通信ログ
国公私立大学通信 2003.07.23(水)「法を守る」とは何かが問われている

--[kd 03-07-23 目次]--------------------------------------------
[1]「法を守る」とは何かが問われている
    --「法人法」国会通過に際しての声明 --
   国立大学独法化阻止全国ネットワーク世話人会
    http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/statement722.html

[2] 黒田清「批判ができない新聞」
日本との対話:不服の諸相 ロナルド・ドーア編  岩波書店 94年
    http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000020.html

[3] 渡邊信久氏サイト日記風雑記7/22「総長メッセージ」
http://castor.sci.hokudai.ac.jp/~watanabe/diary/2003/07/22/

[4] 社民党の辻元さん等の逮捕に対する声明および賛同のお願い
    落合恵子(作家) 喜福 武(元日本経済新聞社編集局次長) 
    斎藤 駿(カタログハウス社長) 佐高 信(評論家) 
    知花  昌一(読谷村議・反戦地主) 吉武輝子(評論家) 
    今井 一 (ジャーナリスト)
   [JCJふらっしゅ]2003/07/22 153号より
    http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000102032
    http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000018.html
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[1]「法を守る」とは何かが問われている
          --「法人法」国会通過に際しての声明 --
   国立大学独法化阻止全国ネットワーク世話人会
   (事務局長 佐賀大学理工学部教授 豊島耕一)
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/statement722.html
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     1.はじめに 
     2.問題の核心を突く国会質問
     3.最終盤での反対運動の盛り上がり
     4.「学問の自由」の未曾有の危機
     5.マスメディアの負の役割
     6.運動の一つの教訓
     7.今後の課題 
      7a 「慣れ」との闘い 
      7b 「中期目標」の抽象化 
      7c 教育基本法改悪反対運動との連携 


1.はじめに

 「国立大学法人法」が7月9日に国会を通過し,国立
大学行法化問題は新たな段階に入った.われわれ全国ネッ
トは,一昨年5月の結成以来,思いつく限りの,また力
の及ぶ限りの努力を重ね,この制度の実施を阻止するた
めの活動を続けてきた.この努力が実らず,法律の制定
を許してしまったことは極めて残念であり,その口惜し
さと深い失望は言い尽くせない.しかしこの無念さは,
本気で行法化阻止のために闘った証であること,そして
われわれと同様に,あるいはわれわれよりももっと厳し
い闘いを貫いた多くの仲間と共有するものであることを
心に留め,これを新しいエネルギーに変えていきたいと
思う.

 法案阻止という課題では敗れたが,しかしその一方で
は多くのものを手に入れたことも事実である.それらを
も正当に評価し,今後の活動につなげなければならない.
また,もちろん行法化反対運動もこれで終わったのでは
ない.上位法である憲法23条に違反する制度は違法で
あり,憲法自身がその無効を宣言している.

  憲法第98条
  この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、 命令、
  詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有
  しない。

 すなわち,この制度とそれを規定する法律は,これか
らつねにその「違法性」,「無効性」を問われ続けなが
ら存在するのである.にも拘わらず文部科学省とこれと
結託する大学当局はこれを強制して来るであろう.この
ことは,われわれに法的な対抗措置を取る義務を課すこ
とになろう.

2.問題の核心を突く国会質問

 国会に於ける野党の追及はこの問題の核心を突くもの
であった.国会審議冒頭,4月3日の衆院本会議での代
表質問で,山口壯議員は「文部科学大臣が国立大学に対
して中期目標を示」すような制度は「戦前の日本にも存
在しなかった」と述べた.そして「大学の自治」と「学
問の自由」は常に国会論議の中心に位置した.これは,
大学教員や組合がどちらかというと遠慮がちにこれらの
言葉を口にしていたのとは全く対照的であった.「正論」
の持つ重みを逆に大学関係者は実感したのではないだろ
うか.またある議員は,労働安全衛生法に関して来年4
月では違法状態となり,そもそも日程的に不可能である
ことを追及した.また,6月10日には,「中期目標」等
の作成を文部科学省が指示していた問題で,虚偽答弁が
あったため審議が中断するという事態が生じた.法案も
ない段階での文部科学省の国会無視がきびしく問われた
のであるが,この問題では大学側にも責任がないとは言
えないだろう.文部科学省の指示とはいえ法的根拠はな
く,断ることが可能であったし,当然そうすべきだった
のである.

 衆参両院の委員会での多くの大学関係者の意見陳述も,
この法案の実像と,さらに文部科学省による大学支配の
実態をも暴き出した.

 このように国会審議は,この法案だけでなく,関係者
の行動についても鋭くその問題点を抉り出した.そして
最終盤でも,多くの野党議員が審議打ち切りを拒否する
態度を貫いた.あらためて,この問題の最前線,すなわ
ち衆参両院の委員会で闘った野党議員の方々に深い感謝
の言葉を申し上げたい.

 しかし,ある野党議員の行動は,反対は名目的で,実
際は与党による「審議拒否・採決」に加担するものであっ
たと多くの人が認識したのではないかと思われる.

3.最終盤での反対運動の盛り上がり

 阻止運動は,終盤になって多様な展開と盛り上がりを
見せた.奇しくも法案そのものを審議する衆議院本会議
の開会ベルを聞きながら始まった国会内集会(全国ネッ
ト・アピールの会共催)には,最大野党,民主党の議員
も参加した.そこで一出席者から提案された「意見広告」
は,そのために結成された独自組織によって4度にわたっ
て実施されることになり,世論に大きな影響を与えた.
最後の2つは,運動体自身が臨時のマスメディアになる,
すなわち「自主報道」という考えに基づいて実施された.

 議員との連携も,主に首都圏ネットによって,効果的,
精力的に追及された.多くの大学関係者の協力で作られ
た「論点集」は,議員の質問に材料を提供し,大きな影
響を与えたと思われる.

 参議院に舞台が移り,継続的な強行採決の危機という
きびしい状況にあった6月10日,全国ネットは,佐賀
大学教職員組合,全大教九州と共同で,韓国教授組合な
ど7団体とによる「共同声明」をソウルで発表した.そ
こでは,国際協力は,教育と研究の分野だけでなく,
「学問の自由」の擁護の活動においても重要であること
が強調され,韓国での民主主義と自治破壊の諸傾向に反
対すると共に,日本の国立大学行法化への明確な反対が
表明された.これは現地のテレビで即日報道された.

 本会が全面的に協力した電子投票は,学生や私大も含
む大学関係者に,信頼性と秘密性の両方を十分に満足す
る意見表明の機会を提供した.法案に反対が圧倒的であ
り,当事者から支持されていないことを示すものであっ
たが,投票総数は4千弱にとどまった.

 首都圏ネットや全大教による国会傍聴,デモ,集会な
ども組織された.最終盤,結果的には強行採決前の最後
の週末となった7月5,6日は,この上ない,また最後
の街頭宣伝の機会であったが,全大教その他大きな組織
からの行動呼びかけも見られず,東京と佐賀だけでしか
行われなかったことは極めて残念である.

 「はがき署名」などこのほかにも様々な運動が行われ
た.国会審議期間中はもちろん,それ以前からの約3年
に及ぶメールマガジン「国立大学独立行政法人化問題週
報」は,この問題での重要なメディアとしての役割を果
たし,それが発展した「国立大学通信」は,もはやこの
分野での「マスメディア」となった.大学関係者だけで
なく,国会議員などにこれが与えた影響は計り知れない
だろう.

 国会審議の期間中の,首都圏ネットを中心とする文字
通り不眠不休の国会オルグと情宣活動は,深い感謝の気
持ちを込めてここに特筆しておかなければならない.

 以前の「任期制反対運動」に比べて,今回の運動が大
きく盛り上がった要因としては,その問題の比較になら
ない重大さ,深刻さもあるが,活動家が組合など既成組
織だけに頼らず,個人やグループの自発的,自主的運動
の必要性と,その力を認識したことにあると思われる.
これは今後の活動の大きな財産となろう.

4.「学問の自由」の未曾有の危機

 しかしその運動もこの法案を阻止するまでには至らな
かった.この法律の成立によって,またそれが実施に移
されることによってわが国はその重要な「かたち」の一
つ,「学問の自由」を空前の規模で失おうとしている.
戦前であっても国家が大学の教育・研究内容に直接介入
することは認められていなかった.それがこの法律によっ
て可能になったのだから,実に恐るべき国家制度におけ
る退行であり,アカデミズム・セクタの扱いに関する限
りわが国は独裁国家の仲間入りをすることになる.

 このような重大事態が,最終盤では反対運動も多少は
盛り上がったとは言え,当事者である国立大学教職員の
ストライキもなく,多くの学生が声を挙げることもなく,
また国立大学以外の大学関係者の目立った動きもなく,
いわば「平穏に」進んでしまったことも,この国で進ん
でいる危機の深刻さ--民主主義の腐食と劣化--を示して
いる.このことは本当に深刻に受け止める必要がある.
大学関係者に関しては,「自由度が拡大する」という政
府の説明を鵜呑みにした大学首脳部の見識のなさ,そし
て大学教員でさえ行法化を「学問の自由」の問題と理解
しなかった人が多数いたという事実は,「大学とは何か」
という問いを彼ら自身に投げ返している.

5.マスメディアの負の役割

 また,大手マスメディアの意図的な隠蔽によって,国
民の大多数がこの問題の真実を知ることもなかった.全
国民にとって重要な問題を報道しないということは,国
民が少しでもメディアを信頼している状況では,問題自
体を「存在しないもの」とする効果を持つものであり,
厳しくその責任が問われる.

 しかし大手メディアは,これを反省するでもなく,む
しろ「勝てば官軍」とばかりにこの制度を正当化するこ
とに忙しい.例えば,読売新聞7月11日付社説では,文
部科学大臣による中期目標設定を「最低限の国の関与」
であるとし,文部科学省とうり二つの言葉でこれを正当
化している.国会で野党に「外国に例があるか」と問わ
れて,文部科学大臣は「単純に比較できない」と答弁を
避けた.「国際標準」にうるさい新聞がこのことに無関
心なのは不思議なことである.

 多くの記者たちは問題の深刻さを真に理解し,憂慮し
ていたし,それは主に地方紙には反映された.しかしつ
いに大手メディアの紙面に記者たちの考えが反映するこ
とはなかった.

 メディアの幹部たちが,自分たちを(主として政府に
奉仕する)たんなる「情報産業」に過ぎないと思ってい
るのであれば何をかいわんやだが,もし「報道機関」で
あるという意識を少しでも持っているのであれば,自分
たちのやっていることが「大政翼賛」でないかどうか,
少しは「自己点検」をしてみたらどうであろうか.

6.運動の一つの教訓

 この間の事態の展開は,国大協,組合,教授会,メディ
ア,それに一般市民のそれぞれの特性の問題,関係の問
題について様々な生きた知識を提供するものになってい
る.その中から重要な問題を一つだけ指摘したい.それ
は「参加」の問題である.

 国大協が文部科学省の「調査検討会議」に参加したこ
とが,国立大学が全体として行法化に巻き込まれていく
重要なステップとなったことは今や明かであろう.そう
ならない可能性があったが,力不足であったとか,努力
が足りなかったという問題ではない.そもそもこれは相
手側の罠であり,しかも罠と言うにはあまりにも公然と
したものであった.なぜならこの発足に際し当時の文部
大臣は,「独立行政法人制度の下で、(中略)国立大学
を独立行政法人化する方向で、法令面での措置や運用面
での対応など制度の内容についての具体的な検討に、速
やかに着手」する一環としての会議であると述べている
のである.

 全国ネット結成のきっかけともなった「国大協への署
名」はこの問題を指摘し,調査検討会議からの離脱を求
めたが,全大教やかなりの大学関係者の意見は「外野で
意見を言っても仕方がない」というものであった.ここ
には,「官」が主宰するものを「内野」と考える,官僚
中心主義,官僚依存主義とも言うべきものが抜きがたく
存在するように思われる.国権の最高機関は議会であり,
行政府ではないのである.

 同じ型の問題が,「中期目標」作文に関しても生じた.
組合がその内容に注文を付けるのはあり得るとしても,
教員がこれに当事者として加担するのは間違いであった.
このことは,上に述べたように,まさに野党の国会議員
によって国会無視として批判されたのである.一般に
「参加」は重要であるが,何に参加するかが問題である.
決して「注文の多い料理店」に入ってはならないのであ
る.

7.今後の課題 

さて,今後の課題は何か,運動をどう進めるべきかにつ
いて,ごく大まかな提案をしてみたい.その前提として,
法律は国会を通過したとは言え,我々は半年ないし1年
前とは比較にならない程の「資産」を手にしていること
を自覚する必要がある.本質を突く国会審議の議事録,
週刊誌など一部マスコミによる的確な報道,それに意見
広告による国民一般へのこの問題の認識の浸透がある.
そして何よりも,国会議員やジャーナリストを含むさま
ざまな個人や集団のネットワークが生まれている.

 7a 「慣れ」との闘い 

まず何よりも重要なことは,この制度がもたらす状況へ
の「慣れ」と闘うことであろう.この法案に書かれてい
ることが次々と実体化されていけば,次第にそれは当然
のことと見なされるようになり,教育基本法10条,憲
法23条の解釈改悪・改憲が定着してしまう.そうさせ
ないためには,法の実施のすべての局面に目を光らせ,
上位の法に照らしての違法行為が認められれば,あるい
は個々人の権利侵害が認められれば,これを問題化し,
あるいは法廷に持ち込むことも必要となろう.主体は当
事者である国立大学教職員であるが,このような活動を
支援するための市民も含めたネットワークの構築がどう
しても必要である.

 このような監視と告発の活動は,理事への「天下り」
問題など,これまで取り上げられ,また国会でも追及さ
れたすべての点にわたって行われなければならない.
「天下り」に関しては,対象を中央官庁だけに限るべき
ではない.メディアの意図的な沈黙,すなわち隠蔽工作
は,メディア幹部たちもこの分け前にあずかろうとして
いるのではないかという疑いを持たせるに十分である.
しかもこれは従来の「天下り」の概念には当てはまらな
いのである.

 7b 「中期目標」の抽象化 

だれが作るにせよ大学に「中期目標」などという制度は
存在したことがなく,必要性を感じた人もいない.これ
を文部科学大臣が「定める」などということは,上に述
べたように憲法と教育基本法に違反する.したがって,
大学はこの「下書き作り」でこの違法行為に協力・加担
してはならない.これは,90もの大学の目標を大臣と
いう一人の人間が作る(官僚組織が手助けするにしても
最終責任は一人)という法律の非現実性,滑稽さをハイ
ライトするためにも重要である.大学としてのこれへの
関与の仕方としては,この文書を,たとえば教育につい
ては,教育基本法第一条のコピーとするなど,極めて抽
象的なものとするよう文部科学大臣に「意見を述べ」
(法人法30条3項),文部科学大臣が違法行為に手を
染める程度を最小限にするようにしなければならない.
「中期計画」の作成にあたっても同様である.

 法案の提出以前でさえ各大学では「中期目標」の作文
に励んでいたのであるから,このような方針は非現実的
と言われるかも知れない.しかしこれは,法人法を国会
で阻止することが非常に困難だからといって,行法化阻
止のスローガンを非現実的と言うのと同じであろう.つ
まりそれと同様原則的な問題なのである.

 「中期目標」に代わって大学は独自に「将来計画」を
必要に応じて作成・公表し,国民に対するアカウンタビ
リティーを果たすべきである.その中には,大学運営へ
の学生参加,一般市民の関与など,大学運営を民主化し
市民に開かれたものにする方策が「具体的」に示される
ことを望みたい.全国ネットの大学関係者は当事者とし
てこれを努力する.

 7c 教育基本法改悪反対運動との連携 

全国ネットでは,行法化が教育基本法10条の実質的改
悪,「解釈改悪」であることを結成当初から指摘し,改
悪反対運動団体に連携・協力を呼びかけてきた.それは
今年に入ってから少しずつ実を結びはじめていた.今国
会では,教育基本法改悪の法案は提出されずに終わるが,
政府が近い国会でこれを狙っていることは明かである.
我々としても,この法律の明文改悪を阻止する運動に貢
献する必要がある.

 「学問の自由」は大学だけの問題ではなく,高校まで
の学校でも原則的にはこれが保障されなければならない.
そのようにわれわれの,あるいは大学関係者の視野を広
げるためにも,また改悪反対運動団体との真の連携のた
めにも,このことは重要であろう.

 これまで長い間にわたって,文部省・文部科学省は高
校までの教育の官僚支配のシステムを作り上げてきた.
これは教育に於ける様々な歪みを生み出し,特に教育基
本法8条の系統的な無視・抑圧は,今日の若い世代の
「政治離れ」の大きな原因となっている.これは,今回
の行法化反対運動への学生の関与の少なさにも反映して
もいる.大学「法人化」は,この官僚支配のシステムを
大学も含めて完成させることを狙ったものである.

 もしさらに教育基本法が文科省が検討を進めている方
向で改悪されれば,それは再び高校までの教育に--もち
ろん大学にも--跳ね返り,教育内容の面で巨大な網がか
けられる.これを食い止める運動,そして逆に教育基本
法を完全に実施し,そのために実施状況を見直す運動は,
「法人法」廃止のためにも死活的な重要性を持つと言え
よう.

2003年7月22日

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[2] 黒田清「批判ができない新聞」
日本との対話:不服の諸相 ロナルド・ドーア編  岩波書店 94年
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黒田清*「(p.298〜 批判ができない新聞)日本のメディ
アは(中略)本来は現実批判がもとにあったと思うんで
すが、気がついたら、批判できないようになっている。
非常に大きいのは、政治についての批判がぎりぎりのと
ころでできなくなったことです。不幸なことに高度成長
で日本の新聞社は読者も増える、ページ数も増えるなど、
いろいろなことで社屋を大きくしなければならなくなっ
て、特に東京で社屋の土地が無かったから、自民党に頼
んで国有地を安く売ってもらった。読売、朝日、毎日、
産経、みんなそうです。とても大きな借りを作ってしまっ
た。だから新聞記者が一生懸命何かを書こうと思っても、
中枢のところで握手をしていますから、突破できない。
もう一つは、日本の新聞社の経営は、自己資金が少ない。
たとえば朝日や読売にしても、資本金は一億か一億五千
万、いま増資して三億とか五億とか、せいぜいその程度
でしょう。そして銀行は、新聞社と手を結んでおいたら
いいということで、ずっと貸していた。この10年ほどで、
その借入金が一桁か二桁、また増えたわけです。これは
ご存知のようにコンピュータシステムをとりいれたから
です。そうなると金融機関に対するチェックは非常に甘
くなりますね。だから、そのあと、土地問題、不動産問
題、銀行の不正融資と、表に出ているのは知れたもので、
さらにひどいことが金融機関をめぐってはやられていま
すよ。けれども、新聞はさわっていませんね」

(p.303)「・・・はずかしいけれど、そう言われてもし
かたないと思いますよ。特に私は読売新聞にいましたか
ら。読売新聞の幹部がどういう考えで新聞をつくってい
るかというのは、社内に発表される社内報で知っていま
すから。それに私自身が辞める前は編集局次長で首脳会
議に何年か出席していたわけですからね。その時に驚い
たのは、新聞記者、ジャーナリスト、マスコミの役割は
−−あの人たちにはジャーナリストもマスコミもみんな
一緒です−−政府が行政を行うのをサポートすることだ、
と言われたことです。私は三十年以上政府権力をチェッ
クするという考え方だったんですけれど、最後の数年は、
サポートするんだとトップは考えて紙面を作るようになっ
ていた」
* http://homepage1.nifty.com/okonomigaki/200008/a2.html

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[3] 渡邊信久氏サイト日記風雑記7/22「総長メッセージ」
http://castor.sci.hokudai.ac.jp/~watanabe/diary/2003/07/22/
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北海道大学のホームページに,7月18日付で北海道大学
長が「総長メッセージ」を掲載している.
http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/massage-2003-07.htm 

この中で,国大協の見解と国立大学長会議での遠山文科
大臣の挨拶の「ポイント」が紹介されている.学問の自
由を守り,大学の自主性、自律性を尊重するという文科
大臣の挨拶も全く額面通りに評価している.しかし,7 
月9日の 日経新聞記事*でも明らかなように,現実的に
は,今の大学が「自主的」「自律的」であることは相当
困難なことなのではないか.
* http://castor.sci.hokudai.ac.jp/~watanabe/diary/2003/07/09/

「部局の都合や関係教員の都合で、北海道大学として必
要とされる教育改革を阻止しないことが肝心と考えてい
ます.」とまで書かれている.「総長」には,我々ゴマ
メどもの心配を共有出来ないのはなぜだろうか?

しかし,この「メッセージ」中には「自主的」ないし
「自律的」が 11回も出て来る.これは実は何かの裏返
しではないのか.」

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[4] 落合恵子(作家)氏他:社民党の辻元さん等の逮捕に対する声明および賛同のお願い
    [JCJふらっしゅ]2003/07/22 153号より
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000102032
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「7月18日、社民党・前代議士、辻元清美氏ほか3人
が秘書給与詐取事件で逮捕されました。「秘書給与」の
流用に関する辻元氏の行為は、本人も認めるとおり違法
なものであります。しかしながら、私たちはこの逮捕に
大きな疑問を抱かざるを得ません。すでに疑惑発覚から
1年数ヶ月が過ぎており、また、辻元氏自身に逃亡の恐
れや証拠隠滅の動きがない現在、逮捕しなければならな
い理由は、ほとんど見当たりません。考えられるのは、
衆議院の解散・総選挙が具体的日程にのぼり、辻元氏の
地元大阪での市長選挙、知事選挙が間近に迫っていると
いうことです。

 つまり、彼女の手足を縛ることが目的であったという
ことでしょう。

 権力側が市民運動出身の代議士であった辻元氏を、政
治的思惑によって逮捕したことについて、私たちは、国
民の政治参加や行政監視を抑え込む「暗く危険な体制」
の到来を予感します。この際、口をつぐむことなく国民
に向かって警鐘を鳴らし、当局への批判を促したいと考
えます。次ページの「声明」にぜひ御賛同ください。お
断りしておきますが、私たちは、社民党あるいは土井た
か子さんの応援団ではありません。ふだん、社民党に対
して批判的な方々にこそ賛同人に加わっていただきたい
と考えています。

 社民党への攻撃の後、狙われるのは私たちです。

  落合恵子(作家)
  喜福 武(元日本経済新聞社編集局次長)
  斎藤 駿(カタログハウス社長)
  佐高 信(評論家)
  知花昌一(読谷村議・反戦地主)
  吉武輝子(評論家)
  今井 一(ジャーナリスト)

*「声明」は記者会見において発表します。

会見は、7月23日(水) 午後4時より 参議院議員会
館にて行ないます。都合がつく方はぜひ足を運んでくだ
さい。

*賛同される方は以下にお願いいたします。
●電話:090−3036−0450
●FAX:03−5570−5504
●Eメール:meiyaku@athena.ocn.ne.jp
お名前と肩書きか、居住地をお書き下さい。

・・・」
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編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
国公立大学通信ログ:http://ac-net.org/kd