通信ログ

国公立大学通信 2003年4月26日(土)

--[kd 03-04-26 目次] -------------------------------------------------
[0] 文部科学委員会4/16議事録より山口つよし議員の質疑(前半)
[1] 国会情勢速報 No.10(2003.4.25)
[2]「違法・脱法行為による国立大学法人化強行の検討を開始した文部科学省」
[3] 議員への「国会議員と大学教職員による討論の集い」への参加呼びかけ
[4] 時事4/24 公立大など独立行政法人に=04年度施行、政府が法案
[5] 朝日4/24 [東大・阪大の名門研究所に組織見直しで「注文」 文科省」
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[0] 文部科学委員会4/16議事録より、山口つよし議員の質疑抜粋
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009615620030416009.htm
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「○山口(壯)委員 おはようございます。山口壯です。

 先日の三日の本会議で、国立大学法人法案、いろいろ議論させていただいた
わけですけれども、きょうは、前回もそうでしたけれども、大臣と、役人を交
えずにきちっとした議論がしたいと思いましたので、政府参考人の登録なしで
お願いさせていただきました。私は重箱をつつくような質問は一切しませんか
ら、この法案を出された大臣として当然お答えいただきたい事柄、そういうこ
とについてのみお聞きしますから、よろしくお願いします。また、きょうは第
一回目ですから、いろいろとこれから続いていく質問の中でまずお聞きしたい
こと、そういうことも含めて、長丁場の議論のまず第一歩をしるさせていただ
ければと思いますので、よろしくお願いします。

 今回の法案が国家百年の計を誤りかねない悪法であると私は本会議で申し上
げました。そして、いろいろなポイントがありますけれども、特に、中期目標
あるいは評価、そしてそれが予算配分に直結されるというシステム、そのこと
により憲法二十三条の学問の自由あるいは大学の自治が侵されかねない、そう
いうようなポイントも言わせていただきました。そして、評価については実際
問題難しい話があるはずだと。

 それから、産学連携、非常に大事なことで、私もここで何度か聞かせていた
だきました。そして、そのことについて文部科学省のしりもたたかせていただ
いたつもりです。他方、バランスというものがありますから、もうかる研究の
みに重点が当たり過ぎないように、そういうことを我々は考えていかなきゃい
けないと思うんです。

 法律というのは立法者の意図を超えて動きかねないものです。したがって、
我々がどう考えるかということであると同時に、二十年後、三十年後、四十年
後に、この法案が法律となった場合にはどういう悪影響があり得るかというこ
とも、我々はすべての可能性を考慮して議論しなきゃいけないと思うものです
から、そういう観点からいろいろときょうは聞かせていただきます。

 最初に、この法案が提出された、いろいろな経緯はあるでしょう。でも、私
は本会議でも言わせていただいたとおり、限られた予算の中で国立大学の教員
の人たちは頑張っておられるという現実もまたあるわけですね。そうした場合
に、その教員の人たちからしてみれば、おれたちはこれだけ限られた予算の中
で頑張っているじゃないか、一体何が不満なんだという気持ちも多分持ってお
られるんじゃないかなという気もします。・・・」

  ・・・・・・

「○山口(壯)委員 大学人みずからがそれぞれいろいろ問題点を抱えているこ
とも議論されているということを今おっしゃいましたね。そして、今回の法案
の目的が、今の制約を打破していくためだ、束縛から解放していくためだ、こ
ういうことが一つの大きな目的であるということをおっしゃいました。しかし、
この法案はむしろ逆ですよ。束縛から解放するんじゃない。さらに束縛を強め
ようとしていることになっていますね。それは、文部科学省の意図がどうあれ、
この法案をきっちり読めばそういうふうになってしまっている。・・・」
 
 ・・・・・・

「○山口(壯)委員 今言っておられることと、それから今回の法案が実質上
果たそうとする機能との間には極めて大きな隔たりがありますね。

 例えば、今回の法案の第三章「中期目標等」と定めてあるところの、これは
第三十条三項、「その他業務運営に関する重要事項」というところで、「文部
科学大臣は、中期目標を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじ
め、国立大学法人等の意見を聴き、当該意見に配慮するとともに、」この「配
慮」というのが、昔は尊重だったんじゃないですか。尊重が配慮になっている
ということ、まさにその一つをとってみても、文部科学省の、配慮で済まそう、
尊重にしなくてもいい、こういう気持ちがしっかり出てしまっている。

 これは大きなポイントです。文部科学大臣、さっきおっしゃったこととはか
なりの隔たりがあると思います。答弁をお願いします。

○遠山国務大臣 法文の中で配慮という文言を用いましたのは、これは最大限
配慮ということでございまして、先般、十四年の三月に出されました調査検討
会議の報告書の中におきましても、中期目標、中期計画の作成手続については、
文部科学大臣としては、あらかじめ各大学が原案を提出するとともに、この原
案を十分に尊重する、また、大学の教育研究等の特性に配慮して定める。そし
て、そうした基本的なスキームというものを担保するために、「例えば、」と
いうことで挙げられております中に「文部科学大臣に対する大学の意見への配
慮義務」というものが書かれているわけでございます。配慮をするということ
は、尊重をし、そしてそれを実質化するための一つの具体的なスタンスという
ものを担保する、そのための用語であるわけでございまして、まさに、ここで
書かれているところの「大学の意見への配慮」というのは、そういう意味を持っ
ているわけでございます。

 法文として配慮という文言を用いたのは、まさに尊重するということの担保
のために配慮という用語を用いて法文化したところであります。

○山口(壯)委員 それでは、尊重というふうに修正された方がいいんじゃな
いでしょうか。

○遠山国務大臣 配慮するというのは、あらかじめ各大学が自主的に作成をし
た中期目標の原案の趣旨あるいは内容を十分に踏まえて、可能な限りそれが中
期目標に反映されるべきことを示したものでございまして、私は適正な法文上
の用語であると考えます。

○山口(壯)委員 答えになっていないです。尊重ということをおっしゃるん
なら、尊重と書けばいいわけです。なぜそれを配慮と変えなければいけないか。
今のは答えになっていない。今ここにおられるたくさんの方々も同じことを思っ
ておられると思う。法案をよく読めばそのことがわかるわけです。もしもわか
らない方がおられるんなら、読んでいないんでしょう。現実に、さっきおっ
しゃったけれども、例えば最初は大学が自主的に作成するというふうになって
いたわけですね。それがいつの間にか文部科学省が定めるになってしまってい
る。・・・」
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[1] 国会情勢速報 No.10(2003.4.25)
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/webkokaiijouhou10.html
独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局/独立行政法人問題千葉大学情報
分析センター事務局:共同編集
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「5月7日衆議院文科委員会の参考人4氏決まる

5月7日午後1時より開かれる衆議院文科委員会では第2回目の参考人質疑が
行われます。

参考人の意見陳述(13:00から各15分,計60分)

山野井昭雄 氏(味の素・技術特別顧問)
田中弘允 氏(前鹿児島大学長)
牟田泰三 氏(広島大学長)
山岸駿介 氏(教育ジャーナリスト)

参考人に対する質疑(14:00から各会派15分,計1時間45分)

 森岡正宏(自民),牧野聖修(民主),斉藤鉄夫(公明),
 佐藤公治(自由),石井郁子(共産),山内恵子(社民),未定(保守)

5月7日は「国立大学等の法人化反対連絡会」主催の国会デモ、傍聴・要請行動があ
ります。」

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[2]「違法・脱法行為による国立大学法人化強行の検討を開始した文部科学省」
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030425ihoukoui-syut.html
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                                                 2003年4月24日
                              独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局

「現在、衆議院文科委員会において国立大学法人法案の審議がなされているが、
文科省は違法・脱法行為による国立大学法人化強行の準備と検討を開始した。

1.文科省は4月18日、末尾添付資料のような平成16年度概算要求に関わる
事務連絡を各国立大学などに行った。ここでは、国立大学法人法に基づく平成1
6年度概算要求準備の第一歩として概算要求参考資料(基礎額等調)の提出が5
月30日厳守という形で各国立大学に要求されている。この資料の目的は各大学
毎の自己収入や基礎的な運営費の把握であるとされ、概算要求基礎員数調、収入
見込額調、支出見込額調のための膨大な書類が送付されているのである。文科省
は、この資料提供要求に引き続いて、以下のようなスケジュールで概算要求を行
おうとしている。国立大学法人法案が国会で審議中であるにもかかわらず、同法
に基づく概算要求システムの始動は、国会の立法権に対する侵害である。このよ
うな憲法に違反する行為は断じて許されない。

・・・・・・

【資料】概算要求に関する4.18文科省文書

事務連絡
平成15年4月18日

各国立大学事務局(部)長
各大学共同利用機関管理局(部)長  殿
(宇宙科学研究所長及びメディア教育開発センターを除く)

					 文部科学省
					 大臣官房会計課予算班
					 高等教育局大学課
					 研究振興局学術機関課

平成16年度概算要求参考資料(基礎額等調)について(照会)
				   
このことについて、事務処理上必要としますので、下記に基づき提出をお願いし
ます。

記

1.提出期限  平成15年5月30日

2.提出部数  1部

3.提出方法  各葉の右上方に大学名等を記入し、仮綴りにして提出すること。な
お、該当がない様式についても、「該当なし」として提出すること。

4.その他
(1)各種新規要求については、別途通知する「概算要求参考資料(特殊要因等調)
にて提出をお願いする予定である。
(2)今後において、当該調書の一部が変更又は追加されることがある。
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[3] 「国会議員と大学教職員による討論の集い5/7」への参加呼びかけ
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030425touronsyuukai.ht
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#(議員への呼びかけ)

                                                         2003年4月24日
                              独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局

 ご存じのように、現在開かれている国会ではさまざまな重要法案が提出され、
審議がすすんでいます。その中で、マスコミなどで取り上げられる機会は多く
はありませんが、「国立大学法人法案」という重要な法案が4月半ばから衆議
院の文部科学委員会で本格的な審議に入っています。

 この「国立大学法人法案」は、現在のように、国立大学を国が直接設置する
ことをやめ、そのかわりに国立大学法人が大学を設置する間接方式へと変更す
るものです。ご承知にように、その国立大学法人という組織の枠組みを決めて
いるのは「独立行政法人通則法」という法律です。

○国立大学は特殊法人でしょうか

 この「独立行政法人」という制度は、もともとは行財政改革の流れの中から
生まれた制度です。また、最近では特殊法人を改革する手段としても活用され
ようとしています。しかし、国立大学の改革を他の行政組織と同様に、また
「特殊法人」と同様の手法で行うことには、相当の無理があるのではないでしょ
うか。

 例えば、『週刊新潮』の4月24日号で中西輝政京都大学教授が、「文科省は
大学と日本道路公団を同列視している」と憤り、「教育、研究に全く思いを致
さないで、独法化で改革のアリバイ作りをしているのです。」と述べておられ
ます。同じ号で、岩手県立大学学長(元東北大学長)の西沢潤一氏は、「文科省
は確実に大学の自治を取り上げ、予算も握るわけです。儲からない研究はダメ
だという姿勢では、基礎学問がなくなります。」と書かれています。

 また、加藤寛千葉商科大学長も遠山プランについて、かつて「なぜ、文科省
は、こんな筋違いな政策を掲げるのか。教育改革はあせってはいけない。確実
に大学改革は進み、大学間統廃合ももう目前である。そこにはひとりでに充実
した大学のみが残っていくのであり、国がそれを主導するなどという明治政府
のような過ちをおかしてほしくない。 国が介人すれば必ず教育は崩壊し研究
水準は落ちていく。」(『日本経済新聞』2001年9月8日)と述べられ、この改革
は小泉改革にも逆行している、としておられます。

○法人化には莫大な費用がかかります

 一方、本来の行財政改革の観点からみても、「法人化」には移行のための莫
大な費用がかかります。資産評価のための費用や各種保険料の負担、新たな会
計システムの導入や会計監査のための費用などが発生します。

 また、労働安全衛生法を適用することになり、作業危険性のある化学、機械、
電気、土木・建築、医学、生物、薬学、農学など理系のほぼ全ての分野に関連
することになります。特に化学関係の分野はもとより、化学薬品を取り扱う生
命・生物、医学、農学、電気などの分野で多くの問題に対処しなければならな
いことが想定されます。日本化学会(野依良治会長)は、昨年、組織の整備と予
算措置が必要であるとの提言を行っています。

 現在のところこうした財政的な負担は、大学の教育研究のための費用を犠牲
にしてまかなわなければならないと言われています。これに加え、移行のため
の準備作業によって大学本来の教育研究が大幅に停滞することも、教育と研究
の現場では深刻に懸念されております。

○大学問題は法人化によらず解決可能です

 各方面から指摘されるとおり、現在の大学には教育や研究を遂行する上でい
ろいろな問題・早急に解決されるべき問題があることは、私たちも日々大学の
現場で痛感しています。しかし、そうした問題の多くは、「法人化」という制
度の改革や一律の組織変更によらなくても解決できる部分が多々ある、---こ
れは私たちが実感するところでもあります。

 東京大学の小間前副学長は、昨年末に行われた東大の運営諮問会議において、
「現在の国立大学の枠組みがもうあと10年続けば、日本の国立大学はいくつも
の分野で1 位、2位に上がるようなアクティビティーがあったにもかかわらず、
国の方針で法人化ということになった」と述べています。(『学内広報』
No.1261)実際、ここ10年間の実績で物理学では東大が、材料科学で東北大が
世界一位になったと報じられています(『日本経済新聞』4月8日)。

○教育は「国家百年の計」です

 いま、国立大学の教職員は、「2004年度から法人化スタート」という文部科
学省の要請の中で、大きな不安と先行きの不透明感を抱えながら、数次にわた
る中期目標・中期計画の策定や 承継物品目録の作成など、さまざまな準備作
業に追われています。その中で見えてくることは、この「法人化」はひとり国
立大学だけの問題ではなく、日本の大学全体、高等教育全体に関わる事柄であ
り、「国家百年の計」といわれる教育問題であるということです。

 こうした私たち大学教職員の思いを、国会で審議中の「国立大学法人法案」
のあり方を出発点としながら、ぜひ国会議員の方々を交えて話し合いたいと考
えています。「国立大学法人法案」に賛成であっても、反対であっても、一国
の高等教育や学問研究の将来は、経済への貢献や運営の効率性などとはひとま
ず独立して幅広く検討されるべきではないでしょうか。

○国立大学の改革は全会一致で行われるべきです

 また国立大学の改革の問題が「国家百年の計」にかかわる問題であるなら、
本来、法案への賛成・反対が二分している状況はけっして望ましいものではあ
りません。大学改革は、与野党のすべての議員の方々や国民から支持されるも
のであるべきだと考えます。

 法案審議の現場におられる衆議院文部科学委員会および参議院文教・科学委
員会の議員の方々、また日本の高等教育、大学政策に関心をお持ちの議員の方々
など、多くの国会議員の方々からのご参加を、心よりお待ち申し上げておりま
す。

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[4] 時事通信4.24 公立大など独立行政法人に=04年度施行、政府が法案
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030425jiji59.html
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「政府は24日、地方自治体が公立大学や公立病院などを独立行政法人化する
際の手続きを定めた地方独立行政法人法案を内定した。25日に閣議決定し、
今国会に提出する。成立すれば2004年4月1日から施行される。

 民間の経営手法を導入することで、効率的な行政サービスの提供と地方行革
を進めるのが狙い。独立行政法人化できるのは(1)農業試験場など試験研究機
関(2)公立大学(3)水道、バス、病院など公営企業(4)特別養護老人ホーム、保
育所など社会福祉事業−などの組織・業務。」

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[5] 朝日4/24 [東大・阪大の名門研究所に組織見直しで「注文」 文科省」
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030425asahi58.html
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配信停止はno-kd をSubject欄に記して編集発行人へ.
  (停止まで2−3日かかる場合がありますがご容赦下さい)
編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
国公立大学通信ログ:http://ac-net.org/kd


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