転載者註:転載時に個人名は原則として伏せ字にした。
9月29日の常任理事会において各学部教授会をはじめとして各部門から「特別委員会の茨木キャンパス問題提案の審議状況についての報告が行われた。
その結果5学部教授会(法、産社、国際、理工、経済)が提案されていた「10月決定に明確に反対を表明した。
衣笠キャンパスの狭隘克服を大義名分にし、提案者から、あたかも移転の意思があるかのように報告されていた政策学部も移転では意志がまとまっていないことが明らかにされた。また賛否が定まらず「慎重に進めてほしい」としている文学部は「衣笠に残る」ことを表明し、結局、現段階では衣笠のどこの学部も茨木への移転を表明しなかった。
また、もう一つの移転対象学部と言われていたBKCの経営学部も「(i)土地の購入については了解する。(ii)どの学部が移転するかも含め、今後、移転構想については慎重に審議していく」としている。
したがって、この間、提案者が各種文書で記載していた「政策科学部と経営学部が移転する」という話自身が、違っていたのであった。
常識的に言って、これでこの話はいったん取りやめとすべきであり、最低でも私を含めて色々な人が言っているように、10月31日の総長選挙後にじっくりと検討し直すことにしなければならない。
にもかかわらず長田豊臣理事長、そして川口清史総長は茨木購入を既定方針かのごとくふるまい、10月22日の理事会、評議員会での決定を前提にしたかのような常任理事会等のスケジュールを提起した。
長田豊臣理事長、川口清史総長は各学部に対して「土地を購入するから移転してくれ」と説得に回るのであろうか。教学優先どころではない本末転倒である。なぜそこまで茨木移転にこだわるのか、全学を納得させられる合理的説明が求められる。
すでに私が指摘しているように、キャンパス問題というのは教学の必要性から出て来るものであり、この問題で全学の意見が分かれても強行し、新たな不団結を生じさせるようなことは学園運営としては愚の骨頂である。
提案者達は「土地の購入や建物の建設契約は理事会専決事項である」とし、反対があっても「理事会が決定すれば良いことである」としている。この人々は大学の運営とはなんであるかを全く理解していない。
制度的には、土地の購入や建設の契約は最終的には理事会での決議事項である。
私も既に言っているように、衣笠やBKCの周辺に適当な物件がある時、それを購入するのに全学討議による合意など必要はない。理事会の判断と責任で購入すればよい。しかし立命館大学を3分割し、茨木に第3キャンパスを設置するというようなことを全学合意無しに進めても良いということにはならない。
大学は教育と研究を目的とした自発的創造的労働によって成り立っている職場である。戦略目標の一致による教職員の自発性抜きに教学をはじめとする日々の運営は成り立たないし改革などできない。現在の時点では、多くの教職員が疑問を呈し10月決定・契約に合意していない。
このような下で「理事会の権限」を振りかざして決定しても、何百億円かけて土地だけは購入されるかもしれないが、どの学部も移転しなかったり、茨木に行く学部が出てもきても3キャンパス化に伴う問題の解決に教職員が自発的に創意工夫を発揮することなく、学園の運営は困難に陥ることは火を見るより明らかである。
この間、学園は、一時金カット、慰労金、ガバナンス文書、評議員選挙問題などで混乱と不団結を産んで来た。これらの原因は基本的に執行部側の責任に属する問題であり、とりわけ長田豊臣理事長、****常務理事の責任に帰するところが大きい問題である(詳細は、今後別途報告する)。全学から信頼されていないこの二人が、今回、再び乱暴なやり方で茨木キャンパス問題を進めようとして混乱を引き起こしており、その責任を明確にする必要がある。
さらに注視すべきは、川口清史総長が「茨木キャンパス問題」とかかわって「まず新キャンパスを確保し、教学展開は後から考えればいいなど」教学機関の最高責任者としては、あるまじき言動を行っていることである。混乱が広がるにつけその責任が問われざるを得ないだろう。
「山の内」は私自身が2年前から当たってきた。 市長、副市長、担当の室長とも直接折衝した。 1 この件は随意契約としてほしい 2 6万平米を売ってほしい。 京都市からは「いくらお金を積んでもできませんよと言われただから、 その段階で可能性が無いということです、これが事実なんです 3 しかもあの土地は色々な薬品を使っていて、かならず土壌汚染がある。京都市が市有地の売却を随意契約で行うことなど基本的にはできない。形式上、公募とした上で、価格を含めて適切な提案をしてきたところを総合的に判断して対象とし、議会の承認を得て売却するのである。
「山の内」の浄水場は4,6ヘクタールである。その北側を含めて「6ヘクタールを売ってほしい」などを随意契約とセットして申し入れ提案すれば、京都市の立場としては「出来ませんと」言わざるを得ない。
自治体について無知なのか、横着なのか分からないが、いずれにしても、壊す話をしている。
「山の内にかならず土壌汚染がある」それでは、茨木の土壌汚染はどうなるのか。
京都市の幹部をこれほど愚弄した話はなく、立命館の社会的信用を傷つけただけである。
マスコミに流されている立命館側の立場、ならびに特別委員会の提案の中にもある「山の内は狭いという」立場に立っている限り、12月に京都市から公募があっても応じないことになる。このような馬鹿げた判断・立場・交渉は立命館にとって百害あって一利なしである。彼はどのような資格でこのような行動を取っているのか。
続いて茨木についても黙過できない重大発言を行っている。 「サッポロビールから7月と言われた。そこで学内手続きがいるので『10月まで待ってほしい』と延ばしてもらった。
これは29日の常任理事会での彼の発言「いまごろになって止めるなどと言えば、立命館の社会的信用が崩れます」との発言と符合する。
「7月と言われた。そこで学内手続きがいるので『10月末まで待ってほしい』と延ばしてもらった」この話は今までに報告されていない。
今まで提案者側から言われてきたことは「サッポロビールが固定資産税の支払いもあって急いでいる」「マスコミ報道もあり競争相手が出てきて、立命館より高い価格を言う可能性がでてきた」と言うことを理由にして「10月を期日に契約しなければ、この話はダメになる、という説明であった。
なおマスコミ報道に関しては、私がすでに指摘しているように、その肯定的報道の文面から推進派が流したと推測されるが、なによりも決定的なことは、記事の中に「山の内は狭いので茨木にした」とか「BKCには医学系の展開・・」など、学園の中枢者でなければコミットできない内容が記されていることである。
しかしいずれの話も「10月期限」の根拠としては説得力に乏しいものであった。
私は「業界筋などを調査する限り、3月末まで土壌汚染の工事を行っていた12ヘクタールという大規模な土地の開発を予定する企業については掌握できなかった」また「10月期限という切迫した話にもかかわらず、マスコミにおいても茨木市においても、競争者の出現は掌握されていない。あるというなら出すべきである」と主張してきた。
しかしこの30日の彼の発言では「サッポロビールから7月と言われた。そこで学内手続きがいるので『10月まで待ってほしい』と延ばしてもらった。」と立命館側から10月という話を出しているのである。
その10月という期限が、学内に混乱をもたらしているのである。
彼は、どのような資格と権限でそのような提案と約束をしたのか、明らかにする責任がある。これは明らかに彼の職位、権限を超えた行為である。
立命館の運営は、常任理事会で教学構想に伴う基本方向が確認され、その上で財務が中心になって対象地域を探し、提案し議決することになっている。しかしこの間の動きを見るとどこでも確認されていない「第三キャンパス構想」なるもので、担当部署でない総務担当常務理事である****が京都市、サッポロビール、茨木市とかってな交渉を行い混乱を引き起こしている。
なお当日の部次長会議において、茨木市からの立命館の支援に関して、彼は「いくら支援してくれるかなど言えない」としている。それでは常任理事会に当初、彼が報告し幻想をふりまいた「茨木市において総額131億円の支援の方向で進めていただいている、とは何だったのか。
なお特別委員会の「財政見通し」の項では「自治体からの協力と財産売却で90億円と記載されている。財産売却とは移転を予定している立命館中・高等学校の深草キャンパスのことであろう。すると自治体からの協力はそれ以下であることは明瞭である。なお(その2)で指摘したことであるが、茨木市長は9月議会答弁において「131億円の支援など約束したことはない」と明言している。何が一体真実なのか。
私は繰り返し言っているが「京都市ならびに茨木市と誰が何時、どのような権限と責任で、誰と、どのような折衝し、どこまで約束しているのかを文書で明らかにすべきであると言ってきた。改めてそのことが求められる。
そして彼のその場限りのいい加減な報告に対して、私が提起した「山の内は無理と判断した理由は」「茨木市が行うと言われている補助とは何か」「土壌汚染をなぜ報告しなかったのか」これらについて私の指摘が正しかったことが次第に明らかになってきている。すみやかに正直に全てを報告しなければならない。これだけ次々と作為的なことが明らかになった今、彼をこれらの交渉から外すとともに、学園を混乱させてきた責任を明確にさせる必要がある。
なお前回報告したことであるが、茨木の土壌汚染に関してサッポロビールのホームページでは「原因不明」と記載されている。10トントラック7000台分の汚染土壌の「原因が不明などあり得ない。
私が国土地理院のホームページから調べた限り、サッポロビールの工場跡地周辺には以前、専売公社の大規模なたばこ工場があった。したがってサッポロビールはその汚染を除去することなくビール工場を作った可性がある。またビールそのものよりもビール缶の製造過程で今回の汚染物質も使用した可能性もある。提案者は汚染土壌除去の工事の真最中の昨年秋に長田豊臣理事長に購入を進言しているのであるから、土地の履歴を含めて徹底的に調査し報告し判断に資する責任があったが行っていない。
これ自身が重大な職務怠慢であり、理事会として正確な判断を妨げる行為である。
いずれにしても、この土壌汚染問題は「済んだこと」ではなく、第三者の手での調査が必要な土地であることは明白である。
私は①立命館が6月1日付で竹中工務店などゼネコン4社からの出向を受け入れている問題について、4社に情報が流れる危険、また4社による談合が行われる危険から即座に止めるべきであると提言した。②続いて、スポーツ健康科学部、衣笠の新体育館の建設のいずれもが竹中工務店が落札していること。そして今回のサッポロビール茨木工場跡地の購入斡旋が竹中工務店から志方弘樹財部付部長ならびに****常務を通じて提案され、茨木キャンパスの工事が竹中工務店を中心に行われる危険があることを指摘した。
ところで立命館、茨木市、竹中工務店、サッポロビールの四者の間につながりがある。これらについて当事者は明らかにし、けじめをつけるべきである。
****常務によると茨木市が立命館に補助等の便宜を提供すると報告してきた。一方、今回の茨木キャンパス展開の提案の担当部局は総合企画室である。その企画室長は****理工学部教授である。彼は、竹中工務店を先頭とするゼネコン四社の出向受け入れ、ならびに茨木キャンパス購入について、常任理事会において推進の立場から熱心に発言してきた。ところが****室長は茨木市の都市計画審議会の審議委員でもある。最低どちらかはやめるべきである。
****財務部付部長はスポーツ健康科学学部基本棟ならびに第二体育館の入札審査などの委員になり竹中工務店への落札の審議に加わってきた。今回、竹中工務店経由でサッポロビール工場跡地購入を持ち込んだのも****常務とともに****部長である。竹中工務店と****部長ならびに****室長の接点は社団法人地盤工学会である。その産・菅・学連携委員会に**教授、**部長、そして竹中工務店の○が就任している。これは****部長が立命館に来る前からの関係である。彼は最低、施設発注部門から外れるべきである。
サッポロビールは営業不振から現在外資系にその資本の6割近くを握られており、茨木を含め未使用な工場や用地の売却を至上課題としている。そのさい従来の経過もあり、竹中工務店が、土地の売却の斡旋と、そのあとの工事請負をセットにして引き受けている。
今回も茨木工場跡地を竹中工務店が斡旋者となり、立命館は****部長ならびに****常務経由で長田豊臣理事長に進言され、****室長が熱心に推進して購入する計画となっている。その工事は、今までの経過から竹中工務店が中心になって行うという構図が想定される。
竹中工務店にとっては土地の斡旋だけでは大した利益にならず、そのあとの工事の請負が本業なのである。売却斡旋だけではなく、そのあとの工事も竹中が請け負うことを確実なものにするために、あらかじめ他の業者を排除し、売却先との関係で工事請負の排他的な発注の約束を取っておく必要がある。
そのためにはサッポロビールと竹中建設、立命館の三者による約束が必要である。この間の長田理事長、**常務等の言動・・学内世論として多数の反対や慎重論が出ているにも関わらず「土地の購入は理事会の専決事項だ。決断する時は決断するのだ」(長田豊臣理事長)「7月と言われたので、立命館から学内手続きもあるので10月に伸ばしてもらった」「いまさらこの話がなくなれば立命館の社会的信用がなくなる」(****常務)等・・を見ていると、すでに長田理事長名による三者約束をしているのではないかとの疑いを持たざるを得ない。三者の約束があるのか、ないのか、長田豊臣理事長ならびに****常務はイエスかノーで答える義務がある。
「山の内をはじめ衣笠キャンパスと同一キャンパスと認められる地域に、しかるべき校地候補があれば、全学討議など必要なく、理事会の判断と責任で購入し、その位置と面積に応じた施設を当該の学部・研究科・部門との合意で進めれば良い。
なお茨木も実際に使用できるのは2014年以降であり、京都市内で探す時間は十分にある。
一つの学校としてアイデンティティー形成。多様な学生の存在による学生の成長。全学共通科目である教養教育、外国語教育、教職課程などの合理的運営。そして学部を超えた課外活動による成長。日常的な学園の事務体制・管理運営、財政の効率的な運営。どれを取って見ても二キャンパスより一キャンパスの方が良い。
だからこそ立命館は1970年代に広小路キャンパス(現、府立医大)と衣笠キャンパスに分かれていたものを10数年かけて衣笠キャンパスに一拠点化したのである。しかし現代科学に即応した理工学部、自立できる規模の理工学部にするためには、当時の国土法と文部省の抑制事項のために郊外に出ていかざるを得なかった。これは同志社の田辺キャンパスも龍谷大学の瀬田キャンパスも同じ性格の問題であった。
(注)現在では、この二つの規制は解除されている。そのため当時郊外に出ていかざるを得なかった関東の大学などが都心に戻り始めているのである。そんな時に「立命館が京都を出て茨木に行くのか」という問題もある。
立命館はその時、滋賀県と草津市の協力により65ヘクタールの土地を整備費含めて寄付(135億円)していただいて移転したのである。そして文理融合の教学理念を打ち出し経済・経営学部のBKC移転を行った。しかし2拠点に伴う様々な問題に直面していることは日々経験していることである。3キャンパスは2キャンパス以上の困難をもたらすことは明瞭である。
したがって2キャンパスを3キャンパスにする場合は
ところが現時点では③の財政的見通の検討に入れるような状況ではなく、①も②も学内を納得させる提案が何もなされていない。だからこそ「衣笠キャンパス狭縊克服」を銘打っても、衣笠のどの学部も移転を表明しなかったのである。提案者達は、現在の教学と2拠点の実態を無視した提案がいかにだめなことなのか反省して一端取り下げるべきである。ましてや「土地の購入は理事会の専決事項なので、10月22日の理事会で決定する」などは言語道断である。
なお、移転希望学部が出てきていない状況の下、推進者の一部は「新しく構想されている人間科学部を茨木キャンパスに持っていくべきだとの意見を出している。しかし人間科学部構想は文学部の心理学科、教育学専攻、産業社会学部の福祉学科を母体に構想されている。それを文学部や産業社会学部がある衣笠キャンパスから離すことについては慎重な検討が必要である。そしてなによりも福祉学科の実習先として大半が京都市内で開拓されてきた。それらの団体や組織との関係をどうするのか、一層慎重な検討が必要なことである。それを無視すれば人間科学部構想自体がご破算になるであろう。
これら一連のことは、結局のところ土地が先にありきの議論を強引に進めようとしていることから起きているのである。
上記のように現在はまだ財政見通し論議に入る以前の段階である。
その上で提案者達の財政展望を見るとシュミレーションできないことをシュミレーションしている。
移転する学部も教学方向も決まっていなの財政的シュミレーションなどできない。単なる作文である。ここに本末転倒の弱点がいみじくも露呈している。
ところで提案者達は学生数も学費も抑制し、教員と職員は増加させ、既存の施設の整備にとどまらず、数百億円を投じて茨木キャンパスを設置するというのである。そしてランニング・コストだけで20-30億円増加するとしている。誰が考えても基本金の取り崩しと経常経費から毎年一定額を建設費用に投入を行わざるを得ない。したがって財政が硬直化する事は、作文でシュミレーションをしなくても分かることである。その上で提案者の文章を見ると
2020年度で、基本金の組み入れは17億円となり、毎年の消費収支でも65億単位の赤字が生ずると予測しているのである。倒産はしなくても、なにもできない硬直財政を後輩に引き継ぐ財政運営見通しである。
上記は私の推測ではない。提案者が「財政見通し」として記載していることである。 以上