2010.6.29 鈴木元氏から常任理事へ

学校法人立命館常任理事構成員の皆様へ NO2 

2010年6月29日  鈴木 元

(転載者の註:固有名は転載時に伏せました)

先日(6月20日)は、6月16日付の常任理事会議決文書「・・足羽史衣氏への対応について」を読んでの私の意見を申し上げました。

続いて少し時間をかけて慰労金問題・一時金問題について整理をして、お知らせしようと思い、頭を整理するために、なにげなく立命館の資料を見ていますと、重大な事を発見しましたので、常任理事の皆さんにお知らせするとともに私の意見を申し上げます。

ゼネコン4社からの出向者受け入れはただちに止めるべきであることを進言します。

本年6月から、立命館にゼネコン各社、具体的には鹿島建設、竹中工務店、熊谷組、戸田建設の4社から各1名、***、****、****、****が出向と言う形式で、立命館大学財務部管財課に派遣されている。

立命館のホームページを注意して見ればこの4名の氏名、連絡先の職場の電話番号や立命館の業務用メール番号も記載されている。

立命館は、彼らの派遣元のゼネコン各社に対して、専門契約職員給与に該当する額(月250000円)を支払い、ゼネコン各社との給与差額はゼネコン各社持ちとし、ゼネコン各社が給与を支払うことになっており、形式的にはゼネコン各社による立命館への「便宜供与」となっている。

言うまでもなく、これら4社は公開競争発注するか特命発注するかは別にして、いずれも立命館が新校舎の建設や改修などにあたって発注する対象となる会社である。

出向者受け入れの概要として

1. キャンパス再整備を進める為の基礎的調査・検討・企画業務をすすめる。

2. 発注業務には関与しないこととし、機密保持を義務づける。

3. 1年単位の契約とする。

出向者を受け入れる理由として「手段として、派遣・業務委託もあり得るが、期間を数年と想定していることと、外部人材の専門的スキル・ノウハウを管財課主導で活用したいこと、出向復帰後より有効な各種施設関係の提案を期待すること等・・」としている。

この文章の前半「期間を数年と想定していることと、外部人材の専門的スキル・ノウハウを管財課主導で活用したいこと」は派遣・委託業務にも該当することで、あえてゼネコン各社からの出向者を受け入れでなくても良いことである。

この提案のみそは文章の後半にある「出向復帰後より有効な各種施設関係の提案を期待すること」にある。立命館に入り管財の人間と一緒に調査・検討・企画をしてきた企業が、入っていない会社より提案においてより実情に即した提案を行える有利な位置に立てることは明瞭である。

当面する立命館の建設・整備事業として対象に挙がっている立命館高校の移転や、衣笠再整備事業の建設発注は、数十億円から数百億円単位で行われる。

立命館がこれから入札する対象の事業について、発注する前にあらかじめ特定会社の社員を出向で受け入れ、発注する側の専門部署である管財の職員と一緒になって、調査・検討・企画作業を進めれば、発注する側の立命館と受注する側のゼネコンの特定会社との間で癒着・腐敗が起こる危険と、入っている会社間の談合の温床になる可能性が高まることは日を見るより明らかである。

なお建設業界では常識であるが、通常建設工事に当たっては、受注した建設費用の数パーセントが住民対策など様々な対策費として使うことが予定されている。これが贈賄や談合の資金としても使われるのである。

いかなる理屈をつけようと、こういう方式をとった場合、そんなことが起こらない可能性より、起こる危険性の方が高くなることは明瞭であり、このようなやり方は行うべきではない。

事前調査や企画も自由競争入札でゼネコン各社に提案させればよいことである。

こうした派遣と受け入れそのものが「法律違反」になるかと言えば、現状の法体系では「絶対に違法行為である」とまで断定することはできない。しかし予測される癒着・腐敗と談合の危険性を少しでも減らす努力をすべきである。今日、コンプライアンスの順守が叫ばれているおり、こうしたやり方は社会常識から通用しないので、「李下に冠を正さず」で、癒着・腐敗と談合の危険性を高め、誤解を生むやり方は行うべきではない。

説明文書によると「このようなやり方は、公的組織や指名業者群を持つ公益事業(電力、ガス、通信等)でも実施されている」としている。

確かに以前はNTTをはじめ公営から民間に移行した企業においては、このようなことが行われていたが、社会的批判もあり近年では取りやめているところが多い。また立命館では財務部が中心となり「指名業者方式は取らないように進める」と主張してきた。

このように非営利法人の教育機関である学校法人が、営利を目的とする会社しかも立命館の施設整備を受注する対象となるゼネコン各社から、施設整備の調査と企画を担当する者を恒常的に出向者として受け入れることは、社会通念上許容されるものではない。

しかも「特別転籍問題で「管理運営上に問題がある」と処分を受け、今回、足羽問題で「特定者に対する便宜供与」で文部科学省から「ただちに止めるように」との厳しい指摘や指導を受けている最中に、このようなことを常任理事会の審議にもかけず実施していることは学校法人の機関運営としては妥当性に欠ける行為である。

いずれにしても、このような「新しい仕組み」を導入する場合は、常任理事会の審議に諮るべきであるが、今回の実施は、常任理事会での審議はおろか常務会でも行っておらず、5月20日の部次長会議においても報告事項ですまされている。そして、コンプライアンスの順守実施の先頭・お目付け役となるべき総務部が、相手方との協議および事務窓口の所管となるなど推進役となっている。

相手方となるゼネコン各社との覚書の立命館側の契約者は****理事長になっている。**理事長は常任理事会や父母会などで質問が出て説明する場合、確信を持って理解と支持を得られると思っているのであろうか。

今回は常任理事会どころか常務会での審議にも付さず、****総務担当常務理事の提案で稟議書で決済し、自らが契約者となった****理事長は癒着・腐敗や談合が明らかになった時には、自ら直接責任を取らざる得ないことを自覚して、このようなやり方を取りやめるべきである。

そしてこのようなやり方を、文部科学省から「足羽問題」の是正を指導されている最中に、「足羽問題」の出発点と同様に常任理事会にも諮らず、理事長に提案し同意を取り付け、稟議書で決済し、理事長を契約者として進めてきた****総務担当常務理事の責任も問われなくてはならない。

ところで、今回のゼネコン各社から出向社員の受け入れを推進するに当たって、提案者は、NTT等を先例としてあげたり、すでに私学事業団などに私立大学側から人を派遣していることを紹介し「問題はないと説明している。

しかし6月11日の「毎日新聞」等の報道によると「私学事業団では、研修生として受け入れている私立大学職員に通常業務をさせ、その給与を私大側が負担。国の補助金を私大に交付する事業団に私大側が利益供与していた疑いが持たれている」と不適切な行為として批判的に報道されている。

さらに6月22日の「朝日新聞」等の報道によると、NTTの主力会社の一つである「NTTデーター」は、特許庁のシステム開発受注を巡って特許庁の担当者にたいして収賄行為を行い、両者の担当者が逮捕されたとの報道がなされており、NTT等の例が紹介すべき例とはならず、むしろ癒着・腐敗の温床になる危険が高いことを示している。

既に起こっている、このような否定的事例を見ても、立命館がゼネコン各社から出向者を受け入れるという今回のやり方は適切ではなく、ただちに止めるべき課題であることは明確であり進言したしだいである。

末尾に、なお前回にも記したことであるが、私は署名入りの責任ある文章しか書かない。私の情報や意見に間違いあれば指摘していただければ、指摘があったことを記載した上で、速やかに修正します。またその他、伝えるべき情報や意見があれば、お教えください。情報源は秘とくの上で、あくまでも私の責任で書きます。

メール : shagime@mtf.biglobe.ne.jp