通信ログ
国公立大学通信 2003年4月19日(土)

--[kd 03-04-19] -------------------------------------------------------
[0] 国会情勢速報 No.9 (03.4.17) 参考人名簿
[1] 4/17国大協特別委員会速報
[2] 4/23国立大学法人法案阻止・教育基本法改悪阻止 交流・討論の集い
[3] 国立大学法人法案に関する学長説明会(関東甲信越地区3.19 )(報告)
[4]『南日本新聞』4/16 田中弘允「地域社会と大学(上)独立行政法人化に思う」
[5] 豊島耕一「過去の教授会,学部長会議などの声明の「復活」を」
[6] 全国ネットの公開質問状への朝日新聞から回答
[7] (お便り紹介)「富山医科薬科大学H.T.からの返答」
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意見広告運動は、昨日24時の時点で1100名。第一次締め切りは20日
(日)です。18日以降の参加でも所属機関名を掲載可能となりました。
  http://grape.c.u-tokyo.ac.jp/~hachisu/houjinka/ 
サイトの「事務局ニュース」ページ:
http://grape.c.u-tokyo.ac.jp/~hachisu/houjinka/news/index.html 

      ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

北海道新聞4月17日夕刊に「私の戦争:「物量」が勝つ戦いの中で・・・」
という養老孟司氏(東大名誉教授・解剖学)の文章があるので少し紹介します。
  「わからないことはたくさんある。国際紛争の解決の手段としては、武力は
これを永久に放棄する。そういう憲法をそのままにしてある国の首相が、武力
解決を一国でもやるといった米国を支持すると発言した。これがわからない。
政治は難しいから、それが政治的判断だというのはわかる。それなら一言、付
け加えてほしかった。「道義的には問題があるが」、と。それがいえないとい
うのなら「道義的には問題があるかもしれないが」、までは譲ろう。その一言
があるかないかは、同じ政治でも大きな違いであろう。それが一方では道義を
立て、他方では政治を独立に立てることだからである。」
「ソクラテスが「悪法といえども法である」と毒を飲んだのは、2千年以上も
前のことである。政治家が哲学者でないことはわかりきっている。しかしせめ
て法に遠慮くらいはないのか。日本の最高学府といわれる大学の先生方も、首
相の言をよしとした。だから私はあえて訊く。法をどう思っているのか、と。」
・・・「私は公の研究費をほとんど遣わないで仕事をしてきた。・・・なにか
仕事が出来た(戦争に勝った)とする。それは、金がした仕事か、自分がした仕
事か。すべてが計算に基づくなら、結果は必然である。必然に人間が関与する
余地などない。それなら「私のすべきこと」とはなにか。そんなものが、必然
の世界のどこにあるというのか。」

      ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

田中前鹿児島大学長の「時の公権力が学問を支配し得るような法律を作っては
ならないのである。」[4]は、法案の持つ毒を明確にしています。知が両刃の
剣であることを思えば、この毒の怖さがわかるはずです。(編集人)

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[0] 国立大学法人法案阻止・教育基本法改悪阻止 国会情勢速報No.9(03.4.17)
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030417kokaijouho9.htm
独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局/独立行政法人問題千葉大学情報
分析センター事務局:共同編集
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「23日衆議院文科委員会の参考人4氏決まる

23日午後1時より開かれる衆議院文科委員会では以下の4名の方が参考人と
して招致されます。

一橋大学長・石 弘光氏、

東京工業大大学院生命理工学研究科教授・赤池 敏弘氏、

日本大総合科学研究所教授・小野田 武氏、

京都大経済研究所長・教授・佐和 隆光氏
 

17日、参議院文教科委員会で日本学生支援機構法案、海洋研究開発機構法案の
趣旨説明行われる

 次回の委員会は、22日。午前10時から上記両法案の質疑が行われます。上記
両法案の参考人質疑については、22日の理事会で協議することになりました。

 日本学生支援機構法案については、連休明けに、参考人質疑も含め審議する
方向です。」
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[2]  【4.17国大協特別委員会速報】
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web0330418tokubetuiinnkai417.html
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「国大協執行部の“逃げ切り”路線、17日の特別委員会で了承されず

2003年4月18日 独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局

◎ 17日午後開催された国大協特別委員会に、国大協執行部は、1)国立大
学法人法案についての国大協の議論は、6月定例総会で行う 2)学部、研究
科、研究所等の省令規定は法案作成最終段階で削除されたが、中期目標・中期
計画の中に記入すればよいので問題ない、と報告した。すなわち、法案の問題
点について責任ある議論と態度表明を回避し、ひたすら“逃げ切り”路線に徹
しようとしたのである。これに対して、1)に関しては、6月総会開催では国
会での審議に間に合わない危険がある、との意見が各委員から相次いだといわ
れる。2)に関しても、学部、研究科、研究所等の継続的な活動が保証されな
い恐れがある、と批判が提示された模様である。

◎ このため特別委員会は執行部提案に了承を与えず、各委員は提案を持ち帰
り、次の特別委員会で議論することとなった。石特別委員長に5月外遊の計画
があることも考慮し、4月22日前後開催で日程調整を行ったが、結局まとま
らず、次回の予定も決めないまま散会することになったと伝えられている。

◎ 17日の国大協特別委員会は改めて執行部の無責任さを浮き彫りにしたが、
同時に特別委員会が機能不全に陥っていることも明らかにした。法案の国会審
議は既に開始されている。各大学学長は会則に基づいて直ちに臨時総会を開催
し、日本社会の未来を危うくする国立大学法人法案反対の決議をあげなければ
ならない。」

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[2] 4/23国立大学法人法案阻止・教育基本法改悪阻止 交流・討論の集い
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web0304syuukai423.html
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日時:2003年4月23日(水)午後5時30分から8時まで
場所:東京大学農学部1号館8番教室
   http://www.u-tokyo.ac.jp/jpn/campus/map/map01/d08-j.html
最寄駅:地下鉄千代田線根津駅
    地下鉄南北線東大前駅
主催:「国立大学法人法案」に反対する大学教職員交流連絡会 事務局
後援:国立大学法人法案阻止/教育基本法改悪阻止・共同行動委員会
連絡先:電子メール 
議題:
 ・現在の情勢(法人法案の国会審議、教基法改悪などの動向)とその分析
 ・全国各地での反対運動の経験交流、その成果の共有
 ・今後の取り組み、方針についての検討・議論
 ・その他
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「4/23国立大学法人法案阻止・教育基本法改悪阻止 交流・討論の集い」ご案内

「国立大学法人法案」に反対する大学教職員交流連絡会 事務局
 2003年4月18日

 「国立大学法人法案」関連6法案は、4月3日に衆議院本会議における趣旨説
明と代表質問が行われ、16日からは文部科学委員会での本格的な審議がスター
トしています。また、教育基本法の「改正」を狙う動きも、3月20日の中教審
答申を受けて、政府では急ピッチで「改正」法案の作成作業が始まっているよ
うです。

 当初、政府・文部科学省は、実質的な審議を避けて連休前にも衆議院の文科
委員会で法人法案を通過させることを狙っていました。しかしその意図は、重
要法案として慎重な審議を求める国会内外の声に押されて頓挫し、連休以降に
も本格的な審議が続く見通しが確実となっています。
 こうした背景には、多くの大学教職員、公務労組、学生・院生自治団体が参
加した「3.27全大教国会要請行動」、同夜に開催された「教育基本法と国
立大学の法人化を考える集い」、衆議院本会議における各野党の追求、全大教
の提起に応えた16日の文科委員会傍聴活動への多数の参加、同日昼に行われた
国会請願デモ等々、全国から国会要請などに集中的に取り組んだ成果がありま
す。また、各大学においても、東大、一橋大、山形大など、法人法案に対して
教授会レベルでの批判的な決議が相次いでいることも、今の状況を後押しして
おり、重要な変化と言えます。

 法人法案の実態を広く国民に知らせるとともに、国会の場でも法案の本質を
突く議論が深められるならば、与野党の違いを越えて、法案反対の声が国会内
で急速に多数になる可能性は十分にあるのです。
 その可能性を現実のものとしていくには、この間に取り組まれた各地での様々
な運動を総括し、その経験を交流し、前進できる教訓を引き出し、「法案を廃
案に追い込める」見通しと方針を確立することが大事です。

 衆議院の文科委員会での審議は、4月23日の午後1時から、参考人を招致し
ての質疑が予定されています。連休後の5月7日には、2回目の参考人招致があ
り、その後も委員会審議が続いていく見込みです。
 そこで「交流連絡会」の事務局では、23日夕刻に、下記のように「国立大学
法人法案」の廃案を目指す活動、教育基本法「改正」に反対する運動を相互に
交流・討論する場を設けました。
 これからの運動のカギを握るのは、4月末から5月上旬における連休中の活動
となります。「この時期にどういう活動を進めるのか」、私たちは、当日の
「交流・討論の集い」における活発な議論を通じて、皆さんと一緒に、「勝利」
のために今後の方針を作り上げていこうと考えています。
 「交流連絡会」に加入されていない教職員組合の方々も含めて、幅広く参加
していただくよう、お願いいたします。
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[3] 国立大学法人法案に関する学長説明会(関東甲信越地区3.19 )(報告)
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030417gakutyousetumikai22.html
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「出席者:関東甲信越地区国立26 大学:学長及び事務局長等
                  文部科学省:工藤文部科学審議官の他7人

 司会者挨拶:石弘光 一橋大学長

国立大学法人法案は2 月28日に閣議決定された後、国会に上程された。国
大協では理事会を開き新たな対応について協議した。総会開催の声もあったが、
年度末のことでもあり全員集まるのは難しいので、ブロックごとに説明会を開
催し、文部科学省から説明していただくことになった。本日は3回目のブロッ
ク説明会である。」
 
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[4]『南日本新聞』4/16 田中弘允「地域社会と大学(上)独立行政法人化に思う」
 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030418tanak28.html
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「統制強化    創造性をゆがめ学問の衰退招く

  国立大学法人法案が国会で審議されている。わが国の高等教育政策の行方を
決める重大なときに当たり、法案の本質的な問題点を指摘したい。

  「国立大学は法人化によって自由が拡大する」と言われているが、これはと
んでもない誤解である。

  政府は、行政改革の柱である「官から民間へ」を実現するために、政府組織
を二つに分け、企画・立案機能を担う組織は政府に残し、実施機能を担う組織
を分離独立させて独立行政法人をつくった。企画・立案・実施の機能を一体と
して教育研究を行うべき国立大学に、このような独立行政法人制度を行革の力
によって無理やりに当てはめたことが、重大問題を発生させる元凶となったの
である。

  法案では、大学は法人格を与えられるが、企画・立案機能は取り上げられ、
単に実施機能を持つだけの組織となる。文部科学省は国立大に対し、六年間の
教育・研究等の目標・計画を指示、認可する。そして、六年後の成績評価と競
争原理による予算の配分、次期の目標・計画の指示、認可あるいは大学の改廃
までも取り仕切る。大学は教育・研究を命令によって実施しなければならない。
時の政府や官僚がすべての権限を握り、国立大学を直接統制することが、教育・
研究を発展させ、この国の未来を明るくするであろうか。

  欧米諸国では、この点についての深い配慮がなされている。まず「独立行政
法人」的手法を持っている大学はない。また大学に対する資金交付に当たって、
政府の干渉を抑制するため、さまざまな方策が講じられている。イギリスでは、
政府と各大学の間に緩衝機関が設けられている。その機関が資金配分を行うこ
とによって、政府への権限の集中化と政府から各大学への直接権限の行使を回
避している。こうすることが長い目で見て、国益につながることを考慮しての
ことである。

  わが国の憲法が「学問の自由」を保障し、教育基本法が「教育の不当な支配」
を排除しているのも同一の趣旨である。

  教育研究の現場から見ると、事の本質はさらに明らかになる。学生の能力を
伸ばし、創造的自己形成能力を養成するには、当の主体が問題に直面して、そ
の都度自由に問いや目標・計画を立て直し得ることが生命である。また、真理
の発見や学術的価値の創造には、ノーベル賞受賞者の経験談に示されているよ
うに、自由な発想、試行錯誤、偶然性などが大きな役割を果たす。

  独立行政法人制度は、上述の教育・研究に必須な精神の自由を教育・研究者
や学生に保障することは到底できないのである。したがって、本制度の下では
真の教育研究を行うことは不可能であり、もしそれが強要されるならば、教育
研究の本質はゆがめられ、学問は衰退を余儀なくされることは明らかである。
このことは、文相の当初の反対声明に的確に述べられている。

  時の公権力が学問を支配し得るような法律を作ってはならないのである。」

(前鹿児島大学長)たなか・ひろみつ氏
名瀬市出身。1959年鹿大医学部卒。80年から同学部第一内科教授、95年から医
学部長。97年から2期6年学長を務めた。専門は循環器内科。2002年4月まで文
科省「国立大学の独立行政法人化に関する調査検討会議」の協力者。
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[5] 豊島耕一「過去の教授会,学部長会議などの声明の「復活」を」
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030418zennkokunet25.html
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過去の教授会,学部長会議などの声明の「復活」を

               佐賀大学・全国ネット 豊島耕一
               toyo@cc.saga-u.ac.jp

      わたしはまた、死者たちが、大きな者も小さな者も、玉座の前に
      立っているのを見た。幾つかの書物が開かれたが、もう一つの書
      物も開かれた。それは命の書である。死者たちは、これらの書物
      に書かれていることに基づき、彼らの行いに応じて裁かれた。
                      (ヨハネの黙示録21章12節)

 いくつかの教授会などから,法案についての意見表明がなされていますが,
今こそまさににこれが必要な時なので,たいへん尊敬申し上げます.(もちろ
ん私も所属の教授会で努力しています.)そこで思い出されるのは,法案提出
以前に数多く出された「声明発表」という行為の首尾一貫性の問題です.

 今からほぼ4年ほど前がピークかと思われますが,いくつかの教授会や学部
長会議が,文部科学省の指導によるものではない反対決議を上げています.例
えば1999 年11月に国立大学理学部長会議声明「危うし! 日本の基礎科学- 国
立大学の独立行政法人化の行方を憂う -」は多くの人の記憶にあると思います.

 しかし,法案提出以前に出されたものはいわば「想定問答」であり,当時の
「xx報告」などの類の文書から将来を推定して,予防的な警告を出したもの
です.つまりそれらは,国会に法案が提出されたまさに今日のこの状況を「標
的」として出されているのです.そうであれば,それらの宣言者,決議者たち
は,本物の法案の存在を今目の前にして,何も言うことがないはずはあり得ま
せん.つまり,それらの「予言」が当たったのか外れたのか,明確に表明する
責任があると思われます.
 上に上げた理学部長会議声明は次のよう独法化を断罪しています.

	  「各独立法人は3年以上5年以内の期間についての「中期計画」を定
	  め,その計画の達成度を評価委員会が評価することになっています.
	  万一,このような短期間での成果を評価することで行政の効率化を
	  図ろうとする 通則法に従って,国立大学の独立行政法人化が行わ
	  れるようなことになれば,理学部及び関連大学院における教育・研
	  究は息の根を止められ,明治初年以来の営々たる努力の結果,よう
	  やく多くの分野で世界をリードするまでになった日本の基礎科学が
	  衰退するであろうことは,火を見るより明らかです.」

5年が6年になったから,あるいは名前が独立行政法人ではなくなったから問
題ないというのでしょうか.少なくとも現在の法案について何かコメントがあっ
てしかるべきでしょう.もし元々このような危険は実はなかったのだと言うの
であれば,いたずらに世間を騒がせたことを謝罪すべきでしょう.いずれにせ
よ今の段階での沈黙はだれにとっても理解困難です.

 実は,ささやかながら私の所属する学科でも,01年に反対声明を出してい
ますので,全く同じ事が言えます.そこで次の教室会議でこの問題を話し合う
予定になっています.もちろん同じ事は97年の文部大臣の声明にも当てはま
りますので,これは国会で本人を参考人招致するなど,是非とも「自己責任」
(?)を追及していただきたいと思います.

 理学部長会議の当時の当番校と現在の当番校をご存じの方は,ぜひ上の趣旨
で働きかけていただけないでしょうか.あるいは,知らせていただければ私の
方で働きかけて見たいと思います.

 話題が変わりますが,今日大学で進行している事態に関しては,最近大学の
カリキュラムにも取り上げられるようになった「科学技術者の倫理」という観
点からも光を当てることが必要だし,また可能だと思われます.

	  「情報を省略したり留保したりすることは,人を欺く行動のもう一
	  つのタイプである.ジェーンが,自分が進めているプロジェクトの
	  マイナス面についての情報を,意図的に上司に提出しない場合,嘘
	  をついているのではないとしても,重大な欺瞞を行っていることに
	  なる.」 (科学技術者の倫理,その考え方と事例.Charles
	  E. Harris, Jr. ほか,丸善,2002年,136ページ)

 この文章の後段は次のように読み替えることもできるのではないでしょうか.

	  「国立大学の教員が,政府が進めているプロジェクト(独法化)の
	  マイナス面に気付いているにも関わらず,意図的にそれついての情
	  報を国民や国会にに通報しない場合,嘘をついているのではないと
	  しても,重大な欺瞞を行っていることになる.」*

  また同じ本の別のページには次のような文章もあります.

   「集団思考
   2.外部者を反対側又は敵とみなし,他社を“共有定型化”しようとす
     る強い「我々感情」
   5.「波風を立てたくない」ことから生じる個々のメンバーが“自己検
     閲”をするようになる傾向
   6.集団のメンバーの沈黙を同意と解釈される“満場一致の幻影”」
      (同上,129ページ)
               引用者註 “ ”は傍点の代わり

   「会社という存在
    普通,会社と呼ばれる法人は,商法という法律に定められていて,会
   社名に「株式会社」の文字がある.
   ・・・・・・・・・
    こうして法律によって創作されたる虚構(fiction 擬制,架空)の存
   在である.われわれ自然人は,五感をそなえている.法人には五感はな
   く,したがって,モラルの意識もない.雪印食品の牛肉偽装のような事
   件が起きると,“企業倫理”の低下がいわれるが,企業体そのものには
   倫理はありえず,結局,企業の中で業務に携わる人の倫理である.“企
   業倫理”を強調することは,個人の倫理から目をそらすことにもなろう.
      ・・・・・・・」
    (大学講義 技術者の倫理入門,杉本泰治ほか,丸善,46ページ)

「会社という存在」はもちろん「学校という存在」,「学部という存在」に置
き換え可能です.

* もちろん,自分が重要だと思う要素の順に強調しなければなりません.これ
を偽って,重要度の低いものをことさら強調すれば,それも欺瞞の一形態にな
るでしょう.
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[6]全国ネットの公開質問状への朝日新聞から回答
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/docs/asahikaitou.html
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「国立大学独法化阻止全国ネットワーク事務局長 豊島耕一様

拝復

 指摘していただきありがとうございました。以下のとおりお答えします。

 (1)「各大学が評価委と話し合って、研究や教育、運営について6年間の
中期計 画を決める」について

 法案についてはご指摘のとおりです。
 文科相が中期目標を決定し、計画を認可することとなっていますが、その際
には評価委の意見をきかなければなりません。
 しかし、評価委の運用上のプロセスの中で大学側の目標や計画の中身が確定
していくことは十分考えられます。いまだに具体像がわからない評価委の重要
性を指摘する 意味でも、法案をそのまま表記するのではなく、評価委を中心
に置いた表現をとりました。

 (2)「中期目標、中期計画などへの懸念」  
 中期目標、中期計画の制度への懸念は依然としてあると考えています。解消
されたとは考えていません。

敬具

朝日新聞社論説委員室」
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#関連文書
○3/27 の朝日社説「国立大学法人ー自己責任の時代だ」
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030328asahi07.html
○豊島氏の批判書「審議入り前の法案をあらかじめ「承認」することがメディ
アの仕事だろうか?」
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/docs/asahi030327hihan.html
○公開質問状
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/docs/question.html
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[7] (お便り紹介)「富山医科薬科大学H.T.からの返答」
全文:http://ac-net.org/kd/03/418-ht.html
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1)独法化について

 独法化はあくまでも、国費削減が前提条件なので、大学の内部構造を変えず
に行けばおっしゃる通り確実に負担が増えます。とくに、現在も既にそうです
が、本学でも事務の方々は大変な状況のようです。真面目な人ほど苦労が多い
という公務員特有のジレンマに陥っています。公務員の最大の欠点はこれだと
思います。真面目にやればやるほど、負担が増える。かといって、不真面目で
も同じ給料がもらえる。これでは内部の人間がやる気がなくなるのも無理はあ
りません。
 私の知るところでは、確かにこれらに対する対応はなされていないと思いま
す。
 そういった意味で、独法化では、効率を追求した内部構造の改革、他大学と
の統廃合は切り離せないものと認識しています。ただ、本学でも問題となって
いますが、他大学との統合は非常に多くの問題を含んでいます。というのも、
やる気のない大学ほど主張をし、自己保守で自分たちの権利を守ろうとするか
らです。
(以下、見出しのみ)
2)日本社会の問題
3)学長選考会
4)教授と老人
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配信停止はno-kd をSubject欄に記して編集発行人へ.
  (停止まで2−3日かかる場合がありますがご容赦下さい)
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編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
国公立大学通信ログ:http://ac-net.org/kd
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