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国立大学独立行政法人化問題 週報
Weekly Reports No.5 2000.4.10 Ver. 1.02
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http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/wr-5-00410.html
◆ポイント
Draxler氏(ユネスコ)からのメッセージ:[5-1]
大学連合結成の必要性:[5-34-2], [5-34-3]
大学評価に基づく予算配分への警告:[5-3], , [5-34-1]
大学のアカウンタビリティの意味:[5-19]
◆目次(◎は、是非読んで頂きたい情報です)
[5-1] ◎GE8 参加 Draxler氏(ユネスコ)からのメッセージ
[5-2] 今週の予定
---教育行政情報---
[5-3]◎国会(参院文教・科学委員会参考人質疑2000.3.23)
[5-4]◎学術会議第2常置委員会報告
[5-5]教育改革国民会議第一回会合の総理大臣挨拶
[5-6]文部省が教育改革推進本部を設置へ
[5-7]◎大学審議会 基本問題検討部会 ((第2回)議事要旨)
[5-8]国大教員等の兼業に関する人事院規則について
[5-9]埼玉大独法化問題説明会における杉野剛文部省大学改革推進室長の講演
[5-10]◎公立大学協会の動き(訂正版)
---独立行政法人情報---
[5-11]◎在英小堀眞裕氏論説「これでも、独立行政法人を行政改革の一環といえるのか?」
[5-12]◎宮脇淳「独立行政法人新・会計基準の課題を解く」
[5-13]「公益法人会計基準」
---その他の情報---
[5-14]通産省人材ニーズ調査 初の全国人材マップ
[5-15]社会基盤研究所とは
---大学・部局の意見---
[5-16]富山大学文学部声明より
[5-17]◎金沢大学「意見書」より
---独立行政法人化を懸念する動き・意見等---
[5-18]◎蓮見東大学長学位授与式2000.3.29における告辞
[5-19]◎広瀬 信氏「「大学の自治・学問の自由」と「アカウンタビィリィティ」」
[5-20]阿部謹也氏論説「大学の先生が、まず教養を身につけるべき」
[5-21]独立行政法人化についての対照的論説
[5-22]国立大学からの発言
[5-22-1]植村高久(山口大学):地方大学から見た独立行政法人化
[5-22-2]橋本努(北海道大学):国立大学改革論―自由主義は何を批判しうるか
[5-22-3]◎砂川裕一(群馬大学):不毛性の拡散――対症療法を超えた自己吟味を
[5-22-4]新田滋(茨城大学):リアルな共通利害の摘出を
[5-23]落語「独立行政法人」
[5-24]横浜国立大学教職員組合代議員会特別決議
[5-25]国立茨城大学の独立行政法人化に反対する意見表明
[5-25-1]新聞意見広告(茨城大学教職員有志の会)
[5-26]意見広告(金沢大学教職員有志)
---法人化に意義を認める意見(+懸念)等---
[5-27]◎経団連の意見書「グローバル化時代の人材育成について」
[5-28]◎利根川進氏「比較:日米の大学制度(中)ヒエラルキーなき競争」
[5-29]◎有馬朗人前文相の論説「21世紀の大学像、独立行政法人化を考える」
[5-30]日本物理学会での有馬朗人氏の講演について(豊島氏の報告)
[5-31]◎木村 孟学位授与機構長「第三者評価は日本的慣習への挑戦である」
[5-32]Yahoo! 掲示板より「重篤な病に罹っているこの国を治す医療チーム」
---その他の意見---
[5-33] 大学審議会の存在理由が問われないか(Yahoo!掲示板)
--書籍紹介--
[5-34]岩波講座・現代の教育・10「変貌する高等教育」
[5-34-1]◎天野郁夫「高等教育の大衆化と構造変化」p3-29
[5-34-2]◎寺崎昌男「日本の大学−−歴史と改革課題」p55-83
[5-34-3]◎金子元久「政府と大学−−自律性・社会性・公共性−−」p132-153
---本文------------------------------------------------------------
沖縄G8教育大臣フォーラム
http://www.monbu.go.jp/news/00000419/
に出席したユネスコ代表Ms. Draxler からのメール
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00405-draxler.html
"It seems to me that mobilizing opinion to reflect on the future of
universities in Japan, at a point in history that is important for the
future of higher education everywhere, is a healthy reaction." (世界
全域の高等教育の未来にとって重要なこの時期、意見を結集して日本の大学の
未来に反映させようとすることは、健全な態度と私には思われます。)
4.11(火)[札幌]第三回北大歯学部勉強会:
宮脇淳教授「国立大学の法人化問題と予算会計制度」
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00411-miyawaki.html
4.11(火)[京都]大学の教育と研究を考える京都連絡会主催
「国民の医療、教育、行政サービスを考えるつどい」
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00411-kyoto-tsudoi.html
4.12(水)10:00-12:00 東京科学技術会議総合計画部会(第28回)傍聴可
http://www.sta.go.jp/shimon/cst/sokei28.html
---教育行政関係情報・資料-----------------------------------------------
(参院文教・科学委員会参考人質疑2000.3.23)
三輪定宣千葉大教授「大学評価機構の設置は教育・研究発展の足かせに」
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00330-miwa.html
「大学評価機構の評価が、予算配分とリンクすることも問題です。大学間の格
差は現在でも大きいが、有利な成果に予算をプラスすることになると、ますま
す格差が拡大されます。評価と予算をリンクさせた英国では、全体として大学
政策が学問や教育に壊滅的打撃を与え、大学教師はやさしい問題を手がけて業
績の量は増加するが、質は低下したと指摘されています。
日本の大学の業績が問われているといいますが、米カーネギー教育振興財団の
国際比較調査では、日本の大学教員の研究業績は総合で1位です。しかし、施
設設備の評価は最低でした。かねてから高等教育関係予算の対GNP比が大幅に
立ち遅れていることが指摘されており、日本の学術研究水準の改善のためには
何が必要かははっきりしています。」
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00117-gakujutsu-kaigi.html
「ところが、いま進められようとしている「独立行政法人化」は、行財政改革
の一環として効率化、人員や予算の削減を主目的に提起されたものであり、大
学における教育・研究上の要請を基礎にしたものではない。主務省の監督権限
が実質的に強まり、官僚的統制の強化を招き、予算と定員のみが削減されると
いう事態につながる危険性はきわめて大きい。「国家百年の計」である大事の
策定が、十分な検討の努力なしに推進され、国立大学の「独立行政法人化」が
実施されるとすれば、それはきわめて遺憾なことといわねばなるまい。
われわれは、I-3.で、大学が担うべき三つの課題(人びとの広汎な高等教育
への要求に応え、人材の養成と、学術的知見の創造的役割をになう)について
のべた。このような課題を遂行する大学にあって、憲法とそれを具体化する法
律によって認められた自由と自治が制限されたり弱められることは、設置形態
の如何を問わずあってはならないことである。大学における研究・教育の自由
と管理運営上の自治の権利は十全に保障されなければならない。また、目標・
計画とその評価は、定量的な「効率」だけを基準にするのではなく、文化国家
の理念をふまえて、教育・研究の活性化・向上・発展の見地からおこなわれる
ことが必要である。
こうした条件が満たされないままに、「独立行政法人化」が一方的に進めら
れ、大学という長い伝統と独自性をもつ組織に対して、制約・規制が先行する
ことになれば、日本の大学は国際的にも立ち遅れ、将来に重大な禍根を残すこ
とになることを重ねて強調しておきたい。」
http://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/dai1/souri.html
http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kinkyo/index.htm#04/03_1
http://www.monbu.go.jp/singi/daigaku/00000358/
「議事:大学教育の国際的通用性・互換性に関連して,竹内弘高特別委員と
大橋秀雄工学院大学長からそれぞれ意見発表があり,質疑応答,意見交換が行
われた。」
・竹内 弘高 大学審議会基本問題検討部会特別委員 一橋大学大学院国際企
業戦略研究科長「専門大学院新設に係る取組について」
・大橋 秀雄 工学院大学長,日本技術者教育認定機構副会長「技術者教育の
認定が目指すもの」
院規則の制定について
http://www.jinji.admix.go.jp/kisya/0003/tlo.htm
http://www.kyy.saitama-u.ac.jp/‾yagi/society/univ_001.html
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00331-kouritsu.html
(蔵原氏のコメント)
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00331-kouritsu.html#kurahara
---独立行政法人に関連する情報-------------------------------------------
http://www.asahi-net.or.jp/‾YE9M-KBR/
「情報公開法の対象から特殊法人が除外されたのと同様に、独立行政法人も除
外されることになった」
『週刊ダイヤモンド』2000年3月25日号、160-165頁。
http://www.kohokyo.or.jp/hojin/kaikei.htm
--- 関連情報 ----------------------------------------------------------
http://www.cin.or.jp/needs/main.asp
人材項目「教員(教授)」のページ:
http://www.cin.or.jp/needs/jinzai/shokushu/102/default.asp
全大教の新聞広告[wr2-4]
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00316-asahi.html
への批判「国立大学の存在意義」[wr4-17]
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00330-sankei.html
を産経新聞に掲載した潮氏は社会基盤研究所
http://www.iseis.co.jp/
の特別研究員である。このシンクタンクの顔触れを見ると前身は長銀総合研究
所と思われる。ホームページのトップには、官邸のパンフレットページ
http://www.kantei.go.jp/jp/cyuo-syocho/pamphlet/index.html
と同じ龍馬の写真が飾ってあり、日本語のトップページ
http://www.iseis.co.jp/ja/top.html
には、次のような設立宣言が書いてある。
「成長神話の終焉、終身雇用・年功序列制の崩壊、さらには情報通信革命、物
流革命・・・。これは、単なる不況や技術革新による変化ではありません。経
済と情報のグローバル化が、全地球規模のメガコンペティション時代の扉を開
いたのです。いま、日本は幕末、終戦にも匹敵する大きな変化の渦中にありま
す。これまで築き上げてきた日本型システムの成功にこだわるあまり、自ら変
革することに逡巡が見られます。 お仕着せのグローバルスタンダードにひた
すら適応するだけではなく、いまこそ果敢に新しい制度を構築しなくてよいの
でしょうか。社会基盤研究所は、維新への道を開いた坂本龍馬と海援隊のよう
に、「ニッポンを今一度せんたく」すべく、「第三の開国」を目指して立ち上
がりました。」
研究所の株主リストの先頭に人材派遣会社パソナ グループ
http://www.pasona.co.jp/
の名がある。人材派遣会社といえば、東京ビジネスサービス株式会社
http://www.tokyo-bs.com/kigyo3.html
が研究者派遣の広告を(日本学術振興会)『学術月報』2月号に乗ったことが
あった。
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/whatsnew.html#haken
国立大学の独立行政法人化で教員のアウトソーシングは確実に進行するので、
社会基盤研究所はこの件に関して間接的な利害関係があると言えなくもない。
--- 大学・部局の意見 -----------------------------------------------
http://www.hmt.toyama-u.ac.jp/dokuhou_seimei.html
「このように、大学における教育研究の創造的展開のためには『通則法』、従っ
てまたそれを基本設計とする限り、独立行政法人制度は、大学に適用してはな
らない。大学へのその安易な適用は、わが国の学術研究と高等教育の取り返し
のつかない衰退をもたらすであろう。」
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00317-kanazawa-u.html
8 地方における国立大学の社会貢献の重視
さらに,国立大学の役割の重要なものに知の社会貢献がある。新制大学創立
以来50年間にわたり,地方における国立大学が,質の高い教育・研究,地域貢
献の面で果たした役割を再評価すべきである。しかるに,国立大学の独立行政
法人化は,効率性という競争原理を導入させることになり,大都市にある大学
はいざ知らず,地方にある大学は,授業料収入や規模の大きくない地元企業と
の産学連携といっても限界があり,従来維持してきた質の高い教育・研究の保
障に危惧の念を抱かざるを得ない。このことは,教育・研究・文化の面で地方
の後退を招きかねず,地方の国立大学の社会的責任を負い得なくするおそれが
あると思料するものである。これは,21世紀の日本社会が地方分権化社会を迎
えるべきであるとする国家政策とは矛盾せざるを得ないものと考える。
9 更なる検討
国立大学の設置形態は,大学での教育と研究の在り方を左右する根本的問題
であり,仮に,その変更を行うのであれば国立大学がこれまで果たしてきた成
果と改善すべき問題点や独立行政法人化の長所と短所等について十分時間をか
けて検討し国民の理解を求めていくべき問題といえる。しかるに,このための
時間が非常に短期間であり,そのうえ,「国立大学の独立行政法人化の検討の
方向」においては「検討する」とされている部分が多く,議論が不十分なまま
推移していると考える。文部省には,制度設計者として,十分な討論のための
時間と,特例措置基準の明確化を求めるものである。
--- 独立行政法人化を懸念する動き・意見等 ----------------------------
http://www.adm.u-tokyo.ac.jp/soumu/president/000329.html
(クリントン米大統領とブレアー英首相による、ヒトゲノム解析の結果の公共
性を主張した、共同コミュニケ(2000.3.15)を取り上げて、新博士・新修士
に次のように呼びかけている。)
「日本の大学は、少なくとも今日まで、公共的な知識を広く分配する機能が期
待されており、授業も研究指導も、原則としてそうした倫理のもとに行われて
きました。その倫理が、いまや揺らぎ始めようとしているのです。大学におけ
る知識の分配機能はどうやら二分されることになり、公共の知識として広く解
放すべきものと、特定の個人なりグループなりに属するので公共化しえないも
のとの厳しい識別が、大学自身によって行われねばならなくなるはずなのです。
また、研究者個人にも、そうした姿勢が求められることになるでしょう。その
結果、大学はある意味で閉ざされることにもなるのです。そうした厳しい現実
を見据えることなく、ひたすら産学の連携の必要性ばかりをいいつのることは、
その後に待ち受けているはずの大きな問題に目をつぶることにもなりかねませ
ん。クリントン大統領とブレア首相のコミュニケは、そのことを予告している
はずなのです。
誤解のないようにいいそえておきますが、わたくしは、産学共同に反対だと
主張しているのではありません。大学から産業界への技術移転は、さらに効果
的になされねばならないとさえ思っております。今後の産学連携の推進には、
同時に、それを規制する枠組みの構築がぜひとも必要とされているはずであり、
それなくしては、その健全な発展はありえないといいたいのです。こうした問
題に対して、あなたがたは、いったいどのような態度をとられるのでしょうか。
それは、すでに冒頭で述べたように、あなたがたの論文の主題がどんなもので
あれ、研究者をめざす以上、それぞれの専攻領域で、いずれ遭遇することにな
るはずの苛酷な問題だからなのです。また、21世紀の大学は、広く公共化さ
れうる知識と、公共化されることのない知識との関係を厳密に見極めるための、
新たな枠組みとそれにふさわしい倫理を必要としているからでもあるのです。
そして、それを確立する作業に、あなたがた自身も積極的に加担していただき
たいと思います。」
の問題について」より
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/99121-hirose.html
「1997年11月11日にユネスコ総会で採択された「高等教育の教育職
員の地位に関する勧告」は、「アカウンタビィリィティ」の対象として、幅
広い項目をあげている。「学問の自由と基本的人権の擁護」「教育職員の教育・
研究活動の倫理コードの作成」「経済的、社会的、文化的、政治的権利の実現
の援助。知識、科学、技術が、それらの権利を侵害したり、学問的倫理、人権、
平和に反する目的で使用されることを防ぐ努力」「高等教育機関の使命を果た
すのに必要な施設・設備」等の項目を見れば、これが、対国家(財政当局)や
企業等の資金提供者に顔を向けた、投資効果の実績報告のような類のものでは
ないことは明らかである。「アカウンタビィリィティ」とは、国家か相対的
に独立した大学が、自らの見識に基づき、社会全体に対して、大学の社会的使
命をいかに果たし得ているかを説明するものとみなされているといえる。また、
施設・設備などの項目は、「高等教育機関の使命を果たす」上で不十分である
ならば、政府に対してその充実を求める根拠ともなりうるものである。わが国
ではほとんど公開されていない「大学会計の公開」の項目が入っていることも
注目される。広く情報が公開される中で、大学のあるべき姿が社会的に議論さ
れるべきであると考えられているのである。
大学審議会の答申は、「社会に対するアカウンタビィリィティ」という論理
で、「大学の自治」に制約を加え、日本の大学を財界の望む方向に組み替えよ
うとしているだけに、「大学の自治」に根ざした、「国民全体に対して直接に
責任を負」う「アカウンタビィリィティ」のあり方を目指すべきであるという
方向性を強く打ち出すことが今求められているように思う。」
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00409-abe.html
「国立大学の独立行政法人化について考えてみます。学問の自由や学問の自治
を崩壊させかねない政策なのに、大学からも、学生からも、一般の国民からも、
さしたる反対の声があがっていません。このような状況になったのは、長年、
インテリの自己満足としての学問しかやってこなかった大学、とくに、書物な
ど文字を媒体にした教育ばかりを行ってきた人文社会系分野の学者に責任があ
ると、わたしは考えています。」
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00402-iken.html
石 弘光一橋大学学長「大学競争・選別の時代」
石毛直道国立民族学博物館長「『独立法人化』で問われる21世紀の文化政策」
アソシエ21
http://www03.u-page.so-net.ne.jp/yd5/associe/
のニューズレターで独立行政法人化問題が連載されている。
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00407-associe.html
にも転載。
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00407-associe.html#99b
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00407-associe.html#001
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00407-associe.html#002
「さらにつけ加えなければならないことは、学生の教育は言うまでもなく生涯
学習という名の地域教育においてもまた、その教育の質と水準を左右するのは
当の教育に携わる教員の、そして教育の場としての大学の研究の質と水準その
ものに他ならないということである。言わずもがなのことではあるが、研究よ
りも教育をという発想それ自体が教育の質を破壊していくのだ。独法化によっ
て、あるいは地方移管という事態によって、地方国立大学が研究機関よりも地
域の教育サービスセンターへとシフトしていくことで、その地域的知的公共性
へのかけ声とは裏腹に地域の知的な活動力を弱体化させ、上述した地方国立大
学に絡み付く価値意識の不毛性(それは中央大手の大学の価値意識の不毛性の
裏返しでもある)を地域社会全体の脆弱化へと拡散させてしまいかねない。
独法化反対の主張の多くは学問の自由や大学の自治を守れと言う。教員のみ
ならず多くの事務職員や現業部門の職員の職場を守れとも言う。確かにそれら
は守るべきものではあり、当面の態度の取り方としては対症療法的な守りにも
意義を見出しうるが、より根底的に問われるべきは守るべきものではなく、現
状をどう変革していくかである。大学人としての自己吟味を潜り抜けつつこの
腹立たしい現実に対してどのように切り結ぶべきか、あるいは、分離と統合の
ベクトルが交錯する現代社会の趨向の中で、一地域が一地方に閉ざされるので
はなく、社会的にも文化的にも多様な空間と価値とに開かれる地域性をどのよ
うにして創出できるか――そのような「研究と教育の相補性・相乗性」を強化
する方途を早急に提示することが求められるように思われる。」
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00407-associe.html#003
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00326-kanazawa-rakugo.html
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00329-yokohama.html
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00404-ibaragi.html
茨城大学は「地域に根ざす国立大学」として、地域の課題に応える様々な研究を重
ね、また茨城県を中心に学生に大学教育を広く提供し、地域に多くの人材を送り出し
てきました。また聴講生制度や公開講座などを通じて県民の学術・文化の二一ズに応
え、さらに行政や市民運動に対してはシンク・タンクの役割も担ってきました。
独立行政法人化は、足腰の弱い地方国立大学には不利に働きます。私たちは、茨城
大学が独立行政法人化することで、これまで行なってきた地方国立大学としての役割
を果たすことが困難になることを強く危惧するものです。独立行政法人化反対を広く
県民の皆さんに訴えます。
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00314-ibaragi.html
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00324-kanazawa.html
--- 法人化に意義を認める意見等 --------------------------------------
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2000/013/index.html"
(科学新聞3月31日号
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00324-tonegawa-1.html
「科学技術の基盤においてアメリカの大学は圧倒的に強い。自然科学系ノーベ
ル賞の50%以上がアメリカの大学から出ている。これは、大学がどういう形
で研究をサポートしているかに密接にかかわってくる。その大きな特徴は、教
授−助教授−助手というヒエラルキーがないことである。」
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00409-arima.html
「最後に、日本の高等教育を発展させるため、私の希望を申し上げておきます。
教官1人あたり積算校費は、これまで一講座につき非実験系で200万円、実験
系で800万円となっていましたが、2000年度から一律200万円になります。しか
し、ほぼ今までと同じ額のものが各大学に配分されます。その配分は各大学で
決めることになります。したがって、実験系で800万円でやっていた講座は、
予算が足りなくなるので、各大学で学長が教育研究費予算を実情に合わせて配
分しなければならなくなりました。そこで、教員1人あたり積算校費の最低限
の金額(アカデミック・ミニマム)を増やして安定させることを、私は訴えたい
のです。文科系の非実験講座でもコンピューターのメンテナンス費や通信費が
研究の足かせになっています。すべてを一律800万円にすることが理想的だと
思いますが、ともあれ、最低額を引き上げるべきです。」
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00407-arima.html
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00409-kimura.html
「これまでの議論で、再三再四確認されているのが、これから行おうとする大
学評価は、資金配分のためではなく、あくまでわが国の大学における教育研究
の質の向上を目的とするものであること、評価は、大学審議会の答申にも述べ
られているごとく、大学人の参加を得た、いわゆる同僚評価(peer review)と
すること、また、評価員(reviewer)など評価事業の関係者の選出は民主的に行
うこと、などである。」
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00408-yahoo-ara.html
--- その他の意見 ---------------------------------------------------
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?action=m&board=yahoo.17.0a.86166&topicid=1652m00&msgid=8cj6g7$16u$24+m00.yahoo.co.jp
---書籍紹介---------------------------------------------------------
(1998.10.26 ISBN 4-00-010890-5 ¥2800)
高等教育研究者を中心とした論説集で、現在の大学問題の全体像を形成するの
に役立つ。いくつか紹介する(他の論説も紹介する予定)。
「階層的で硬直的と指摘された高等教育システムの構造は、こうした差異をは
らみながら、近代化の後発国に特有の限られた人的・物的資源の政府による強
い統制と、不均等な配分のもとに形成されてきたのである。...」
(p12)
「..なによりも、国立大学はいうまでもなく私立大学についても、設置認可
行政を通して政府が強い権限を握り続けたことは、自由で競争的な大学・高等
教育システムの形成を妨げた。」(p13)
「..しかし「市場の力」を制約するものとして、それ以上に重要な、隠れた
役割をはたしてきたのは、高等教育システム内部における諸資源の配分構造と
その硬直化である。その資源としてここでは社会的威信、資金、教員、学生の
4つをあげておこう。」(p15)
「業績本位の競争は大学間、大学教員間の教育研究、とりわけ研究活動の活性
化に欠くことのできない条件であるが、日本の場合それが著しく制約され、優
秀な研究者の(他国をふくむ)大学間での移動の乏しさが、社会的威信の序列
化を固定化させるもうひとつの重要な因子として作用してきたのである。」
(p17)
「硬直的な階層構造は、エリート型の大学とマス型の大学を「安定的に」分化
させ、それによってエリート型の大学に、マス化の圧力が及んでくるのを防ぎ、
遅らせる役割を果たしてきたのである。」
(あまのいくお/国立学校財務センター教授/教育社会学・高等教育論)
「現在さらに大きな問題として浮かび上がるのは、第一に先にも触れた大学の
財政自主権の不在であり、第二に、政府の高等教育計画策定作業と大学全体の
自主的決定権能との葛藤である。いずれも簡単な解決は難しい。
..
後者の問題は、高等教育政策・大学政策主体のありか方に大きく依存してい
る。臨時教育審議会の答申(1987年)以来、大学審議会は、大学政策に関
して新しい局面を開くかと期待された審議会であった。しかし最近の答申等を
見るかぎり、大学運営機関の権限強化、教員任期制の採用提案等を次々に打ち
だしており、果たして大学の総意に立脚した提言主体であるか否か、大いに疑
問を呈せざるをえない。
かつて民間の専門団体として大学基準協会が発足したとき、その創立総会で
当時に会長和田小六(当時東京工業大学学長)は、今後の自分たちのめざすと
ころは「個別大学の自治」を超えて「大学連合体の自治」を気築きあげること
にある、という注目すべき講演を行った。この言葉は、現在あらためて思い起
こしてよい。国立大学総体、公立大学総体、私立大学総体、短期大学総体、さ
らに大学総体の意見を代表し得る組織は、現在日本に確実に存在する。いずれ
も戦後の改革期につくりだされたものであった。また、科学政策にかかわる日
本学術会議もそのひとつである。これらの団体の意向が大学政策・科学政策に
総合され組織されるとき、はじめて21世紀日本の大学の未来が見えてくるの
ではあるまいか。」(p81)
(てらさきまさお/桜美林大学大学院教授/日本近代大学史・教育史)
「..大学の役割の発展がひとまず政府によって媒介されなければならなかっ
たとしても、社会の要求が多様化し不確定化するにしたがって、社会と大学と
の関係を、政府が全面的・独占的に媒介することは望ましくもなく、可能でも
ない。..
ただしそれは、政府の役割を市場が完全に代替することをただちに意味する
ものではない。市場は、個々の個人や組織の要求を効率的に大学に伝えるのに
きわめて有効なメカニズムであることは事実である。しかしそうした個々の要
求をこえた、長期的視点からの社会に共通な要求があるとすれば、それを顕在
化させ組織化することは市場の役割ではない。それこそが大学の公共性と呼ば
れるものであった。日本の高等教育はその発展の特質によって、そうした公共
性についての社会的な理解を十分に発展させることができなかった。それにも
かかわらず、いやむしろそれだからこそ、大学の内外でいま市場メカニズムの
導入への指示が高まっているところに現在の日本の大学改革の特徴があるし、
また危険性があるといわねばならない。 そうした危険に対処するためにも、
大学と社会との関係の中軸としての公共性を、制度のうえでも、理念のうえで
も、どう構築していくかが問われているといえよう。」(p153)
(かねこもとひさ/東京大学教授/高等教育論・教育経済学)
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End of Weekly Reports No.5 2000-4-10
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