新キャンパス構想についての経営学部・中間的意見集約について

2010 年9 月29 日: 経営学部長

1. 経営学部教授会では別紙のように、新キャンパス創造をめぐり6 月8 日、7 月13 日、7 月27 日、9 月7 日まで議論を進めてきた。各回の教授会における議論状況の概要は、別紙に記載した通りである。

2. とくに9 月7 日の教授会では、8 月3 日の企画委員会での論議状況の報告・説明をうけて議論し、まとめとして以下の2 点を基本的に了承している。(6ページ参照。議論を継続するという意味で、議事録上では結論を明記していない。)

①土地購入については了解する。

②どの学部が移転するかも含め、今後、移転構想について慎重に論議していく。

3.昨日9 月29 日の教授会においては、9 月22 日付の特別委員会文書「新中期計画特別委員会検討報告」の概要を学部長から説明した。それについて特に異論や疑問は出されなかった。次に、より丁寧かつ率直な議論をするために30 代、40 代、50 代、60 代の年齢階層別に分散会の形式で、学部移転を視野に入れつつ率直な議論をした。

以下に見るように、茨木への移転について強い反対論はなかった。BKC 移転の成果と教訓を総括する必要性については、移転を経験した40 歳代以上で主張された。また移転に伴う教学問題の解決の必要性とその重さについても共通認識を持っている。とくにこれからの経営学部を担う30代の若手教員は、圧倒的多数が移転に賛成で、それぞれが研究・教育の具体的な思いを持っていることが確認された。経営学部では、今後も引き続き議論を深めることを予定している。

60 代教員の分散会では、以下のような主な意見が出された。

1)BKC への移転経緯の正確な総括の必要である。厳しい外部からの「働きかけ」の事実や移転を決定した時点では明確な学部構想を持っていなかったこと、その後「国際経営学部構想」を学部で決めた後に見直しを迫られて、「文理融合」コンセプトにまとめられていった。

2)BKC 移転構想の挫折の指摘と成果と問題点の総括の必要である。移転当時掲げられていた教学高度化構想のいくつかは、実現せずにむしろ研究・教学において衣笠時代よりも水準が低下したものが見られるので、BKC 移転の総括をしっかりすべきだとの意見があった。

3)その他;移転に伴い新キャンパス・BKC で外国語教育をどのように維持・発展させるのか、BKC 移転以来、衣笠社系学部と分断されたことで大きく低下し続けている研究条件、研究力を移転を機会にどのように向上させるのか、総合性に欠けたBKC キャンパスの図書館の問題点を移転によって繰り返さないことなどの論点が指摘された。

50 代教員の分散会では、以下のような意見がだされた。

①受験生確保よりも、教学の充実が重要であるが、立地そのものはばかにできない要素ではある。また茨木は良好な立地の反面、京都に比べ場所そのものの個性があまりないという点からすると、明快なキャンパスコンセプトが必要である。

②各キャンパスが自立して運営できることが必要である。意思決定と運営の分権化は必須であり、同時に教養や外国語などもそれぞれのキャンパスごとである程度自己完結しておく必要がある。

③これまでのキャンパス展開は、次々と建物を狭い敷地につめこんできたのが実情で、そうしたやり方を根本的に転換することをしないと、新キャンパス展開の意味はない。その意味では、おもいきった緑地スペースの確保などが必要で、それは逆にJR の電車から見た時に絶大な広告効果も発揮するだろう。

40 歳代は以下のような意見が出された。

共通の認識:衣笠キャンパス問題解決が基本に据えられるべきである。我々は、慎重な議論を学部改革論議とあわせて進めることによって、経営学部の将来展望を開くために進めてゆく。

個別意見

①キャンパス移転は、より長期のスパンで正確な評価を行うべきである。移転にあたっては、持続的な改革の実施と地道な教学改善を進めることによって教学内容の改善を図り、差別化に繋げるべきである。

②今回の移転の提起は従来の「括弧つき」の「民主主義的な」やり方であり、結論ありきの感がぬぐえない。全学が抱える問題を学部の立場からリストアップした上で、シナリオを描く必要がある。

③過去の歴史を振り返れば、同志社に比較して、常に立命館は後手に回ってきた。例えば、同志社は、1960 年代に早くも田辺キャンパスを購入しており、今また都心回帰の流れに乗っている。どの学部が茨木に移転するかによって描くコンセプトが変わってくる。

④現在のBKC の混雑状況を考えれば、ここから「脱出」することには賛成だが、一方で語学教育が軽視されていると感じており、安易な「外注化」などは再検討するべきである。また、事務体制もわずか50 名の増員となっているが、これで本当に移転展開ができるかどうか、大いに疑問である。

⑤これまで銀行に勤務していた経験からすれば、BKC 移転後の立命館大学および経営学部に対する企業からの評価が急上昇した感がある。どこが問題であったか正確な検討を続けることが必要である。

30 代の分散会では以下のような意見が出された。

①自分の専門分野にとって必ずしもBKC の教育・学習環境はよくない。インスがなくなった今、施設・環境を新たに茨木での今後の展開に期待している。②学生の目から見ると、茨木のほうがよい。③言語教育の観点からすると3 キャンパス間の調整は難しい。図書館機能分散してしまう。④茨木の土地柄としての具体的イメージがわかない。⑤ミナミ(岸和田・富田林)を高校訪問した結果、BKC は選択肢に入らない。移転に賛成。⑥前任校では立地が改善し、大学のランクが上がった。茨木であればアルバイトの条件も良い。BKC はバスの込み具合は最悪だ。⑦新キャンパスのコンセプトを作って進出すべき。⑧移転に賛成。心理、法、経済と一緒に行ってシナジーを発揮してもらいたい。⑨留学生を集めるという観点からは茨木に出るべき。学生にとってアルバイト市場の大きさは重要。⑩高校訪問(奈良)からの感触では、BKC も茨木も変わりない。研究面でいえば、自分の専門からみると都会に出て行きたい。⑪受験生の目線から、茨木に移転すべき。成否はコンセプト次第である。機能の重複(図書館機能)を配慮すべき。北摂の人々はJR を使わない。阪急からのアクセス改善も検討すべきである。⑫受験生の観点からも学問の観点からも、移転するメリット大きい。交通アクセスは重要。経営学・アジア経営学・財界との関係を考えたとき、茨木は良好である。⑬茨木に進出し、技術経営、技術マーケティング、デザイン経営、デザインマーケティングなどの切り口でアジアへの情報・人材発信をしたい。