて、無頓着であり、
またその重要性に気づいていないということなのでしょうか。」
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[6] 永岑横浜市大商学部教授から小川学長,川内学部長への公開質問状2/11
http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~kogiseminagamine/20030211Ikenhyoumei.htm
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「学長 小川先生
  商学部長 川内先生

  標題の件で、研究室HPに意見を公開しました。
  学長、商学部長としてのすみやかな公開の態度表明を期待します。

商学部教授
永岑三千輝
2003年2月11日

---研究室HP公開の意見表明----

2003年2月7日 部外秘資料=戦略会議議事録の公開について:

総合理学研究科・佐藤真彦先生の勇気ある資料公開に対し、削除させようとす
るなど、言論弾圧・抑圧が行われた(総合理学研究科・佐藤真彦教授の公開意
見・経過報告:矢吹先生からの情報、矢吹先生HP)。

この問題が、まさに大学内部における言論の自由、社会における公的な問題に
関する言論の自由など、憲法的問題になってきたことだけは確かである。

検討すべきは、まずはつぎのような事実確認・諸論点であろう 。

・・・

13 大学の部局長で構成する「戦略会議」の議事録は、どのような意味で秘密
なのか?どうして秘密にしなければならないのか?どこを秘密にしなければな
らないのか? 合理的な説明が必要である 。 「部外秘」とした事に関するア
カウンタビリティが求められている。その議事録は、教授会議事録とどのよう
に違うのか?教授会議事録はすでに公開原則が確立している。教授会議事録公
開に関しては、迅速に処理できるように、教授会議事録公開システムも構築さ
れている。公開原則を無視していい理由はなにか?」

14  われわれの場合で言えば、情報公開対象は、戦略会議議事録である。科
学技術の自由で豊かな発展、大学の生命・大学の発展に関わる問題、大学の自
治や学問・思想・言論の自由という憲法的規準からすれば、戦略会議 の議事
録をとうてい「部外秘」として隠しておくことは許されないと佐藤真彦教授は
判断されたのであろう。その個人的判断に基づく勇気ある 情報公開が、佐藤
真彦教授の研究室HPにおける議事録公開である。その民主主義的行動を押さえ
込もうとしたこと自体、現在の社会の到達点から言っても、相当に問題となろ
う。したがって、総合理学研究科長の「削除」要求や、「監督不行き届き」発
言(上記の佐藤真彦教授公開情報)は、大学自治破壊、学問・思想・言論の自
由の抑圧活動として、逆に、今後、学内外で重大な社会問題となろう。

・・・

25 民主主義精神の深化・発展、各人の自立的精神、各人の個性・自立性・自
律性と公的・公共的意思の形成のあり方において、いちばん大切なのは各人
(学長として、各部局長として、評議員として、教授として、そして事務局責
任者として)の責任ある公的な意見表明ではないか? 

26 私は以上で展開したように、戦略会議という公的組織の、大学の将来を左
右する改革問題の議論の内容は完全にオープンにすべきだという立場である。
佐藤教授が勇気を持って公開に踏み切られた現在の資料(議事録)でも、公的な
地位にある発言責任者の個人名が隠されている という意味で、不充分な情報
公開だと考える。助教授クラスの弱い立場の人々の発言は別としても、教授以
上の人々、および事務局責任者の発言は個人名とともに完全に公開すべきだと
考える。

27 かくして、今回の問題は、まさに大学における民主主義と言論の自由、大
学の自治の成熟度が試される問題であろう。これに対する社会の関心度は、ま
た市民と社会の民主主義の成熟度と関係するだろう。
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[7] 「市大を考える市民の会」通信 No.2, No.3 URL
(第2号)2003.02.19 http://www2.big.or.jp/~yabuki/doc03/news0219.pdf
(第3号)2003.02.20 http://www2.big.or.jp/~yabuki/doc03/news0220.pdf
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[8] (asahi.com 2/18)任期制採用の京大教授、再任拒否の無効求め仮処分申請へ
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「5年任期で採用され、4月末に任期切れを迎える京都大再生医科学研究所の
井上一知教授(57)が、同研究所の行った再任拒否決定は無効であるとし、
近く、地位保全の仮処分を京都地裁に申し立てる。文部科学省によると、任期
制教授職の再任審議の正当性を問う訴えは初めて。

 申立書などによると、井上教授は98年5月、京大医学部助教授から同研究
所の教授に5年任期で採用された。再任を希望する井上教授は、研究所内部の
人事決定機関である協議員会の申し合わせ(内規)が決める手続きに従い、昨
年4月、再任の審議を申請した。
 
 内規によると協議員会は、外部評価委員会の評価に基づいて再任の可否を審
議決定する。学外の専門家ら7人による外部評価委員会は「井上教授の再任を
可とすることに全委員が一致して賛成」と報告した。しかし、協議員会はその
後、数回の会合を経て、無記名投票で再任拒否を決めた。

 井上教授は協議員会の委員長である山岡義生・同研究所長に異議を申し立て、
理由説明を求めているが、返事は来ていないという。

 井上教授は「しかるべき理由もなく外部評価委員会の評価と正反対の決定が
下されるのは納得できない。再任の審査で不公平な運用が行われ、意図的に再
任拒否の決定がなされたのでは、任期制教官の学問の自由が守られない」と話
し、適正な審議を求めている。

 一方、協議員会のメンバーの一人は「外部評価委員会の報告には井上教授の
研究について質問点などが指摘されており、協議員会で本人から説明を受けた
結果、再任は否決された」と説明する。

 消化器外科医の井上教授は、インスリンを分泌する膵島(すいとう)細胞の
移植などについて研究している。一昨年、日本再生医療学会の創設に加わり、
初代会長を務めた。

 文科省によると、任期制大学教員は現在、全国に約3千人いる。来春の国立
大学独立法人化後にはさらに増える見通しだ。再任の可否を審査するシステム
は各大学に任されており、標準ルールが確立していない。

 <山岡・同研究所長の話> よく吟味した上で対応を検討したい。」
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