国立大学法人法案の賛否を問う ac.jp ドメイン全体投票

  投票権:ドメイン名がac.jpで終わる電子アドレスを持つ人
  投票期間:5月10日(土)〜6月13日(水)(第二集計日:5月14日)
  投票所:http://ac-net.org/rfr

研究と教育に関係あるすべての方へ

  4月3日に国会審議が始まりました国立大学法人関連法案の賛否を問うレファ
レンダム(全体投票)への参加を呼びかけます。

  国立大学の独立行政法人化政策は、大学に対する中央官庁と企業の影響力を
格段に強め、憲法と教育基本法が重視する教育・研究活動の独立性と公共性を
損うことが、旧文部省を含め大学内外の全関係者によって当初から認識され、
その問題を解決するために4年間が費やされました。しかし、審議中の「国立
大学法人法案」が呈示する国立大学法人制度は、問題が解決されていないだけ
でなく、大学組織の詳細な規定が追加されているために、独立行政法人制度よ
りも大学の自律性を損なう度合が強いものとなりました。

  そのため、2月中旬に24の国立大学が、法案概要について様々な問題点を
指摘し、総会開催を求める声が高まりましたが、2月24日に開催された国立
大学協会理事会は、法案が未公開であることを理由に、総会開催の決定を先送
りしました。法案は直後の2月27日に公表され、各地区で学長説明会は開催
されましたが国立大学協会としての意思表示がないまま現在に到っています。

  それにもかかわらず、国立大学協会幹部の一部と文部科学省は、国会議員に
対し、国立大学協会は法案に基づく法人化に前向きに意見がまとまった、と説
明しており、与党議員の中で法案による法人化を懸念する方々も、当事者が賛
成しているのでは仕方がない、と沈黙していると聞きます。

  日本の現代史において、現場の意見を無視して行なわれる中央の意思決定が
大きな災厄をもたらすことがしばしばありました。このまま、大学の現場に居
る教官・事務官・技官・非常勤職員・院生・学生の声が無視されたまま法案に
よる法人化が断行されるならば、近未来に日本の大学全体が衰退する危険性は
極めて大きいことが危惧されます。

  法案に直接関係する国立大学と大学共同利用機関の全関係者には各々の立場と
経験から法案を精査し、その是非について意見表明するようお願いします。しか
し、教職員の多くは、所属する組織への影響等を懸念し声を上げにくい状況に置
かれていますので、判断を率直に表明できるよう、電子的な全体投票を行うこと
にしました。

  国立大学法人法案および、それと一括審議されている諸法案の可決は、国立
学校だけでなく公立大学に直接的影響を与えるだけでなく、長期的には私立大
学の有りかたにも多大な影響を与えることが予測されますので、日本の教学関
係者全員が、この法案の当事者であると考えることができます。そこで、第二
期では、ac.jp ドメイン名のアドレスを持つ人は全員投票権があるものとしま
した。教学関係者の大半がac.jp ドメイン名のアドレスを持ち、逆に、ac.jp 
ドメイン名のアドレスを持つ方は、教学の諸活動に近いところにおられるから
です。(ac.jp ドメイン名以外の教育研究機関には個別に対応します。)

  この法案の下で日本の大学全体が真に発展するのかどうか、教育と研究の現
場における各々の経験と未来世代の視座の双方に立って精査し、その結果を社
会に表明し、歴史的責務を果されんことを、国立大学および大学共同利用機関
のすべての構成員だけでなく、大学および研究機関の、学生を含む教学関係者
全員に、わたしたちは呼びかけます。

呼びかけ人

池内 了(名古屋大学)、上野 純包(都城工業高等専門学校)、落合豊行
(奈良女子大学)、加古冨志雄(奈良女子大学)、 神沼公三郎(北海道大
学)、小森 陽一(東京大学)、近藤義臣(群馬大学)、佐藤清隆(広島大学)、
白井浩子(岡山大学)、鈴木恒雄(金沢大学)、田端博邦(東京大学)、辻下 
徹(北海道大学)、仲尾善勝(琉球大学)、永井 實(琉球大学)、中村富美
男(北海道大学)、服部昭仁(北海道大学)、藤原 昇(奈良女子大学)、藤
本喬雄(香川大学)、古川 泰(高知大学)、山口二郎(北海道大学)、安野
正明(広島大学)、和田 昌昭(奈良女子大学)、渡辺信久(北海道大学)、
渡辺勇一(新潟大学)