Date: Wed, 17 Apr 2002 23:35:16 +0900
To: tujisita-kd-020417s@math.sci.hokudai.ac.jp
From: tujisita 
Subject: [kd-020417] (転載)国立大学協会会長談話(案)など

--[begin kd 02-04-17 目次]----------------------------------------------
[1]「新しい「国立大学法人」像について」に関しての国立大学協会会長談話(案)
[2] 「国大協臨時総会は「検討結果」を了承できない」(首都圏ネット声明4/16)
[3]  (転送)北大評議員への北大教職員有志の要望とメッセージ4/16
--[end kd 02-04-17 目次]------------------------------------------------


      "The ultimate tragedy is not the brutality of the bad people,
        but the  silence of the good people."    Martin Luther King


--[begin kd 02-04-17-1]-------------------------------------------------
[1]「新しい「国立大学法人」像について」に関しての国立大学協会会長談話(案)
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/020426kokudaikyoukaitai.htm より転載
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   「新しい「国立大学法人」像について」(最終報告)に関しての
           国立大学協会会長談話(案)


                       平成14年4月 日
                       会長 長 尾  真


1. 国立大学協会のこれまでの努力


 国立大学協会は、国立大学協会の法人化に関し、平成12年6月の第106回総会
において、「独立行政法人通則法をそのままの形で国立大学に適用することに強く反
対」し、設置形態検討特別委員会を設置してあるべき姿について考え方をまとめる一
方、これを踏まえて文部科学省の調査検討会議に積極的に参画し、本協会の意見を述
べるとともに、各方面に対し政策提言を行ってきた。
 その結果、昨年9月末に出された調査検討会議の中間報告は一定の評価ができるも
のとなったが、なお不十分な点については意見を提出するとともに、調査検討会議に
おいてもあるべき姿について最終報告書に盛り込まれるよう、最大限の努力をしてき
た。


2. 最終報告に対する評価


 今回調査検討会議がまとめた最終報告については、例えば、中期目標の策定に関し
て、文部科学大臣が定めるとはいえ、大学側がその基本的な目標に基づいて提出した
原案を十分尊重して行うための制度的な担保が加えられるなど、中間報告からかなり
の改善点が認められる。
 組織業務、人事制度、財務会計制度においては、多くの重要な部分は実質的に各大
学の規則レベルに委ねられることになった。例えば、学長選考における大学構成員の
意向聴取の取り扱いや教員人事における大学の自主・自律の精神の堅持などを、それ
ぞれの大学の持つ歴史と個性にしたがって大学自身が決めるべきことは、法人化が大
学の自主性・自律性の発揮をねらいとしている主旨からして、妥当なものである。

 国立大学教職員の身分については、非公務員型とされた。これによって教官の活動
についての自由度が高まるほか、能力・実績に応じた教職員の処遇など、多様な可能
性が開かれよう。また、非公務員であるとはいえ、退職手当の期間通算や医療保健、
年金、宿舎などについて、国家公務員と同じ扱いにするなどの点も評価できる。ただ、
教職員の就労規則や給与基準の決定、教職員の大学間の異動問題など、今後関係者に
おいて更に努力や手当てを要する諸課題も存在する。


3. 国立大学協会の考え方


 戦後の大学改革による新制国立大学は、日本の復興と発展の原動力となり、日本が
世界の大国として活躍するための基礎を築くなど、大きな貢献をしてきた。それから
半世紀を経て行われつつある今回の大学改革は、法人化によって国立大学それぞれの
自己責任をより一層明確化し、その自主性・自律性によって教育研究の高度化と国際
的レベルにおける発展を可能とすることを目指している。
 今回まとめられた最終報告は、国立大学法人化についての基本的な枠組であり、全
ての内容を書き込んではいないが、全体として見るとき、21世紀の国際的な競争環
境下における国立大学の進むべき方向の制度設計として同意できるものになってい
る。国立大学協会は、この最終報告を基に法人化の準備に入ることを決定する。
 文部科学省をはじめ政府においては、各国立大学が混乱なく国立大学法人に移行
し、自主性・自律性を十分発揮しながら日本の高等教育と学術研究の更なる発展に大
きく寄与していけるよう、最大限の誠意ある適切な対応をしていただきたい。特に法
人化後においては、各国立大学の意向と自主性・自律性を十分に尊重し、各大学が個
性の輝く大学としてより良い発展をするよう、財政面を含め支援の充実を強く要請す
る。
 なお、国立大学の教職員の身分の問題については、これまでの経緯もあり、教職員
が安心して職務に専念できるよう、法人への移行段階も含め十分配慮することは、文
部科学省の責務であることを付言しておきたい。


4. 国立大学協会の今後


 国立大学協会は、国立大学の意義ある法人化を目指して、今後の法制化作業も含め
て、あらゆる段階の諸側面についても引き続いて意見を述べ、真に自主性・自律性を
もてる国立大学法人が実現するよう努力を続けてまいりたい。
 昭和25年7月に発足した国立大学協会は、国立大学が法人化することにより、今
後は各国立大学法人の全体としての連絡調整や共通課題への対応等の機能をこれまで
以上に適切に担うことが見込まれるため、我が国の高等教育・学術研究の発展に寄与
する協会として生まれ変わるべく、その在り方について早急に検討を開始したい。

--[end kd 02-04-17-1]------------------------------------------------


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[2] 「国大協臨時総会は「検討結果」を了承できない」
 (独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局声明2002.4.16)
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/020416seimei.htm より転載
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        国大協臨時総会は「検討結果」を了承できない

              2002年4月16日
  
        独立行政法人反対首都圏ネットワーク 事務局

 2002年4月1日に国大協の設置形態検討特別委員会は、「最終報告「新しい『国立大
学法人』像について」の検討結果」と題する文書を作成した
(http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe3750.htm)。この文書は、4月12日の
臨時理事会に提出され、そこで「大筋で了承」されたと言う(『日本経済新聞』4月13日
付)。4月19日の臨時国大協総会は、この文書とそれを「了承」した臨時理事会の立場を
検討する決定的に重要な場となる。

 この文書の内容は以下にみる通り、国大協の従来の立場と照合してみても、極めて
問題の多いものである。臨時総会では、この文書を批判し、国大協の立場の明確化を
はかることが強く求められる。

一、「総評」について

 「検討結果」では、「最終報告の法人像は、(中略)国立大学におおむね適合的な法
人像になっている。」とする。しかし、最終報告は独立行政法人通則法の基本的枠組
みをそのまま踏襲するものであり、「通則法にもとづく法人化に反対」という国大協
の従来の立場から見て、どうして「おおむね適合的」と言えるのか理解に苦しむ。こ
の問題は、憲法23条の「学問の自由」と大学自治の根幹に関わるものであり、「おお
むね」などという曖昧な表現で解消しうる論点ではない。

 また、「検討結果」は、「最終報告」が「高等教育・学術研究等への効果的で十分
な支援について責任が問われる」としていることをもって、「国の責任が明示されて
いる。」と評価するが、「最終報告」には、具体的に高等教育予算をどうするのか、
まったく明言されていない。それをどうして「明示されている」と読むことができる
のだろうか。

 そもそも、中間報告に対する国大協の「意見」(2001年10月29日)においては、「国
と大学の関係」について、「国の管理を最小化するといった観点が必要」と述べてい
た。「最終報告」を全体として見れば、構造改革の一環として、産業競争力強化のた
めに大学を利用し、むしろ「国の管理」を最大化することが目的となっている。これ
を批判しない「検討結果」は、国大協の基本的見地さえ裏切るものとなっている。

二、運営組織

 「検討結果」は「最終報告」が経営と教学の一致をうたっている点を評価して、
「一定の配慮がなされている」としている。しかし、この運営組織案は、評議会から
経営権限を剥奪することを目的としたものと見なければならない。加えて、運営協議
会が「主に経営に関する」と「主に」が追加され、教学にも介入する余地を作ったこ
とを過小評価している。さらに、国大協の中間報告に対する意見では、「運営協議会」
が「経営」事項として審議する事項を、「明確に列挙して特定すべきである」として
いた。そうした限定が最終報告では実現されていないばかりか、教学への容喙も可能
となっていることを、いったいどう考えるのか。

三、非公務員型

 「検討結果」では、「非公務員型の長所」について縷々語っているが、非公務員化
が教職員の身分に関わるものであるだけでなく、教育公務員特例法の不適用を最大の
目的としていることに触れていない。さらに、「非公務員型で任期制を広く導入する
ための法整備や労使関係を円滑に処理する仕組み、国家公務員に準じる公共性の確保、
職員身分の切り替えに伴う各種の代替措置や移行の問題など、なお検討課題が多い」
としている。そうであるのなら、第一に、このままの形態では非公務員型は不可能で
あると結論するのが当然である。第二に、ここで国大協は任期法の三類型をこえて任
期制を大々的に導入する立場に移行している。第三に、非公務員化の問題は、国立大
学にとどまらず、旧国研の非公務員化に道を開くと同時に、教特法が事実上準用され
ていた私立大学の自治にも決定的な影響を与えることが看過されている。

四、教員等の人事

 「検討結果」は教員等の人事について、国大協が教特法に代わる法令化を求めてき
たとしている。しかし、「最終報告」では法令化について全く語っていないのである
から、この点でも国大協の意見は容れられていない、と解すべきである。また、学部
長等の選考について「教員と同様の基準・手続き等を採りうると解する」と言う。
「解する」というのは希望的観測であろうか、それとも「落し所」を探る姑息な手段
であろうか。

五、学長選考

 この点では、「検討結果」は「ある程度大学ごとの工夫の余地も残すものと理解す
る」としているが、文部科学省が「工夫の余地」を認めることの保障はない。大学構
成員による学長選挙を極力排除しようとする最終報告は、ついには「意向聴取対象者」
なる嗤うべき概念まで生み出している。学長の解任についても、文科相の発議によっ
て解任手続きが開始されることに全く警戒心がないことに驚かされる。

六、目標・評価

 中期目標については、「最終報告」では、「文部科学大臣」が「定める」としてい
る。「定める」というのは、文言の上でもまたスキームの点からも通則法そのままで
あり、どのような限定を設けたとしても、国大協の立場から見て到底容認できるもの
ではないはずである。本来、国大協の立場は「各大学が「作成」し、文部科学大臣が
「認可」するという方式を採用すべきである」(中間報告への意見)であった。私たち
は、もとより「認可」という形態を容認するものではないが、よしんばその立場を取っ
たとしても、文科相が「定める」という最終報告は、国大協の立場と矛盾することは
明らかである。

 ところが、「検討結果」では「かなり大学らしい特徴が出るようになった」と評価
しており、全く理解できない。国大協の中間報告に対する意見では、「学術研究と高
等教育の特性にさらに配慮していく必要がある」と述べていたが、国大協は、最終報
告ではいかなる「配慮」によって「大学らしい特徴」が出るようになったと評価する
のか明示する責任がある。これは「運用上の考慮」によっては解消することのできな
い根源的な問題である。

七、財務会計

 「検討結果」が言うように、「最終報告」には、「高等教育や科学技術・学術研究
に対する公的支援を拡充する」具体的な方法は書かれていない。具体的な方法なしの
「口約束」だけでは、法人化を受け入れる論拠となりえない。そもそも、国大協の中
間報告に対する意見書では、財政的基盤の問題を「法人化の前提となるべき」ものと
述べていた。「前提」が実現されていないのだから、「法人化」も不可能というのが
論理的帰結である。

おわりに

 総じて、「検討結果」では、一方で、国大協のこれまでの立場から見て、問題であ
る点を種々列挙しているにもかかわらず、結論のみが「おおむね適合的」という容認
路線となっている点が不可解と言う他ない。「検討結果」は、はじめに容認を前提と
して、あとから看過に看過を重ねた「論拠」を連ねるという形式を取った摩訶不思議
な文書である。このような文書を国大協として認めるなどということはありえない。
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--[begin kd 02-04-17-3]----------------------------------------------
[3]  (転送)北大評議員への北大教職員有志の要望とメッセージ 4/17
♯(4月17日の北大評議会に最終報告了承の可否を議題とすることを求める
北大12部局38名の教職員有志の要望とメッセージ。41名の評議員に送付)
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                  要望

 日本の国立大学制度を廃止し国立大学法人(仮称)制度を作ることを承認するかど
うかの決断を国立大学は迫られています。しかし、国立大学法人(仮称)制度の設計
図となる調査検討会議報告は、今現在の社会情勢の影響を強く受けており、世紀に一
度とも言える大改革に必要な長期的視野を欠いています。大学制度の未来を左右する
重大な意思決定において、独自の意見を表明することなく国立大学協会の判断に従う
ことは、「基幹大学」を標榜する北海道大学に相応しいものではありません。

 本日17日の評議会では、最終報告承認の可否を議題とし、法人化検討WGの意見
を鵜呑みにせず、基幹大学の最高意思決定機関に相応しい実質的審議を展開したのち
表決し、学長が北海道大学の判断を19日の国立大学協会臨時総会で表明できるよう
にすることを望みます。

 また、評議員という立場は北海道大学教職員から負託されているものであるという
事を尊重され、当該問題を議題とせずに不作為に最終報告を了承するようなことのな
いよう強く要望します。

 なお、全教職員の生活基盤に関わる議題である以上、審議詳細を全教職員に知らせ
る責務が評議会にはあります。発言者名を記した詳細な議事録を公開し、当該審議結
果に対する各評議員の責任を明確にして下さいますようお願い致します。



              評議員へのメッセージ

「賛成にせよ,反対にせよ,なぜ「北大」として意見表明しない(出来ない)のか不思
議でしかたがありません.北大構成員に意見を聞く作業をしないのもとても不思議で
す.」

「職員には情報が流れないし、意見を言う場もない。独法化で管理強化、競争激化、
教育軽視が進むだろう。身分が一方的に国家公務員を剥奪されようとするのは、全く
納得できない。他省庁と比べ昇格がずっと悪く、その果てに非公務員化とは許せない。
裁判にでも訴えたい気持ちだ。」

「北海道大学の評議会は、通則法に基づく国立大学の独立法人化には反対であるとの
意志表示を行ったが、その後今日に至るまで、この決定を変更したことはない。した
がって、19日の国立大学協会の臨時総会において審議される、(通則法に基づく)
国立大学法人像に関する最終報告に対しては、明確に反対の意志を表明することが北
海道大学の最高意志決定機関としての道理であり責務でもある。」

「評議会の意志決定を議決という形できちんと行ってほしいし、それが評議会をきち
んと機能させる事に必須だと思います。これまでも非常に多くの慎重な審議が行われ
ていることを疑うわけではありませんが、節目の時としては、これまでの審議の総括
としての議決(全員が同じ意見に集約される必要はありませんが)をしてほしいと思
います。」

「有事法制化問題と同様、わが国の行く末がどうなるか憂慮に耐えません。独法化に
対しての意見表明を当事者がしないで誰がしてくれるのでしょうか。」

「個別大学の生き残りに汲々とし、日本の学術と高等教育の発展の見地から政策動向
にコミットしようとしない国立大学に存在意義などありません。独法化は、国立大学
をまさしくそうした機関へと変えていくものです。国立大学を構成員がコントロール
できる今、北大は独法化に対する学内の意思を確かめ、それを社会に表明すべきで 
す。」

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管理者:辻下 徹 tujisita@math.sci.hokudai.ac.jp  
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