通信ログ

「文部官僚の意見が聞きたい」

鬼界彰夫(筑波大、現代語・現代文化学系)

「・・・毎回送られてくるメールマガジンを複雑な気持ちで、しかし興味を持っ てブラウズしています。 私が「複雑な気持ちで」いるというのは、私が新法案が示唆する大学の未来像 と国立大学の現実のどちらも嫌悪しているためであり、それに加え、本当に問 題なのは今後の100年間に日本の社会が(狭義での有用性を超えた意味で) 必要としている大学像とそれを実現・運営するアカデミック・マネッジメント のノウハウをどのように日本の大学に植えつけるか、ということなのに、いま なされている法案反対運動が結局は現実擁護運動、「正義」を騙った大学教員 の利権擁護運動にしかならないのではないかと思っているからです。 他方「興味を持って」というのは辻下さんの情熱により大学問題に関するある ネットワークができつつあるように思うからです。そうしたネットワークを通 じて私が切実に聞きたいと思うのは、(1)あるべき将来の日本の具体的大学 像にかんする各国立大学教員の意見、(2)それを実現するために必要だと各 教員が思うアカデミック・マネッジメントの具体的内容(たとえば、「トップ ダウン」を批判する人は、ボトムアップでいったいどのように何をするという のでしょうか、具体的に大学の運営がどんなものか考えたことがあるのでしょ うか)(3) (1)、(2)を実現するために国立大学教員は身の回りを見 回してみて(例えば、皆知ってる教員会議の現実を振り返ってみて)、いった い何をその場ですべきだと考えているのか、どんな犠牲を払うべきだと考えて いるのか、納税者に対するわれわれの責務は何だと考えているのか、です。そ してこうしたことを、その現実的実現性を含めて考えると、文部科学省、特に そこで大学政策を管理している官僚の人々と意見交換や話し合いや討論や批判 や喧嘩や協力、等なしには、何もできないことは明らかです。ですから同様の ことを彼らからも聞きたいと思います。できれば彼らと話し合い問い詰めあい たいと思っています。「若手」教官と「若手」官僚の討論の場がないって変だ と思いません?年寄り同士の談合ばかりじゃないですか。 現在のところ辻下さんが推進されている反対運動を私は応援するつもりも妨害 するつもりもありません。ただ上で述べたような意見や覚悟の相互伝達が今な されていることに何らかの形で組み込めるのなら、とてもうれしく思います。」