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Subject: [kd 03-03-03] 法案第一章|補正予算の使途|国立大付置研改廃問題
Date: Mon, 03 Mar 2003 

国公立大学通信 2003.03.03(月)

--[kd 03-03-03 目次]--------------------------------------------
[1] 国立大学法人法案  第一章 総則(第1条〜第9条)
[2] 渡辺勇一氏からの寄稿「補正予算の使途から見る研究費のあり方」2003.3.2
[3] ARG No. 153 「ノート:国立大学付置研究所の改廃をめぐって」
[4]「横浜市大の今後のあり方について」答申案 2003.2.27
[5]「市大の今後のあり方懇談会」最終答申についての報道2003.2.28
[6]「市大を考える市民の会ニュース」No.9 2003-03-03 号目次
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[1]  国立大学法人法案  第一章 総則(第1条〜第9条)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/030201c.pdf
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/030228hiuanhou2.htm
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国立大学法人法

目次

第一章 総則

 第一節 通則(第一条〜第八条)

 第二節 国立大学法人評価委員会(第九条)

第二章 組織及び業務

 第一節 国立大学法人

  第一款 役員及び職員(第十条?第十九条)

  第二款 経営協議会等(第二十条・第二十一条)

  第三款 業務等(第二十二条・第二十三条)

 第二節 大学共同利用機関法人

  第一款 役員及び職員(第二十四条〜第二十六条)

  第二款 経営協議会等(第二十七条・第二十八条)

  第三款 業務等(第二十九条)

第三章 中期目標等(第三十条・第三十一条)

第四章 財務及び会計(第三十二条〜第三十四条)

第五章 雑則(第三十五条〜第三十七条)

第六章 罰則(第三十八条〜第四十一条〉

附則

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第一章  総則

 第一節  通則

(目的)

第一条 この法律は、大学の教育研究に対する国民の要請にこたえるとともに、
我が国の高等教育及び学術研究の水準の向上と均衡ある発展を図るため、国立大
学を設置して教育研究を行う国立大学法人の組織及び運営並びに大学共同利用機
関を設置して大学の共同利用に供する大学共同利用機関法人の組織及び運営につ
いて定めることを目的とする。

(定義)

第二条  この法律において「国立大学法人」とは、国立大学を設置することを
目的として、この法律の定めるところにより設立される法人をいう。

2 この法律において「国立大学」とは、別表第一の第二欄に掲げる大学をいう。

3 この法律において「大学共同利用機関法人」とは、大学共同利用機関を設置す
る事を目的として、この法律の定めるところにより設立される法人をいう。

4 この法律において「大学共同利用機関」とは、別表第二の第二欄に掲げる研究
分野について、大学における学術研究の発展等に資するために設置される大学の
共同利用の研究所をいう。

5 この法律において「中期目標」とは、国立大学法人及び大学共同機関法人(以
下「国立大学法人等」という。)が達成すべき業務運営に関する目標であって、
第三十条第一項の規定により文部科学大臣が定めるものをいう。

6 この法律において「中期計画」とは、中期目標を達成するための計画であって、
第三十一条第一項の規定により国立大学法人が作成する物をいう。

7 この法律において「年度計画」とは、準用通則法(第三十五条において準用す
る独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)をいう。以下同じ。)第三十
一条第一項の規定により中期計画に基づき国立大学法人等が定める計画をいう。

8 この法律において「学則」とは、国立大学法人の規則のうち、修業年限、教育
課程、教育研究組織その他の修学上必要な事項を定めたものをいう。

(教育研究の特性への配慮)

第三条  国は、この法律の運用に当たっては、国立大学及び大学共同利用機関
における教育研究の特性に常に配慮しなければならない。

(国立大学法人の名称等)

第四条  各国立大学法人の名称及びその主たる事務所の所在地は、それぞれ別
表第一の第一欄及び第三欄に掲げるとおりとする。

2  別表第一の第一欄に掲げる国立大学法人は、それぞれ同表の第二欄に掲げる
国立大学を設置するものとする。

(大学共同利用機関法人の名称等)

第五条 大学共同利用機関法人の名称及びその主たる事務所の所在地は、それぞ
れ別表第二の第一欄及び第三欄に掲げるとおりとする。

2  別表第二の第一欄に掲げる大学共同利用機関法人は、それぞれ同表の第二
欄に掲げる研究分野について、文部科学省令で定めるところにより、大学共同利
用機関を設置するものとする。

(法人格)

第六条  国立大学法人等は、法人とする。

(資本金)

第七条  各国立大学法人等の資本金は、附則第九条第二項の規定により政府か
ら出資があったものとされた金額とする。

2  政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、
国立大学法人等に追加して出資することができる。

3  政府は、必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、土地、建物
その他の土地の定着物及びその建物に附属する工作物(第六項において「土地等」
という。)を出資の目的として、国立大学法人等に追加して出資することができ
る。

4 政府は、前項の規定により土地を出資の目的として出資する場合において,
国立大学法人等が当該土地の全部又は一部を譲渡した時は、当該譲渡により生じ
た収入の範囲内で文部科学大臣が定める基準により算定した額に相当する金額を
独立行政法人国立大学財務・経営センターに納付すべき旨の条件を付することが
できる。

5  国立大学法人等は、第二項又は第三項の規定による政府の出資があったと
きは、その出資額により資本金を増加するものとする.

6  政府が出資の目的とする土地等の価額は、出資の日現在における時価を基準
として評価委員が評価した価額とする。

7 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。

8 国立大学法人等は、準用通則法第四十八条第一項本文に規定する重要な財産の
うち、文部科学大臣が定める財産を譲渡したときは、当該譲渡した財産に係る部
分として文部科学大臣が定める金額については、当該国立大学法人等に対する政
府からの出資はなかったものとし、当該国立大学法人等は、その額により資本金
を減少するものとする。

(名称の使用制限)

第八条  国立大学法人又は大学共同利用機関法人でない者は、その名称中に、
それぞれ国立大学法人又は大学共同利用機関法人という文字を用いてはならない。


 第二節  国立大学法人評価委員会

第九条  文部科学省に、国立大学法人等に関する事務を処理させるため、国立
大学法人評価委員会(以下「評価委員会」という。)を置く。

2  評価委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。

 一 国立大学法人等の業務の実績に関する評価に関すること。

 二 その他この法律によりその権限に属させられた事項を処理すること。

3  前項に定めるもののほか、評価委員会の組織、所掌事務及び委員その他の職
員その他評価委員会に関し必要な事項については、政令で定める。
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[2] 渡辺勇一氏からの寄稿「補正予算の使途から見る研究費のあり方」2003.3.2
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「独法を前にして、我々の大学では基本的な経費の減少(既に起こっているのは、
プロジェクト研究のための5%、今後学長裁量経費が大幅に増額される事が決め
られているし、また学部の活動の評価に基づく傾斜配分も打ち出されているので、
更に減ることになる)が深刻な問題になっている。

 そんな事態とは無関係に、湯水よりも簡単に巨額の予算が当てられている事実
がある。最近の小沢氏の講演の中でも、科学技術基本計画第二期の24兆円の事
が触れられているが、補正予算のどさくさの時期は巨額の予算が使われる絶好の
チャンスとなっている様だ。

 補正と言っても、言葉から受ける印象と異なり大変大きな金額が当てられる。
24兆円は5年計画(2001-2005年)だから、年あたり4.8兆円という額になるが、
以下の補正予算に占める科学技術関係の予算はどうみても上の一年当たりの額か
ら考えてみても大きいものである。

 もう一つの問題点は、これらの巨額の予算の使途が完全に決められていること
である。独法化されれば「基礎研究が疎かになる」などと、先の事を心配するこ
とも必要であるけれど、種々の振興財団なるものがシナリオを作って(といって
もその通り簡単に実が結ぶものとは思えない)配分している事態は、研究を現場
の研究者と無関係な歪めた方向に曲げていると言えるだろう。

http://tech.braina.com/2002/1213/other_20021213_001____.html
 上の頁の内容の一部を下に示す。

新産業育成、雇用対策など補正要望全省庁で5兆円超す 

【その他】発信:2002/12/16(月) 09:11:55  
 文部科学省、経済産業省、厚生労働省、農林水産省、総務省、環境省の6省は 
新産業育成、都市・地方の再生、雇用対策、中小企業対策などの中で科学技術関
係の 補正予算要望を財務省に提出した。今回の補正予算は、総額3兆円規模に
絞られる予 定だが、全省庁の合計要望額は5兆円を超えており、予算的には厳
しい情勢だ。
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    私が目を疑ったのは、金額の大きさだけでなく、その予算を使った研究開発
の時間の短かさである。余りにも短期であり、大学のつつましい予算の中で暮ら
している我々にはとても信じられない程だったからである。

 余りにも短い「開発期間」なので、心配になって、日経の記者に確認してみた
がやはり二ヶ月程度で間違いがないようである。

 即効型という予算で行われる研究、さぞかし効果があって、地域の経営に喘ぐ
中小企業が活性化されるものと考えて良いのだろうか?

  ほんの一例として、経済産業省関係のものを示した。

提案公募型技術開発事業(経産省関係)

http://www.chusho.meti.go.jp/gijut/021224koubo_yokoku.htm

14年度補正予算事業
1.即効型地域新生コンソーシアム研究開発事業(委託費)
  本事業は、地域において新産業・新事業を創出し、地域経済の再生を図るため、
中 小企業を中心とする地域における産学官の強固な共同研究体制(地域新生コ
ンソーシ アム)を組むことにより、実用化に向けた高度な研究開発を行い、即
効性の高い地域 の新規産業の創出に貢献しうる製品・サービス等を開発するこ
とを目的とする。

 (公募受付期間  平成15年1月20日〜29日
・1件当たりの委託金額は、2億円程度/件 以内。
・研究開発期間は、委託契約日から平成15年3月31日まで。
                 政府予算案 約15億円
       (7件程度、採用があるということ)

2.創造技術研究開発事業(補助金)

本事業は、地域において新産業・新事業を創出し、地域経済の再生を図るため、
大学等の技術支援を受けて地域中小企業が実施する研究開発に要する経費の一部
を国が補助する。

(公募受付期間  平成15年1月20日(月)〜平成15年1月31日(金))
・研究開発期間は、交付決定日から平成15年3月31日まで。
                 政府予算案 約22億円
      (件数は不明だが、一件あたり6000万円以内)
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  文科省は、6318億円を要望したが、そのうち5074億円が科学技術関係だそうで
ある。ほんの一部のみ紹介しておく。

平成15年度予算に盛り込んだ経済活性化プロジェクトを前倒し。

地域科学技術を振興し産学連携を活発化させるためには454億円独創的・先端
的な研究及び人材育成拠点(大学院等)の整備に198億円

 相変わらず、新産業、産学連携、経済活性化などの言葉が続くけれど、一体ど
のような効果を予測してこれらの金が使われているのだろうか。

 国立大学には、しつこく accountability という言葉が使われるけれど普通に
考えれば、使う金が巨額になるほど、説明責任も大きくなるのではないだろうか。

 最後に、保健制度の改悪、母子家庭への援助縮小、年金制度の改悪など、国家
財政の悪化という圧力を押し付けながら福祉予算を削り続けている事情がある。
上の様な予算の使い方は、財政が破綻していると公言を繰り返している「国」が
続けていって良いことなのだろうか? 

 研究者というものは、研究が何よりも優先されるという意識を持って研究を続
けている。それならば、無駄な予算の使い方を改め、本当に有効に生きる道を提
案する道を探るべきであろう。」
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渡辺勇一氏サイト

  教育・研究・独立行政法人について:
    http://www.asahi-net.or.jp/~yp3y-wtnb/y

  学生評価、独法授業など:
    http://www.ac-net.org/home/watanabe-y/index.html
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[3] ARG No. 153 岡本真「ノート:国立大学付置研究所の改廃をめぐって」
http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/153.html#note
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[4] (横浜市立大学)「市大の今後のあり方について」答申案 2003.2.27
http://www2.big.or.jp/~yabuki/doc03/toshin227.pdf
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[5] (横浜市立大学)「市大の今後のあり方懇談会」最終答申についての報道
http://www2.big.or.jp/~yabuki/doc03/kaku0228.pdf
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[6] (横浜市立大学)「市大を考える市民の会ニュース」No.9 2003-03-03 号
    http://www2.big.or.jp/~yabuki/doc03/news0303.pdf
    [1] 第2回シンポジウム(3月8日)へのご案内・最新版
    [2] 卒業生によるビラ配り体験記----重岡理恵、1990年商学部卒
    [3] 市大の初心を回顧し、未来を展望するためにーー関口泰の大学論
   ----遠山茂樹教授の横浜市立大学最終講義から(1979年1月23日)
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