自衛隊のイラク派遣に反対する研究者の声明
2888 visits since 2003.11.20

自衛隊のイラク派兵に反対する

2003年12月15日

平和と民主主義のための研究団体連絡会議


 12月9日、小泉内閣は自衛隊をイラクに派兵する「基本計画」を臨時閣議で決定した。「基本計画」によれば、派兵する自衛隊は陸・海・空あわせて1000名を超え、装輪装甲車や無反動砲などの重装備で武装した大部隊である。これにより防衛庁長官の定める「実施要項」を受け、小泉内閣はイラク派兵を年内ないし新年早々に強行すると伝えられている。

 自衛隊派兵の根拠となるのは、先の通常国会会期末にわずか1カ月ほどの審議で強行成立させた、「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」(以下「イラク特措法」という)である。しかし、イラク特措法は、「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」地域に限って、自衛隊の派兵を認めたものである。

 去る5月1日、米ブッシュ大統領はイラク戦争での大規模な戦闘作戦の終結を宣言したが、決してイラク戦争の終結を宣言してはいない。イラク戦争を引き起こした張本人であるブッシュ大統領でさえ戦争の終結を宣言していないのに、いったいイラク国内のどこに「非戦闘地域」があるのか。現に自衛隊の派兵予定地サマワから100キロメートルしか離れていないナシリヤでは、11月12日にイタリア警察軍駐屯地が自爆テロ攻撃を受け、28人もの死者が出たばかりである。イラク特措法にもとづく限り、自衛隊のイラク派兵は現状では到底認められないはずである。

 また、11月29日にバグダッドの北方150キロメートルのティクリートで、日本の外交官2人を含む3人が銃撃・殺害されたことも私たちの記憶に新しい。さらに、イラク派兵は無法なイラク戦争を支持した小泉内閣による米軍の占領体制を支援するためのものとして受け止められ、自衛隊の行く先が「戦闘地域」になるとまで言われている。

 もし自衛隊派兵が強行されるならば、第二次大戦後初めて「戦闘地域」に武装した自衛隊が送られることになる。しかし、それはイラク特措法に違反するばかりか、50年前の1954年に保安隊・警備隊が自衛隊に改称される際に参議院本会議で全会一致で決議された「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」にも違反する。また、それは中東諸国から、無法なイラク戦争を支持した小泉内閣による米軍の占領体制を支援するための派兵として受け止められるに違いない。実際、イラク特措法にもとづく安全確保支援活動は、米軍による武装勢力掃討作戦に加担するものでしかなく、武力行使を禁止した憲法にも真っ向から違反するものであると言わざるを得ない。

 もちろん現在のイラクには電気・水道・下水・医療施設・教育施設などのインフラの再建が必要で、人道復興支援活動が緊急に重要であることは論を待たない。しかし、それは武装した自衛隊がやるべきことではない。イラクにおける人道復興支援の道を切り開くためには何よりも先ず、米軍による占領支配から国連中心の人道復興支援の体制に移し、米占領軍の撤退をはかることが必要である。こうした国連中心の体制のもとでこそ、小泉内閣は非軍事に徹した人道復興支援活動をすべきである。

 憲法に違反し、国会決議にも違反し、イラク特措法に違反する自衛隊のイラク派兵を、小泉内閣は直ちに止めるべきである。私たち平和と民主主義のための研究団体連絡会議は、自衛隊のイラク派兵を小泉内閣が直ちに断念することを強く要求する。

          2003年12月15日
                     平和と民主主義のための研究団体連絡会議