2010-09-21 理工学部決議文

オリジナル: http://ac-net.org/rtm/campus/doc/2010-09-21-rikou-ketsugi.pdf (passwd: rtm)

転載者註


                              2010年7月27日 理工学部教員会議
                              2010年9月02日 理工学部運営会議
                              2010年9月07日 理工学部学科長会議
                              2010年9月09日 理工学部運営会議
                              2010年9月14日 理工学部学科長会議
                              2010年9月21日 理工学部教員会議


        新中期計画特別委員会報告「立命館大学キャンパスに関する将来構想」への
                            理工学部決議・意見集約

はじめに

現在、立命館学園は、学園の未来を展望していく重要な節目を迎えている。6月から7 月には、立命 館の具体的な将来展開を定める「学園ビジョン」と「新中期計画R2020 」策定に向けた全学的な議 論が、各委員会からの中間まとめを受けて、参加・参画の理念の下に短期間ではあったが、旺盛に 行われた。その後、全学から寄せられた第一次意見集約を受けた各委員会では最終まとめの策定を 進められており、理工学部としては、改めて秋の最終議論を待っていた。また、10 月末の総長選挙 に向け新しい総長選挙規程の下で、理工学部においても、選挙人選挙を粛々と進めてきた。

そうした中で、7 月下旬、今回の新中期計画特別委員会報告「立命館大学キャンパスに関する将来 構想」が全学に提示され、大阪・北摂地区(以下、茨木)に新たなキャンパスを設置する方新案へ の意見集約が9 月末を期限に求められた。

理工学部は、7 月27 日の教員会議において、今回の特別委員会報告に関する議論を行った。その内 容はこの後の決議・意見集約において示していくことになるが、総じてまとめれば、多くの教員か ら批判的意見あるいは反対意見が出され、極めて厳しい受け止めであった。執行部はその後も学科 長会議とも往復しながら意見集約を進め、最終的に9 月21 日教員会議において、学部としての決議・ 意見集約をまとめるに至った。

1.本提案に対する理工学部の決議

冒頭、理工学部として、以下の決議を表明する。

(1)理工学部は、学園の重要政策の意思決定においては、民主的な手続きによる全学合意が大前
    提であると理解している。したがって、学園の将来像を決定付ける新キャンパス展開の判断が、
    極めて拙速な議論で全学合意なしに決められようとしていることに、強く反対する。

(2)理工学部は、新中期計画では冷静な現状分析と将来見通しに基づき、S/T比の見直しをはじめ
    とする教学改革を最重点課題として議論すべきであり、新キャンパス展開をいつのまにか出発
    点としたような議論はすべきでないと考える。新キャンパス展開は、教学改革の具体化を図る
    ものとして位置付けられるべきであり、最終的な判断には、確固たる財政計画や体制等、諸条
    件の裏付けが欠かせない。理工学部は、以下に示す決議に至った12の論点について、その疑問
    を解消するための根拠データとともに納得できる説明が尽くされない限りは、今回の茨木での
    新キャンパス提案について、反対の立場を表明する。

2.理工学部決議に至った12 の論点

(1) 新中期計画で議論されてきたキャンパス条件との乖離

今回の提案は中期計画特別委員会による方針案であるが、中期計画策定議論の物理的条件設定にお いて、新キャンパスを前提した意識が学内的に全くなかった点が指摘されなければならない。理工 学部における新中期計画の議論においても、その出発点は新キャンパス展開ではなく、S/T 比の見 直しをはじめとする教学改善のあり方そのものが中心課題であった。

また、中期計画のフレームワークが議論された第一委員会中間まとめにおいて、仮定条件(この内 容の是非も大きな論点であるが)が3 点(A 学園規模 B 学費 C 附属校)示されたが、根幹となる 学園規模は現行水準とすると示されており、新キャンパス展開はイメージできない。A は学生数で あるとの反論も想定されるが、そうであれば、仮定条件に第4 項目としてキャンパスを入れるべき である。一方で、中間まとめの総長冒頭あいさつ文の中でキャンパス創造の可能性が示されている が、この言及と中期計画第一次意見集約提出直後の7 月末での新キャンパス提案のタイミングには 驚きを禁じ得ない。

また、第二、第三委員会をはじめとする各委員会において行われた議論は、明らかに衣笠・BKC を 軸にしたキャンパス体制を前提に行われており、これほど大規模な新キャンパスを含めた想定での 教学や課外活動展開の議論はなされていない。

新キャンパス提案に対して、理工学部が慎重な意見となった背景には、こうした新中期計画議論と の前提条件の乖離が大きく心理的にも作用している。

(2) 京都・大阪・滋賀の3拠点大学となる立命館の具体的な基本キャンパスコンセプトやグランドデザインの必要性

現在の立命館大学のイメージに「京都」ブランドが入ることには異論がないところであろう。もち ろん、1994 年のBKC 新展開以降、京都・滋賀の2 大キャンパスとなっており、京都単独ではないも のの、半数の学生は京都で学んでおり、京都を軸にしたイメージは維持されている。

しかしながら、今回の新キャンパス提案では、学生数12,000 人均等での3 キャンパスとなっており、 立命館イメージを京都ブランドから、京都・滋賀・大阪のいわば関西の広域連合にシフトさせるも のである。長期的に見た場合、こうした地域イメージで失うブランドリスクが十分に検討されてい るのかどうか、はなはだ疑問である。同志社大学が、近隣の用地買収も含めて今出川キャンパスへ の回帰を進め、京都ブランドを着々と強化しているのに対し、今後、京都ブランドが希薄化した本 学が一層不利になるではないかという懸念は拭えない。

理工学部がBKC 移転を成し遂げた際には、教学的な見地においても、その理念から具体的な教学シ ステムまで、全学の支援の下で徹底的に議論された経験を有しているが、今回の提案にはそうした 理念がまったく示されていない。

いずれにせよ、大学全体を貫くキャンパス立地の基本コンセプトやグランドデザインがないままで 新キャンパス確保だけが先行し、結局後付けとなるような事態は避けるべきである。

(3) 衣笠狭隘化の解消と具体的な移転学部の関係

今回の新キャンパス提案の根幹は、衣笠キャンパスの狭隘化解消であると理解している。衣笠キャ ンパスの狭隘化状況については、理工学部としても十分に認識しており、その解消のために全学合 意の下で新キャンパスを確保することに反対するものではない。

しかしながら、今回の新キャンパスの移転を前向きに検討しているのは、政策科学部と経営学部で あるとされており、学生数1,600 名余りの政策科学部だけが移転しても衣笠狭隘化の解消には程遠 い。端的に言えば、衣笠の大規模学部の移転見通しが立たなければ、新キャンパス確保の意味がな い。その一方で、衣笠の各学部も設立からの歴史的経緯や教学展開から考えれば、京都ではない茨 木キャンパスに移転合意することには解決すべき課題があまりに大きい。現実的には、衣笠・朱雀 と有機的に連携できる中小規模キャンパスを京都に確保する方針も含めた可能性を追求するべきで あると考える。

(4) BKC からの移転の位置付けと交通アクセス

BKC からの移転構想については、衣笠の狭隘化解消とは分けて捉える必要がある。BKC における総 括を踏まえつつ、コストを掛けた上で移転を判断することについて、全学からの支援を受けられる よう理解を求めていく必要がある。

なお、提起文書では、BKC のキャンパス人口問題に関わって、南草津駅からの交通アクセスについ て、道路キャパシティーの限界を根拠として、いきなり「抜本的な大量の交通手段を確保しない限 り、BKC 自体に計算上の学生収容余力があるとしても現実的ではない」と結論付けられているが、 この点には違和感を拭えない。南草津からの交通アクセス問題については、これまで現場からは一 貫して朝のバス増便をお願いしてきているが、道路の物理的限界という説明が返された記憶が全く なく、きちんと根拠も含めて正確な内容が開示されるべきである。

(5) 入試における質の高い学生の確保

新キャンパス展開において、マーケットの観点として入試動向への影響は極めて重要である。兵庫 や大阪南部地域をはじめ、本学が受験生を減らして弱点化している近畿圏の受験者数の増加という 点では、国立との併願構造の強化も含めて、一定の効果も考えられるが、果たして掛かるコストに 見合うだけの増加となるのかについては精緻な予想データの提供を求めたい。さらに、膨大な投資 コストへの効果を真の意味で生かすためには、受験生の増加を見込めたとして、国公立大学や関学、 関大等の私学をはじめとする競合大学との関係において、質の高い上位合格者層の学生が本当に確 保できるかどうかがより重要なポイントである。

こうした入試動向についての見通しについては、早急に入学センターから、全学へのシミュレーショ ンデータの提供が必要であろう。

(6) 短期的および2020 年度以降を見通した財政シミュレーションの重要性

新キャンパス展開に関わる財政見通しは、その判断において最も根幹を成すべきものであるが、今 回の提案文書には具体的な収支見通し等のデータ提示は全くない。新キャンパス確保は数百億円と も言われる投資規模であり、強固なストックを築いてきた本学の財政基盤といえども、今後の外部 環境の変化にも対応できる財務体力の温存も当然ながら必要であり、今後の立命館学園の帰趨を決 定付ける今回の提案については、確固たる見通しが立たない限り、決断すべきではない。

財政収支については、当面の短期的な初期設備投資とそのランニングコストの上乗せ、さらに既存 学部に関わる設備投資・更新費用、現在検討されているS/T 比の改善に関わる教員人件費、新キャ ンパス展開にともなう職員人件費や諸経費見込み等々を勘案した総合的なシミュレーションが開示 される必要がある。

また、短期的な収支だけでなく、18 歳人口減となる2020 年度以降の方向性も見通しておく必要が ある。今回の提案文書では、定員縮小については現実的ではないという結論が導かれているが、果 たして、2020 年度以降についても同様の論旨であろうか。理工学部では、2012 年度の組織再編と カリキュラム改革議論において、2020 年ごろまでは現状の定員規模を維持しつつも、それ以降につ いては学生の質の確保の観点からも定員減を含めた検討があり得ることを議論している。本学は、 当面の18 歳人口の横ばいの後には間違いなく減少という外部環境の激変にさらされることとなるが、 新キャンパスの確保においては、次世代に禍根を残さないためにも、中長期的なキャンパス規模の あり方についての検討も避けてはならない。

(7) 3 拠点を支える教学条件

新キャンパス展開は、言うまでもなく教学を高度化のために判断されるものであり、学生の教学条 件の後退は許されない。その点で、特に、教養、語学、教職、G30 等の共同開講科目への対応が求 められる。教養科目についていえば、理工学部が基本担当者を持つ科目もあるが、3 キャンパスへ の科目担当者をあっ旋することとなる。また、教職課程は50km 範囲のキャンパスは一体のものとみ なされるものの、3 キャンパス体制となった本学が、課程認定上も運営上も1 キャンパスの専任教 員体制で対応できるのか文科省への確認と検証が必要となる。

なお、経営学部の茨木への移転構想と関連して、テクノロジー・マネジメント研究科(以下、MOT) を支える教学体制にも影響は大きい。MOT には、経営・理工・情報理工所属教員が配属されており、 経営学部から配属されている教員が、BKC のMOT への教学負担を引き続き担えるのか(大阪サテラ イトでの負担は軽減されるが)、検討が求められる。

いずれにせよ、従来のやり方のままでは共同開講科目を全学的に支えていくには支障が出ることが 想定される。この点について、教学部の担当セクションから、円滑な教学運営のために必要な具体 的な条件等が明らかにされる必要がある。

(8) 3 拠点での学生の課外活動のあり方

学生の課外活動条件については、第三委員会中間まとめにおいて、不足している活動空間の問題解 決が求められていたこともあり、新キャンパス展開で新たなスペースを確保し、課外活動の高度化 を保証するものとして評価できる面もある。

しかしながら、一方で3 キャンパス化による学生の円滑なキャンパス間移動を支える体制課題が残 されている。提案においては、シャトルバスの運行がその骨子となっているが、現状の衣笠・BKC の移動状況の総括も踏まえつつ、また、学生の履修条件が保障できるのかどうかという教学的観点 からもさらに詰める必要がある。このことは、アメフトやラグビー部等の重点支援クラブをはじめ とする各クラブの拠点と所属学部キャンパスの相違が拡大することとも密接に関連する。

なお、3 キャンパス下でのクラブ・サークルの教職員部長・副部長・顧問の体制問題も検討課題と なる。教職員の所属キャンパスと異なる学生への日常的な支援には、従来以上の困難が発生するこ とも想定される。

(9) 自治体・地域との関係

新キャンパス展開による移転先、移転元の自治体、地域との関係について、特にそのリスク面につ いて、提案文書には示されていない。

茨木市については、新聞報道を受けて、副市長が歓迎の意を示されたが、近隣地域の受け止めはま だ不明である。9 月の補足文書には「地域から熱望されている」と記載されているがこの点の根拠 は示されていない。衣笠キャンパスにおける近隣地域との関係は厳しいものがあることは周知のこ とであるが、BKC においても居住地域と隣接する門は開学以来16 年が経過しても閉鎖されたままで ある。茨木キャンパスにおいても、近隣の居住地域との関係は決して楽観視できるものではない。

また、移転元となる滋賀県・草津市や京都市との関係にも大きな課題は残る。茨木に経営学部が移 転すれば、学生マンションの需給バランスの悪化等、大きな影響は避けられない。公私協力のモデ ルともなったBKC 設立時の自治体からの財政支援等を考えれば、慎重な対応が求められる。

また、南草津駅に新快速を停車させるための運動を地域との協力を元に進めており、理工学部にお いても、短期間で教職員・学生が協力して数多くの署名を集めている。こうしたことに鑑みれば、 提案文書の「新快速の停車が実現すれば、さらに混雑するもの考えられる」という下りは、この積 年の課題で連携協力しているBKC や地域に対してあまりに配慮のないことを指摘しておく。

衣笠の学生が大阪へ移動することらなれば、京都市との関係についても、よほど丁寧な対応が求め られる。京都は学生の街としてアピールしてきた歴史的な経緯や、京都市や他大学とともに大学コ ンソーシアム京都を発展させてきた本学の立場を鑑みれば、京都市から出ることについては、大き な批判を受けるリスクも検討されなければならない。

(10) 3 拠点下での意思決定・事務体制のあり方

立命館における新たな意思決定方法については、サマーレビューにおいても議論が行われているが、 3 キャンパス体制も含めて、結論は得られていない。しかしながら、現状のキャンパス体制におい ても、学園としての一体感を一定レベルで担保しつつ、円滑な意思決定を進めていくことには様々 な弊害が出ているだけに、さらに大きな拠点キャンパスを増やすためには、多キャンパス下におけ る新しい民主的なガバナンスのあり方が提示され、全学的な議論を深めていかなければならない。

また、3 キャンパス体制における事務体制の再構築は大きな課題である。現在の職員層は決して厚 いレベルにはなく、また、36 協定遵守を含めた勤務問題の根本的な解決に向けた途上にあり、今、 各キャンパスの円滑な運営は見通せる現状には全くない。ミドルマネージャーを含めた職員の力量 養成や増員等、着実な実行計画が策定される必要がある。

(11) 京都・山ノ内浄水場跡地の再検討の可能性

(2)で述べた立命館の京都ブランドの堅持を考慮すれば、京都での新キャンパス確保がより望ましい ことは言うまでもない。提案文書では、京都右京区の用地(以下、山ノ内浄水場跡地)の検討結果 も示されているが、茨木との比較検討において、その取得の不確実性を理由に候補から外されてい る。

確かにキャンパス確保の不確実性についてはその通りであるが、少なくとも、最近の新聞報道によ れば、大学キャンパス用地として確保できる可能性も十分にある土地である。(2)で述べた京都ブラ ンドの維持や(3)で述べた衣笠の人文社系学部の教学面を含めた移転条件を考慮しても、その可能性 を再検討すべきであると考える。また、本学が山ノ内の取得には動かず、競合他私大が取得した場 合(例えば、同志社大学等)のリスクについても、十分に検討されるべきである。

なお、9月に山ノ内と茨木の比較検討の補足資料が出され、茨木の圧倒的優位性が示されているもの の、この資料では、山ノ内のリスクだけが記載され、茨木の取得リスクに全く触れられていない点 には強い違和感を覚える。

(12) 新キャンパス提案における学内合意の進め方と客観的なデータ・情報の開示

今回の新キャンパス提案に対する全学討議期間は、到底容認できるものではない。補足資料におい て、体外的な関係をその理由とすることが縷々示されているが、そのことで立命館の命運を掛ける 数百億円レベルの投資判断を拙速に行うことは有り得ない。2005 年以降のガバナンス問題の反省か ら、学園執行部が信頼回復を真の意味で大切にしようとするならば、夏休みを挟んで実質的な議論 が骨抜きとなるような愚は冒さずに、全学の丁寧な議論が保障されなければならない。

合わせて全学の叡智によって間違いのない判断を下すためには、判断が可能となる客観的なデータ・ 情報の開示が不可欠である。今回の提起文書や補足資料については、茨木キャンパスを前提とした、 いわば偏ったデータや情報が目立つと言わざるを得ない。7 月の理工学部教員会議においても、工 場跡地の土壌汚染リスクに対する指摘はなされていたが、こうしたリスク情報については、結局後 追いで出てきた。全学議論が決して誤った方向に流れないためには、例えば、茨木で立命館が実質 的に使える正確なキャンパスの広さ、行政からの支援の中身、その他のリスク情報も含めたバイア スのかかっていない正確なデータ・情報の開示が必須である。

おわりに

今回の新キャンパス展開の提起については、まず「唐突感」が否めない。新中期計画の中間まとめ に対する意見集約を提出した直後に、いきなりその中期計画全体の枠組みの根幹条件となる、極め て具体的な新キャンパス提案である。新中期計画の最終案のまとめについても、当初は9 月末に収 束させるテンポが提案されたものの、議論の時間的保障がないことが全学から指摘され、年末まで 延長された経過があった。にもかかわらず、今回の新キャンパス提案については、それに替わるか の如く9 月末集約である。重要課題にも関らず、議論時間の保障が繰り返し論点となってしまうこ と自体が、生産的ではない。また、新キャンパス提案により、本筋である新中期計画の最終答案に 向けた全学の意識が弱まっていることも指摘しておきたい。

そして、何より、今回の提案に対する「不安感」が否めない。その根幹は、財政見通しである。新 キャンパス展開、長岡への立命館中高の移転という2 大プロジェクトに加えて、現在議論されてい るS/T 比の改善、そして2012 年改革を進めている理工学部をはじめとする各学部からの教学改革に ともなう設備の刷新要求等々、大きな予算を必要とする取り組みは全学で目白押しである。また、 日本経済の先行き不安という外的な環境を考えれば、一定レベルの財務体力を維持して、危機に対 応できる備えも必要となる。強固な財政基盤を積み上げてきた本学ではあるが、本当にこれだけの 投資を行っても大丈夫なのか、2020 年以降の18 歳人口の減少期にも勝負できるのか、具体的な根 拠が示されていない中で、果たして今、決断することができようか。

今、我々に求められているのは、立命館の未来のための冷静かつ丁寧で慎重な議論である。

                                        以 上