回答2 (by 国際関係学部教員)


I. これまで学生などに対して説明できないと感じていた事項や疑問に感じていた事項
1. 川本八郎元理事長、長田豊臣元総長に対する退任慰労金に関し、旧来の規定より倍増される規定が退任の後につくられ、それが遡及適用されたこと。
2.一時金の給与1ヶ月分の未払いが3カ年続いていること。
3.三六協定を締結することなく職員に対して残業を行わせるという違法で非常に悪質な行為を数ヶ月にわたって続けたこと。
4.特別転籍問題に関する責任の取り方が不十分である。
5.初芝学園との提携を行い、同学園の理事長に立命館理事長である長田氏が就任していることは、利益相反の観点から、また理事長の職務専念義務、コンプライアンスの観点から非常に問題である。職務専念義務違反という点だけでも理事会として長田理事長を解任すべきである。
6.2008年度より1セメスター15週講義において、15回講義+試験が行われている。こうしたことは、例えば、DUDP協定を結んでいるアメリカン大学ですら行われておらず、バランスを欠いたものとなっている。いわば、過剰なコンプライアンス(オーバーコンプライアンス)となっているのである。満たさないことも問題であるが、過剰であることもまたコンプライアンスを適切に満たしているとは言えない。

まず、アンケートの結果は、少なくともアンケートの対象になった教員全員に還元するよう求める。具体的には、1)どのような項目について、2)どれだけの数の意見が出され、3)内容はいかほどであったのか、というものである。これはアンケートを採る際のイロハともいえるものであるから、具体的に中身がわかる形でアンケート結果を還元するよう求める。

例えば、周囲の教員の話から察するに、一時金をカットする一方で退任慰労金を倍増にしたことなどは、まさに統一的に理解しえない事項として多くの意見が出されると思われる。この場合、「退任慰労金問題について●●件の意見があり、そのうち、●●件は退任慰労金倍増措置に異論を投げかけるものであった」とし、円グラフなどで意見の構成を明示していただきたい。

以上の点が満たされることを前提に、回答する。

I. これまで学生などに対して説明できないと感じていた事項や疑問に感じていた事項

1. 川本八郎元理事長、長田豊臣元総長に対する退任慰労金に関し、旧来の規定より倍増される規定が退任の後につくられ、それが遡及適用されたこと。

これは次の点で非常に問題である。

1) 学費および公的資金を基礎に運営している私立学校法人としてふさわしくない。

2)新しく設定された退任慰労金の水準は、同規模同レベルの大学と比べて非常に高い。

3)二人に遡及適用することは妥当ではない。またその理由もない。

4)常任理事会に諮ることなく、一般理事会で突如として議題として提出し、議 論をほとんどしないまま、この問題のある決定を通してしまったことに大きな 問題がある。学内のどの部局が責任部局であったのか、明らかにすべきである。

5)退任慰労金に関しては、税務上、学校法人が退職金として扱ったのか、役員 報酬としてあつかったのかは、現在のところ、常任理事会にすら報告されてい ないと聞く。その後、両名は理事として残っており、給与・報酬も受け取って いたことから、退職金として扱うことには法的に疑義がある。仮に後者であれ ば、文科省の私学助成金の規定に基づき、一定程度私学助成を返還しなければ ならないか、減額されるかのいずれかの処置を受けるのではないかという意見 が学内には出されている。この点に関する担当部局は総務であろうが、これに ついては常任理事会にすら報告されていない。非常に問題である。

6)川本氏、長田氏の二人に、例えば東京大学総長をも大きく凌駕する退任慰労 金を与えるほどの功績があったのかどうかは非常に疑問である。

7)仮に両名に功績があったと仮定したとしても、功績については評価して異常 に多額の退任慰労金を支払う一方で、特別転籍問題に関する「過去の責任」に ついては追及しないというのは、少なくともバランスを欠いていると言わざる を得ない。この点は統一性が全くない。

2.一時金の給与1ヶ月分の未払いが3カ年続いていること。

2005年、2006年、2007年の3カ年にわたって、学校法人立命館は一時金の給与1ヶ月分の未払いを続けている。これは全体の給与水準の6%にも相当する。

社会通念上、そもそもこれほどの引き下げを一挙に行いうるのは、経営が危機的状況であり、その責任をとってトップが総退陣するなどが行われるといった緊急事態にのみ限られる。

しかるに、学校法人立命館は、「社会的水準」という明確な定義を行い得ないものを根拠に不当な行為を続けている。

こうした行為を続けていることによって、学園トップに対する信頼は失墜した。先に述べた退任慰労金倍増が他方で行われるに及び、多くの教員の労働意欲は大きく減退した。一刻も早い未払い金の支払いを望みたい。

3.三六協定を締結することなく職員に対して残業を行わせるという違法で非常に悪質な行為を数ヶ月にわたって続けたこと。

近畿大学においても同様の問題が発生したが、このとき責任者は処分されている。同様な事態を招いている立命館においても、この件に関する責任者(総務担当常務理事)を処分するのが学校法人として賢明な措置である。

4.特別転籍問題に関する責任の取り方が不十分である。

具体的には次の諸点である。

- コンプライアンスを満たさなかった人物(教務担当常務理事、副総長の一人)が処分(解任)されていない。

- 理事長、総長が解任されていない。社会的に大きく批判された本件に関し、学園として責任をとりうるのはこの両名をおいて他はない。また、学園に多額の損失をももたらしている。例えば、科研費の不正使用に関して教員を懲戒解雇したという過去の事例に準じるべきである。本件については理事長、総長の解任、解雇が妥当な措置ではなかったか。

- 過去の特別転籍に関し、元理事長の川本八郎氏に責任があることは明らかであるように思われるが、この件に関して、同氏に責任をとらせていない。それどころか、問題のある決定をおこなった人物を顧問にしている。1.に述べたように、過去の功績については評価するが、責任については評価しないという評価上の不均衡が白日の下で行われている。

- 以上のことにより、学園構成員に一種の「シラケ」ムードが生じている。コンプライアンスを満たせず、その責任も適切に取らない当の学園執行部からコンプライアンスを重視せよという方針がだされても、それは単なる「お題目」にしか感じられないのは当然であるし、トップ以外の現場の締め付けのための名目でしかないように思われる。少なくとも、コンプライアンスという点において、クリーンな人物を役職に就けるべきである。

5.初芝学園との提携を行い、同学園の理事長に立命館理事長である長田氏が就任していることは、利益相反の観点から、また理事長の職務専念義務、コンプライアンスの観点から非常に問題である。職務専念義務違反という点だけでも理事会として長田理事長を解任すべきである。

このまま放置すれば様々な異常な事態がおこるであろう。例えば、今後初芝学園との間で協議が行われることになるであろう。その際、双方の理事長名で公式文書をやりとりすることになるわけであるが、長田氏は自らが文書を送って、自らが受け取り、自らが回答するという状況がすぐにでも発生する。この事態は端から見れば非常に滑稽であるが、滑稽どころか、学園の責任者が学園の利益に反することを行うこともでてくる可能性があり、そうしたことを行えば、それは背任行為に当たる。

背任とはいえないまでも、すでに立命館学園の利益とは関係のない意思決定が学園トップによってなされた。具体的には以下のようなことがすでにあった。すなわち、立命館と協定を結んで以後、関西大学から初芝学園における関西大学進学コースの生徒を受け入れないとの通知があったようである。確かにこれは初芝学園にとっては問題かもしれないが、これはあくまで初芝学園側の問題に過ぎず、立命館学園にとっては別に何の問題でもない。にもかかわらず、初芝学園に対する推薦枠が教学サイドでの検討を経ることなく決定され、教学再度の検討を経ることなく学部に割り振られた。

こうしたことがすでにおこっている以上、立命館学園の理事長が初芝学園の理事長を兼務することは利益相反を現に招いていると言ってよい。こうした不適切で異常な決定を行ったのは、常任理事会なのか、一般理事会なのか、一体どのような手続きで学校法人立命館の理事長が他学園の理事長に就任することを許可したのかを明らかにし、責任の所在を明確にする必要がある。また、この手続きを進めた部局とその責任者(これもまたしても総務担当ではないのか)については、当然ながら、この問題に関する処分を行うべきである。職務専念義務違反はおろか背任行為すら引き起こす可能性がある以上、厳しい処分が下されるべきであろう。

6.2008年度より1セメスター15週講義において、15回講義+試験が行われている。こうしたことは、例えば、DUDP協定を結んでいるアメリカン大学ですら行われておらず、バランスを欠いたものとなっている。いわば、過剰なコンプライアンス(オーバーコンプライアンス)となっているのである。満たさないことも問題であるが、過剰であることもまたコンプライアンスを適切に満たしているとは言えない。

1回講義を増加させることは、7%分講義を増やすことに等しい。これは次の点で問題である。

1)7%分労働量を増大させておきながら、労働者に対して7% の基本賃金の引き上げなどの対価を支払っていない。これは労働意欲を阻害する。

2)学生を不利な条件においている。従来、14回講義+試験で15週講義とし、それに2単位を与えてきたのであるから、学生には2.14単位与えられるべきであるが、学生には2単位しか与えられておらず、他大学の学生と比較して立命館の学生は不利である。

3)学生が15回の過密講義を望んでいない。これは教育上の効果が感じられないばかりでなく、むしろ負の効果しかないためである。つまり、学生にとって試験準備期間、レポート作成期間が短くなるため、復習、知識の定着がおろそかになり、講義内容の十分な理解ができなくなっている。加えて、当然であるが、学生の課外活動の余地をいちじるしく狭めている。

4)事務体制を整えていない。15週講義を杓子定規に行うという方針の下、祝日講義が行われているが、学部事務室は通常通りの業務を行っておらず、学生に対して支障を与えている。これは15週講義を行うという方針と矛盾している。

 教学現場の現実を無視した意思決定を続けていることが、こうした深刻な事態を招いているといってよいであろう。改善を強く求めるものである。