福岡高裁決定070319 (概要)

主文: 本件抗告を棄却する。抗告費用は抗告人の負担とする。

福岡高等裁判所の判断

  1. 抗告人の申立てをいずれも却下した地裁決定は相当であると判断する。
  2. 地裁決定の補正
    1. 債務者(学校法人立命館)が債権者(常勤講師)を雇い止めしたことが解雇権の乱 用とまではいえないことを示す事情(消極事情)として地裁が列挙したもののうち 、次の2点を削除する。

      (1)「結果的に不採用となったものの、債権者にも上級講師や任期制教員等への応募の機 会が与えられた。」

      (2)「債務者が、学生定員の増員を図りつつ教育の質の向上を図るため、教員組織整備計 画のもと、常勤講師の職位を廃止したことには必要性・合理性が認められる。」

    2. 「消極事情が多数存在する」という地裁決定の表現を「消極事情が複数存在する」 に改める。
    3. 「**教授の軽率な発言については、これに起因する損害について主張立証がなさ れた場合には、債務者が使用者として損害賠償責任を問われる余地が理論的にはあ り得るが、これを超えて、教員組織整備計画の根本的見直しを余儀なくさせるよう な法的効果までを認めるのは妥当でない。」を削除する。
  3. そのほかは概ね、地裁決定「理由」欄の「第3 争点に対する判断」の1項ないし5項 に記載のとおりである。

よって、本件抗告は理由がないから棄却することとし、主文のとおり決定する。