Subject: [kd 02-12-14] 教育基本法に関するパブリックコメント〆切12/15
From: TSUJISHITA Toru
Date: Sat, 14 Dec 2002

国公立大学通信 2002.12.14

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教育基本法に関する中教審中間報告へのパブリックコメント提出の勧め
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大学関係者 各位

中央教育審議会は11月15日に中間報告「新しい時代にふさわしい教育基本
法と教育振興基本計画について」を発表し、それに対するパブリックコメント
を募集しています[1]。期限は、明日12月15日です。

中央教育審議会の基本問題部会で、2月以来教育基本法について審議されてき
ましたが、一部の委員の批判[2]があったにもかかわらず、改正が必要かど
うかを議論をせずに、答申草稿の添削に終始してきました。中間報告発表直前
の第16回(10月24日)でも16名中8名が欠席し「懇談会」となった
[3]ままで済ませたことは、事務局主導の形式的審議しか行なわれてこなかっ
たことを証すものと思われます。このように事務局の意向が真剣に吟味される
ことなく通るとすれば、教育する者、教育を受ける者の視座が欠如し、教育を
管理する視点に偏した答申となり、即刻、法制化される懸念があります。

「教育振興基本計画」には、大学に関する「計画」も書かれていますので、そ
の部分を添付[4]します。おかしいと思われる点があれば、短かいコメント
であっても提出するのが当事者としての私達の責務であると思います。

なお、佐賀大学の豊島氏のサイトに、教育基本法第10条の条文の成立過程の
記録を記載したページ[5]がありますのでご覧ください。

辻下 徹

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[1]提出要領:http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2002/021102.htm

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[2]第15回(10/17)中央教育審議会基本問題部会(懇談会)議事概要より
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijigaiyou/002/021003.htm

「○ 1頁の「見直しの視点」では、「見直しを行うべきであるとの結論に至っ
た」とあるが、いつ 、どこで、誰が決めたのか。新聞では改正が決定したか
のような報道であったが、少なくとも部会としては決定していないはず。」

「○ 鳥居部会長 1点目については、諮問を受け、総会で審議する中で、見
直しの方向で議論を始めるために基本問題部会を作ることにした、という経緯
がある」(#そういう経緯は議事録には記載されていない。)

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[3]第16回(10/24)中央教育審議会基本問題部会(懇談会)議事概要より
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijigaiyou/002/021101.htm

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[4]中間報告「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画につ
いて」第3章  教育振興基本計画の在り方について 抜粋
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/021101c.htm

(2)「知」の世紀をリードする大学改革の推進

(i)「知の拠点」を支える教育研究環境の整備

これからの教育においては,知の世紀をリードする創造性に富んだ人材を育成
することが重要である。このためには,国公私立を問わずすべての大学が適切
なマネジメント体制の下で,大学間あるいは内外の研究機関等との間の人的交
流を促進することや,学生が学業に専念できる仕組みを整えることなど,柔軟
かつ安定的な大学の教育研究環境を整備することが必要である。これにより,
大学は,世界のあらゆる知の分野で活躍し得る,高い能力を備えた人材を育成
するための拠点となり得る。このような観点から,今後,以下の方向で施策を
検討すべきと考える。

○国立大学の法人化など高等教育機関におけるマネジメント体制の確立
○教員・学生の流動化の促進
○奨学金の充実などの学生支援の推進
○施設・設備の充実
○大学職員の専門性の向上
○私学助成の推進による私立大学の教育研究環境の整備・充実
○大学の設置認可の弾力化
○若手研究者の育成・活用の機会の充実
○高等教育機関相互の連携協力の強化

(ii)教育研究機能の充実

我が国の大学が世界に伍(ご)していけるだけの競争力を持つ健全な「知の拠点」
となるための機能を継続的に果たしていくためには,基礎的な学問や教養に関
する教育研究に加え,社会のニーズを敏感に読み取り,これに柔軟に対応する
ことを可能にする教育研究機能を有すること,そして高度な教育研究への誘因
(インセンティブ)を与えるような取組が求められる。このような観点から,今
後,以下の方向で施策を検討すべきと考える。

○国際競争力向上のための教育研究機能の質的向上,人材の招へい・集積
○基礎的学問分野の教育研究機能の充実
○社会のニーズに柔軟に対応した教育研究機能の強化
○教養教育の再構築の推進
○ITを活用した教育内容の豊富化・高度化の推進
○競争的資金の充実による研究の振興

(iii)評価制度の導入・整備

我が国の大学が教育研究の質の向上を図るためには,自己点検・評価の充実と
ともに,第三者評価などを通じた多元的な評価システムの確立により,大学の
教育研究の内容・方法の改善を積極的に図っていくことが重要である。このよ
うな観点から,今後,以下の方向で施策を検討すべきと考える。

○自己点検・評価,第三者評価の実施と評価結果の公表
○評価に基づく重点的な資源配分
○大学評価における教育の評価の観点の重視

(iv)社会・経済の発展への積極的貢献

「知の拠点」としての大学は,今後,その閉鎖性を打破するとともに,その知
的資源等をもって積極的に社会の発展に貢献する教育機関となることが重要と
なる。このため,地方公共団体や地域の企業と様々な形態で協力しながら教育・
研究を行い,その成果を進んで地域に還元することが求められている。このよ
うな観点から,今後,以下の方向で施策を検討すべきと考える。

○大学を核とする産官学連携の推進
○大学から産業界への技術移転の推進
○社会人の再教育機能の強化

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[5]教育基本法 第十条の条文の成立過程
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/Education/edulaw-art10.html

「教育基本法要綱案(1946.12.21)            
(十)教育行政教育は、政治的又は官僚的支配に服することなく、国民に対し
独立して責任を負うべきものであること。学問の自由は、教育上尊重されなけ
ればならないこと。教育行政は、右の自覚の下に教育の目的を遂行するに必要
な諸条件の整備確立を目標として行われなければならないこと。」

「教育基本法第十条
(教育行政)教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責
任を負って行われるべきものである。教育行政は、この自覚のもとに、教育の
目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならな
い。」
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発行人:辻下 徹 tujisita@math.sci.hokudai.ac.jp 
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