立命館大学キャンパスに関する将来構想意見まとめ(生命科学部・薬学部 )

                                  2010 年9 月28 日

                               生命科学部・薬学部教員会議

立命館大学キャンパスに関する将来構想意見まとめ

2020 年を見据えたときに、現在の学園規模、衣笠、BKCを取り巻く状況を考えると、今次第4キャンパスを前向きに検討することは妥当と考えられる。その際、十分な議論と綿密な財政計画の下で、冷静な判断が求められる。今後、立命館大学が広く社会から支持され、教育と研究の質的向上を目指すためには、キャンパス問題は避けて通れない課題である。その前提となるのは、以下の条件の実現であろう。

1)衣笠・BKC キャンパスの物理条件と教育研究条件の改善(既存キャンパスの再整備)

2)新中期計画の実現:「人的体制の強化」

現在、衣笠、BKCともに、教室条件、個人研究室、実験研究室、食堂問題など、物理的環境の改善が差し迫った状況にある。とりわけ、衣笠は、校地面積や改修時期を迎える校舎が多数存在し、地域住民との関係からも、これらの課題の解決策を見つけるのは困難であろう。また、BKCは、衣笠との比較において、面積の制約は厳しくはなかったはずであったが、問題を先送りしてきたことが、現在のBKCの状況を生んだといえる。とりわけ、文系学部に比べて、広大なスペースが必要な理工系学部では、大学院生の急増に対応できず、教員の個人研究室をはじめ、実験研究室・ゼミ室が大幅に不足する事態が生じ、物理的教育研究条件には厳しいものがある。また、生命科学部・薬学部の設置後、医療薬学教育の急激な変化への対応も求められている。これらの課題に応えるため、施設整備が必要であるとした記述は、生命科学部・薬学部として評価できるが、その施設整備についても1)のキャンパス整備とあわせて具体的な計画案が示される必要がある。

新キャンパスの最有力候補地の地理的条件は、駅に至近距離で、校舎の高層化が可能で、まとまった広さがある点で、大変魅力的に思われる。また、産業界の連携など大きなポテンシャルを秘めている。一方、受験生から見たとき、全国型の本学にとっては、京都色が希薄化することは危惧される。したがって、地理的な優位性だけではなくキャンパス自体の魅力を高める必要がある。「ゆとりと魅了的なキャンパス」とするために立命館大学自身の努力もさることながら、自治体の全面的な協力も不可欠である。新キャンパスの取得により、4キャンパス間で教育・研究・管理の運営体制を構築する必要があり、学生定員を維持したままの展開では大幅なコスト増になり、新たな財政的計画の策定が必要である。

新キャンパスの建設には、BKC展開の歴史に学び、つぎはぎ的に行うのではなく、立命館大学が有する諸問題の抜本的解決策として機能するように、立命館100 年の発展を考慮した論理設計を伴って実行すべきてある。