NO15 理事ならびに関係各位へ
土壌汚染など新たに判明したことについて。

2010年12月21日 元総長理事長室室長 鈴木 元

12月17日付文書の改訂にあたって

私・鈴木元は12月17日付で「土壌汚染など新たに判明したこと」の文書を常任理事ならびに関係各位に送付しました。ところがその直後に、私の文書とかかわって新たな事実が判明しましたのでお知らせするとともに、12月17日文書を改訂し、併せてNOを入れ忘れていましたのでNO15として理事ならびに関係者に送付することにしました。

新たに分かった事実

(1) サッポロビール茨木工場敷地整備のための土は産業廃棄物を含むものであった。森島常務ならびに志方部長はこれらの一切について掌握しているにもかかわらず、理事会をはじめ立命館関係者に報告もせずに土地の購入を提案・推進してきた責任は重い。

1) 土壌汚染とかかわって、17日時点では、何処の土を持ってきたは不明であったが、その後の調査で以下のことが判明した。

①昭和10年(1936年)に茨木川の堤防が決壊し大きな水害が起こり、付け替え工事により茨木川は西河原で安威川に合流し、昭和16年(1941年)から茨木川旧路は事実上の廃川敷(河川法による廃川敷処分は昭和24年1949年)となり、戦前戦後の13年間、茨木川旧流路は一般廃棄物や産業廃棄物の不法投棄のゴミ捨て場や不法占拠による食糧確保のための畑になっていた。一般的には堤防土壌が重金属等で汚染される可能性は少ないが、元茨木川堤防土壌については産業廃棄物の不法投棄で汚染された可能性が高い。その事は現在の茨木川緑地案内板にも、また茨木市史にも同様な記述がある。「元茨木川は廃川となり一時はゴミ捨て場のような醜い環境になっていました。それが今では緑豊かな美しい緑地として生まれ変わりました。ケヤキ、サクラ、クス、カシ等の緑は毎日私達にやすらぎと新鮮な空気を提供してくれています」

②昭和29年、大成建設が日本ビール(現在のサッポロビール)の工場建設予定敷地を埋め立るのために、元茨木川の土を取り出す契約を茨城市と行っている。茨木市議会工事請負契約議決議事録では、大成建設がサッポロ茨木工場敷地造成に使用した埋め立て土確保のための堤防切り土整形工事区間は、元茨木川上中条地内国鉄ガード下より六軒町橋(納税協会の前あたり)に至る区間619メートル及び寺町橋(消防署北東角)より京阪神急行電鉄橋に至る496メートルの両岸(延長1115メートル)で当時の元茨木川の廃川敷の堤防は高さ2メートルを超えており相当な土量であった。今回10トン積みトラック7000台分の土を入れ替えたとされている。ただしどこへ持って行ったかを明らかにする必要がある。

2)森島常務ならびに志方部長は、部次長会議ならびに組合折衝の中でサッポロビール茨木工場の土壌汚染問題とかかわって「茨木市が埋め立てた」「田んぼから滲み出て来たのではないか」などと語ってきた。

①そのことからも少なくとも彼らは、茨木市から、サッポロビール茨木工場敷地造成にあたって、田んぼを埋めるために旧茨木川の土を運込んだことを聞いていた可能性が高い。②そして何よりも契約にあたってサッポロビールから「土地の履歴書」や「土壌汚染調査報告書」ならびに「土壌汚染処理」について文書でもらっている。そこには私が今回知りえた情報はすべて記載されている。にもかかわらず彼らはそのことを理事会など立命館関係者の共通認識にするような報告を行ってこなかった。購入にあたって疑問・障害となることは隠してきたとしか言いようがない。

③そもそも昨年秋以降、彼らがこの土地を購入対象としようとした時には、土壌汚染除去の大規模な工事が行われていたのであるから「これはどうしたことか」と調べる必要があった。そして「これこれであるが」「こういう対策を講じている」と報告する義務があった。④にもかかわらず報告提案せず、私の調査に基づく指摘に対して、後追い的に弁護論を繰り返してきた。今回も「『土地の履歴書』によると、○○であるが、このように処理されている」との弁護論を振りまくつもりであるのだろうか。

⑤私が12月17日付文書で指摘したように、学生ならびに教職員の安全を考えた場合、埋め立てた大成建設による自主調査と汚染対策のままで過ごすことはできないことは明白である。

⑥なおサッポロビールは大規模な土壌汚染の土地の上で食品であるビールを作っていたのである。それを隠すために「原因不明」としてきたが、その企業責任も問われるだろう。

⑦また茨木市は経過を知りながらも駅前再開発推進のために、あれこれの理屈をつけて「土壌汚染法」に基づく調査ではなく、サッポロビールによる自主調査にとどめ報告書だけを受け取ってきた。茨木市のそのような対応も問われることになるだろう。

(2) サッポロホールディングスの筆頭株主である米系投資ファンド、スティール・パートナーズはサッポロホールディングスから撤退した。

12月17日付の文書で私は、12月7日付のマスコミ各紙の報道でサッポロホールディングスの筆頭株主であるスティール・パートナーズが大量の株を売却したことを記した。ところがその後わかったことは、サッポロホールディングスの11月30日付の株主向けの広報によると、12月の年度末連結決算予測報告において、不動産売買による特別譲渡益などで当初予想を超え22億円の黒字になる見込みであると報じられている。

そしてこともあろうに同日の11月30日の別の所有物件譲渡(京葉物流センター) が報告されている。そこには帳簿価格128億円のものを譲渡価格44億円、したがって譲渡損84億円が記載されている。

この84億円の譲渡損を出しても11月12日の立命館への茨木工場跡地の売却による166億円の譲渡益(帳簿価格23億円、譲渡価格190億円)の発生により、当初の赤字予測は22億円の黒字に転換したのである。このことからも立命館への売却を11月末までに行い、連結決算で黒字にしておく必要があったのである。

なお12月21日付のマスコミ各紙の報道によるとスティール・パートナーズは持ち株をすべて売却し全面的にサッポロホールディングスから撤収している。以上。


はじめに

11月12日の理事会において、サッポロビール茨木工場跡地の購入が決定された。そして16日に茨木市役所において川口総長は野村茨木市長と共同記者会見を行った。これらに対して私は先の11月24日付のNO14で以下の3点の論点を提起した。

(1) 今回の決定プロセスは、立命館がおよそ半世紀にわたって積み上げてきた管理運営原則、すなわち教学優先、全学合意、学内優先の立命館民主主を乱暴に蹂躙したものである。

(2) 記者会見における川口清史総長の「3月末までに移転する学部を決める」など発言は、学内に新たな混乱をもたらす。

(3) 私が危惧する疑惑について。

であった。

それから4週間が経ち、冬季休暇が近づいてきた。その中で土壌汚染問題をはじめ以下のことが判明した。今後の審議の参考にしてください。

(1) 土壌汚染問題とかかわつて

サッポロビール茨木工場:敷地整備のための土は産業廃棄物を含むものであった。そして跡地の土壌汚染調査は「土壌汚染法」に基づくものではなく、サッポロビールによる自主調査であり、請け負ったのは敷地の整備を行った大成建設であり、茨木市へは報告のみであり、茨木市も大阪府も法律に基づいたチェックを行っていない。森島常務ならびに志方部長はこれらの一切について掌握しているにもかかわらず、理事会をはじめ立命館関係者に報告もせずに土地の購入を提案・推進してきた責任は重い。

(2) 疑惑

サッポロホールディングの筆頭株主である米系投資ファンドのスティール・パートナーズがサッポロホールディングスの株式を売却し撤収した。「11月12日期限」は競争相手との問題ではなく、売却益の確定により連結決算を黒字とするためであり、株価値上がり益の確保が目的であった。

(3) 再び期限を切った移転決定推進

総長選挙において「いずれの学部にも移転の押し付けはしない」と公約していたにもかかわらず、推進者達は「理事会で決まったことであるから、事後処理に協力すべきである」との主張を展開しはじめている。

(1) 土壌汚染問題とかかわって

サッポロビール茨木工場:建設のための土は産業廃棄物を含むものであった。そして跡地の土壌汚染調査は「土壌汚染法」に基づくものではなく、サッポロビールによる自主調査であり、請け負ったのは敷地の整備を行った大成建設であり、茨木市へは報告のみであり、茨木市も大阪府も法律に基づいたチェックを行っていない。森島常務ならびに志方部長はこれらの一切について掌握しているにもかかわらず理事会をはじめ立命館関係者に報告もせずに土地の購入を提案・推進してきた責任は重い。

1)私は、サッポロビール茨木工場跡地には大規模な土壌汚染があったことを指摘した。それに対して森島常務らは「ホームページで報告されているように土壌汚染がありました」「しかし現在ではすべて解決しているので、あえて報告する必性があると思っていませんでした」と対応した。

それに対して私は、サッポロビールのホームページにおいて「原因不明」とされているが「これだけ大規模な土壌汚染の原因が不明というのはおかしいと指摘するとともに「国土地理院の古い航空写真によると、かつてこの地域に大きなタバコ工場があった。写真では重なっているかどうかわからないが、調べる必要性がある」を指摘した。すると部次長会議や組合との折衝において森島常務は「重なっていたのはマイカルであり、サッポロは田んぼであった」と述べるとともに「造成は市が行ったが、田んぼから滲み出てきたのではないか」など意味不明の無責任なことを語っていた。

2)その後の私の調査で、サッポロの工場の以前には、メッキのために重金属を使用する大阪螺子製作所があったことが判明し再度の調査を提起した。しかし推進者たちは、まともに調べる対応をしてこなかった。要するに学生・教職員の安全のために徹底して調査し対策をたてるという立場ではなく、その場しのぎのことを言いつくろおうとする態度がありありとしていた。 3)ところが私が再度調べ直すことによって、より根本的なことが明らかになった。

①サッポロビールによる土壌汚染調査は「土壌汚染法に基づくものではなく、自主調査であった。そのために茨木市に対しては報告書が提出されただけであり、それに基づいて茨木市や大阪府による裏付け調査は行われていない。②しかしサッポロビールから茨木市に提出された書類によると私が調べた大阪螺子制作会社があった北側部分だけではなくサッポロビール工場跡の中心部が大規模に汚染されていた。これは大阪螺子製作所からの流出だけではなく、田んぼを埋め立てた土に問題があった可能性が高い報告書であるが、その原因が記載されていない。そこで経過を調査する必要性を感じ、茨木市史や議会40年史を調べたところ以下のことが判明した。

4)昭和10年(1936年)に茨木川の堤防が決壊し大きな水害が起こり、付け替え工事により茨木川は西河原で安威川に合流し、昭和16年(1941年)から茨木川旧路は事実上の廃川敷(河川法による廃川敷処分は昭和24年1949年)となり、戦前戦後の13年間、茨木川旧流路は一般廃棄物や産業廃棄物の不法投棄のゴミ捨て場や不法占拠による食糧確保のための畑になっていた。一般的には堤防土壌が重金属等で汚染される可能性は少ないが、元茨木川堤防土壌については産業廃棄物の不法投棄で汚染された可能性が高い。その事は現在の茨木川緑地案内板にも、また茨木市史にも同様な記述がある。「元茨木川は廃川となり一時はゴミ捨て場のような醜い環境になっていました。それが今では緑豊かな美しい緑地として生まれ変わりました。ケヤキ、サクラ、クス、カシ等の緑は毎日私達にやすらぎと新鮮な空気を提供してくれています」

5)昭和29年、大成建設が日本ビール(現在のサッポロビール)の工場建設の敷地埋め立てのために、元茨木川の土を取り出すために茨城市と契約している。茨木市議会工事請負契約議決議事録では、大成建設がサッポロ茨木工場敷地造成に使用した埋め立て土確保のための堤防切り土整形工事区間は元茨木川上中条地内国鉄ガード下より六軒町橋(納税協会の前あたり)に至る区間619メートル及び寺町橋(消防署北東角)より京阪神急行電鉄橋に至る496メートルの両岸(延長1115メートル)で当時の元茨木川の廃川敷の堤防は高さ2メートルを超えており相当な土量であった。今回10トン積みトラック7000台分の土を入れ替えたとされている。ただしどこへ持って行ったかを明らかにする必要がある。

6)森島常務ならびに志方部長は、部次長会議ならびに組合折衝の中で、先に示したようにサッポロビール茨木工場の土壌汚染問題とかかわって「茨木市が埋め立てた」「田んぼから滲み出て来たのではないか」などと語ってきた。そのことからも少なくとも彼らは、茨木市から、サッポロビール茨木工場敷地造成にあたって田んぼを埋めるために旧茨木川の土を運び込んだことを聞いていた可能性が高い。そして何よりも契約にあたってサッポロビールから「土地の履歴書」や「土壌汚染調査報告書」ならびに「土壌汚染処理」について文書でもらっている。そこには私が今回知りえた情報はすべて記載されている。にもかかわらず彼らはそのことを理事会など立命館関係者の共通認識にするような報告を行ってこなかった。購入にあたって疑問・障害となることは隠してきたとしか言いようがない。

そもそも昨年秋以降、彼らがこの土地を購入対象としようとした時には、土壌汚染除去の大規模な工事が行われていたのであるから「これはどうしたことか」と調べる必要があった。そして「これこれであるが」「こういう対策を講じている」と報告する義務があった。にもかかわらず報告提案せず、私の調査に基づく指摘に対して、後追い的に弁護論を繰り返してきた。今回も「『土地の履歴書』によると、○○であるが、このように処理されている」との弁護論を振りまくつもりであるのだろうか。

そして今回、こともあろうに、サッポロビールが行った自主調査による土壌汚染調査は大成建設、そして土の入れ替え工事も大成建設が行っている。これでどうして「すでに終わった問題である」ということになるのか。

立命館は学生・教職員の安全を第一に考え、「土壌汚染法」に基づいた公的調査を再度、第三者によって行い大阪府等の審査を受けなければならない。「済んだこと」にして再調査もせずに利用計画を立てることは許されないことは明白である。

なおサッポロビールは大規模な土壌汚染の土地の上で食品であるビールを作っていたのである。それを隠すために「原因不明」としてきたが、その企業責任も問われるだろう。

また茨木市は経過を知りながらも駅前再開発推進のために、あれこれの理屈をつけて「土壌汚染法」に基づく調査ではなく、サッポロビールによる自主調査にとどめてきた対応も問われることになるだろう。

6)今回の茨木土地購入問題で中心的に動いてきたのは、本来の担当者である仲上財務担当常務ではなく、総務担当の森島常務である。彼は総務担当が行うべき学園の適切な管理業務を放置したまま、志方部長の助言を受けて自分の本来業務でない土地購入に首を突っ込み学園に不団結と亀裂を生んできた。そして土壌汚染問題と言う学生と教職員の安全にかかわる重大問題を積極的に調査し解決しようとしてこなかった。

その体質が以下の重大問題を生んでいる。現在、立命館大学内において危険物質の管理において、その数、保管場所さえも分からないと言う重大事態が生じていることが分かり始めている。しかし、またしても現在(12月21日時点)のところ常任理事会にも報告されず、長田理事長の決済だけで処理されようとしている。やがて明るみにならざるを得ないが、森島常務は、またもや他人に責任を押し付けようとしている。彼はすでに過去において放射性物質の管理問題で重大な安全問題が発生した時も責任をとらず、他人に責任を押し付けた。前回の事故当時に総点検し改善を図っておれば今回の問題は起こらなかった。

森島常務は土地購入など本来業務でない問題に首を突っ込み、混乱を起こしている間に、自らの担当責任分野である危険物質管理でその数も所在も分からないという大規模な事件が生じているのである。総務担当常務としての彼の管理怠慢責任が問われる問題である。

私は、2008年に森島常務がかかわった評議員選挙の違法行為について、当時、長田理事長に「森島常務の責任を明確にして処分すべきである」と進言したが、行われなかった。そのこととも関連して私は「立命館においては長田理事長と森島常務はどのような誤りを犯してもその責任が問れないことは、学園に退廃をもたらす

と警告した。今回、明るみになりつつある危険物質の管理問題において、再び森島常務の責任が問われなければ職員職場における責任と規律は崩壊の道をたどるであろう。改めて厳正な処分が求められることを提起しておく。

(2) 疑惑問題

サッポロホールディングの筆頭株主である米系投資ファンドのスティール・パートナーズがサッポロホールディングスの株式を全面的に売却した。「11月12日期限」は競争相手との問題ではなく、売却益の確定と株価値上がり益の確保が理由であった。

1)私は、長田理事長が森島常務と志方部長の進言により常任理事会はおろか常務会にも図らないで理事長決済で、6月1日付で鹿島建設、竹中工務店、熊谷組、戸田建設のゼネコン4社から立命館が出向社員を受け入れていることを掌握し「情報漏えい」「談合の温床」になる危険があるので止めるべきであると提起した。

また私の独自取材で、茨木問題とかかわって関西の建設業界の間では「サッポロの土地を立命館が購入し、その建設を竹中工務店がメインとなって請け負う」との「サッポロビールと竹中工務店、立命館の間に密約がある」とのきわめて信憑性の高い話を聞いたので、久岡常勤監事に直ちに調査すべきであると文書で申し入れた(10月8日)。

しかし久岡常勤監事が調査した形跡がないどころか、彼は11月10日の常任理事会において「茨木を購入すべきである」との賛成演説を行った。これは監事としては行ってはならないことである。この責任を改めて問いただしたい。

2)ところでゼネコン4社問題に関しては、スポーツ健康科学部の基本棟、衣笠の新体育館の建設工事が竹中工務店に落札されたのに続き、長岡への立命館中高等学校移転工事が鹿島建設、そして衣笠の耐震工事が熊谷組と戸田建設に落札されている。文字通り出向者を派遣している4社に割振りされているのである。

しかも立命館中高等学校の110億円に及ぶ入札が、建設業界では鹿島建設が落札したことが知れ渡っているにもかかわらず常任理事会では、いまだに審議も報告もされていない。また衣笠の耐震工事はすでに熊谷組と戸田建設によって行われているが、これも常任理事会では審議も報告もされていない。学校法人立命館の常任理事会運営は一体どうなっているのか。

3)サッポロビール茨木工場跡地の話を持ち込んだのはサッポロビールと深い関係のある竹中工務店を通じてであるが、直接の窓口になったのは、立命館に来る前から永く竹中工務店とつながりのあった志方部長であり、彼の提案を下に長田理事長に進言したのは森島常務である。NO14でも指摘したことであるが、10月末を期日とする約束があったことは既に長田理事長、森島常務も認めたことである。それではなぜ「10月末という約束をしたのかについて、私は経過から見て、サッポロホールディングの12月年度末連結決算において黒字にする必要があったからなのだと指摘した。

サッポロホールディングの筆頭株主は米系投資ファンドのスティール・パートナーズである。世間で言われている「禿鷹」商売を行い、ビールなど生産による利益よりも資産売却などによる短期利益の取得を常套としている。

「期限を当初10月末、そして10月7日の延長申し入れ後は11月12日を期限としたのは理由があるはずだと指摘し「サッポロホールディングスの年度末決算月は3月末ではなく12月末であり、それを黒字収益とするためには、サッポロビールを含めた連結決算作成のための内部締め切りを11月中旬に指定し、それまでに黒字収益にする必要があったのであろうと記した。

そこでサッポロビールの経営方針を遡って調べ直したところ、2009年3月時点で、事業展開による収益の拡大ではなく、土地の売却によって利益を得るという方針を至上命題にしている。今回、立命館への売却で簿価23億円を190億円で売却することによって、166億円の特別譲渡益を得、手回し良く当日の12日に166億円の特別譲渡益を得たことを公表し、あくる13日の各紙の朝刊に報じられている。

そして12月10日付の「朝日新聞」等によるとスティール・パートナーズがサッポロホールディングスの株式を大量に売却している。なお株式の調整後終値は10月29日は317円、11月30日は339円、12月10日は368円となっている。

ところがその後わかったことは、サッポロホールディングスの11月30日付の株主向けの広報によると、12月の年度末連結決算予測報告において、不動産売買による特別譲渡益などで当初予想を超え22億円の黒字になる見込みであると報じられている。

そしてこともあろうに同日の11月30日の別の所有物件譲渡(京葉物流センター)が報告されている。そこには帳簿価格128億円のものを譲渡価格44億円、したがって譲渡損84億円が記載されている。

この11月30日に84億円の譲渡損を出しても11月12日の立命館への茨木工場跡地の売却による166億円の譲渡益(帳簿価格23億円、譲渡価格190億円)の発生により、当初の赤字予測は11月30日において年度末連結決算が22億円の黒字になると予測されるに至ったのである。このことからも立命館への売却を11月末までに行い、連結決算で黒字にしておく必要があったのである。

なお12月17日付のマスコミ各紙の報道によるとスティール・パートナーズは持ち株を売却し全面的にサッポロホールディングスから撤収している。文字通り「禿鷹ファンド」らしいやり方でサッポロホールディングスを活用したのであり、立命館はその道具として利用されたのである。

立命館が戦後50年間積み上げてきた教学優先、全学合意、学内優先などの学園運営の原則を乱暴に踏みにじった上に、200億円近い土地を購入するにあたって、最低限度の調査分析もしないで、土壌汚染などいわくつきの土地をつかまされ、しかもスティール・パートナーズなどによる禿鷹商売にまんまと載せられ、期日を決められた購入を強行した長田理事長、川口総長、森島常務の罪は重い。

次は、竹中工務店である。サッポロビールからの土地購入費を除いても200億円から500億円に及ぶ大工事である。当初想定した2014年ではなく、1年遅れの2015年でも困るのに土壌汚染問題の再調査による延期など、あってはならないのだろう。ましてや3月末までに移転学部が決まらず、さらに1年遅れの2016年になるなどは認められないという状況であろう。

今後、学内においては、強引に3月末までに移転学部を決めようとしたり、様々な理屈をつけて落札するのが竹中工務店をメインとするジョント企業体となるように事を進めようとするだろう。

今や立命館は、ゼネコンを中心とした企業の食い物になろうとしている。一つ一つその是非を追及していく必要がある。

なお11月16日の川口総長と野村市長の共同記者会見において野村市長は、立命館がサッポロビールから購入した12ヘクタールの内、茨城市が立命館から3ヘクタールを購入しJR茨木駅から線路沿いの道を設ける(1ヘクタール、10億円)ことと、防災公園(2ヘクタールの土地土地購入等で50億円)などを設置するとしている。立命館への支援とは関係のないことであるが市長は「立命館に対する支援」と言っている。

以前に私が指摘したように、これは茨木市の都市計画審議会にかけられる。したがって建山和由教授は便宜をかけることを決定する茨木市の都市計画審議委員と、便宜を受ける立命館の総合企画室長を兼ねることは、社会的に認められないのでいずれかを辞任すべきである。

(3)学園運営問題

長田理事長、川口総長、森島常務等は「期限のある相手がある話を理由にして前代未聞の多数決決定を行い、学園に不団結と亀裂を引き起こしたが、総長選挙期間中、川口総長を先頭に「いずれの学部にも移転の押し付けは行わない」と公約していたにもかかわらず、推進者達は「決まったことであるから事後処理に協力すべきである」との主張を展開しはじめている。

1)NO14で記したように、私を含め「拙速に決めるべきでない」言ってきた人間の誰一人として、一般論として新キャンパス、そしてある場合には第3キャンパスに絶対反対を述べてきた人はいない。しかし土地ありきで期日を決めて購入を決めるやり方はおかしいと主張してきたのである。

ところが、こうした「戦略的コンセンサスが必要「利用も決まっていない土地を購入するのはおかしいという人々に対して、推進者たちは「土地のような商品は限定されており、相手があり、期日があるもので、理事会が責任を持って購入し、その後で、その使い道を考えるものだとの主張を展開し始めている。

私は、このシリーズで何回も言っているが、土地の購入の最終決定機関が理事会であることは誰もが承知していることである。また衣笠やBKCの周辺で適当な物件がある場合、理事会の判断と責任で買えばいいことであり、そんなことを全学論議する必要は無いと言ってきた。

問題そうしたことではなく、どこでも論議してこなかった立命館大学を三分割(各12000名規模)にし、その一つを大阪(茨木)に設置するなどいうことは全学的合意が必要である。全学合意とは全員一致ではない。学部教授会で一割や二割の人が反対であったとしても学部全体でまとまり学部長が責任をもって賛成できるならいい。

ところが今回は「あえて立命館大学を3分割しなければならない合理的理由」も示さず「どこの学部が移転するのかも不明確なまま、購入予定の場所と期日だけがあり、土壌汚染問題や衣笠キャンパス狭隘克服の有力対象地である「山の内」上水場跡地の公募にも応じないと言う合理的説明がつかないことを次々と生んできた。

これらはひとえに提案者側の責任に属することである。しかるにこともあろうに「5学部長は間違っている「少数の人々の反対」とまで断定している。5学部長は個人的意見を述べているのではなく学部での全員一致の決議に基づいて責任を持って発言しているのである。これを攻撃しても始まらない。また5学部の教員数と学生数は立命館大学の過半数近い数であり、少数者の声ではない。こう言う新たな不団結と混乱をもたらす発言は止めておくべきである。

ところがここに至って「すでに決まったことであり、今日まで反対してき人も決まった今となっては事後処理に協力すべきだ」との主張を行い始めている。そしてさらに「賛成の人が正しかったか、反対した人が間違っていたのかは、後になって明らかになることであり、その時に責任を明確にすべきである」とまで言っている。

購入決定を行い、いくつかの学部を移転したのちに「やはり問題である」ことがわかった時、誰が責任をとるのか。現在の執行部の人で2015年以降も執行部にいる人は何人いるのか。膨大な建設費が無駄となった時、誰が責任をとるのか。同志社大学は田辺への移転を強行し6-7年間移転できず、そして今回、文系学部をすべて京都市内の今出川を中心に戻すことになった。しかし誰も責任を取っていない。

茨木を購入しなくても損失も無駄も生まれないので、責任問題など生じようがない。

ゆっくり論議した結果、大阪に第三キャンパスを購入しようということが全学の合意になれば、財務などの担当部門が対象となる土地を探し、理事会で購入を決定すればよい。重厚長大型産業が衰退している今日、大阪市内にも、そして京都市周辺にもいくらでも学校に適した土地はある。方向において全学合意があれば、その場所が良いか値段が適切であるかなどは二次的なことであり、その細目について全学的議論などは必要でない。それこそ常任理事会、理事会の判断と責任で購入すればよいことである。しかし肝心の大阪に第三キャンパスを作るという点で、まだ全学的合意が形成されていないのである。

これだけもめたのであるから一旦やめておくべきであったが、推進者たちは強行採決をしてしまった。その上に3月末という新たな期日を決め、さらに不団結を拡大しようとしている。ここは一旦凍結し、しばらく冷却期間を設け、その後に落ち着いて論議し直すべきである。

論議の結果、京都の衣笠を中心としたマルチキャンパスとBKCの二拠点でいくか、それとも大阪茨木との三拠点でいくかを決めればよい。どちらかで全学合意すればよいことである。茨木で合意すれば推進したらよい。茨木でまとまらなければ、その時点で売却も検討すればよいことである。

にもかかわらず3月末に固執すれば亀裂と不団結を拡大し「もめている学校」という社会的イメージを広げるだけである。

ただ一言言えば、混乱を作り出しているのは「拙速に決めるべきではない」と主張してきた人々ではなく、サッポロビールと竹中工務店の言いなり無理に無理を重ねて強引にことを進めている長田理事長、川口総長、森島常務などの推進者の人々である。このようなことを強引に進めていて口先でいかに「信頼回復」を唱えようとも、誰も信じないことを肝に銘ずるべきであろう。