通信ログ
Subject: [kd 03-02-27] 
Date: Thu, 27 Feb 2003 

国公立大学通信 2003.02.27(木)

--[kd 03-02-27 目次]--------------------------------------------
[1] 豊島氏から公明党への書簡2/26
[2] 日本学術会議10年内に独立を…科技会議が改革策
[3] 第2回シンポジウム「横浜市大の将来を考える」3月8日(土)
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[1] 全国ネット豊島事務局長から公明党への書簡
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/toKomeito.html
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公明党 御中

  国立大学を「法人化」する法案の閣議決定に反対されるようお願いします.

       国立大学独法化阻止全国ネットワーク
       事務局長 (佐賀大学教授)
         豊島 耕一
       840-8507 佐賀市本庄町1
       佐賀大学理工学部物理科学科 
       電話/ファクス 0952-28-8845

 拝啓

 貴党の国政においてのますますの御活躍を尊敬申し上げます.

 国立大学の独立行政法人化問題に付きましては,昨年10月24日付けでお手
紙を差し上げ,この制度の問題点についていくつか申し上げました.さて,いよ
いよこの問題も閣議決定が間近と見られており,与党としてこれに関わられる貴
党に,再度お願いのお手紙を差し上げます.

 国大協に示された「法案概要」によりますと,準備されつつある法案は実質的
に独立行政法人制度と変わらないものであり,大学を文部科学省という官僚組織
の直接支配下に置くものであることが明かになったと思います.

 貴党は,私どもが一昨年の参院選の際にお願いしたアンケートにおける,国立
大学の独立行政法人化に賛成か反対かという問いの選択回答に,「どちらとも言
えない」を選ばれ,「その理由」の欄に次のようなお答えをいただきました.
(詳しくは下記のサイト1をご覧下さい.)

  「現在検討中。国立大学は学問研究と教育機関の場として、学問の自由をは
  じめその自主性・自立性が保障されることが不可欠であり、国立大学の独立
  行政法人化および民営化について、この前提のもとに議論がなされなければ
  ならないと考えます。また、財政問題が十分に考慮されることが必要で、独
  法化や民営化を行うことによって学生の経済的負担が増えるといったことが
  ないよう、議論は慎重に行われる必要があると考えます。大学の研究・教育
  の水準の維持・向上をいかに図っていくかを含め、21世紀の大学のあるべ
  き姿について現在検討を進めているところです。」

 現在提案されている制度における「中期目標」が,いかに「大学の意見を聞い
て」というリップサービスが添えられていても,これが文部科学省から大学への
命令であることには変わりはなく,このようなものは戦前の大学制度に於いてさ
え見られなかったものです.このような官から学への命令制度が,貴党が上で述
べられた,「学問の自由をはじめその自主性・自立性が保障される」ものである
どころか,これを根本から否定するものであることは明かではないでしょうか.

 新潟大学法学部教授で日本教育法学会理事の成嶋隆氏は,「国立大学の『行法
化』と教育基本法10条」と題する文書(サイト2)の中で次のように指摘してい
ます.

  「昨年3月の文部科学省調査検討会議「最終報告」や、最近示された「国立
  大学法人法案」の「概要」などによれば、大学における研究・教育の基本計
  画は各大学において策定するものとされている現行方式を改め、法人化後は、
  文部科学大臣が各大学の「中期目標」を定め、またその「中期計画」を「認
  可」することになっている。これらの「中期目標」「中期計画」の達成度は、
  「独立行政法人大学評価・学位授与機構」などによる「評価」にかけられ、
  その評価結果に基づいて運営費交付金の交付額や組織そのものの改廃が決定
  されるという。このようなシステムは、戦前の大学制度においてさえ存在し
  なかったものであり、諸外国にも例をみない、極めて国家統制色の強い制度
  である。もちろん、教基法10条に真っ向から反する。とくに指摘したいのは、
  このシステムが、これまで教基法10条との関係で問題とされてきた教育の国
  家統制のありかたとは比べものにならないほど、国家統制の度合いが強いと
  いうことである。・・・」

 貴党におかれましては,教育基本法の「改正」に対しては慎重な態度を取られ
ていると伺っております.しかるに,今回提案されている「国立大学法人法」は,
成嶋氏が指摘するように,この10条を実質的に無効にするものであり,この
「改正」の先取りと言えるのではないでしょうか.法案の明文改悪をしないこと
は最も重要ですが,しかし「解釈改悪」,あるいは空文化もこれに劣らず重要な
問題です.

 どうか,貴党が,社会における自由の重要な砦である大学を,戦前よりも悪い
自由のない状態にしてしまう制度に賛成されることがないように,「角を矯めて
牛を殺す」の愚策に加担されることのないように,心からお願い申し上げます.
敬具

2003年2月26日
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サイト1
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/san-in-sen01/enquete/party.html
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/san-in-sen01/senkyo.html

ホーム
 http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet.html

サイト2
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/Education/NARUSHIMA.html


全国ネットワークホームページ
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet.html 
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet.html
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[2] 日本学術会議10年内に独立を…科技会議が改革策
   Yomiuri On-Line 2003年2月26日付
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「動きが遅いなどの批判が出ていた日本学術会議の今後のあり方について、総
合科学技術会議(議長・小泉首相)は26日、「国の機関として存続を」と望
む学術会議側の主張を退け、10年以内に国から独立した法人とすべきだとす
る改革策を決めた。会員選抜や意思決定の方法については、法人化を待たずに
早急に改めるよう求めている。

 日本学術会議は文系、理系の研究者210人で組織され、科学技術政策につ
いて政府に提言するなどの役目がある。しかし、提言作成に長時間かかること
などから存在感が薄れ、一昨年から科技会議が改革を検討していた。

 改革策によると、学術会議は政府に批判的な提言をする必要性もあるため、
国から独立した法人が理想とした。だが、即座に法人化するには学術会議が十
分に成熟していないと判断。まず運営体制の改革を先行させ、10年以内に法
人化を検討するよう提言した。」
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[3] 第2回シンポジウム「横浜市大の将来を考える」3月8日(土)
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 2月27日に「市大の在り方懇談会」の答申が市長に提出されます。第6回の
懇談会に提出された答申案は、市大が市民の負担になっていると不当に決めつけ、
廃校や縮小を提案しています。

 350万都市として横浜の文化政策の観点がなく、大学がこれまで果たしてき
た役割も意図的に過小評価し、廃校また縮小を強引にせまるものとなっています。
この答申の分析から展望へ、市議会各会派の意見を聞きながら、市大の将来を考
える第2回目のシンポジウムを開きます.

 卒業生・在校生・市民の皆様のご参加をお待ちします.

 期日:3月8日(土)午後3時〜6時
 場所:横浜市大瀬戸キャンパスカメリア・ホールにて
 内容:
   報告「あり方懇の答申と市大の将来」商学部助教授新原道信
   シンポジウム:「市大の将来考える」
   パネリスト:横浜市議会各会派代表の諸氏(交渉中)
 主催:市大を考える市民の会
 連絡先:横浜市立大学商学部松井道昭(電話)045-787-2131
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