通信ログ
国公立大学通信抄 2003年5月9日(金)

--[kd 03-05-09 目次]-----------------------------------------------------
[1] 衆議院文部科学委員会5/7田中弘允前鹿児島大学長の意見陳述(要旨)
[2] 鬼界氏から議員への「国立大学法人法」及び国立大学に関する意見書
[3] 朝日(5/7):糟谷正彦「国立大法人化 疑問点多く抜本見直しを」
[4] 5.6国大協法人化特別委委員会配付資料について
[5] お便り紹介: 坂内英一(九州大学教授)「Tenure について」
[6] しんぶん赤旗5/8「国立大法人法案阻止しよう 全大教などが国会行動」
[7] 全国ネット速報: 意見広告(二次)への賛同者拡大のお願いなど
    1.意見広告,賛同拡大のお願い
    2.国会の動き
    3.電子レファレンダム,第二期
    4.最近の動き,文書など
    5.法案のプロフェッショナル訳が完成
    6.国会内集会での世取山洋介さんのスピーチを掲載
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各位

総合科学技術会議の報告書案「競争的研究資金制度改革について」の中にある
「米国では Tenure取得後も職の継続について数年に一度厳しい審査がなされ
る」という主張は誤まりと思われるので調べて欲しい、というご意見を、九大
の坂内教授から頂きました。ご本人の承諾を得ましたのでご意見を紹介します
[5]。坂内さんのご指摘に関連する情報等を歓迎します。

                  ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

「ac.jp ドメイン全体投票」を予定しています。本日は模擬投票を実施します
のでhttp://ac-net.org/rfr/ で実験してお気づきの点をご指摘ください。

                  ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

豊島さんの「全国ネット速報」[7]を転載します。多くの情報が簡潔に呈示され
ています。                                                    

                  ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

広島大学長の意見陳述をビデオで見ましたが、中期目標を文部科学大臣が定め
るのは当然だ、ということを何度か繰り返しておられたことに驚きました。こ
ういった意見は国立大学協会では普通なのでしょうか。 (編集人)

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[1] 衆議院文部科学委員会5/7田中弘允前鹿児島大学長の意見陳述(要旨)
「教育研究の自主・自律失われ学問の衰退招く」
  2003年5月8日(木)「しんぶん赤旗」より
  http://www.jcp.or.jp/akahata/aik2/2003-05-08/01_03.html
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「国立大法人化の中心目的は自主性・自律性の拡大にあります。しかし本法案
では、大学の本来の任務である教育研究の自主・自律は逆に失われます。なぜ
なら大学にあった企画・立案機能は文科省の権限に移され、大学には実施機能
しか割り当てられないからです。政府や官僚が強力な権限を持ち、国立大を直
接統制できる仕組みを内包している制度といえます。

 具体的には、文科省は国立大に対し六年間の教育・研究等の目標・計画を指
示、認可します。そして六年後、成績評価と予算配分、次期の目標・計画の指
示、認可、大学の改廃までも取りしきるのです。大学へのこのような国のしば
りはわが国に存在したことがなく、構造改革の旗印である規制緩和にも矛盾し
ます。

 このようなわい曲は世界にも例を見ず、憲法二三条の「学問の自由の保障」
や教育基本法一〇条の「教育の不当な支配の排除」にも反します。本制度の下
では真の教育研究を行うことは困難であり、強要されればわが国の学問が衰退
を余儀なくされるのは明らかです。

膨大な事務に人手割かれる

 法人化は行革の一環として始められましたが、政府の業務や権限はスリム化・
効率化どころか、増大、煩雑化します。大学においても、計画の作成や公表、
評価書類の作成とやりとりなど膨大な事務が発生し、多くの人員と財源が教育
研究以外に割かれます。教育研究の高度化という大学改革の本来の趣旨に根本
から矛盾する壮大な浪費です。

 「競争原理導入による大学の活性化」という発想は、教育研究の外面的評価、
数値化によって、熱心で有能な人々の学問的内発性をそぎ、人間精神の純粋な
創造的・発見的エネルギーをかく乱し低下させる逆説を生みます。一時的な効
果はあってもたちまち息切れし、日本の高等教育を凡庸な水準に収れん・停滞
させるでしょう。

 行革には、市場競争原理導入と地方分権の二つの手法があります。前者はヒ
ト・モノ・カネを大都市に集中させ、後者は過度の大都市集中に伴う政治経済
のゆがみ、文化の一様化・平板化、社会問題の噴出等を回避し、多様な活力あ
る地域社会を発展させる役割を果たします。

 ところが国立大法人化は競争原理に強く依拠しており、企業立地の実情や県
民所得等の格差があるもとでは、地方国立大と地域社会には憂慮すべき事態が
もたらされます。地方の衰退を招くのはほぼ確実であり、地方活性化をうたう
地方分権に逆行します。

協力原理での大学活性化を

 日本の大学にはかなりの業績と潜在能力がありますが、それらを一般社会と
結びつけるチャンネルが欠如しています。大学の学問研究を地域社会現場と結
びつけ、二十一世紀のグローバルな問題に各大学が相互補完的に協力し対応し
うるネットワークが形成されれば日本の大学はよみがえるはずです。「競争原
理」のみでなく「協力原理による相互活性化」も必要なのです。

 以上述べたような致命的な矛盾を内包する本法案は、わが国の高等教育、学
術研究の水準の向上と均衡ある発展を図るという目的と反対の結果を生みます。
わが国の未来を見据えた理性ある判断を期待いたします。」
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[2] 鬼界氏から議員への「国立大学法人法」及び国立大学に関する意見書5/7
   http://ac-net.org/dgh/03/507-kikai-ikensho.html
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「国会議員の皆様、現在国会に上程中の「国立大学法人法」案に関して緊急に
お伝えしたい事があり、不躾を承知で今回意見書をしたためました。以下を御
一読頂ければ望外の幸せです。

  私は過去11年間筑波大学において哲学と英語を教える一方、自己の専門
分野である哲学の研究者として研究に携わってきました。その間大学全体の教
育と研究の質の向上を願ってささやかな努力も続けてきましたが、常に前に立
ちはだかる国立大学の制度的現状には大きな不満と失望を感じてきました。全
国の国立大学で教育と研究に携わる多くの同僚もこうした感情を共有している
かと考えます。それゆえ過去三年にわたって進められてきた国立大学法人化構
想に対しては、国立大学をよりよき方向に変える可能性のあるものとしてある
種の期待を抱き、今回「国立大学法人法」の上程に際しても、当初はそれを受
け入れるという態度で臨みました。

しかし本法案に関する様々な批判に接するうちに、果たしてこの法案は国立大
学の現状を改善するものなのかについて疑念を抱くようになり、過日法案全文
を精読いたしました。その結果いくつかの驚愕すべき事実、これからの日本の
知的立国の心臓部となるべき国立大学の将来を破滅させかねないいくつかの事
実に遭遇し、是非それを国会議員の皆様にお伝えするためにこの意見書を提出
する決意をした次第です。本法案の危険性に関する条文に即した詳細な分析は
添付した拙論「「国立大学法人法」批判要綱」(国立大学教員に向けて執筆し
たものです)に示してありますので、是非ご一読頂き、法案への疑念が少しで
も生ずるようであれば、本法案について御再考をおねがいしたいと思います。

  ここでは本法案が国立大学に何をもたらすかを簡単に述べさせていただき
ます。本法案に基づいて全国89の国立大学が運営されると、国立大学の教育
研究の実質的水準は現在よりはるかに低下します。すなわち書類上の帳尻あわ
せが可能な論文数や獲得研究費、等といった(真の研究にとって実は無意味な)
指標は上昇するかもしれませんが、ノーベル賞級の独創的で国際的水準の研究
や研究者を国立大学が生み出す可能性は(現在でも十分には高いとはいえませ
んが)現在よりはるかに低く、限りなくゼロに近づきます。研究者と学生は、
研究そのものではなく研究報告の作成により多くの時間とエネルギーを費やす
ようになるでしょう。これは文系、理系を問わず共通して予想される結果です。
同時に各国立大学の教育と研究のあり方は、現在よりもさらに画一化され、大
学間の機械的な分業が横行します。簡単に言えば、各国立大学は巨大なシステ
ムの中の一工場として与えられた仕事を粛々とこなすようになり、各研究者は
その工場の歯車として無意味に予算を消化し書類の山を築いて行くようになる
と予想されます。現在日本社会が国立大学に求めているのが、予想可能なルー
ティーン的仕事をこなすことではなく、現在は誰にも予想できないが将来は大
きな可能性をもたらすような創造的・独創的な研究の創出であることに大きな
異論はないと考えますが、「国立大学法人法」が作り出そうとしているシステ
ムは、そうした創造的知的活動と相容れないものです。それゆえ本当に創造的
な研究や研究者を生み出す知的土壌・空気は日本の国立大学から消滅すると予
想されます。言い換えますと「国立大学法人法」は、今や完全に時代遅れになっ
た一元的に管理された集中的知的生産システムを国立大学全体に持ち込み、結
果として国立大学から大学本来の機能を奪ってしまうのです。それは次のよう
な理由のためです。

「国立大学法人法」は本来各大学に、具体的にはその長である学長に、より大
きな運営権限を与え、各大学が学長の見識ある指揮の下で、より自発的で、よ
り多様で、より創造的な教育・研究を生み出すことを促すはずのものです。あ
る組織が持つ潜在能力をできるだけ引き出す方法として、その長にこのように
大きな独立権限を与えるのは極めて有効なものですが、それが意図したとおり
に機能するには次の条件が満たされなければなりません。(1)与えられた大
きな権限を組織の長が独立に行使する機構が保障されている、(2)組織の長
にその権限を有効に行使するだけの経験と知識がある、(3)長による組織の
運営実績に対する独立で客観的な評価が定期的になされ、それにより長の再任
の可否が決定される。これらを組織の長に関する、独立権限、人材、再任チェッ
ク、の三条件と呼ぶことができるでしょう。これら三条件を満たす場合にのみ
組織の長に大きな権限を与えることは合理的であり、有意味となります。これ
らの条件を満たした組織運営の成功例としては、近年のサッカーの日本代表チー
ムが挙げられるでしょう。以前は考えられなかった海外の優秀な指揮官に絶大
な権限を与え、同時にその成果を独立して評価することを通じて、日本サッカー
界の潜在力は最大限に引き出され、ワールドカップですばらしい結果を残しま
した。「国立大学法人法」も一見すると学長に大きな権限を与えているのです
が、実はこれら三条件のいずれも満たしていないため、結果として生じるのは
自発性に基づいた創造的組織ではなく、官僚による奇妙な一元的統制組織なの
です。第一に「国立大学法人法」にあって学長は中期計画について文科大臣の
認可を受けねばならないという形で手を縛られており、組織運営の本当の独立
権限は与えられていません。そしてこの認可の実質的権限を握るのが文科省内
に設置される「評価委員会」です。第二に、この法案が通過すると現職の学長
が何の経験も訓練もないまま突然巨大な権限を手渡されることになっています。
つまり彼らが大きな権限を使いこなし、効果的に大学運営をするための環境は
全く整えられていないのです。第三に、学長選考委員に学長自身がなれるとい
う不可解な規定があるため、文科省の官僚以外の関係者による学長のチェック
は一切存在しません。この結果として、一見すると独裁者のような学長を傀儡
として使う「評価委員会」の文科官僚が全国の国立大学の教育活動を一元的に
統制・調整するという回りくどいシステムが出現します。旧社会主義圏の経済
官僚のように、彼らは国立大学の知的生産の効率的配置を構想しているのかも
しれません。xx大学にはバイオをやってもらおう、00大学にはナノテクノ
ロジーをやってもらおう、という具合にです。しかしこれからの日本社会が国
立大学に求めるのは、現在すでに確定している問題を効率よく端から解いてゆ
くことではありません。そうした活動はむしろ企業内研究所の守備範囲でしょ
う。十年後、二十年後に第二、第三のバイオになる可能性のある新たな研究を
今ゼロから創り上げてゆくこと、それこそが大学本来の知的機能であり、社会
の要請です。そしてそうした研究を官僚が統制したり、調整することは不可能
なのです。現在見えないからこそ創造的研究と呼ばれるのです。見えず、存在
しないものをどうのようにして計画し、調整するのでしょうか。それは自由と
知的刺激のなかで個々の研究者が自発的に行うしかないものです。そうした研
究者が自由に呼吸できる知的空間をどれだけもっているかが、各社会の知的基
礎体力を決定するといってもよいでしょう。例えば、アメリカ社会の強さの秘
密がここにあることは皆さんよくご承知の通りです。「国立大学法人法」とは
国立大学を、計画的に論文を生産する工場とすることにより、結果的に自由で
創造的な研究の余地をなくし、日本社会の知的基礎体力を損なうものなのです。
21世紀に、創造的な大学なき社会が生き生きとした社会であることは極めて
困難だと思います。日本の社会の未来のためにも、「国立大学法人法」につい
て是非御再考いただくようお願いします。

このように現下の「国立大学法人法」は再考されなければなりませんが、それ
と同時に各国立大学が本当の意味で独立した知的機関として生き生きと活動し、
多くの成果を生み出してゆけるような制度的環境が早急に整えられなければな
らないことも明らかです。それは各大学の長期的利害を持続的に代弁するよう
な独立した組織(私立大学の理事会に相当するような)を各大学が持ち、それ
が学長を選出し、権限をあたえ、その運営実績を客観的に評価する、といった
制度であり、それを支援するような法的環境です。こうした制度が有効に機能
するためには、強力な権限と見識を持って大学を運営できる人材の早急な育成
も必要です。そのためには日本人が初心に帰り、効果的に運営されている海外
の大学の実情を学ぶ姿勢でもってつぶさに視察することも必要かと思います。
こうしたことすべては大学にかかわる様々な関係者が関与することによっての
み実行可能ですし、とりわけその過程で現場の研究者の見解が反映されること
が重要かと思います。こうした複雑で重大な作業こそ政治家の任であると考え
ます。その早急な着手と実現を是非国会議員の皆様にお願いしたいと思います。
これは決して大学関係者間の既成利害の調整ではありません。向こう100年
間、日本社会が生き生きとあるためにはどのような大学が必要であるかという
ことを先ず確認し、そうした大学を生み出し運営してゆくのに必要な制度を新
たに日本社会に植えつけてゆくという未来に向けた、しかし緊急に必要な作業
です。一見するとこれは途方もない作業のように見えるかもしれません。しか
し全く同じ事を日本のサッカー界の方々が過去十数年の間着々と行ってこられ
たことも紛れもない事実でしょう。どうして同じ事を大学人ができないことが
ありましょうか。確かに研究者・教育者の観点から見て、日本の国立大学の現
状は決して満足の行くものではありません。しかし問題は主として人を動かす
制度とその運営方法であり、人材的に日本の大学は大きな潜在的可能性を持っ
ていると思います。近年の相次ぐノーベル賞受賞が示しているのはそのことで
はないでしょうか。こうした日本の知的潜在力を最大限引き出すためにも、大
学の片隅にある人間として、新たな大学のための制度的基盤整備を是非お願い
申し上げる次第です。
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[3] 朝日(5/7):糟谷正彦「国立大法人化 疑問点多く抜本見直しを」
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030508asahi03.html
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『朝日新聞』2003年5月7日付

私の視点 元大阪大学事務局長 糟谷 正彦

◆国立大法人化 疑問点多く抜本見直しを

 国立大学を国の行政組織から切り離し、それぞれ法人化して自主性を高めよう
とする国立大学法人法案と関係法案の国会審議が始まった。国立大学の事務に携
わった経験に照らし、この法案には多くの疑問点がある。国会で議論を深め、間
違った方向にカジを切らないようにしてほしい。

 第一は、事務の簡素・効率化に逆行し、屋上屋の組織ができる点である。重要
事項の決定は現在、評議会だけだが、法案では(1)役員会(2)経営協議会(3) 教育
研究評議会と三つもの組織ができるとされる。教育研究と経営が密接に関連して
いて分かち難い大学で、迅速な決定ができるだろうか。

 例えば、ノーベル賞で有名になった素粒子ニュートリノ検出装置「カミオカン
デ」の建設のような場合、学問の発展の方向性は(3)で、多額な予算措置は(2)で
審議するわけだが、すぐに折り合いがつけられるとは思えない。機動性に欠ける
ことは明らかだ。

 また、業務実績を評価するための国立大学法人評価委員会と、教育研究面を評
価する独立行政法人大学評価・学位授与機構の評価は、業務か研究教育か分けら
れない事項(入試やカリキュラム改善など)が多く、重複することになる。

 第二は、大学の自治に絡んで重要な役割を担ってきた教授会の位置づけがあい
まいな点である。国立学校設置法が廃止され、教育公務員特例法の中から国立学
校に関する規定が削除されるため、教授会の役割に関する規定がなくなる。その
一方、学校教育法59条には「重要な事項を審議するため、教授会を置かなけれ
ばならない」という規定が残っている。教授会はなくならず、その役割は新法人
の内部規程で定めることになるのだろう。

 そうした教授会と、やはり重要事項を審議する役員会などの意見が食い違った
場合、どちらを優先させるのだろうか。学問水準の維持に欠かせない「教授会に
よる大学の自治」を尊重するなら、権限は役員会とぶつかる。私立大学でしばし
ば起きる教授会と理事会の対立の図式が持ち込まれることになりかねない。

 第三に、新法人には民間会社の監査役に当たる監事2人が置かれるほか、企業
会計原則(複式簿記、時価主義など)が適用され、財務諸表の作成が義務づけら
れ、会計監査人(公認会計士または監査法人)の監査を受ける。大学にとっては
教育研究の人材の蓄積と施設設備が基本的な財産であり、企業会計導入の利点は
ない。

 新法人は従来通り、会計検査院の検査も受ける。独立行政法人制度の枠に無理
にあわせようとして、余計な手間と書類の山を築くだけのように思われる。

 一方で、新法人は文部科学相に年度計画や事業報告を提出したり、中期計画の
認可を受けたりしなければならないなど、随所に国の認可・協議事項が規定され
ている。国の枠の下で法人化の目的である大学の自主性が高まるのだろうか。

 こんどの法案は抜本的に見直すべきだ。

 この改革は99年に閣議決定された「国家公務員の25%削減」を契機に進め
られた。これを達成するため、大学を行政組織から切り離して法人化し、教職員
を非公務員化するほかないというなら、国立大学機構(1法人)を設立し、それ
が89国立大学を設置、運営する体系にすればいい。そのうえで規制緩和、簡素・
効率化を進めてはどうだろう。」
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[4] 5.6国大協法人化特別委委員会配付資料について
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/030508kokudaikyohaifu.html
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・・・・・・      
○ Cと対応して、各大学へのアンケートが近日中(7日あるいは8日とも言われ
ている)に発送され、17日までに回答するよう求められるとの情報がある。
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[5] お便り紹介: 坂内英一(九州大学教授)「Tenure について」
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#(坂内さんのご指摘に関連するご意見や情報を歓迎します。)
#(総合科学技術会議「競争的研究資金制度改革について」の関連部分の抜粋:
「○ 他方、米国では、競争的研究資金に研究者本人の給与が計上されており、
自らが研究活動をするための研究費を外部から獲得することが、その研究機関で
の研究実施を確保するための必要条件となっている。さらに、テニュアトラック
(任期付きのポストの助教授)から、テニュア(終身的な地位である準教授以上。
但し、職の継続について数年に一度厳しい審査がなされる)になる際の主要な評
価基準の一つとされている。ドイツにおいては、2002 年2 月に大学教員の人事・
給与システム改革が実施され、助手制度を廃止し、任期付任用の準教授制度を導
入、さらに給与(教授)にインセンティブの割合を1/4 以上とする業績評価を
反映するシステムを導入した。」)
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「問題と思うのは、

テニュア(終身的な地位である準教授以上。但し、職の継続について数年に一度
厳しい審査がなされる)

という部分で、特に「但し、職の継続について数年に一度厳しい審査がなされる」
という部分です。

私はアメリカの大学(オハイオ州立大学)で Assistant Professor, Associate
Professor, Full Professor として計13年間教員生活を送ってきましたが、そ
のようなことはまったくありませんでしたし、アメリカから日本に戻って14年
近くなりますが、いまでもアメリカの普通の大学でそのようなことがあるとは信
じられません。アメリカのTenureの制度は非常にはっきりとしているもので、職
の継続について審議がなされるならばそれはTenureでは無いと考えられていると
思います。(アメリカでは給料の決定については毎年審査がありますが職の継続
についてとはまったく別ものと思います。Tenureを貰うまでにはいろいろと厳し
い審査がありますが、それを貰った後とはまったく事情が異なります。)上の注
はただ事情を知らないだけなのか(あるいは私が知らないだけでアメリカにも変
化があったのか)、あるいは間違いを承知で故意に入れた注なのか、気になりま
す。私個人の経験だけで間違いを強く主張するのも私が間違っている可能性もゼ
ロではないかもしれませんし心配ですので、出来ればもっとそれらのことに詳し
い専門家に上の注が正しいかどうか調べていただけたらと思います。

以下私の個人的な意見ですが、アメリカの大学の制度は厳しい側面もありますが、
一方では見習うべきところも多いと思います。非常にバランスがとれていると思
います。例えば、Tenure の意味は、それを得た個人が学者としての良心のみに
したがって自分の意見をはっきりと述べてくれということを社会が期待している
という表われで、そのためにTenure を与えている訳で、個人的な保身を越えた
意味があります。その理念は大学人だけでなく社会で受け入れられていると思い
ます。今回の日本での国立大学の独法化は、一部の形式だけを外国にまねる形に
して、中期目標の承認などの国家統制、Tenure を持った教授に対する任期制な
ど、アメリカの大学にもない悪い制度が日本でどさくさにまぎれて導入されよう
としているように思われてなりません。」
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[6] しんぶん赤旗5/8「国立大法人法案阻止しよう 全大教などが国会行動」
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030508akahata2.html
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[7] 独法化阻止全国ネット: 意見広告(二次)への賛同者拡大のお願いなど
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「会員,賛同者各位 賛同団体各位
                      事務局長 豊島耕一

目次
1.意見広告,賛同拡大のお願い
2.国会の動き
3.電子レファレンダム,第二期
4.最近の動き,文書など
5.法案のプロフェッショナル訳が完成
6.国会内集会での世取山洋介さんのスピーチを掲載

1.意見広告,賛同拡大のお願い

「国立大学法人法案に反対する意見広告の会」が第二次の意見広告を準備しており,
賛同の締め切りが明後日10日と迫っています. 5月7日15時現在の2次分の賛同者
は280名 (1次は1340名 )です.まだこれでは狭い紙面しか取れないので,書き込
むメッセージも限られてしまいますので,皆さんのまわりに賛同を広げていただく
ようお願いします.また一次で賛同しそびれた方も,ぜひよろしくお願いします.
最新情報,詳細情報は次をご覧下さい.
http://www.geocities.jp/houjinka/index.html
送金先:郵便振替口座 『「法人法案」事務局』 00190-9-702697
カンパも歓迎とのことです.

なお,一次の意見広告は,4月23日の朝日新聞東京本社版第30面 ラジオ・テレビ
欄の下7段に、西日本版、名古屋版などは、 経済面(第12、13面あたり)に掲載
されました.

2.国会の動き

5月7日の参考人質疑のようすが5月8日の「しんぶん赤旗」で,田中元鹿大学長の
意見陳述を中心に詳しく報じられています.
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik2/2003-05-08/01_03.html
一般紙は委員会審議をほとんど報道しないようです.昨日,朝日新聞東京本社の記
者の取材を受けましたが,行法化が決着した後のタイミングでの連載記事のためと
の事.それならば委員会審議をきちんと報道して欲しい,本会議だけ報じても意味
がない,と言っておきました.

3.電子レファレンダム,第二期
「国立大学法人法案の賛否を問う国立大学・大学共同利用機関レファレンダム」が
再度実施されます.投票範囲がac.jp ドメイン名のアドレスを持つ人全体に拡大され
るもようです.詳しくは辻下さんのサイト http://ac-net.org/dgh/,投票サイト
 http://www.ac-net.org/rfr/ にご注目下さい.なお,後者には現在,第一期の
投票結果が表示されています.

4.最近の動き,文書など
(4-1)  『朝日新聞』2003年5月7日付「私の視点」欄に元大阪大学事務局長の糟谷
正彦氏の文章が載っています.「国立大法人化 疑問点多く抜本見直しを」と,行
法化を根本的に批判しています.高い地位にあった事務職員の方の意見は珍しく,
変化を感じさせます.次で読むことができます.
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030508asahi03.html

(4-2)  教授会などの意見表明が相次いで出てきています.
千葉大学理学部の見解,5月6日
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030507tiba.html
鹿児島大学理学部教授会, 5月7日
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030507kagosima.html
なお,4月28日のメールでお伝えした佐賀大学理工学部物理科学科から文部科学
委員会全員への手紙は,4月28日に発送されした.
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web0304sagabuturi69.html

(4-3)  
筑波大学の鬼界彰夫さんが,新しい切り口で法案の徹底的な批判をされています.
ぜひご一読下さい.
http://ac-net.org/dgh/03/505-kikai.php

島根大学教職員組合,島根県教組,松江高専教職組による緊急シンポジウムが開か
れます.
「いま、日本の教育が危ない!
 −教育基本法「改正」と国立大学・高専の法人化問題を考える集い−」
 ●日時:5月22日(木)18:00-20:15 ●会場:県民会館3階 大会議室
「競争と戦争への教育の転換」と題して,暉峻淑子さんが講演されます.

法案のプロフェッショナル訳が出来上がりました.
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/docs/NUClaw-extract.html
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/docs/NUClaw-extract.html

国会内集会での世取山洋介さんのスピーチをウェブに掲載しました.
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/meeting030403/yotoriyama-talk.html
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/meeting030403/yotoriyama-talk.html
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「・・・・・・」は、省略部分
連絡等は以下をSubject欄に記して編集発行人へ
 配信停止:"no kd" (停止まで時間がかかる場合があります。ご容赦下さい)
 転送等で受信された方の直接配信申込等:"sub kd"
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編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
国公立大学通信ログ:http://ac-net.org/kd