通信ログ
国公立大学通信 2003.03.16(水)

--[kd 03-04-16] -------------------------------------------------------
[1] 意見広告賛同者は4月15日現在450名。締め切りは4月20日に変更。
[2] 本日4/16より文部科学委員会で国立大学法人法案の審議開始
[3] 国立大学教員から文部科学委員会委員への手紙
[4] 法人化法案についての現場教員の意見と感想
[5] 富山医科薬科大学 H.T.氏からの「見ざる言わざる聞かざる」への返事
[6] 阿部泰隆「こんな法律はいらない」(東洋経済新報社、2000年)192頁
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意見広告の会のHPによれば、賛同者は昨晩11時の段階で450名です。
[3-4]を書かれた方は10口を支援されたとのことです。期限が20日になり
ましたので、まだ賛同するのに遅いことはありませんが、機関名まで掲載で
きるのは製版等の関係で明日17日以前の賛同者だけだそうです。

編集人が直接にかかわっているレファレンダムは来週実施予定です。呼掛け人
を引き続き募っていますので、こちらもよろしく。 http://rfr.ac-net.org

若手の教官が国会議員に送付した文書 [4] は、この10年間の大学改革が教
育と研究の現場をどのように変質させたかをリアルに記しています。多くの国
立大学関係者が共感を持つ内容と思います。

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本日から、いよいよ、国会での本格的な審議が始まります。多くの方の傍聴が
議員の努力への「激励」となるのではないかと思います。

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独立行政法人化の発端は東大附属病院が「文部省病院」からの脱却を意図した
ものだった(*)ことを考えると、独立行政法人化で、その度合がさらに強ま
ることになるとすれば皮肉なことだと思います。しかし、その文脈とは別に、
医系の大学や部局は独立行政法人化に積極的な方が多いようです。富山医科薬
科大学の方から独立行政法人化への素朴な期待を率直に記した便りを頂きまし
たので許可を得て転載しました。(*)
http://ac-net.org/dgh/00212-tokyo-shinbun.html#1

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紹介しました櫻井よし子氏の記事に関連して、行政法学者の阿部氏が、文科省
の天下りを禁止を主張されています[6]。氏は、1998年に司法試験から行
政法が削除された際に批判運動を展開した方です。(ロースクールでは行政法
は必修となったそうです。)なお、来年の法科大学院設置について、いまだに
明確で合理的なルールを文科省は示さず大学を困窮させている、という趣旨の
コメントが添えられていました。                                (編集人)

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[1] 意見広告賛同者は4月15日現在450名。締め切りは4月20日に変更。
 http://grape.c.u-tokyo.ac.jp/~hachisu/houjinka/
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#(「意見広告」の締め切りが4月20日(日)に変更されました。ただし、
18日以後は氏名のみの掲載。紙面掲載は当初の予定通り23日の予定。賛同
カンパの振込み先と住所は以下の通りです.)

郵便口座 『「法人法案」事務局』  00190−9−702697 
住所:153-0041目黒区駒場3-8-1東京大学教養学部14号館「法人法案」事務局

問合先:メール qahoujin@magellan.c.u-tokyo.ac.jp
 電話 03−3813−1565 (電話FAX兼用)「意見広告の会」」

houjinka@magellan.c.u-tokyo.ac.jp,campaign@sbp.fp.a.u-tokyo.ac.jp
双方に以下を送付:
  氏名     「漢字」   
 氏名     「ひらがな」  
 所属機関   「無し」でも結構です。
 連絡先住所  
 醵金の口数  「何口」   定職を持たない方は「何千円」
 氏名掲載の希望  有 無
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[2] 本日4/16より文部科学委員会で国立大学法人法案の審議開始
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国会情勢速報No7より
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web03040807kokaijouh7.htm

16日の質疑は、以下の予定。

民主
	山口 壮 9:00〜 9:35
	藤村 修 9:35〜10:10
	大石尚子10:10〜10:45
自民
	青山 丘10:45〜11:15
	小渕優子11:15〜11:30
自由
	佐藤公治13:00〜13:35
共産
	石井郁子13:35〜14:10
社民
	山内恵子14:10〜14:45
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共同行動委員会声明より4月16日の行動:
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/030409seimei4.16koudou.htm

 8:30 衆議院国会議員面会所受付前集合
 9:00 全大教による文部科学委員会傍聴に参加
11:30 傍聴終了
12:00 日比谷公園霞門前集合
12:15 法人法案反対国会請願デモ(東京国公+共同行動委員会)
13:00 デモ終了
13:00 文部科学委員会傍聴
14:45 傍聴終了
15:00 衆議院国会議員面会所受付前での全大教総括集会に参加

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[3] 国立大学教員から文部科学委員会委員への手紙
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「私は仙台市在住の国立大学教員です。個人の立場から、今般の国立大学法人
化法案について、慎重の上にも慎重を期した審議をお願いしたく存じます。

中期目標を大臣が認可するという方式、教授会の位置を曖昧にする点、経済的
基盤に関する国の責任を曖昧にする点など、日本における大学のありかたを将
来的に著しく貧困にする可能性が大であると思います。これらはいずれも、教
育基本法 10 条にも抵触するのではないかと思われ、その意味でも重要な意味
をもつものです。同じ戦後教育を受けた者として、議員にはその意味の重さに
深くご配慮があるものと期待しております。

また、以下に現場教員の意見および感想を附させていただきました。あくまで
個人的な意見ですが、御一読いただければ幸いです。

2003 年 4 月 15 日 深夜

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	  [4] 法人化法案についての現場教員の意見と感想
	     http://ac-net.org/dgh/03/415-kd-kyouin.html
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	  #見出し:
	    1.大学における研究現場の現状について
	    2 現在の法人化法案について、中期目標の問題
	    3 教授会の位置づけの問題
	    4 大学への社会資本投資のありかたについて
	    5 育英事業廃止への反対意見
	    6 謝意
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・・・とりあえず以上といたします。2 時間ほどで書きましたために、至らな
い点は御容赦ください。お読み頂き、大変お忙がしいところを有難うございま
した。

講義などのためリアルタイムではフォローできませんが、明日以降の審議に期
待したいと思います。」

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[5] 富山医科薬科大学 H.T.氏からの「見ざる言わざる聞かざる」への返事
(全文) http://ac-net.org/kd/03/416-ht.html
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(抜粋)

「自分の活動に対して反応がないからと言って、そのことを批判することは良
くないことだと思います。むしろ”独断的”と言っても良いかもしれません。

しかしながら、一理あると思いますので、以下に独法化に対する私の意見を以
下に記します。

・・・・独法化は我が国に大学が創設された明治以来初めての大学の内部改革
ですから、富山医科薬科大学では大いに期待を寄せている教官が多いのも事実
です。とくに、教育も研究もしない教官が若干名いるので、そういった方たち
は他の教官のやる気を失わせるだけでなく、トラブルを起こして我々が本来行
なうべき教育・研究の邪魔をします。独法化になれば、少なくともやる気のな
い方を辞めさせることができます。この措置は、確かに危険性をはらんでいま
すが、若い世代の活性化を考えると必要な措置だと思います。

独法化により、確かに天下り先が増えるという現実は理解し難いですが、今ま
で我々が行なってきた無駄な事務処理が減って、委員会に出席する回数も減り、
教育・研究に費やす時間が増えることは良いことだと思いませんか?

学長采配権が強くなり、事務の支配力が増えるという側面はあるかもしれませ
んが、学長を選ぶのは我々教官ですし、事務は事務屋が行なうべきだと考えて
います。

私の考えは、以上のように、国が負担する必要のない不要な大学、無能な教官
は減らすべきだと考えています。職務と趣味を履き違えている方はやはり辞め
てもらう方向で勧めるべきと私は考えています。その大きな理由は、バブル崩
壊のときもそうですが、何か問題が生じた場合、そのつけを払わされるのは現
職の我々ではなく、次世代の若い世代だからです。」

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[6] 阿部泰隆「こんな法律はいらない」(東洋経済新報社、2000年)192頁
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「(3) 独立大学法人への文部官僚の天下りを禁止せよ

 今、国立大学は独立行政法人化の旋風にさらされている。政府は行政改革と
やらで独立行政法人通則法を作った。大学については、学問の自由、学長選出
の自主性を尊重する例外を認める特例法を作るというだけで、文部省は国立大
学の同意を求めている。自民党政務調査会も、国立大学法人という名称でこれ
を推進する提言をまとめた(二〇〇〇年五月)。いわば一種の特殊法人化しよ
うとするものである。・・・ここでは、国立大学を独立行政法人化するとき、
絶対に困ることをひとつだけ主張したい。

 大学は、中期目標を設定して、中期計画を文部大臣に承認してもらわなけれ
ばならない。大学は独立だなどといわれても、実は、客観的合理的な評価基準
はできず、中期目標の設定、中期計画の承認、予算の分取りで、文部省に頭を
下げどおしで、ゼロ割自治である。三割自治を嘆く地方公共団体が羨ましい。

 しかも、独立行政法人化で、これまでよりも評価というしくみが加わるだけ、
文部省の裁量が広くなるのではないか。学長は学内で選出されるが、副学長は
経営感覚に優れた人材を外部から求めるとかで、実は文部省の方針を探り、文
部省に取り入るために、文部省の役人が天下る可能性が高い。文部省の官僚は、
簡単には教授になれないから、これまでは副学長にはなれず、事務局長にまで
しか天下りできなかったが、これからは、教授でなくても、経営感覚あふれる
と称して、そんな感覚があるはずもない文部省の役人が、文部省との顔つなぎ
だけで副学長になれるのではないか。

  元々、天下り規制は、前記のように営利企業に対するものだけを対象として
いるので、現行法のままでは、建設省、大蔵省などの職員が道路公団に天下り
するのと同じことが文部省と大学の間でも許されるのである。

 これは大変な利権だ。国立大学は全国に九九もあるから、当該大学に入学で
きなかったクラスの文部省職員が副学長になれるだろう。大蔵省や自治省も顔
負けの利権官庁になる。

 そこで、国立大学を独立行政法人化するさいの最小限の条件として、大学は
営利企業ではないが、ここでいう営利企業に準じて、天下り禁止の対象に入れ
るべきである。さらに、元文部省職員なら、離職前一定期間高等教育局以外に
勤務していても、あるいは、離職後一定期間はどこかの公益法人などで休憩
(雨宿り)していても、大学へ天下りできないと決めるべきである。

  せめてこのような特例がないと、国立大学の独立法人化の旗を振る文部省は、
天下り先ほしさだとかえって勘ぐられて損ではないか。」
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阿部泰隆「国立大学独立行政法人化は時期尚早」 1999.10.12
http://www2.kobe-u.ac.jp/~yasutaka/nauniv.htm
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阿部泰隆氏サイト  http://www2.kobe-u.ac.jp/~yasutaka/
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編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
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