通信ログ
国公立大学通信 2003.07.01(火)
--[kd 03-07-01 目次]--------------------------------------------
[1] 6/30 参議院文教科学委員会は徹底した審議の継続を
―参考人招致、連合審査、公聴会開催、国政調査権活用が必要である―
独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局声明 2003年6月30日
[1-1] 6/26 遠山敦子文部科学大臣「お詫び」全文
[2] 6/30 国立大学法人法案へのアレゼール日本の声明
[2-1] 7/13 アレゼール日本発足記念シンポジウム
「大学改革へのオルタナティブ:競争と分断を超えて」
[3] 蔵原清人「国立大学法人法案の研究ー「法人」制度設計の検討を中心にー」
[4] お便り紹介:国立高等専門学校校長への天下りの例
[5] 6/30文部科学教官(匿名)から参議院文教科学委員へ
[6] 6/30産経【正論】西村和雄(京都大学教授)「国際競争力失いつつある
日本の高等教育 目を覆う大学院生らの学力低下」
[7] 2000/2/12東京新聞:「国立大学」が消える日 迫る独立行政法人化
<有馬朗人・太田誠一密談から始まった国立大学独法化政策>
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本日10時より文教科学委員会です。インターネット
ライブ中継が
http://www.sangiin.go.jp/japanese/frame/joho1.htm
から見れます。
明後日の7月3日の採決を与党は要求しているそうです。
本日の委員会後の理事懇談会で7月3日の議事がだいた
い決りますので、 今日の昼頃までに、種々のメッセー
ジを委員(特に理事)に届ける必要があります。ファッ
クスで送付すると休憩時間に部屋に戻った議員が見る可
能性があります。ファックス番号は、
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/imode/bunkyofax.html
にあります。
編集人も、レファレンダムの現在の集計の送付、6/2
6の共同要請書に新たな賛同者の名前を加えたものを再
送、などを送る予定です。
なお、長塚真琴氏が各委員へ送るためのファックスフォー
ム一式を用意されています:
http://homepage3.nifty.com/ngtk/FAXform.lzh
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □
本日、毎日新聞全国版に意見広告があります。契約して
いないかたは通勤途中に駅でぜひ購入してご覧ください。
意義を感じた方はぜひ支援されますように:
http://www.geocities.jp/houjinka
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □
昨日は、アレゼール日本[2-1]が、法案廃案を求める声
明[2] を出しました。国公私立大学全体の改革が必要で
あるという立場から国立大学法人制度を批判しています。
また、蔵原清人氏は、国立大学法人法案の論考[3]を公
表されました。第一条と第二条との非整合性を指摘し、
それは意図されたものであることを分析しています。
いずれも国立大学関係者ではない立場から、国立大学法
人法案を批判しています。
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □
ところで、官庁から高専の校長職への就職が多いという
お便りがありました[4]。公開データベースREAD
(研究開発支援ディレクトリー*)を使うと、手間はか
かりますが、ある程度調べることが可能です。天下りの
中で、文部科学省以外に他省庁から赴任する校長も居ま
す。高専の校長が持つ絶大な権限ゆえに、教育に余り関
心のない強権的校長の下で苦しんでい教員が少くないよ
うです。国立大学も全く同じようになると、その方は警
告しています。* http://read.jst.go.jp/
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □
「ミスター独立行政法人」の異名を持つ(と想像される)
ほど独立行政法人制度に思い入れがあると推測される太
田誠一議員ーー国立大学の独立行政法人化に最も貢献
[7] した人ーーが時の人になっています。与党で国立大
学独法化批判をしにくかった磁場が変化するきっかけと
なるかも知れません。与党議員の方が勇気を持って、自
分の信ずることを表明することは、意義の大きなことと
思います。(編集人)
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[1] 6/30 参議院文教科学委員会は徹底した審議の継続を
―参考人招致、連合審査、公聴会開催、国政調査権活用が必要である―
独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局声明 2003年6月30日
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030630syutkenseimei.html
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6月26日午前10時、16日ぶりに再開された参議院文教科
学委員会は、遠山文科大臣の「お詫び」に始まり、さら
に4回におよぶ「お詫び」と訂正が繰り返されるという
異常な状況で終わった。しかし、政府・文科省は、野党
委員から鋭く追及された国会無視の行政権濫用を、あく
まで当然の準備作業と強弁している。そして、法案の問
題点についての審議が始まったばかりにもかかわらず、
3日にも採決の強行を企図している。
参議院文教科学委員会は、「お詫び」と訂正で事を進め
るのではなく、「本来の議会の任務である行政への抑止
の役割をより重く担っている」(「参議院選挙制度改革
に関する協議会報告書」2000年2月25日:末尾資料参照)
参議院の責務を自覚し、法案の本質的問題点の審議を継
続し、「百年の計」にふさわしい議論をいっそう深化さ
せる必要がある。国会が自らの責務を果たすために、以
下の提起に真摯に応えることを求める。
1.国大協旧執行部、学長等の参考人招致
6月26日の委員会冒頭における遠山文科大臣の「お詫び」
は、要するに「中期目標・中期計画に関する12月資料は、
大学側(国立大学協会)の求めに応じて出したものである。
しかも、文科省としては、12月資料に伴う作業は単なる
「準備作業」と考えていたのに、大学が(あるいは学長
以外が)大きな誤解をして、中期目標・中期計画作成作
業を行ったのである」ということである。これは、各大
学、各部局で実際に中期目標・中期計画の作成作業に携
わって来た者からすると、黒を白と言いくるめるに等し
い。今、国立大学の職場では、遠山大臣答弁に対して大
きな怒りが渦巻いている。このまま「お詫び」を国会が
受け入れるならば、事実に反する遠山大臣答弁を前提に、
法案への態度を決定するという深刻な汚点を国会の歴史
に残すことになろう。
民主党理事が、6月10日に文教科学委員会の審議がストッ
プした際に提起した関係者の参考人招致を急ぎ実現させ、
遠山大臣答弁が事実に基づくものなのかどうかを解明す
る必要がある。関係者とは、国大協の長尾前会長下の旧
執行部ならびに法人化特別委員会メンバー、さらに国大
協理事あるいは特別委員となっていない国立大学長など
である。
2.総務・厚生労働・財務各委員会との連合審査
総務省が、審議会の評価をめぐって櫻井議員に対して
「お詫び」したことに端的に現れているように、同省の
審議会の実態については依然として不明確であり、文科、
総務両省担当者間の齟齬も顕著となっている。また、公
立大学の地方独立行政法人化問題もある。この問題を議
論するためには、総務委員会との連合審査が必要である。
労働安全衛生法に関して言えば、文科省が5月28日に国
会に提出した報告書がきわめて不十分であることは、林
議員の二度にわたる追及で既に明らかとなっている。さ
らに同報告書には、「適用法令変更手続きの円滑化」の
ため「届出等の手続きの簡素化」を厚生労働省と調整す
るとある。このように、国民の目の届かない場所で調整
すれば、馴れ合いになる危険も発生しよう。これこそ厚
生労働委員会との連合審査が必要な事項である。また、
法人化後の定員外職員や臨時職員等の雇用に関わる問題
についても連合審査が必要である。
大学財政についていえば、運営費交付金を算出する仕組
みが依然として明らかにされていない。法人化によって
大学財政が破綻するのではないかとの懸念が拡がってい
るほど、事態は深刻である。また、法案は財務大臣との
協議を義務づけている。財務委員会との連合審査は不可
欠といえよう。
3.地方・中央公聴会
国立大学法人法による法人化は、地方大学の切り捨てに
なるのではないか、という不安が地方で拡がっている。
また、法人化が数百名規模の高級官僚の天下りをもたら
す(『東京新聞』6月26日)ことへの批判、授業料の値上
げを予想している学長が25%(『朝日新聞』6月29日)、
あるいは半数(共同通信6月19日)
という事実への不安が湧き起こっている。法案そのもの
に対する批判も、国民各層から繰り返し提出されている。
参議院としては、法案の重大性に鑑み、地方、中央で公
聴会を開催し、広く国民の意見を聴く場を用意すべきで
ある。
4.国政調査権
国会の重要な権限の一つに国政調査権がある。「百年に
一度の大改革」というのなら、文教科学委員会として、
国立大学に直接赴き、大学の現状について、とりわけ審
議が集中している中期目標・中期計画の準備強要問題、
労働安全衛生問題、さらには大学財政の問題等について、
自ら調査すべきではないか。
最後に指摘しておきたいことがある。26日の委員会で文
科省は、「法案の審議や法の成立以前から法人化の準備
をするのは行政の責任として当然であり、特に大幅な設
置形態の変更で不安をもつ大学の要望に応えて準備を行っ
ている」との論理で、法成立以前の予算執行や諸準備の
強行を合理化した。これについては、これまでも我々が
行政権の濫用であり、国会の立法権を侵害すると繰り返
し主張してきたところである。
国会審議の前提として、櫻井議員が26日の質疑後に同氏
のウェブページに掲げた以下の内容を、1日の審議冒頭
ではっきりと確認し、文部科学省設置法第4条第15項(末
尾資料2)を根拠とした遠山文科大臣の答弁、すなわち、
「国立大学法人化に向けて行政権限で各大学に準備させ
ることは憲法に抵触していない」という発言を撤回させ
る必要がある。
行政の本来の役割は、根拠法に基づく権限の範囲内で実
務を執行することである。現在、国立大学法人法案の審
議をしている最中であり、本来、中期目標・中期計画を
作成させるという権限は文部科学省にはないのである。
一方、内閣は「法律を誠実に執行し、国務を総理するこ
と」「法律の定める基準に従い、官吏に関する事務を掌
理すること」等と憲法73条に規定されている。この事か
ら考えれば、遠山大臣の行っている行為は憲法に抵触す
る可能性がある。
【資料1】
参議院選挙制度改革に関する協議会報告書(2000年2月25日)
一部抜粋 http://www.eda-jp.com/dpj/000225-s.html
1.この協議会の経緯
参議院選挙制度改革に関する協議会(以下「協議会」と
いう。)は、参議院選挙制度の改革について協議を行う
ため、平成11年6月16日、各会派代表者懇談会の下に設
置された。
2. 参議院の役割と在り方
参議院は、議会制民主主義の原理である国民主権、権力
分立及び議院内閣制の整合性ある実現と、多元的な国民
の意思の反映のために創設された、もう一つの直接公選
で選ばれた全国民の代表による議院という、民主主義に
おける新しいタイプの議会制度である。旧来の抑制・均
衡・補完という二院制の説明概念では、こうした民主的
な役割は言いつくせないものがある。
参議院の主な役割は、第一に、議院内閣制の弱点を補完
して衆議院及び内閣に対するチェックアンドバランスを
発揮すること、第二に、異なる制度、時期による選挙に
よって、国民の多元的な意思を、よりよく国会に反映す
ることにある。
そもそも両議院の国民代表としての存在意義には何ら違
いはなく、いわゆる憲法上の衆議院の優越事項とは、議
院内閣制に係る役割の差に由来するものにすぎず、役割
の優劣を意味しない。むしろ参議院は、本来の議会の任
務である行政への抑止の役割をより重く担っているとみ
るべきである。
次に、あたかも国際的に一院制が時代の趨勢であるかの
ような誤解が多いが、二院制の採用は現代的な必要性に
基づくものであり、現実に近年20近い国々が新たに二院
制を導入したところである。民主主義の成熟した人口の
多い諸国はもちろん、一元的な政治体制から脱した国々
において、二院制は強く支持されている。特に、平成9
年の上院議長会議(上院サミット)において明らかになっ
たように、参議院のような直接公選型の上院を設ける国々
の増加も顕著であるが、これらは国民主権の最終的保障
を図るため創設され、下院との関係で積極的で強い権能
を有する点で共通している。我が国の二院制は、民主主
義を強化するこうした新しい二院制の先駆的制度である
とみることができる。
【資料2】文部科学省設置法第4条第15項
大学及び高等専門学校における教育の振興に関する企画
及び立案並びに援助及び助言に関すること。
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[1-1] 6/26 遠山敦子文部科学大臣「お詫び」全文
(参議院文教科学委員会2003年6月26日審議より)
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030629mokasyuoowabi.html
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「前回の委員会において櫻井委員から、昨年12月に文部
科学省が未定稿の資料を作成し、その中で、各大学に対
し、中期目標(案)・中期計画(案)のほかに、個別の学部・
研究科・附置研究所の単位での固有のより具体的な事項
を記載した資料を文部科学省に提出するよう依頼してい
る、とのご指摘がございましたが、その資料については、
すべての大学に提出を依頼しており、その点、「各大学
の判断」とした答弁は誤りがありますので、これを訂正
し、お詫びいたします。
また、問題となったご指摘の昨年12月の資料そのもの
の作成経緯や性格等について、ご説明申し上げます。
この資料は、昨年3月の調査検討会議の最終報告を踏
まえ、同年4月以降、準備作業の検討を開始した国立大
学協会から、各大学で検討を要すると考えられる事項の
うち、各大学の自主的な準備作業の参考資料として、中
期目標・中期計画のイメージ的なものが必要であり、文
部科学省として協力してほしい、との要請を受け、作成
したものでございます。
実際の作成のプロセスといたしましては、国立大学協
会からの要請を受けました後に、昨年11月に、国立大学
協会の関係委員会に「検討素案(未定稿)」を提出し、国
立大学協会側の意見を伺い、その意見を踏まえて、さら
に修正・簡略化した資料を作成して、同年12月に「案
(未定稿)」として、再度、国立大学協会の関係委員会に
提出したものでございます。その後、本資料は、同委員
会における会議資料の一つとして、国立大学協会から各
大学に配布されたことから、今日に至るまで各大学にお
ける自主的な準備作業の参考のための資料として活用さ
れているものと承知いたしております。
なお、資料では、中期目標・中期計画の記載内容につ
いて、ひとつは、原則として全学的な視点からのものに
限る、ふたつには、各大学の特性を踏まえ一層の個性化
を図る観点を考慮しつつ明確かつ簡潔に記載する、とし
ており、この点は、これまでの国会審議における文部科
学省の答弁と矛盾するものではないと理解しております。
また、中期目標・中期計画のほかに、個別の学部等の
単位での、固有のより具体的な事項を記載したものにつ
いては、中期目標・中期計画に記載された内容の背景等
を理解するための参考情報として、提出を依頼したもの
でございます。
この昨年12月の資料については、資料の性格やスケ
ジュール等の面で、配慮が必ずしも十分でなく、結果的
に関係者に過度の負担を招いた、との指摘があることに
ついては、誠に遺憾でございます。この点については、
すみやかに資料の正確な趣旨を大学に対して徹底するこ
とにいたします。
また、各大学においては、法案が国会で成立した場合
に備えて様々な準備が進められてきましたが、法案の国
会提出以前の段階から文部科学省名義の資料が示された
ことにより、文部科学省による指示があったと受け止め
られて、法律に基づく中期目標・中期計画そのものの作
成が進められてきた、との指摘や、その結果として、国
会における審議の尊重という観点から問題だ、との指摘
を受けたことについては、誠に遺憾であり、深くお詫び
をいたします。
今後、法案をお認めいただけたさいには、中期目標・
中期計画の原案は、あくまで法人である各大学が主体的
に検討すべきものであるとの趣旨に留意しつつ、法案に
関する国会審議の状況を踏まえ、大学に対してあらため
て必要な情報や資料を適切に提供することといたします。
なお、平成16年度概算要求作業は、新制度への過渡期
のために、中期目標・中期計画の策定作業とは直接関連
しないものとして進められているところでございます。」
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[2] 6/30 国立大学法人法案へのアレゼール日本の声明
http://areserjp.org/
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http://www.h4.dion.ne.jp/~soki/seimei030630.html
日本の高等教育と学術研究の将来的な展望を切り開き、
それを可能とするような本当の意味での大学改革を実現
するという観点からみて、現在国会で審議中の国立大学
法人法案は、それを実現するものではなく、逆に困難な
ものにするものであると私たちは考えます。現在の国立
大学法人法案については、さらなる審議が必要であり、
よって現法案を廃案にすることを要請します。
私たちアレゼール日本(高等教育と研究の現在を考える
会)は、日本全国で進められている一連の「大学改革」
の動きが、どのような大学界を創造していくのかについ
て理念も必然性も欠落させ、あまりに近視眼的で場当た
り的なかたちで進められている現状に疑問を抱き、先ほ
ど、『大学界改造要綱』(藤原書店、2003年4月)を出
版しました。
そのなかで私たちは、日本の高等教育と学問・研究の将
来を見据え、その展望を切り開いていくためには、国立・
公立・私立といった大学の設置形態を超えて、99の国立
大学、75の公立大学、512の私立大学からなる日本の
「大学界」の総体を視野に入れて、日本の高等教育シス
テムが現在抱えている問題について多元的に検討してい
く必要があることを明らかにしました。
現在、日本の大学界はさまざまな矛盾、問題を抱えてい
るという現状認識を私たちは共有しています。しかしそ
れらの矛盾、問題を乗り越えるための本当の意味での
「大学改革」を行うには、大学の教職員、学生そして市
民という、大学にかかわり大学に関心をもつあらゆる人々
が、大学の現状についての認識を持ち、それをいかなる
方向に変えていくかを討論する公的な場を作り出してい
くことが決定的に重要なことだと考えます。そして、そ
のような場を作り出していくためにこそ、大学関係者は
全力を注ぐべきだと考えます。
文部科学省と与党が、2004年4月からの法人化を既成事
実とし、今国会で強引に採決しようとしている国立大学
法人法案は、そのような方向と逆行するものであり、日
本の高等教育と学術研究の将来的な展望を切り開くため
の、高等教育システム総体の本当の意味での変革を困難
なものにするものです。
6月26日付の東京新聞でもあらためて明らかになったよ
うに、国立大学法人に移行した際の大学間競争への「対
応」として、文部科学省などの官僚出身者が多数、国立
大学法人の役員へと迎え入れられる見込みであることが
分かっています。そのことは、大学界をとりまくさまざ
まな矛盾、問題を、独立行政法人化を通した「競争」に
よって解決しようという国立大学法人法案の方向性が、
個別大学の「生き残り」をかけた「競争」へと各大学を
追いやることによって、大学界総体の将来を見据えた改
革を実現することを、徹底的に難しくすることを象徴的
に物語っています。
日本の高等教育と学術研究の将来的な展望を切り開き、
それを可能とするような本当の意味での大学改革を実現
するためにこそ、私たちは国立大学法人法案の廃案を、
国会で法案を審議中のすべての議員の皆さんに訴えます。
2003年6月30日
アレゼール日本(高等教育と研究の現在を考える会)
・・・・・・
ホームページ:http://areserjp.org/
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[2-1] 7/13 アレゼール日本発足記念シンポジウム
「大学改革へのオルタナティブ:競争と分断を超えて」
http://www.h4.dion.ne.jp/~soki/030713sympo.pdf
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アレゼール日本発足記念シンポジウム
「大学改革へのオルタナティブ:競争と分断を超えて」
日時:2003 年7 月13 日(日) 14:00-18:00
会場:東京大学先端科学技術研究センター4 号館2 階講堂
(東京大学駒場リサーチキャンパス内)
最寄り駅:小田急線東北沢駅より徒歩7 分
会場へのアクセスについては、以下のページをご覧ください。
http://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/map/map-j.html
※教養学部のある駒場キャンパスとは違いますので、ご注意下さい。
*参加費、事前のお申し込みは不要です。
プログラム
14:00-14:10 主催者挨拶
14:10-14:40 岡山茂「90 年代以降の大学改革の国際的動向とアレゼール」
14:40-15:10 櫻本陽一「批判的知をユニバーサル化するために」
15:20-16:00 藤田英典「グローカル化時代の大学の使命」
16:00-16:40 高橋哲哉「大学は誰に責任を負うのか」
16:50-18:00 総合討論
開催趣旨
グローバル状況下、国際競争の激化のもとで、理念なき
大学改革が進行しています。そのなかで高等教育の社会
的役割が切り捨てられようとしています。他方で、大学
改革の動きに対して大学の現場は分断され、混乱状況に
おかれ、学生や若手研究者らにしわ寄せが及んでいます。
このような状況に抗して改革へのオルタナティブを構想
しなければなりません。
高等教育の社会的役割をもう一度開かれたものとして再
構築し、学問の批判的な価値と高等教育の自律的な価値
を再確認する必要があると私たちは考えます。
弱い立場におかれた人々も含めて、大学人が個別大学の
改革を超えた運動を作り出していくことを目指して、私
たちは『大学界改造要綱』を出版し、アレゼール日本
(高等教育と研究の現在を考える会/
http://areserjp.org/)を発足させました。皆様の本シ
ンポジウムへのご参加をお待ちしています。
パネリスト紹介
藤田英典氏・・・国際基督教大学。教育社会学。
教育改革国民会議元委員。著書に『市民社会と教育』、
『教育改革』など。
高橋哲哉氏・・・東京大学。哲学。
著書に『「心」と戦争』、『戦後責任論』など。
岡山茂・・・早稲田大学。フランス文学。
アレゼール日本事務局長。『大学界改造要綱』共著者。
櫻本陽一・・・和光大学。社会学。
アレゼール日本事務局。『大学界改造要綱』共著者。
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[3] 蔵原清人「国立大学法人法案の研究ー「法人」制度設計の検討を中心にー」
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/webhouankenkyuukurihara.html
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#(抜粋)
国立大学法人法案の研究
ー「法人」制度設計の検討を中心にー
1、国立大学法人法案の問題点
2、「国立大学法人」の学校設置制度の設計
・・・ ここではその問題を法人の組織の面(これをこ
こでは学校設置制度という)から検討する。
1)第1条と第2条の相違
まず法案全体としてみると、第1条(法の)目的では
「国立大学を設置して教育研究を行う国立大学法人」の
組織及び運営について定めるとあり、第2条定義では、
「この法律において「国立大学法人」とは、国立大学を
設置することを目的として、この法律により設立される
法人をいう」とある。第1条と第2条は明らかに同じで
はない。しかもこの法案の内容を検討するならば、第2
条の定義はこの制度の内容を正しく表していないといわ
なければならない。
文部科学省はこの違いを故意に残したのかどうかは、
今のところ確かめるべき証拠がないが、法制局のチェッ
クもあるはずであるからには、これは意図的な行為とい
うべきであろう。
2)法人=設置者=大学
すなわち、この法案においては第1条の規定が内容を
正しく表現している。そしてそれが大きな問題なのであ
る。
問題の検討のまえに、この法案では法人=設置者=大
学であることを示しておこう。
第22条第1項で「国立大学法人は、次の業務を行う」
とし、第1号に「国立大学を設置し、これを運営するこ
と」と規定されていることがそれを端的に示している。
第2号には「学生に対し、修学、進路選択及び心身の健
康等に関する相談その他の援助を行うこと」とあること
をもって、前号が第2号以下の包括的規定にすぎないと
いうべきではない。第1条において「国立大学を設置し
て教育研究を行う」と規定されているからである。すな
わち、第22条第1項第1号の規定は運営ということで
理解できるすべての教育研究の業務が含まれるというべ
きであって、第2号はそれ以外のこととして学生の支援
を位置づけたもの(この教育観には問題なしとしない
が)、その他の号では教育研究の成果の社会的活用等に
関することを規定している。
国立大学法人が国立大学の設置者であることは、第1
条、第2条ともに齟齬はない。しかしこの設置者は同時
に大学それ自身を運営する主体なのである。国立大学法
人の役員会は(学長は理事ではないので、これは理事会
ではない)中期目標等の外予算、決算、重要な組織の設
置廃止に加えて、「その他役員会が定める重要事項」
(第11条第2項)までも議することができる。経営協
議会もさることながら法人機関である教育研究評議会が
教育研究について包括的に審議する。(第21条第3項)
これは従来教授会で行ってきたものの多くを含む。しか
もこの評議会で審議したことがどのように決定され実施
に移されるかは明確ではないのだ。明確なのは学長は従
来の学校教育法の学長職務を含み「国立大学法人を代表
し、その業務を総理する」(第11条第1項)というこ
とである。これはいいかえれば設置者の責任者と設置さ
れる大学の学長を兼ねていることになる。
さらに中期目標について意見を言い、中期計画を作成
するのは国立大学法人であるから(第30,31条)、
法人機関でない教授会はこれに与らなくなる可能性が高
い。この法案が国立大学の設置者に関するもののように
出しながら(第2条)、その実は国立大学の運営の基本
を包括的に規定するものとなっている(第1条外)点に
大きなトリックが含まれているのである。先に文部科学
省の行為を意図的としてのはこの点にある。それゆえ必
要な点では学校教育法を引きながら、教授会の権限に関
する条項(学校教育法第59条)は全く無視して引かな
いことにも表れているといわなければならない。
そしてこの点は現在のわが国の学校制度と大きく異な
る点である。いいかえれば国立大学法人制度は現行の学
校制度の統一性を破壊するものなのであるといわなけれ
ばならない。その点を次に検討したい。・・・
3、現行の学校設置制度はどうなっているか
4、「国立大学法人」制度の影響
5、戦後学校法人制度の特徴
6、学校が法人格を持つとは何か
・・・もともとわが国のような国立、公立、私立の区別
は諸外国においては明確ではない。わが国の場合、その
区別は明治7年(1874)の文部省布達にさかのぼる。その
2年前の「学事奨励に関する被仰出書」で、今後は学費
等の給付を前提とした学習観ではなく、自らの努力で学
習せよと国民に布告したが、この布達では財政支出の区
分により国立(当時は官立)、公立、私立の区別をする
とした。(拙稿『戦前期私立学校法制の研究』1997 参
照)この区別は130年後の今日までおよび、誰も疑い
を差し挟まないのである。しかし、私立学校の公共性を
認めた以上は当然公費の支出も認めるべきであり、経費
の比重の違いはあっても国公私立の区別は特別な必要性
を認められないだろう。
その点をひとまず置くとして、戦後、学校教育法の制
定当初、私立学校について「別に法律で定める法人の設
置する学校」(第2条)と規定したが、のち、私立学校
法によってその法人を学校法人としたのであった。ここ
ではこの名称を私立学校法人としなかったことに注目し
ておきたい。それは設立された学校法人はたいへん柔軟
な制度であって、私立に限る必要性が認められないから
である。国立、公立の学校の場合も、この制度を元に法
人格を設計できるのではないか。特に学校のセルフコン
トロールが求められている今日、このことは大きな可能
性を含むと考えられる。
国立、公立学校の場合、国や地方自治体のコントロー
ルを制度的にどう保証するかが課題となろうが、学校法
人の制度の中で、理事と評議員の選任の仕方を考えれば
十分に対応できよう。現にある私立学校の中では寄付行
為において様々に規定している。たとえば青山学院は
「本法人の評議員である日本在留米国合同メソジスト教
会宣教師中より1名」「プロテスタント教会の教職にあ
る者1名」(学校法人青山学院寄付行為第8条)という
規定を持っている。学校法人制度はこのような独自性を
認めているのである。したがって学校法人を国立、公立
の場合にも広げるならば、それにふさわしい形で寄付行
為を決めればよいのである。その場合、国会あるいは地
方議会の関与と、行政府や首長の関与をどう設計するか
が大きな問題となる。公立学校の場合は個々の学校ごと
に法人とするのか、教育委員会として法人とするのかも
検討課題となる。当面の実践課題とはならないとしても、
研究の課題としてはこうした問題も視野に入れて考えて
おくことが必要であろう。 (おわり)
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[4] お便り紹介:国立高等専門学校校長への天下りの例
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「国公立大学通信 の配信拝読させて頂いております.
国立大学が独立法人化された場合,各大学合わせて数百
の官僚天下り先が確保され,このポストは文部科学省に
とどまらない可能性があるということが危惧されている
ようですが,まさにそのことが現実となっている事実が
国立高専にはあります.国立高専46校のうちには下に
示すように「文部官僚」以外に「宮内庁侍従」に至るま
で様々な省庁から天下った教育,研究経験のない校長が
組織のトップに君臨し,組織と学生教育に混乱をきたし
ている現実があります.このようなことから高専は文部
科学省の出先機関,官僚ポストの一部として現在すでに
位置づけられていますし,完全に文部科学省のコントロー
ル下にあります.いえることは,教育最優先で考えるべ
き文部科学省が率先してこのような人事を平気でやって
きたという事実で,官僚達は教育の将来ではなく,自分
たちの保身優先の改革を独立行政法人化として進めてい
るということです.
大学が独立法人化された場合,同じようなことが大学で
も起こりうることは確実です.文部科学省は独立法人化
する目的が大学を国から離し,自由に教育,研究が出来
る環境を作り出すことが目的であるかのようにいってい
ますが,大学の要職に文部科学省の意向の入った官僚が
加わり,中期目標を義務づけ,目標達成結果をもとに予
算の配分をする,どこに大学の独立性が確保できるので
しょうか.各大学にあらゆる省庁の天下り先を用意でき
ることで文部官僚(大臣も含む)としての発言力と権力
を手に入れることを最重点とし,見かけ上の公務員削減
を目的にした改革であることは明らかです.
高松高専
文部省大学学術局科学官
文部省初等中等教育局審議官
日本国際教育局専務理事
大学入試センター副所長
文部科学省大臣官房文教施設部長
茨城高専
人事院総務局付
文部省大臣官房文教施設部長
文部省大臣官房付
京都大学事務局長
小山高専
文部省視学官
文化庁文化財保護部長
人事院公務員研修所副所長
群馬高専
人事院公務員研修所長
衆議院渉外部長
文部省大臣官房文教施設部長
徳山高専
文部省管理局教育施設部技術参事官
文部省学術国際局主任学術調査官
文部省大臣官房文教施設部技術参事官
文化庁長官官房審議官
木更津高専
文部省大学学術局科学官
人事院任用局長
文部省大臣官房文教施設部長
日本育英会理事
文部省高等教育局主任視学官
文部科学省大臣官房文教施設部長
長野高専
北海道大学事務局長
前文部省初等中等教育局主任教科書調査官
文部省初等中等教育局主任教科書調査官
沼津高専
文化庁文化財鑑査官
東京工業大学事務局長
新居浜高専
宮内庁侍従
都城高専
国立諫早少年自然の家所長
文部省大臣官房文教施設部技術参事官
以上の事例は一部で全体ではまだあるようです.
http://read.jst.go.jp/ddbs/plsql/KKN_02?code1=04&code2=4
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#(例えば、ネットで調べると、新居浜高専校長の・・・
氏は、前文化庁文化部長、宮内庁侍従、を歴任していま
す。
2000年9月の宗教法人審議会議事録「次に、本年の
4月1日付ということで、大分さかのぼるわけでござい
ますけれども、前文化庁文化部長の・・・が宮内庁の侍
従に異動となりまして、後任に・・・が就任いたしてお
ります。 」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/shuukyo/gijiroku/001/000901.htm
「平成14年4月1日七代校長に前宮内庁侍従・・・が就任 」
http://www.off.niihama-nct.ac.jp/~shomu-a/generalHP/history.htm)
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[5] 6/30文部科学教官(匿名)から参議院文教科学委員へ
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平成15年6月30日
参議院文教科学委員(与党) 各位
国立大学独立行政法人化について
文部科学教官 ******
文教科学委員の諸先生方には、わが国の教育と研究に
関する国政に多大なご尽力を賜り、厚くお礼申し上げま
す。衆議院を通過した国立大学法人法案にたいして、参
議院にて、慎重なご審議を重ねて頂いき感銘いたしてお
ります。
私は、約20年間研究活動を行っていますが、一時的
なブームの為に国立大学を独立行政法人にすることに反
対です。今回の独立行政法人の法案は、研究のことを何
も知らない者が、研究を安易なものと考え、中期計画を
定め、6年毎に評価し、予算配分に反映する、机上の空
論を組み立てて、民主主義を冒涜し、研究者にとって最
悪のシステムを導入しようとしている様に思われます。
民間のトップダウン手法は表面的には良い様に見えます
が、実際は、最悪のシステムです。民間の革新的な優れ
た研究成果の多くは、その様な最悪の研究環境の中で、
優秀な技術者が逆境にめげず、乗り越えて、懸命になっ
て闇研等で開発したものです。研究環境としては最悪の
ものと思われます。この様なシステムを導入しようとす
る文部科学大臣は即刻、法案を取り下げるべきだと思い
ます。
独立行政法人化に伴い、巨大な権限を持つ学長(独裁
者)が誕生し、トップダウン方式の独裁的教育研究体制
が出現します。民主主義国家に独裁的教育研究体制は馴
染みませんし、有害です。独裁的教育研究体制の下で研
究を促進しようとしていますが、NHKのプロジェクト
Xが示す様に、多数の革新的な技術開発が如何に闇研で
開発されているかが物語っています。日本ビクターのビ
デオ開発、東芝のワープロ開発、富士通のプラズマテレ
ビ開発、カシオ?のデジカメ開発等、その他多数ありま
す。その原因は、革新的な技術の開発は、しばしば評価
する側の常識を越えるからです。その為に、評価されな
いのだと思います。ノーベル賞級の研究も同様と思いま
す。将来花開く素晴らしい研究でも、独裁者が理解でき
ないと潰されてしまいますし、嫌いな研究者の研究は潰
されてしまいます。実際に、現体制に於いてさえ、私の
研究費は1999年度から削除され、学長にほされてい
ますし、1993年から迫害も受けています。また、独
裁者の君臨する会社に於いては、皆さんご存知のように
悲惨な出来事が多数生じています。突然の解雇、過労死、
自殺、男女差別、セクハラ、偽装販売、その他多数の弊
害が生じています。
また、民主主義国家の観点からも国立大学は民主主義
国家を実現する為に機能すべきです。民主的な思想を持っ
た、人を大事にする、法を順守する学生を排出すべきで
す。独裁的教育研究体制の中では、その様な学生は育ち
ません。将来に大きな禍根を残し、悲惨な社会が繰り替
えされます。
どうか、妄信的に拙速に民間のトップダウン手法を適
用するのではなく、ノーベル賞級の研究や革新的な技術
開発を行う上で、民間のトップダウン手法が有効に機能
するのかどうか、慎重に調査検討を行い、功罪を十分調
べた上で、国立大学に適用するのかどうか慎重にご検討
下さい。どうぞ宜しくお願い申し上げます。
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[6] 6/30産経【正論】西村和雄(京都大学教授)「国際競争力失いつつある
日本の高等教育 目を覆う大学院生らの学力低下」
http://www.sankei.co.jp/news/seiron.htm
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「・・・現場を知らない人たちに、過度の権力が与えら
れたことで、改革を通じて、教育・研究は形骸(けいが
い)化し、行政の力が肥大化した。中央集権を維持した
ままの改革ということでは、国立大学の独立行政法人化
も同じ運命にある。このまま進むなら、結果として、文
科省のコントロールが強まるのと引き換えに、日本の大
学の国際競争力が失われてしまうことであろう。」
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[7] 2000/2/12東京新聞:「国立大学」が消える日 迫る独立行政法人化
<有馬朗人・太田誠一密談から始まった国立大学独法化政策>
『東京新聞』連載 2000年2月11日〜17日
http://ac-net.org/dgh/00212-tokyo-shinbun.html
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「九八年の暮れから、翌年一月にかけて、文部大臣(当
時)の有馬朗人(六九)と総務庁長官(同)の太田誠一(五四)
は三たび会談した。官僚を交えない「差し」の話し合い。
太田から話を持ちかけ、自らが会員となっている東京都
内のレストランや国会内の空き部屋で、有馬に国立大学
を独立行政法人化させるよう迫った。
「長期的視野とは、どのくらいの期間か」。国立大の
独法化に執念を燃やす太田が尋ねた。「長ければ長いほ
どいい」と考えた有馬が出した答えは「二〇〇八年」。
太田は納得せず「十年後まで待てない。政治家にとって、
やるというのはせいぜい一年先の話だ」と、有馬を追い
込んだ。
「経済面は保障する」「国立大学だけ削減しないわけ
にはいかない」。太田は二五%の定員削減をちらつかせ
ながら、さまざまな口説き文句を連らねたといわれる。
「決定権はこちらにあるんですよ」。最後は、こう有馬
に決断を迫り「二〇〇三年」までに結論を出すことで、
二人の大臣は折り合いを付けた。
「大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として
検討し、平成十五年までに結論を得る」。九九年一月二
十六日に決定した「中央省庁等改革にかかわる大綱」に
は、明確にタイムリミットが盛り込まれた。国立大独法
化への流れは、このとき形作られた。」
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編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
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