国立大学法人法案の賛否を問う電子レファレンダム(全体投票)

  対象機関:国立大学・大学共同利用機関
  対象者:学部学生・大学院生・教官・事務官・技官・非常勤職員
  投票期間:4月28日(月)〜5月7日(水)
  投票所:http://ac-net.org/rfr

国立大学・大学共同利用機関の全構成員のみなさま 4月3日に国会審議が始まりました国立大学法人関連法案の賛否を問うレファ レンダム(全体投票)への参加を呼びかけます。 国立大学の独立行政法人化政策は、大学に対する中央官庁と企業の影響力を 格段に強め、憲法と教育基本法が重視する教育・研究活動の独立性と公共性を 損うことが、旧文部省を含め大学内外の全関係者によって当初から認識され、 その問題の解決のために4年間が費やされました。しかし、審議中の「国立大 学法人法案」が呈示する国立大学法人制度は、問題点が解決されていないだけ でなく、大学組織の詳細な規定が追加されているために、独立行政法人制度よ りも大学の自律性を損なう度合が強いものとなりました。 そのため、2月中旬に24の国立大学が、法案概要について様々な問題点を 指摘し、総会開催を求める声が高まりましたが、2月24日に開催された国立 大学協会理事会は、法案が未公開であることを理由に、総会開催の決定を先送 りしました。法案は直後の2月27日に公表され、各地区で学長説明会は開催 されましたが国立大学協会としての意思表示がないまま現在に到っています。 それにもかかわらず、国立大学協会幹部の一部と文部科学省は、国会議員に 対し、国立大学協会は法案に基づく法人化に前向きに意見がまとまった、と説 明しており、与党議員の中で法案による法人化を懸念する方々も、当事者が賛 成しているのでは仕方がない、と沈黙していると聞きます。 日本の現代史において、現場の意見を無視して行なわれる中央の意思決定が 大きな災厄をもたらすことがしばしばありました。このまま、大学の現場に居 る教官・事務官・技官・非常勤職員・院生・学生の声が無視されたまま法案に よる法人化が断行されるならば、近未来に日本の大学全体が衰退する危険性は 極めて大きいことが危惧されます。 国立大学の全関係者に、各々の立場と経験から法案を精査し、その是非につ いて意見表明するようお願いします。しかし、教職員の多くは、所属する組織 への影響等を懸念し声を上げにくい状況に置かれていますので、判断を率直に 表明できるよう、レファレンダム(全体投票)を行うことにしました。 この法案の下で日本の大学全体が真に発展するのかどうか、教育と研究の現 場における各々の経験と未来世代の視座の双方に立って精査し、その結果を社 会に表明し、歴史的責務を果されんことを、国立大学および大学共同利用機関 のすべての構成員にわたしたちは呼びかけます。 呼びかけ人 池内 了(名古屋大学)、落合豊行(奈良女子大学)、加古冨志雄(奈良女子 大学)、 神沼公三郎(北海道大学)、小森 陽一(東京大学)、近藤義臣 (群馬大学)、佐藤清隆(広島大学)、白井浩子(岡山大学)、鈴木恒雄(金 沢大学)、田端博邦(東京大学)、辻下 徹(北海道大学)、仲尾善勝(琉球 大学)、永井 實(琉球大学)、中村富美男(北海道大学)、服部昭仁(北海 道大学)、藤原 昇(奈良女子大学)、藤本喬雄(香川大学)、古川 泰(高 知大学)、安野正明(広島大学)、和田 昌昭(奈良女子大学)、渡辺信久 (北海道大学)、渡辺勇一(新潟大学)