非有基的集合論入門

1994年7月名古屋大学大学院多元数理研究科集中講義
1998.10.6
 自分自身を含む集合は、20世紀後半になって数学の世界から公式には姿を消してしまっていたが、理論的計算機科学のプロセス理論を数学的に基礎付ける試みのなかから80年代後半に甦り、積極的な役割を果たし始めている。Aczel はこの種の集合の振る舞いを明確に規定する公理(AFA:Anti-foundation axiom)を見いだし、Zermero-Fraenkelの公理系の中の有基性公理をAFAに置き換えた公理系のモデルを構成し、非有基的集合論(non-well-founded set theory)を構築した。

 この集合論はプロセス研究にとどまらず、種々の循環的様相を内包する現象の分析・理解を容易にする簡明な記述法を与えており、数学者に馴染み深い集合論の記述力を大幅に増大させた。

 この講義では、非有基的集合論の基礎を,実用的な面に重点をおいて解説する。応用例としては知識論理・プロセスモデルを取り上げる。


  • 講義資料 (PDF)

  • 2010.3.10 リンク修正