通信ログ
国公立大学通信抄 2003.05.23(金)
全文:http://ac-net.org/kd/03/523.html
--[kd 03-05-23 目次]--------------------------------------------
[1] 共同通信5/22 国立大法人化法が衆院通過 23日、参院で審議入り
[1-1] 衆議院本会議での討論と可決の録画
[2] 蓮實重彦氏からの回答
[3] 6/6 国立大学の法人化を考える夕べ
[4] 全国ネット/佐賀大学の豊島: 請願署名提出報告
[5] 共同通信と読売新聞への申し入れ
[6] 朝日5/21「大学研究費、改革で賛否 総合科学技術会議vs文科省 」
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[1] 共同通信5/22 国立大法人化法が衆院通過 23日、参院で審議入り
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030522kyoudou.html
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「衆院は22日午後の本会議で、国立大を国の直轄から独立した法人にする国
立大法人化法案など関連6法案を与党3党などの賛成多数で可決した。参院に
送付され、23日の本会議で趣旨説明と質疑が行われて審議入りする見通し。
法案で国立大は、従来の教授会を中心とした運営を大きく転換。運営方針は
「経営協議会」、教育、研究面は「教育研究評議会」で決めるなど、いずれも
学長が議長を務める組織を大学の中心におき、トップダウン型を目指す。
大学法人は予算の使途や学部・学科の設置、カリキュラム編成などで自主性
が向上する。文部科学相は6年間に大学が研究、教育面などで達成すべき中期
目標を策定。文科省に設置する第三者機関の評価委員会が業績を評価し、交付
金配分に反映させる。
55の国立高等専門学校は、一つの独立行政法人に移行する。」
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[1-1] 衆議院本会議での討論と可決の録画
http://www.shugiintv.go.jp/ref.cfm?deli_id=20766&media_type=rb
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[2] 蓮實重彦氏からの回答
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#(許可を得て転載します。)
Date: Thu, 22 May 2003 11:47:33 +0900
辻下徹様
速達での「公開書簡」を頂戴しました。国大協現会長副会長の少なくとのお二
人が私にとってのかつての国大協「執行部」(言葉は適切ではありませんがお
手紙に従います)での「同僚」であるかぎり、私はいまなお「自由な立場」に
あるとは認識しておりません。従って頂戴した「書簡」に対しては「ノーコメ
ント」と解答させていただきます。
Shiguehiko Hasumi 蓮實重彦」
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[3] 6/6 国立大学の法人化を考える夕べ
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/030522-66yuube.htm
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「国立大学法人法案が、国会審議の山場を迎えています。国立大学が国家の強
い統制下におかれることに強い危機感を持った多くの人々の反対の声が結集し
ています。今ひとたび法人化反対の声をあげていきましょう。
と同時に、私たちは、大学とは何か、大学はいかなる役割を果たすべきが、
大学の運営はいかなるものであるべきか、大学の公共性とは何を意味するのか
等を、点検し、改革していく姿勢を明示しなければなりません。国立大学の現
状に対する批判のいくつかは的を射たものであり、私たちは安閑として現状維
持を求めているのではないということを示す必要があるからです。その作業に
よって、国立大学法人法案の問題点もいっそう明白になるでしょう。
そこで、下記のように「国立大学の法人化を考える夕べ」を持ち、パネルディ
スカッション形式で国立大学のあるべき姿を論じつつ、国立大学の法人化の意
味を幅広いパースペクティブから多面的に検討したいと思います。多くの方々
の参加を期待します。
国立大学の法人化を考える夕べ
日時:2003年6月6日(金) 午後6時−9時
場所:東京大学安田大講堂
http://www.u-tokyo.ac.jp/jpn/campus/map/map01/e33-j.html
集会内容:
第1部 パネルディスカッション
○ 大学の果たす使命と法人化
○ 大学の公共性と法人化
○ 大学の運営と法人化
○ 国民の教育権と法人化
○ 日本の高等教育・学術研究に与える法人化の意味
第2部 報告と討論
○ 国立大学法人法案をめぐる運動の報告
○ 今後の大学改革の課題 (討論)
主催:東京大学教員有志
共催:アピールの会、意見広告の会、レファレンダム準備会、首都圏ネットワー
ク事務局
賛同:教職員交流連絡会、独法化阻止全国ネット
【連絡先】renrakukai@u.email.ne.jp
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[4] 全国ネット/佐賀大学の豊島: 請願署名提出報告
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030522zenkokusyomei.html
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「去る5月16日に,独法化阻止全国ネットで集めた5,050筆の署名を参議
院議長に提出しました.三分割して次の三人の方に紹介議員になっていただき
ました.
西岡武夫氏 (自由党,参議院文教科学委員,元文部大臣)
福島瑞穂氏 (社会民主党,全国ネット賛同人)
畑野君枝氏 (日本共産党,参議院文教科学委員)
署名いただいた方,ご協力いただいた方,どうもありがとうございました.請
願署名の文章は次にあります.
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/shomei.html
また,参議院文教科学委員のリストを次に作りました.ファクス番号,メール
アドレス,ウェブサイトなとも入れています.
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/kokkai/san-inbunkyo.html
欧文はこちらです.
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/kokkai/san-in-bunkyoE.html
大学の行法化とは独裁国家並みの「大学」に変えるということです.オックス
フォード大学ゴンブリッチ教授のメッセージ*にあるように,わが国がおそろ
しく「品格を落とす」(demeaned)のかどうかがかかっています.滝川事件な
どの戦前の大学弾圧が社会全体の大災害につながったことを想起しましょう.
「まさかそんなことは」という考えに確かな根拠があるでしょうか.「有事法」
という名前の戦時動員法が国会にかかっているではありませんか.
「あれをやっておけばよかった」ということがないよう,あらゆる想像力を働
かせて,すべての可能性を追求しましょう.
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/gombrich.html
同教授の最新メッセージ
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/news/Gombrich2.html
840-8502 佐賀市本庄町1
佐賀大学理工学部 豊島耕一
toyo@cc.saga-u.ac.jp
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp
職場電話/ファクス 0952-28-8845
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[5] 共同通信と読売新聞への申し入れ
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030522kyoudoumousiire.html
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共同通信5月16日ニュース速報
「国立大法人化法案,成立の見通し 教職員12万人非公務員に(5/17)」
の記事について
共同通信御中
国立大学独法化阻止全国ネットワーク事務局長
豊島耕一(佐賀大学教授)
佐賀大学理工学部物理科学科
840-8507 佐賀市本庄町1
職場電話/ファクス 0952-28-8845
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet.html
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet.html
toyo@cc.saga-u.ac.jp
拝啓
前略ごめんください.
貴社の5月16日のニュース速報「国立大法人化法案,成立の見通し 教職員1
2万人非公務員に(5/17)」の記事について,黙過できない点がありますので,
訂正をお願いします.
タイトルの「成立の見通し」との表現には大変問題があります.法案が衆議院
の委員会を通っただけでこのような表現をすることは,参議院の存在を無視す
るものではないでしょうか.つまり国会無視とも言わざるを得ません.ぜひと
も訂正記事の配信をお願いします.
なお,国立大学の「法人化」に関してましは,その内容について当事者である
大学関係者や野党からの異論もあり,衆議院の委員会でも多くの議論が行われ
ました.そして法人への移行の時点で違法状態が出現する恐れなど新しい問題
も明らかにされ,これらは参院での審議に引き継がれるはずです.しかしこれ
らは大手メディアでは全くと言っていいほど報道されていません.標記記事で
も,野党の意見はわずか27文字で全体の3.5%に過ぎません.これは報道
における公正さを軽視するものではないでしょうか.冒頭の国会無視の表現の
訂正と併せ,貴社の国会報道の姿勢について是非とも自己点検をお願いしたい
と思います.
最後に国会報道のありかたについて要望を申し上げます.わが国の国会は「委
員会主義」であると言われるように,実質的な討論は本会議ではなく各委員会
で行われます.したがって,委員会での討論内容を(今回のように議決した後
ではなくその途中を)報道しない限り,国会「審議」の報道はないに等しいと
言わざるを得ません.参議院の審議に際しては,これが改善されることを要望
いたします.敬具
2003年5月22日
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5月18日の記事「国立大授業料,法人化後もほぼ現行水準」について
読売新聞社御中
国立大学独法化阻止全国ネットワーク事務局長
豊島耕一(佐賀大学教授)
佐賀大学理工学部物理科学科
拝啓
前略ごめんください.
貴紙の5月18日の記事,「国立大授業料,法人化後もほぼ現行水準」について,
訂正ないし補正の記事の掲載を願いします.あわせて,国立大学の独法化問題
についての国会審議を無視せず,その内容について報道して頂くようお願いし
ます.
記事中の「来春から法人化する国立大学」との表現は,法人化が既定の事実で
あるかのような予断を読者に与えるものです.いうまでもなく,国立大学の
「法人化」は現在国会で審議中です.したがって国会無視の表現とも言え,も
ちろん事態の正確な報道という使命からも外れたものと言わざるをえません.
したがって,これを訂正又は補正するための記事の掲載をお願いします.
また,「大学運営の自主性を拡大する法人化の趣旨」という表現がありますが,
これは政府側の考え方を繰り返しただけのものです.大学関係者の多くが,ま
た国会でのすべての野党の討論が,当該案では大学の自主性が縮小される事態
が予測されることを指摘しているのです.この点は訂正要求というわけではあ
りませんが,明らかに一方的な言説と言わざるを得ず,公正さという点で問題
があると思います.「文部科学省の言い方に依れば」などの接頭語を付ければ,
この問題は解消するかも知れません.
以上,二つの表現について誤りと不公正さについて指摘いたしましたが,同時
に,この問題での国会審議の報道が皆無に等しいことも申し上げざるを得ませ
ん.わが国の国会が「委員会主義」であると言われるように,実質的な討論は
本会議ではなく各委員会で行われます.したがって,委員会での討論内容を報
道しないということは,国会の報道を実質的にはしていないに等しいのです.
参議院の審議に際しては,これが改善されることを要望いたします.敬具
2003年5月22日
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[6] 朝日5/21「大学研究費、改革で賛否 総合科学技術会議vs文科省 」
http://www.asahi.com/edu/nyushi/TKY200305210170.html
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030522asahi.html
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「大学の基礎研究を支えている文部科学省の科学研究費補助金(科研費)が、
制度改革を前に揺れている。科学技術政策の司令塔である総合科学技術会議
(議長・小泉首相)が、研究実績と給与やポストを連動させて競争を促すなど
の改革指針を示したからだ。研究者の間に、産業応用に直結しない基礎研究が
軽視されかねないとの声が出ている。
●実績と給与・ポストを連動
総合科学技術会議は4月下旬、「競争的研究資金制度」の改革方針を決めた。
同制度は、個々の研究者の発案に基づいて作られた研究計画を審査して採択す
る公募型で、国や配分機関を通じて研究者に資金を配る制度の総称。7省で計
26制度あり、総額約3490億円にのぼる。
その半分以上を占める科研費(約1760億円)は、学術研究、基礎研究の
振興を目的とする資金。国公私立の大学や公的機関の研究者に配分され、研究
活動を支える最大の基盤となっている。文科省と日本学術振興会が研究者の申
請に基づき、第一線研究者でつくる委員会で審査して配分する。配分額の9割
が理科系で、1割が人文・社会科学系だ。
改革で求められている内容は、経済産業省など他の制度では一部先行して導
入されている。科研費はほとんど手つかずで、改革の標的とされた。
プロジェクトチームが昨年4月に検討を始めたあと、東大医学部教授らの不
適切な研究費の経理処理問題が表面化したこともあり、制度改革が加速した。
改革の柱は、04年度の国立大学法人化と連動するものが多い。
まず、資金獲得や研究成果を給与や人事に反映させる。より多くの資金を集
める研究者のいる大学が活性化することになり、大学間の競争はいっそう激し
くなる。
一方、時流に合わない研究に資金が回らず、地道な努力を要する研究が途絶
えてしまう懸念がある。
若手研究者へのてこ入れも柱の一つだ。
権威の確立した研究者に資金が集中し、若手に回る額が少ないという反省か
ら、若手向け資金の拡充をめざす。さらに、資金獲得の多寡が、その後のポス
トを左右する仕組みも盛り込んだ。
また、教授を頂点とする現在のピラミッド構造を変え、研究者それぞれの独
立性を高めるため、助教授、講師、助手という職務や名称を見直すことも検討
する。
ベンチャー企業への助言や経営参加など、大学研究者の産学連携はこれまで
以上に奨励される。ただし、研究や教育がおろそかにならないよう、研究にど
れだけ時間が割けるのかを申請書に書き込み、内閣府が整備を進める政府研究
開発データベースで管理する。
資金配分先を選ぶ評価者は、応募者と同じ組織に属するなどの利害関係者を
除く。これまで、応募者の指導教官や非常に研究分野の近い専門家が評価に加
わっていた例があり、厳密な評価の妨げになると判断した。
政府は、01年度から05年度までの第2期科学技術基本計画で、科学技術
創造立国を支える施策の一つとして競争的研究資金の倍増を掲げている。緊縮
財政が続いているにもかかわらず、着実に拡充を進め、この資金にあてる予算
も増えている。05年度の目標額は6千億円で、00年度の倍にあたる。
●「基礎分野を軽視」の声も
「米国の追従に過ぎないのではないか。競争だけに主眼を置けば、基礎研究
が廃れてしまう」
科研費のあり方を検討している文科省の科学技術・学術審議会研究費部会で、
そんな意見が相次いだ。
ノーベル化学賞を受けた野依良治・名古屋大教授も部会メンバーで「米国が
うまくいっているのは大学院教育に使命感があるから。その視点がないまま、
改革を進めていいのか」と発言した。総合科学技術会議の方針を評価しつつも、
マイナス面を挙げて反論する報告書を準備中だ。
部会で反発が大きいのは、科研費の民間開放。
総合科学技術会議は、島津製作所フェローの田中耕一さんや芝浦工大の江崎
玲於奈学長ら企業人がノーベル賞を受けた例を強調。応募資格を大学人に限ら
ず、企業人にも開放すれば、「我が国の研究の質が向上する」とみる。
部会では、「営利を目的とする企業に学術資金を配るのは問題だ」「特許優
先となると、成果が公表されないのではないか」などの反論が出た。
文科省は、現行制度でも大学研究者との共同なら企業人も科研費を申請でき
るとしている。だが、総合科学技術会議は「申請はほとんど困難で、不十分」
との立場だ。
同会議の幹部は「大学への予算配分が減るのではないかという心配が、研究
者の中にある」とみる。新制度で研究を活性化できると意気込む研究者もいる
が、兵糧攻めの不安の方が強まっている。
部会のメンバーの一人は「米国の競争的資金は日本の10倍と潤沢だ。日米
で前提が違うのに、似た制度を持ち込むのは無理がある」と話す。
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編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
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