通信ログ
国公立大学通信 2003年4月24日(木)

--[kd 03-04-24 目次] -------------------------------------------------
[1] 衆議院文科委(4/23):赤池敏宏(東工大教授)参考人意見陳述TV
[2] 衆議院文科委(4/16)議事録
[3] 個人情報保護法の諸問題のページ(http://ac-net.org/kjh/)について(昨年)
[4] 個人情報保護法案拒否!共同アピールの会Webサイト> 反対の声抜書01.5.29
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◇ 昨日の文部科学委員会での参考人質疑をインターネットビデオで見ました。
赤池教授の陳述[1]に深く感動しました。大学社会の思いが熱く鋭く的確に国
会に伝えられたと感じました

◇ 国立大学レファレンダムで21,22日に投票された方は、申しわけありませんが、
来週に確認番号発行の操作も含めて再度ご投票をお願い致します。
(模擬投票期間:25日まで:http://ac-net.org/rfr/test/)

◇ 個人情報保護法案が明日4月25日に衆議院の特別委員会で可決される予
定です。この法案も、国立大学法人法案とは別の意味で、日本の将来に暗い影
を落すもの[3]です。多くの著名人の反対の声[4]で一度は廃案になりましたが、
ほとんど実質的変更のない「新法案」が再提出され、短期間に可決されそうな
情勢です。マスメディアの大半が、規制から外された途端に沈黙したのは余り
に露骨で情けない、という印象があります。大学における研究活動も、マスメ
ディアと同様にこの規制から外されていますが、だからと言って大学セクタが
完全に沈黙したままで良いということにはなりません。個人やNPOの情報発
信は今後は厳しく規制されていくでしょう。個人情報保護法案に懸念を持つか
たは、お知り合いの議員に本日中に電話して、注意を促すよう、呼びかけたい
と思います。(編集人)

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[1] 衆議院文科委(4/23):赤池敏宏(東工大教授)参考人意見陳述TV
http://ac-net.org/dgh/03/423-akaike.ram (realplayer broadband)
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他の形式
衆議院TV(http://www.shugiintv.go.jp/top_frame.cfm)
> ビデオライブラリー > カレンダーで4月23日を選択
> 文部科学委員会の「参照」を選択)
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[2] 衆議院文部科学委員会(4/16)議事録
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009615620030416009.htm
(目次:http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/0096_f.htm)
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[3] 個人情報保護法の諸問題のページ(http://ac-net.org/kjh/)について
http://ac-net.org/kjh/about.html, 2002.4
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「「個人情報保護法」問題は、一見すると「個人情報を保護する法律は当然必要
でしょう、何が問題なのですか」と思わせる見かけを作っているため、国民的議
論が湧きにくい厄介な問題です。

プライベートな情報を多量に保持する者は、多くの人に力を及ぼす潜在力を持ち
ます。個人情報保護法の当初の意図は、改正住民基本台帳法成立により間も無く
実現する予定の全国民の個人情報電子データベースに潜在する社会統制の可能性
を制御することにありました。

しかし、法案は当初の目的を失念していることに懸念を覚えます。種々の個人情
報漏洩事件をきっかけに、法人や個人による多量個人情報の利用を規制すること
に重点が移ってしまいました。また、「個人情報」という言葉の多義性を利用し、
公人の公的行動に関する個人情報の隠蔽を容易にしたり、あるいは、インターネッ
ト上の言論活動を広汎に規制する可能性も準備されています。

私は国立大学教員として国立大学の独立行政法人化問題に関心を持っていますが、
政府公報を超えてこの問題を掘り下げて扱う報道がほとんどないことに危惧を覚
え、インターネットを通して独立行政法人化は大学を政府の強い統制下に置くこ
と、それは「学問の自由」を「箸の上げ下ろしの自由」に退化させ、学術研究の
多様性衰退による弱体化をもたらすと共に、大学のもつ批判力を奪うことを訴え
てきました。残念ながら、インターネットによる情報流布力はマスメディアと比
較して無に近い現段階では、独立行政法人化政策の危険性を日本社会は理解する
までに到っていません。

政府に容易に統制される既存マスメディアと異り、インターネットは人類が経験
したことのない種類の自由なマスメディアに成長する可能性を秘めています。そ
の芽を摘むような動きは人類の進歩を阻むだけでなく、ITに基づく徹底した統
制社会へ人類を導くものです。そのような危険な動きの具体化を注視することを
目的としたページです。

憲法が保障する種々の自由が、社会・経済の混乱を理由に、なし崩し的に縮小さ
れつつある今、憲法第12条は「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国
民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」と呼びかけています。

第21条「言論の自由」が個人情報保護法案で法的に規制され、第23条「学問
の自由」は国立大学の独立行政法人化により法的に規制されようとしていますが、
政治的煙幕が巧妙に張られているために、問題点を認識し危機性を警告できる者
は当事者に限られています。そのため「既得権を守ろうとしているのではないか」
という風に見えてしまうことが、今の日本の危機的様相と言えるでしょう。

また、国立大学独立行政法人化問題では、大手の国立大学は資金面で得する所も
あるためか「学問の自由」喪失への反対の声もほとんど聞こえないように、個人
情報保護法案問題でも、大手のマスメディアは規制対象外に置かれて安心し「言
論の自由」への脅威を警告する声も呟きのようです。このような低レベルの政治
的操作を受けいれてしまうこと自身、アカデミズムとジャーナリズムの衰退を如
実に物語るものです。

願わくば、「学問の自由」と「言論の自由」が直面している未曾有の危機が、ア
カデミズムとジャーナリズムの覚醒と復興をもたらさんことを。」(2002.4)
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[4]個人情報保護法案拒否!共同アピールの会Webサイト> 反対の声抜書2001.5.29
http://www.interq.or.jp/japan/s9d/
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青木雄二(漫画家) 
「・・・「個人情報保護法案」は過去の暗い歴史に逆戻りする危険性を多分に
含んでおり断乎反対しなければなりません。」

有田芳生(ジャーナリスト) 
「・・・ジョージ・オーエルが書いた『1984年』の世界は、いま私たちの
ん眼前に訪れつつあるのではないか。」

井上ひさし(作家)
「・・・最近、この国に、あったことをなかったことにする、なかったことを
あったことにするという、大きな黒い意思が流れている。・・・」

大谷昭宏(ジャーナリスト) 
「・・・なぜ、私たちはそんな不自由な国に逆戻りする道を選ぶのか。なにゆ
えに、子供たちに、孫にそんな息苦しい社会を残すのか。・・・」

桂 敬一(東京情報大学総合情報学部・教授)
「・・・いま日本では、これらの法制度や規制の仕組みが、名前こそ先進国の
それらと同じ表現をとるものの、実質は、学者の無節操、マスコミの不勉強、
国民の市民性の欠如に乗じた狡猾な行政によって、政府の権限の無際限な肥大
化を許す法制度として、なにごとも政府の有権解釈に委ねられる国家規制シス
テム―「良民」をお上にすがらせるシステムとして、実現されようとしている。・・・」

最相葉月(作家) 
「・・・蓋をあけてみると、いつのまにか言論封殺の手段にもなりかねない悪
法へと変貌している。目的と結果がこれほど乖離した法案があるだろうか。・・・」

齋藤貴男(ジャーナリスト) 
「この法案の内容が審(つまび)らかになってからというもの、ふと立ちつく
してしまうことが幾度もあった。仕事をしている時。家族や友人と談笑してい
る時。こんな自由な時間は、もう永遠に失われるのではないかという恐怖に囚
われるのである。・・・」

崔洋一(映画監督)
 「・・・現状がグラついたら新しい法律を作って(権力にとって)余分なも
の、つまり、決して味方でないもの、もしくはそういう方向にやがて変質する
であろうものに網をかけてくる……それがこの法案だろ?・・・」
 
澤地久枝(作家)
「・・・ただ、この言論の自由は天から降ってきたわけではない。守らなけれ
ば奪われる。それを知っておく必要があると思うのです。・・・」

芹沢俊介(評論家) 
「・・・「個人情報保護法案」のようなものが出されることに気持ちの悪さを
感じます。そしてこういう法案が提出される背景に何があるのかが気になりま
す。・・・」

田島泰彦(上智大学教授) 
「・・・「自分たちも免除の仲間に入れろ」などと権力におこぼれを求めるの
は止めて、こんな悪法を断じてつくらせないために全力を注ぐことが求められ
ていると思う。・・・」

武田徹(ジャーナリスト・評論家) 
「あらかじめ悪かったものが更に悪い方向に変わる――、そう感じる。個人情
報漏洩で社会に被害を与える可能性が最も高いのは警察や自治体だ。が、法案
はそれらを相手取らずむしろ報道を縛ろうとした。・・・」

永江朗(フリーライター) 
「・・・「個人情報保護法案」のなにがいやかって、それがとことん甘い言葉
でできていることである。・・・」

久田恵(ノンフィクション作家)
「この法案を耳にした時、自分の人生を否定されたようないいようもない怒り
を覚えた。・・・」

日名子暁(ルポライター) 
「・・・「個人情報保護法案」が成立すれば、まず、このケースのような弱い
組織、個人が“見せしめ”のために逮捕される。それは私でもあり、あなたで
ある。・・・」

福田文昭(カメラマン) 
「・・・「取材相手の許可なしには情報収集もできなければ、書くことも許さ
れない」と法案には高らかに。一切の一切の批判は許さないぞとすごんでいる。
権力者から満面の笑みがもれる。完璧だ。ぱちぱち。・・・」

宮崎哲弥(評論家) 
「・・・悪知恵だけはよく回り、国民の「良識」を信じない一部の為政者、法
吏はこいつに目をつけた。奴等は「個人情報保護」を謳う法律の中に、マスコ
ミ報道を縛る内容を密かに滑り込ませたのだ。・・・」

宮台真司(経済アナリスト)
「・・・破防法と同じく“抜かずの宝刀”的な形で多くの人間を威嚇するため
に使われる可能性が高いんですが、非常に強力な法律です。・・・」

森永卓郎(経済アナリスト)
「・・・苦しいときには皆、強いリーダーを求める。しかし、その強いリーダー
が必ず行うのは厳しい言論統制、思想統制なのだ。・・・」

安田好弘(弁護士)
「・・・私もいろいろと法律を見る機会があるわけですが、これほど乱暴で、
杜撰で曖昧で、しかし国家意思や政策目的がはっきりしている法律はない。極
めて高度かつ確信的な意図によるものだろうと私は思います。・・・」

吉岡 忍(ノンフィクション作家)
「・・・権利の主体としての人間の側面をそぎ落とし、責任と義務ばかりの檻
に閉じこめる個人情報保護法案に、だから私は反対する。・・・」

吉田司(ノンフィクション作家) 
「・・・この法案がもつ“治安維持法”的本質を国民の前に明らかにし、バブ
ルをバブルとして葬り去らねばならないと思う。・・・」
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配信停止はno-kd をSubject欄に記して編集発行人へ.
  (停止まで2−3日かかる場合がありますがご容赦下さい)
編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
国公立大学通信ログ:http://ac-net.org/kd