通信ログ
国公立大学通信 2003.03.18(火)


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[1] 2003年3月5日開催 北海道大学運営諮問会議での発言要録
 (独立行政法人化問題を考える北大ネットワーク世話人会取材)
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                       2003年3月17日

全国の皆さん

3月5日に開催された北海道大学運営諮問会議の内容とそれに対する北大ネット
の見解をお知らせします。

                    独立行政法人化問題を考える北大ネットワーク世話人会

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3月5日に開催された北海道大学運営諮問会議では、出席委員から国立大学の法
人化とそれに対する北大当局の対応に対して厳しい意見が述べられたという。以
下、当日の諮問委員会に出席した委員名簿、および、北大ネットの調査によって
明らかになった出席委員の発言内容である。

中には「法人化は2−3年後に破綻を来すであろう」という驚くべき発言もあり、
運営諮問委員の諸発言の背景にある情勢認識や情報について中村北海道北大長お
よび北海道大学評議会は委員とさらに協議の上調査し、今後予想される事態につ
いて北大の全構成員に対し、さらに、全国立大学に対し、情報開示すべきである。

また、文部科学省の指示通り「法人化準備」を進めていることに対する運営諮問
委員の強い批判は、国立大学協会執行部に対する批判としても妥当するものであ
ろう。国立大学社会は、これまでの方針を根本から再検討し、進むべき方向の議
論を国立大学全体で開始し社会に発信していく必要性を強調したい。

なお、運営諮問会議の助言あるいは勧告を学長が無視することは、国立大学設置
法第7条に違反することに注意しておきたい。

  国立大学設置法第7条の2:「運営諮問会議は、次に掲げる事項について、
  学長の諮問に応じて審議し、及び、学長に対して助言又は勧告を行う。
  1.大学の教育研究上の目的を達成するための基本的な計画に関する重要事項
  2.大学の教育研究活動等の状況について当該大学が行う評価に関する重要事項
  3.その他大学の運営に関する 重要事項」
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2003年3月5日開催 北海道大学運営諮問会議 議事概要

出席諮問委員:   (敬称略)

大石道夫(財団法人かずさDNA研究所長)
大塚栄子(独立行政法人産業技術総合研究所フェロー)
沢 邦彦(富士電機株式会社代表取締役社長)
武井正直(抹式会社北洋銀行代表取締役会長)
田中秀征(福山大学教授)
戸田一夫(北海道電力株式会社相談役、委員長)
東  功(株式会社北海道新聞社代表取締役社長)
廣重 力(北海道医療大学長)

委員からの意見

委員1:法人化することにより全体として文部科学省の統制力が強まることにな
る。何のために独法化を実施しようとしているのか不明である。

委員2:全体として極めてわかりにくい制度である。何のために法人化しようと
しているのか目標が見えない。先ず改革ありき、文部科学省からの要請ありきで
この法人化によって大学の質が高まるか疑問である。とりわけ評価について疑問
を持つ。物事を評価するためには、定量的な観点が必要であるが、大学の活動を
定量的な観点からはとらえられないだろう。従って、評価することは難しい。

委員3:これまでの大学でよいというものではない(満足できない)。これまで
の大学は大学の自治を振り回して改革をしてこなかったことは率直に反省しなけ
ればならない。しかし、現在進められている法人化制度には大きな問題があり、
この制度が長続きするとは思われない2−3年後に揺り戻しがあるだろう。北大
も、東大や京大のような大きな大学にただ追従するだけでなく、2−3年後の揺
り戻しに備えて準備をしておくべきであり、そのときがきたら全国の大学の先頭
に立って対応すべきである。

委員4:評価・中期目標について。自然科学上の大きな発見等は予め目標や計画
に明示できるものではない。目標に入らないような成果の評価に疑問あり。

委員5:概ね現在の方向に肯定的。但し、大学に対して変化を要求する前に文科
省としてのグランドデザインを明示すべきである。

委員1:法人化は非常に大きい問題である。大学や文科省レベルで終わる問題で
はない。政治的流れとしてとらえなければならない。自分の体験からして、大学
は毅然とした姿勢をとるべきである。

委員6:法人化は2−3年後に破綻を来すであろう。従って、真面目に取り組む
必要はないと思う。その後に備えて準備するべきである。

委員3:評価は必要であるが、国が評価するのはおかしい。大学にとって大切な
のはいかにして立派な、素晴らしい学者を育てるか、確保するかということであ
る。北大はあまりにも国の方針に追随しすぎる。

委員7:文科省自体が目標を示していないのだから大学が目標を立てることがで
きるはずがない。先ず、文科省がきちんとした目標を示すべきであり、そうでな
ければ評価はできない。

委員1:法人化の理屈が立たない。現在の法人化の内容では世論に受け入れられ
ないし、何のための法人化か?という疑問にも応えられない。世論が納得しない。

委員3:大学は自分で財源を持って、文科省から独立せよ。大学は毅然としなけ
ればならない。自分が米国から日本に戻ったときには三流市民になったような気
がした。

以上、各委員員の発言内容を発言順に記載してきたが、全体としてまとめると:

    何のための法人化か不明。単純・明快に説明すべきである。
    「評価」には、基準が必要。そのようなものは大学にはなじま
    ない。文科省自身が明確な2−3年後の目標を持つべきである。
    破綻を見据えて、全国の大学の先頭に立って準備すべきである。

なお、戸田委員長は議事進行の立場から発言無し。大学側出席者で発言を求める
者もいたが、学長の「今日は委員の方から意見を聞く場である」との意見により
発言は止められる。
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