通信ログ
国公立大学通信 2003.05.15(水)

--目次----------------------------------------------------------------- 
[1] 国立大学協会幹部の辞任を求める意見書
[2] 意見広告の呼びかけ人MLより
[3] 法人化反対連絡会情報:5月14日文科委員会委員会質疑の概要
[4] 大学別国立学校特別会計借入れ金残高
[5] 国立大学法人法案についての千葉大学文学部の意見
[7] 石文書批判
 [7-1] 千葉大学理学部長から学長への要請 2003.5.12
 [7-2] 山形大学職員組合から山形大学長への申し入れ 5/12
 [7-3] 山形大学理学部長から山形大学長への意見書 5/13
 [7-4] 鹿児島大学職員組合から鹿児島大学長への意見書 
 [7-5] 広島大学教職員組合から広島大学長への要望
 [7-6] 福井大学教職組から福井大学長への意見書
[8] 河合利秀(名古屋大学)「許せない!労働安全衛生法適用除外の申し入れ」
[8-1] 河合利秀(名古屋大学)国立大学法人化法案に関する要望書
[9] 産経5/11:藤原正彦「文科官僚の過剰介入に潜む学問の危機」
[10] 報道
 [10-1] 毎日:国立大学法人法案 金沢大教職組が反対集会 「研究など制限」
 [10-2] 北海道新聞5/11「国立大学法人法案   教官、学生97%反対」
 [10-3] 毎日5/12: <国立大学>民主が法人化法案修正案を提出へ 自主性を尊重
 [10-4] 共同5/12 大改革に懸念隠せず 国の介入、地方大の衰退 国立大法人法
[11] ビンソンラティフ氏「教特法を知らなかった教官」
[12]「市大を考える市民の会」通信   第31号 2003.05.09.(金)
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各位

明日5月16日に文部科学委員会で採決される可能性が高くなりました。大学
改革を行政に白紙委任する法案は危険であることを、国会議員に警告する必要
があります。

  □□□□ 意見広告の締め切りは本日5月15日です。□□□□
       http://www.geocities.jp/houjinka/index.html
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[1] 国立大学協会幹部の辞任を求める意見書
http://ac-net.org/dgh/03/514-ikensho-to-janu.html
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[2] 国立大学法人法案の廃案を求める東京集会5/21
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「国会情勢が緊迫しています。

(1)次回の文科委員会は5月16日(金)9時からです。

(2)今日の委員会終了後の総括集会における議員の発言によれば、委員長職権
   によって、16日の4時間の質疑の後に、委員会採決を行うとのことです。

(3)ここで、可決されると、最短で20日本会議採決、21日参議院本会議趣旨説
   明という線も出てきます。16日に傍聴可能な方は是非ご協力下さい。

(4)5月21日(水)に以下の集会が行われます。多数のご参加を期待します。

名称: 「国立大学法人法案の廃案を求める東京集会」
日時: 5月21日(水)午後6時開場、6時15分開会
場所: 明治大学研究棟2階第9会議室(明治大学リバティタワーより入り、正面
向かって左手奥の通路から研究棟に入る)
内容:
 ・国会情勢報告「国会情勢を動かしてきた私たちの闘い」
  千葉大学教授 伊藤谷生氏
 ・ディスカッション
  法案の問題点と今後の取り組み(各団体からレポート)
主催団体:東京地評、東京私大教連、都大教、全大教関東甲信越、日本科学者
会議東京支部、東京私教連、都教組、都障教組、東京国公、関東ブロック国公、
国立大学法人法案阻止/教育基本法改悪阻止・共同行動委員会
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[3] 法人化反対連絡会情報:5月14日文科委員会委員会質疑の概要
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●委員会質疑の概要

 本日の文科委員会は9時に開始され、公明・保守新党・民主(3名)・自由・
共産・社民がそれぞれ質疑を行いました。

 野党からは、中期目標、評価委員会、管理運営に関する重大問題に質疑が集
中しましたが、文科省は「大学の活性化のため」「中期目標の策定は国の最低
限の責任」「大学の自主性・自立性を損なわないように配慮義務をもうけてい
る」「細目は政令で定める」などと、これまでの答弁を繰り返すのみに終わり
ました。

 また野党は新たな問題として、財務・財政問題(大学附属病院等の債務問
題)、労基法・労働安全衛生法の適用と準備の問題を追及しました。

 これに対して文科省はあいまいな答弁に終始し、審議が不十分であることが
さらに浮き彫りになりました。

●採決をめぐる攻防

 与党は本日の朝・昼・質疑終了後理事会の3回にわたり、「審議は十分に尽
くした」と本日中の採決を要求しました。これに対して共産・社民・自由が強
く反発、民主が午後に修正案を提出したこともあり、本日の採決は阻止されま
した。

 それならばと与党は16日採決に固執、野党3党の反対に対して委員長(古屋
圭司・自民)が「審議は尽くしたと思う」と16日採決を決裁しました。


<これからのたたかい>

●「審議は不十分、強行採決するな」の抗議電・FAX・E-mailを委員長、与党委員に

●「法人化法案反対連絡会」は16日緊急行動(委員会傍聴と集会)を行うことを決定

【衆議院文科委員要請先】(FAX、E-mail)
                     
古屋 圭司    自民 岐阜05区,  03-3592-9040,  furuya@ka2.so-net.ne.jp
奥山 茂彦,   自民 京都03区   03-3597-2750,  okiya@mbox.kyoto-inet.or.jp
鈴木 恒夫    自民 神奈川07区03-3597-2745, tsunesan@ba.mbn.or.jp
馳 浩          自民 石川01区   03-3508-3609,  hase@po.incl.ne.jp
森田 健作    自民 東京04区    03-3503-5519, seisyun@mbd.sphere.ne.jp
鎌田さゆり  民主 宮城2区  03-3508-3987  sayuri-hf@est.hi-ho.ne.jp
山元 勉       民主 近畿          03-3508-3945, 
斉藤 鉄夫    公明  中国1        03-3501-5524, g02110@shugiin.go.jp
佐藤 公治    自由  中国          03-3508-5250, ksatou@urban.ne.jp
青山 丘       自民  東海          03-3508-3896, g00093@shugiin.go.jp
伊藤 信太郎 自民 宮城04区           webmaster@ito-sintaro.jp
小渕 優子    自民 群馬05区    03-3592-1754,  g05487@shugiin.go.jp
大野 松茂    自民 埼玉09区,    03-3508-3250,  sayama@matsushige.org
岡下 信子    自民  大阪17区,   03-3508-3508,  g05463@shugiin.go.jp
岸田 文雄    自民  広島01区   03-3591-3118,    f-kishida@kishida.gr.jp
近藤 基彦    自民 新潟02区,    03-3508-7708,  g05708@shugiin.go.jp
佐藤 静雄     自民 北海道04区, 03-3593-2257,  h02066@shugiin.go.jp
谷田 武彦     自民  東海          03-3508-3631,
中谷 元        自民  高知02区,  03-3592-9032,   webmaster@nakatanigen.com
林田 彪        自民  九州         03-3580-2284,   info@hayashidatakeshi.net
松野 博一    自民 千葉03区    03-3508-3329,   g06255@shugiin.go.jp
森岡 正宏     自民 奈良01区            webmaster@m-morioka.com
柳澤 伯夫     自民 静岡03区,    03-3593-1729,   g04657@shugiin.go.jp
大石 尚子     民主 神奈川04区  03-3508-3907,  g05395@shugiin.go.jp
中津川 博郷  民主  東京           03-3519-7112, nakatsu@tokyo.interq.or.jp
肥田 美代子  民主  近畿           03-3597-2720  miyoko@oak.ocn.ne.jp
平野 博文     民主 大阪11区      03-3502-5025, hhirano@hi-ho.ne.jp
藤村 修        民主  大阪07区     03-3591-2608, fujimura@po.aianet.ne.jp
牧 義夫        民主  愛知04区     03-3508-3433, maki-y@violin.ocn.ne.jp
牧野 聖修     民主 東海            03-3508-3212  s-makino@seishu.org
山口 壮        民主 兵庫12区      03-3508-2326  mail@mission21.gr.jp
山谷 えり子 民主 東海     03- 3508-3538  g06446@shugiin.go.jp
池坊 保子     公明 近畿            03-3508-3870,  g00383@shugiin.go.jp
東 順治        公明 九州             03-3508-3519, goikenban@j-higashi.com
黄川田 徹    自由 岩手03区,       03-5251-3683
石井 郁子     共産 近畿             03-3508-3624,  mail@ishii-ikuko.net
児玉 健次     共産 北海道          03-3508-3983
中西 績介     社民                     03-3506-7891
山内 惠子     社民 北海道          03-3508-9210,  h06378@shugiin.go.jp
松浪 健四郎  保守 大阪19区      03-3508-3525,  info@kenshirou.com

一斉送信用アドレス(コピー&ペースト用)
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[4] 大学別国立学校特別会計借入れ金残高
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http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/030513tokubetikariirekinzandaka.htm

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[5] 国立大学法人法案についての千葉大学文学部の意見
http://www.l.chiba-u.ac.jp/jp/dokuhouka.html
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国立大学法人法案についての文学部の意見

2003年5月8日

千葉大学文学部教授会


千葉大学文学部教授会は、これまでも、現在進められている国立大学の独立行政法人
化は、教育と研究の健全な発展をゆがめかねないとの危惧の表明とその問題点の指摘
を行い、最近では2月25日に『「国立大学法人法案の概要」への文学部の意見』を
発表した。2月28日に国会に提出された「国立大学法人法案」をみると、残念なが
ら、私たちが抱いた疑念と懸念を払拭するものとはいえない。日本の高等教育の重要
な部分を担ってきた国立大学のあり方に根本的な変更をもたらす可能性をもつ問題の
重要性に鑑み、「国立大学法人法案」の基本的な問題点について、あらためて文学部
としての意見を表明する。

1)「法案」は、国立大学の設置者を、国ではなく国立大学法人とし、設置者問題で
いわゆる間接方式をとっている。この方式では、国立大学の経費負担に国は直接には
義務を負わない可能性が生じる。その結果、設置者である法人は、大学の経営的な管
理を優先せざるをえなくなる恐れがきわめて高い。

2)2002年3月に出された国立大学法人化問題についての文部科学省調査検討会
議『最終報告』では、教学と経営を一体的に取り扱う立場から、大学の組織とは別に
「法人」としての固有の組織は設けないとされていた。ところが「法案」は、法人の
組織として、役員会、そして学外委員が半数以上をしめる経営協議会を置き、それら
に予算や人事や組織問題などにおいて圧倒的な権限を与えている。経営の優位の下で
経営と教学の分離が進行するような制度設計がなされていると考えざるをえない。

3)国立大学法人の組織として、教育研究評議会が置かれることになっているが、こ
の組織は教学の事項のみを扱うこととされ、「教育研究組織」についての審議権さえ
権限事項にあげられていない。教育・研究の現場からの意見をもっとも反映する教育
研究評議会の活動を、狭い教学の範囲にとじこめ、重要な権限を役員会に集中する仕
組みでは、教育と研究を基盤とすべき大学のありようを大きくゆがめかねないという
問題をはらんでいる。

4)「法案」では、経営と教学の双方にわたり学長の権限がきわめて大きく、学長個
人の資質に大学が著しく左右されることになる。また、「学長選考会議」が学長の選
考を行うとしているが、その構成は、時の学長と学外者で過半数を占めうるように
なっており、教育研究の現場の意見は少数意見となる可能性がきわめて高い。さら
に、『最終報告』で挙げられていた、学長選考における「学内の意見聴取」の手続に
ついても触れられておらず、専ら経営優先の観点から選考がなされる道を開いてい
る。

5)「法案」では、大学の教育と研究についての中期目標を文部科学大臣が決定し、
中期計画を認可するとしており、大学の「意見」は「配慮」されるに過ぎないと規定
されている。教育と研究についての目標・計画の策定から、すでに大学の自主性・自
律性は保障されていない。また「法人の業務の実績」は、文部科学省に設置される国
立大学評価委員会が評価し、「総合的な評定」を行う権限をもつとされているから、
教育研究の内容にわたって評価が可能な仕組みとされている。

このように、「法案」によれば、国立大学法人の制度設計は、経営を優先せざるをえ
ない仕組みになり、他方、教育と研究の内容については、政府・文部科学省の関与・
統制が強化されるような構造になっている。国立大学がこうした制度のもとに置かれ
るなら、短期的な経営の観点や、政府の当面の政策によって大学の活動が大きく規定
されることは避け難い。私たちは、ほんらい長期的視野に立って科学と文化の発展に
貢献すべき任務をもつ大学が、その役割を果たしえなくなるという懸念を表明し、広
く社会的な検討が行われることを訴えるものである。

とりわけ第一に、国会において今後の高等教育をいかにすべきかという長期的視野に
立って、「法案」につき慎重かつ徹底した審議が実施されるよう訴えたい。

第二に、この「法案」は高等教育の将来を左右しかねない重要問題であり、大学人の
みならず広く国民的な議論・検討が進められるべきものであることを訴えたい。

第三に、当事者である大学人が、この「法案」に対する意見・態度を表明することは
社会的責務であると訴えたい。とくに国立大学協会がその総会を開き、国立大学の総
意を表明するよう求めるものである。  

以上
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[7] 石文書批判
[7-1] 千葉大学理学部長から学長への要請 2003.5.12
「国立大学法人制度運用等に関する要請事項等」について
http://www.s.chiba-u.ac.jp/dokuhoka/030512ikensho2.html
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平成15年5月12日

      「国立大学法人制度運用等に関する要請事項等」について


千葉大学長  磯野可一殿
理学部長 小川建吾

 5月8日付けの上記の件に関しまして、国立大学協会資料「国立大学法人制度運
用等に関する要請事項等(検討案)」(以下「検討案」と略)の各部局への配
布、ならびに同資料に関する意見聴取の機会を作って頂きましたことに敬意を表
します。

 理学部では、本年2月の「国立大学法人法案の概要」に関する意見聴取に際し
て、「概要」が"新しい「国立大学法人」像について"(いわゆる「最終報告」)
において主張されている諸点と対比して、
(1) 設置者が国でなく法人になっている点。
(2) 教育研究評議会が、教育研究の根幹にかかわる事項の審議機関として位置
づけられていない点。
(3) 学長選考における大学構成員の意向の反映過程が明示されていない点
など、根本的な不一致点を多く含んでいることを指摘し、国大協において緊急に
検討し対応して頂きたい旨の意見を述べました。

 さらに2月28日に閣議決定され、現在国会にて審議中の法案には、上記の問題
に加え、学部・研究科・研究所を省令での規定からはずされている、という大き
な問題を含んでいることが判明しております。これらのことから、国立大学協会
において臨時総会を早急に開催し、検討することが急務である旨の見解を理学部
は表しております。
 したがいまして、今回の国大協法人化特別委員会から示された「検討案」に
は、大きな困惑を感じております。

   1.  国立大学協会の今までの了解とは異なる、大きな危惧を含んだままの法
      人化法案が審議されている現状で、国大協として問題点の検討を回避し、
      現法案にもとづく法人化を前提として、この「検討案」の作成にとりか
      かっていることに疑念を抱きます。現在、国立大学協会に望まれること
      は、法人化法案検討に関しての速やかな臨時総会の開催であり、そこにお
      ける全国立大学の総意の確認であると思います。この過程を無視し、もっ
      ぱら法人化後の要請事項の検討に議論を集中させることは、国立大学協会
      としての責任回避ではないでしょうか。

   2.  「検討案」自体、法人への円滑なる移行を危ぶむような多くの問題点を
      含んでいるように思います。
       例えば、「II 法人への移行過程に関する事項」にある、労働基準法や
      労働安全衛生法の「運用上の配慮」とは、いわば教職員の基本的な諸権利
      確保に関して、違法状態の黙認要請ともとれるものです。本来は、労働基
      準法や労働安全衛生法の適用に充分耐え得る体制作りのうえでの法人への
      移行こそ、要望すべきです。
       「III 法人移行後の制度運用に関する事項」の9項目に関しまして
      も、本来、これらの事項の保障が充分なされた法案であるべきです。した
      がって国大協としては、保障にたる法案であるか否かのはっきりとした意
      思表明のうえ、国会での厳正な議論を求めるべきではないでしょうか。

 昨年4月の国立大学協会会長談話にもあるように、"このような抜本的な制度
改革の実施には、拙速はあくまで避けるべきであり"、ます。しかしながら国大
協の現状は、このような拙速な判断をしつつあるのではないかとの不安を抱かざ
るを得ません。 あらためて国立大学協会の臨時総会を開催し、法人化法案に対
する総意を早急に明らかにすることを強く要望いたします。

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[7-2] 山形大学職員組合から山形大学長への申し入れ 5/12
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山形大学長
仙 道 富 士 郎 殿

2003年5月12日
山形大学職員組合
執行委員長 我 妻 忠 雄

国大協からの要請事項に関する緊急申し入れ

 5月7日付けで、各国立大学に宛て「国立大学法人制度運用等に関する要請事
項等について(依頼)」が出されたことを、我々は5月8日に知りました。ここ
に列挙された要請事項(案)は驚くべき内容であります。また、6月に国大協総
会にかけ、法案成立後に、政府等に要請する等ということは、無責任で、非常識
以外のなにものでも有りません。

 この要請事項案には、本法案の重要な骨組みの諸点が盛り込まれております。
これらを国大協自体が事実上否定しているということは、本法案がいかに国立大
学に不適合で問題があるか、その欠陥を自ら認めたものです。

 さらに、労働基準法や労働安全衛生法は国民の最低限の人権と安全衛生の基準
であり、その厳守が罰則規定によって求められているものです。これらの適用猶
予・適用除外を、良識の府であるべき大学が、こぞって脱法的に政府に要請する
等ということは、恥ずべきことであると考えます。

 以上の点から、重要な骨組みや国民一般に適用されている法令を遵守できない
のなら、国立大学法人法案の国会審議の中で、その事実を明確にさせた上で、審
議の中止あるいは長期的延期を、国大協を通して求めるべきであると考えます。

 また、本法案の附則第1条は、平成15年10月1日から、この法律を施行す
るとしています。しかしながら、国大協自らが、事実上法案の骨組みとなる諸点
を否定し、準備の著しい立ち遅れを認めているのであるから、法案内容が充分に
検討され、全国の大学から合意されるように万全の準備がなされた後に合法的に
施行されるよう、国大協に求めるべきであると考えます。

 さらに、国立大学として国民や県民への責任を果たすため、国立大学法人法案
に対する山形大学としての見解を、早急に全構成員、国民、県民に示すべきであ
ると考えます。

                                  (以 上)

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[7-3] 山形大学理学部長から山形大学長への意見書 5/13
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「                       平成15年5月13日

山形大学長 仙道富士郎殿
                          理学部長 加藤静吾

「国立大学法人制度運用等に関する要請事項等(検討案)」に対する意見

 5月8日付けの「国立大学法人制度運用等に関する要請事項等について(依
頼)」について意見を学部内で求め、私の責任で以下のようにまとめました。
よろしくお取り扱いください。

 下記の理由により、「1.各種法令の適用に関する運用上の協力と配慮」の
部分を全面削除すべきであると考えます。重要な問題ですので、原案を削除し
たものを国大協に示すだけでなく、削除すべき理由を明記するようお願いしま
す。

(削除すべき理由)

 「運用上の配慮」とは、教職員の労働安全に関する権利を無視する違法行為
を合法化することです。労働基準法と労働安全衛生法の国立大学法人への適用
を除外する超法規的措置が文部科学省の権限でできるとは思えませんが、文部
科学省に要請して労働安全に関する教職員の権利を停止させようと企てること
自体が許せません。また運用上の配慮によって教職員が違法行為に荷担させら
れることにも反対します。

 国立大学には資格者を配置しなければ違法運用になる施設が多数あると思わ
れますが、国大協はそのような情報を収集して問題提起をすべきでした。その
怠慢を棚に上げて違法行為を企てることは容認できません。法人法案成立後に
国大協が文部科学省に求めるものは違法行為の合法化ではなく、例えば、資格
者を臨時に雇い早急に資格者を養成するための財政的配慮等であるべきです。」

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[7-4] 鹿児島大学職員組合から鹿児島大学長への意見書 
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「国立大学法人制度運用等に関する要請」に対しての意見書

                          鹿児島大学教職員組合
                           委員長  田島 康弘

 永田学長におかれましては、ご多忙な毎日のことと拝察申し上げます。

 さて、国立大学協会から各国立大学長宛てに「国立大学法人制度運用等に関
する要請事項等について(依頼)」(2003年5月7日付)が送付されているもの
と思います。

 「国立大学法人制度運用等に関する要請事項」の中心は、国民一般に適用さ
れている労働基準法や労働安全衛生法等の極めて重要な法律の「適用猶予、適
用除外」を「国立大学からの要望」として求めようとするものであると考えま
す。しかし、労働基準法と労働安全衛生法等は、国民の労働の根幹にかかわる
重要な法律であり、労働者の人権を補償する最低基準や安全衛生を確保する最
低の基準を定め、これを必ず守るよう罰則規定を設けているものです。

 我々、鹿児島大学教職員組合は、国立大学がこのような重要な法律の「適用
猶予・適用除外」を求めることは、「法治国家の根幹を揺るがす行為であり、
絶対にあってはならないことである」と考えます。さらに、国民一般に適用さ
れている法律を遵守出来ないとすれば、「国立大学法人法案」の廃案を求める
べきであり、仮に国立大学法人法が成立してもその施行延期を求め、万全の準
備を整えたのちに合法的に施行することを望むべきではないでしょうか。

 永田学長におかれましては、本要請の内容を深く吟味し、鹿児島大学として
の見解を全教職員に対して明確に示すとともに、このような要請に対しては
「断固拒否」の態度を表明されることを強く要望致します。」

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[7-5] 広島大学教職員組合から広島大学長への要望
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牟田 泰三 広島大学長 殿

2003(平成15)年5月14日
広島大学教職員組合
執行委員長 吉田 修

国立大学法人化特別委員会への広島大学の回答にあたっての要望

 貴職の日ごろのご奮闘に敬意を表します。

 さて、国立大学協会の国立大学法人化特別委員会が5月7日、石弘光委員長名
で各国立大学あてに「国立大学法人制度運用等に関する要請事項等について
(依頼)」を発信したと伝え聞いております。この文書は法人化後の制度運用
について要望事項をまとめようとするものですが、図らずも、次のような重大
な問題を浮き彫りにするものとなっています。

 第1に、現在国会で審議中の国立大学法人法案が、「学問の自由」を制度的
に保障する「大学の自治」にとって本質的な問題を持つことが、あらためて明
ら かになったことです。

「要請事項」は、「文部科学大臣が中期目標を定めるにあたって、大学の意見
を尊重すること」、「文部科学大臣が中期計画を認可するに当たって、大学の
自 主性・自律性を最大限尊重すること」、「大学の教育研究の特性を踏まえ
数値目標などによる評価を排除」、「効率化係数等による運営費交付金の一律
減額措 置の排除」といった、大学の自主性・自律性、財政的自律性、ひいて
は「大学自治」と「学問の自由」にかかわる内容が挙げられています。

 これらは、裏返せば、本法案によって文部科学大臣が大学の意見、自主性、
自律性等を尊重しない選択肢が与えられること、そしてそこに「大学の自治」
へ の侵害が懸念されることを示すものです。

 しかし、こうした要請が、現在審議中の法案に対してなされるというのはど
ういうことでしょうか。すでに法として成立したものに、合憲的な運用を要請
す るならともかく、未だ立法過程にあるものに対しては、その法案の文言自
体から「学問の自由」を侵害する可能性を排除するよう求める意見書を提出す
ること こそが、「学問の府」たる大学の社会的使命ではないでしょうか。

国大協として行うべきことは、「学問の自由を守る」という観点から、法案そ
のものに対する、国大協としての総意をまとめ、意見を表明することである、
と 私たちは考えます。

 第2に、労働関係法令の適用猶予・適用除外などを要請しており、平成16
年4月1日法人化は、これら法令を潜脱しなければ実現できなくなったことを
示 しています。

「要請事項」では、「労働基準法に基づく関係行政庁への各種届出義務に関す
る運用上の配慮」、「労働安全衛生法の適用に関する運用上の配慮」などを挙
げ ています。

刑事責任を伴う労働安全衛生法の適用に関しては、広島大学においても来年4
月1日までに適用環境が調う可能性はほとんどないことが、わが組合員によっ 
て指摘されています。また、労働基準法が要求する関係行政庁への各種届出に
も、単に書類を提出することにとどまらず、有効な届出を欠けば経営者に刑事
罰 を科されるものも含まれており、昨今では、これに基づいて摘発された企
業経営者に逮捕者さえ出ているものです。これら刑事罰を担保してまで社会が
維持し ようとしている制度について、その「適用に関する運用上の配慮」を
要請するなどということは、国立大学の社会的信用に関わる、きわめて異常な
事態である といえます。

 労使関係についても、就業規則の作成・届出、時間外労働を可能とする36
協定の締結・届出などは、その確定に労働者が参与する権利をも含み、その結 
果、「良好な労使関係の構築」のための基盤となっている制度です。これらを
「運用上配慮する」ならば、国家公務員法と人事院規則のもとから離脱した国
立 大学教職員を、一時的にせよ労働条件について無権利状態におくこととな
り、出発点において水をさされた労使関係が対等で「良好な」ものになりうる
かは、 われわれが大いに懸念するところです。

 要するに、たとえ今国会で本法案が成立したとしても、来年4月1日の法人
化はあまりに拙速であることが明らかとなっています。事態の打開は、本来な
ら 十分な猶予期間と人的・物的措置にこそ求めるべきで、あるいは環境が整っ
たと判断できるまで国立大学法人化を中止すべきです。そうではなく、労働者
保護 ルールの潜脱に求めるなどは、その社会的使命からしても、国立大学が
行うべきことではないと考えます。

 このように、国立大学法人法案が本質的問題を孕んでいること、ならびに法
人化準備が大学職場の現状と一般的な労働者保護ルールに照らしてもはや困難
と なったことが明らかになった以上、全国的にも大きな影響力を持つ広島大
学は、その社会的使命を自覚し、法案成立以前に法案成立を前提として「運用」
に言 及したり、労働者保護ルールの潜脱要求に協力するといった態度はとる
べきではないと考えます。

 そこで、国大協に以下の要請を行うよう貴職に求めます。

    記

・国大協臨時総会を開催し、国立大学法人化法案に対する国大協としての総意
をまとめ意見表明すること。

・国大協から文科省に対して国立大学法人化の中止ないし延期を求めること。

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[7-6] 福井大学教職組から福井大学長への意見書
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児嶋 眞平 福井大学長 殿                               2003年5月13日

                                                  福井大学教職員組合

                                                    執行委員長  森透

「国立大学法人制度運用等に関する要請事項等(検討案)」に関する意見書

  去る5月7日付けで、国立大学協会法人化特別委員会が各国立大学長宛に標記
の文書(以下「検討案」と略記)を送付し、これに対して5月15日午後5時必着
で意見を寄せることを求めていると聞き及んでおります。

  この「検討案」は、国立大学法人法の運用の変更や関連する他法の適用延期・
猶予などを文部科学省に嘆願するものとなっています。しかし、こうした文書
の存在自体、国大協法制化対応グループが「特別な問題点は生じていない」
(4月17日)と評価した国立大学法人法案が、現実には国大協が最低限求める
とした線にすら達しなかったこと、そしてこの法案では国立大学が適法的に来
年4月に法人化を実施し得ないということを自ら認めることを意味しています。

  「検討案」における国大協の要求にも大きな問題が含まれています。

  第1に、「検討案」は、「各種法令の適用に関する運用上の協力と配慮」を
求めるとして、経過的期間における各法の弾力的運用を要請しています。しか
し、当該法令の中には労働基準法のようにそうした弾力的運用を予め認める条
項を持たない法もあり、国の機関である国立大学が自ら違法行為・脱法行為を
要求することとなっています。

  第2に、「検討案」は、「移行に伴う新たな必要経費の確保」を求めていま
す。しかし法人法案が今国会で成立したとしても、必要経費が移行前の今年度
に支給される見通しは立っておらず、国大協が、各国立大学が法人への移行時
において労働安全衛生法の要求基準をクリアする環境を準備できないことを承
知で法案を認めたことが明らかとなっています。

  第3に、「検討案」は、「法人移行後の制度運用に関する事項」として要請
事項を列挙しています。しかし、法人法案は、これら列挙された事項の多くに
ついて否定する制度を作る法案となっており、文部科学省と国大協との交渉に
よって運用で対処できるといった事柄ではありません。そうした運用を行うこ
とが国会の論議の中で明らかにされたならば、それはそれで大きな紛糾を招く
ことになるはずです。そもそも、その法の運用の仕方であるとか、他の法の適
用猶予や免除を審議中から議論しなければならない法律とは何なのでしょうか。

  以上のように、「検討案」は、国大協執行部が、各国立大学が承認しかねて
いる国立大学法人法案を認める際の、各大学に対するアリバイ的な文書であり、
脱法・違法措置すら示唆する重大な問題文書です。三たび繰り返すことになり
ますが、児島学長にはその初心に返っていただき、福井大学の回答書に「制度
の運用によっては国立大学法人法の持つ根本的問題点は解決することはできな
い。ましてや違法・脱法措置を示唆することは論外である。こうした要請をし
なければならないこと自体が法人法案の問題であり、したがって当大学は法案
を廃案とすべきと考える。」と明記するよう、強く求めます。
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[8] 河合利秀(名古屋大学)「許せない!労働安全衛生法適用除外の申し入れ」
    http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/030512yurusenai.html
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「hi-forum 5523によって、驚くべき要望書の存在を知りました。

 この要望書は、「法人化するにあたり、労働安全衛生法及び労働安全衛生規
則が適用されるが、各大学の研究教育現場の実態はこのような法律に照らせば
「法律違反」が続出する。従って、しばらくの間、適用除外にしてほしい。」
という内容でした。

 私は、これを読んで、あっけにとられました。

 国大協は、教職員や学生の教育研究環境が労働安全衛生法を満たしていない
危険な状況が広範にあることを認め、法人化によって同法適用となると事業所
として業務停止などのようなことになってしまうので、こうした実態を改善す
るのではなく、法律の適用除外を要請しているのです。
 この、国大協の姿勢は、本末転倒であり、危険な職場で働く職員や学生の人
権や安全を顧みない、極めて不見識且つ不道徳なものであると言わざるをえま
せん。
 このようなことを、本気で、国民に説明するつもりなのでしょうか?
 国の最高学府、多くの国民の師弟を預かり、付託を受けて教育に携わってい
るという誇りや自負は、一体どこへ消えてしまったのでしょう。

 私たち組合や技術職員は、ことある毎に、危険な実態を告発してきました。
 しかし、大学当局は、一向に改善しようとしないばかりか、インフラを整備
しないまま大学院重点化を実施し、さらに危険な状況は拡大しています。
 大学法人化はそのような実態を大幅に改善するチャンスだったのではないで
しょうか。
 ところが、拙速に法人化を推し進めようとするあまり、このような議論は二
の次で、ようやく法人化の問題点を整理してみると、労働安全衛生法などの基
本的な法律に抵触する実態が次々と明らかとなりました。同法違反は、それが
明るみに出れば、行政指導(是正命令)を伴い、それに従わない場合は責任者
の逮捕となります。
 もしこのような脱法状態で事故が発生した場合は、一体誰が責任を負えるの
でしょう。
 このような実態の改善に全力を注ぐよう文部科学省に要請するのが大学人の
とるべき道であり、今回のような、法の適用除外を願い出るなどというのは、
「真理」と「学問」に泥を塗る、恥ずべき行為です。
 このことは、法人化が如何に欺瞞に満ち、実態を無視した机上の空論である
かを、雄弁に物語っているのではないでしょうか。

 国立大学の劣悪な教育研究環境を放置してきたのは、文部科学省です。
その文部科学省が、大学の教育研究の中期目標を決め、さらには大学の評価を
行おうというのは、自らの責任を棚に上げて、失敗の責任を大学に押しつける
以外の何者でもないことは明らかです。

 少なくとも、危険な研究室の実態を放置したまま法人化することは、大学の
自殺行為であり、ひいては日本国民の、日本企業の、大きな損失になることは
必定です。

 私たちは叫びたい!!

 国民の皆さん!

 ノーベル賞がとれれば、人命なんかどうでもいい。人権なんか関係ない!

 労働安全衛生法すら満たすことができない研究環境、これが国立大学の実態
です。
 あなた方の師弟は、この様な危険な環境に無防備に放り込まれ、そしてさら
なる競争に曝されるのです!

 こんなことを許していいんですか!!!

 国大協の偉い先生方!こんなにまでして、研究費がほしいんですか!!

  河合 利秀            Kawai Toshihide


      名古屋大学 理学部理学研究科 技術部  第二装置開発班金工室

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[8-1] 河合利秀(名古屋大学)国立大学法人化法案に関する要望書
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衆議院文教科学委員会委員 各位

私は名古屋大学で、高エネルギー物理学や天文物理学の実験を支えている技術
職員です。私は、これまでに、国立大学法人化に関する意見を機会あるごとに
述べてきましたが、今日、貴委員会で審議に付されている「国立大学法人化法
案」は、「中間とりまとめ」や「最終報告」からも大きく逸脱した内容であり、
日夜科学技術の発展に従事している私どもの目から見れば、極めて遺憾ながら、
同法案は、経済政策に大学を取り込もうとする現実を見ない机上の空論であり、
日本の科学技術の発展を阻害するばかりか、壊滅的な被害を与え、向こう10
0年に渡って不毛の時代を迎える、大悪法であると言わざるを得ません。現在
の法人化の議論では、誰もここで取り上げた項目を、まともに議論しようとし
ていません。是非とも、これらの項目を議論のまな板に乗せ、大学行政職員、
学生、院政、そして国民の前に明らかにしていただきたいと思います。

1、若者の夢を奪う「国立大学法人化法案」

貴委員会が、真に日本の科学・技術の振興を目的とするならば、日本の大学が
若い才能のある人々にとって魅力ある職場あるいはポストでなくてはなりませ
ん。そして、権力(学会や教授など)におもねることのない身分保障や研究課
題の自由度がなくては、本当に野心的な、あるいは非常に目標の高い研究は育
ちません。しかるに、同法案は、若手研究者に対し、極めて厳しい競争を強い
ており、若手研究者の自主性や独立性が全く考慮されていません。若手研究者
が上級研究者に一方的に奉仕する前近代的な研究階層構造を助長するものであ
り、諸外国の大学や研究機関と比較して、全く魅力のないものとなっています。

科学技術は既存の価値観や権威を否定することで発展してきました。科学技術
先進国の大学は、このような科学技術発展の最大の保障が、大学における学問
の自由と自治であることを十分認識し、あらゆる単位でこれらが実施されてい
ます。しかし、今回の同法案は、こうした「世界共通の認識」とは全く正反対
のものであり、このことを見抜いた若手研究者の間で大きな失望が広がってい
るのです。

本学の場合、平成13年度で、総歳出額は授業料収入の8倍強でありましたの
で、受益者負担という形で学費値上げは必至です。諸外国では、大学院の授業
料は無料、TAなどの収入源もあり、充実した研究生活を送っています。こう
した諸外国と日本の大学院生を比較すると、授業料を払った上、奨学金も有利
子の融資のようなものしか存在しないなど、本人及び父兄の負担があまりにも
大きすぎます。このような状況を放置するだけでなく、日本育英会を廃止する
など、逆に負担増を余儀なくされる「改革」ばかりでは、将来の夢どころか、
大学院進学をも諦めるものが続出し、若い層の向学の意欲は経済的理由で断ち
切られてしまいます。

2、貧困な大学の研究環境を放置する、本末転倒の「労働安全衛生法適用延期
の要望書」この国の将来の発展のためには、学術・文化、科学技術の発展を推
進することが必要なことは、科学技術基本法にも明確に謳われています。今、
緊急に求められていることは、いわゆる先進国の中で、高等教育予算のGDP比
が最も低い状況を一刻も早く改善し、国が責任を持って高等教育を発展させる
ことにあります。しかし国立大学法人化というのは、行政改革の一環として出
てきたもので、それが通れば予算でも人員でも大学運営は確実にいっそう厳し
いものになり、真の発展方向とは真っ向から反します。

狭隘且つ古い大学実験室では、研究者や学生の生命の危険すら招きかねない、
極めて劣悪な研究環境であることが、法人化に伴った調査で明らかになりまし
た。このまま法人化すると、明らかな労働安全衛生法違反となり、大学の研究
が進められないのです。

しかし、あろうことか、国大協は法律適用を6年間のばしてほしい旨の要望書
を出しました。これは本末転倒の議論であり、職員・学生の生命に関わる法令
違反を見逃してくれと言うに等しい行為です。真理を探究する者の道理ある考
え方とは全く次元のことなる、大学人としての誇りを失った驚くべき暴言であ
ると言わざるを得ません。

法人化の前に、このような劣悪な環境を早急に是正することこそが、大学改革
の本筋であり、日本の科学技術発展にもっとも貢献する政策であることは言う
までもありません。しかし、こうした劣悪な大学の県境を放置したまま、文部
科学省の管理統制のみを強化し、さらなる競争を強いるというのは、日本の学
術・文化、経済の発展にとって、自殺行為としか言いようがありません。

3、統制ではなく「学問の自由と自治」こそ、大学に必要であるこれまで、大
学はその運営のあらゆる局面で、設置者(=国(文科省))の顔色をうかがう
(意向に従う)ことを実質的に強制されてきました。たとえば、概算要求を通
して"もらう"場合などはその典型的な例といえます。同法案が通れば、今度は
単にある特定の概算要求を通していただくというだけではなく、文部科学大臣
は6年間の中期目標の終了時に「検討を行い、その結果に基づき、所要の措置
(法人としての存続の必要性、廃止、民営化を含めて、業務、組織の見直し)
を講ずるものとする」というような、絶大な権限を手に入れることになります。
教育に対する、このような国や官僚による統制は、日本国憲法や教育基本法、
国連のUNICEF憲章が固く禁じているものです。

同法案はこのような人類が到達した理念に反した時代錯誤のものであり、ほん
とうにこの様なものが日本の科学技術の振興に役立つと思っているのか、全く
理解できません。ノーベル賞など世界から高く評価される研究は、自由な価値
観や統制されない環境の中でこそ育ち、発展していくのです。同法案は、これ
まで奮闘してきた独創性の高い優れた研究や、大学が営々として築き挙げてき
た学問の蓄積という財産をもかなぐり捨て、根こそぎ台無しにする、希有の悪
法と言えます。

4、不透明な「運営交付金」と疲弊する行政職員

もし国立大学が法人化された場合、運営交付金の交付が具体的にどうなるのか
については、まったく情報がなく、大学の中ではさまざまな憶測と不安が交錯
しています。

行政職員の間では、給与問題だけでなく、退職金などが本当に担保されていつ
かなど、担当職員にも見通しがつかないような不透明なものであり、生活設計
の見通しが付かないと、悲鳴に近い声もあがっています。せっかく公務員を目
指して難関の公務員試験を突破し、日本の科学技術や学問の発展に貢献できる
と思って入ってきた若手行政職員たちは一様にがっかりし、「裏切られた」
「思惑と違った」など、無気力と文部行政にたいする不信も広がっています。

定員削減された職場で、たださえもサービス残業が定常化する中、「法人化」
の準備で業務が毎日深夜に及ぶ部署もあり、このままでは「自殺者」や「過労
死」が続出してもおかしくない状況であり、さらに将来の不安が重くのしかか
るというのが、私たち行政職員の置かれている状況です。
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  河合 利秀            Kawai Toshihide

      名古屋大学 理学部理学研究科 技術部  第二装置開発班金工室
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[9] 産経5/11:藤原正彦「文科官僚の過剰介入に潜む学問の危機」
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文科官僚の過剰介入に潜む学問の危機
 目を離せぬ国立大法人化の行方

   お茶の水女子大学教授

        藤原正彦


□□さらに強まる大学支配□□

 平成十六年度から、国立大学は国立大学法人となる予定である。橋本内閣に始
まった行政改革が、国家公務員二五%減という形に発展し、十二万五千人の教職
員を抱える文科省は仕方なく、国立大学の法人化に踏み切ったのである。動機は
ともかく、法人化そのものはよい。学部学科の構成から予算の細目までを文科省
に決められている現状に比ベ、法人化により大学の自由度ははるかに高まるから、
個性豊かな教育や研究が進展するはずだからである。

 ところが現在、国会で審議中の法案を見ると、そうなりそうもない。このまま
では文科省の支配がさらに強まるとしか思えない。

 第一は、各大学の活動の中期目標(六年間)を文科大臣が決めるという驚くべ
き条項である。先進国のどこに、大臣すなわち実質的には官僚が大学の中期目標
を指図するところがあろうか。細かなことは大学に任せるが、大きなことは官僚
が決める、という意図がはっきり見えている。大学は道路公団のような実務機関
ではない。教育と研究という特殊作業に携わる機関である。文科官僚には、教育
と研究について大学に指針を与えるだけの能力も見識もない。


□□学外者起用にも疑問点□□

 第二には、民間の経営手法を取り入れるということで導入される、役員会に関
してである。役員会は学外者を含む数名の理事と、二名の監事から成る最高議決
機関である。問題は二名の監事を文科大臣が任命することである。しかも学長は
理事を罷免できるが、監事の罷免はできないようになっている。先行して法人化
した国立の研究機関などでは、しばしば天下り官僚が理事や監事になっている。
文科省が監事を送り込むことに、多くの大学人が不快を禁じ得ないのは当然であ
ろう。

 第三は格段の権力を持つことになる学長についてである。学長に権力を集中さ
せるのは賛成である。これまで、国立大学の改革が遅々として進まなかったのは、
教授会自治を中心とした「学内民主主義」のためだったからである。大学の国際
競争力が問われる時代には、とりわけ素早い意思決定が必須となるから、中央集
権化は避けられない。

 既得権擁護団体と化した教授会を無力化するのは、遅すぎたくらいだが、文科
大臣が学長の任命権と解任権の両方を持つことになるのはいかがなものか。学長
は文科省のあやつり人形になりうる。中央集権は適切だが、独裁に対するリコー
ルなど大学構成員による意志表示の場がないのも不思議である。

 さらに危ういのは、学長選考会議の半数を学外者としたことである。経営に関
してなら学外者の意見は貴重だが、教育や研究に関しては、ほとんど何も期待で
きない。卒業してすぐに役立つ人材を養成しろとか、産業界や納税者に役立つ研
究をしろ、などという発想が会議にはびこり、その意を受けた者が学長となった
りしたら大変である。大学本来の目的である教養人の育成とか、実用を超えた基
礎研究などは困難になる。

 私などは数学の研究をしながら、役に立つかどうかなど、考えたこともない。
人類の幸福や福祉について思いを馳せたことさえない。数学が美しいから研究を
していただげである。役立つか、などを考えていたら真の学問は成立しない。歴
史的に、実用などを考えない研究こそが、後になって真に役立っていることは注
目を要する。壮大な無駄の中にしか、宝物は転がっていない。大学の研究を不況
克服のエンジンにしよう、などという政財界の発想は、大局観を失った恐るべき
不見識としか言いようがない。


□□不思議な国大協の沈黙□□

 三つの危険に触れたが、それらはあくまで危険性である。四つ目は破局である。
それは文科省が大学を評価し、予算配分もするということである。競争原理を働
かせるための評価導入は正しい。しかし、評価は文科省から完全に独立した機関
によりなされねばならない。それに従い文科省が予算を決定すればよい。両方を
文科省が手にすれば、各大学は完全に文科省にひれ伏すことになる。文科省の意
を酌んだ研究や教育ばかりがなされ、学問の自由は吹き飛ぶ。大学の自治は不要
だが、学問の自由は不可欠である。

 学長の集まりである国大協が、この法案に反対しないのは奇観である。巨大権
力となりつつある文科省に睨まれるのを恐れているのだろう。すっかり意気地を
なくした大学を横目に、ゆとり教育など初等中等教育で失策を続けてきた文科省
が、高等教育までを台無しにしそうである。(ふじわらまさひこ)

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[10] 報道
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[10-1] 毎日:国立大学法人法案 金沢大教職組が反対集会 「研究など制限」
『毎日新聞』石川版  2003年5月10日付
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国立大学法人法案 金沢大教職組が反対集会 「研究など制限」

 金沢大教職員組合は9日、金沢市角間町の金沢大で、大学を法人化する国立
大学法人法案について「国立大学の教育・研究を政府や文部科学省の下におき、
自由な研究や教育を制限する」として、約70人が参加して反対集会を開いた。

 同組合委員長の鶴園裕経済学部教授は同法案について「5年おきに成果が評
価されるため、長期にわたる基礎研究に予算が回らなくなる恐れがある。国家
目的の研究が増えることも考えられる」と問題点を指摘した。【児嶋俊史】
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[10-2] 北海道新聞5/11「国立大学法人法案   教官、学生97%反対」
http://ac-net.org/rfr/2/511-hokkaido-np.html
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 2003年5月11日朝刊

「国立大学法人法案   

教官、学生97%反対 

北大有志ら  電子投票1次集計

国立大学教官の有志グループは十日までに、今国会で審議中の「国立大学法人
法案」の賛否を問う電子投票の第一期(四月二十八日ー五月七日)集計をまと
めた。投票総数は二千九百三十票で、賛成七十九票に対し、反対が二千八百五
十一票で97・3を占めた。山口二郎北大教授ら全国の国立大教官二十四人が
が呼ひかけた。辻下徹北大教授が実施責任者を務め、国立大の教職員や学生ら
を対象にした。

賛否理由(複数回答)で最も多かったのは、賛成が「法案は問題があるが、国
立大の抜本的改革の契機となるから」、反対が「大学が行政と企業に従属し、
憲法と教育基本法が保障する、研究と教育の独立性と公共性が損われるから」。

結果は国会議員に送る。今後は公立大や私立大などに対象を広げ、第二期
(六月十三日まで)を実施する。詳しくは、専用ホームページ
   http://www.ac-net.org/rfr/

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[10-3] 毎日5/12: <国立大学>民主が法人化法案修正案を提出へ 自主性を尊重
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毎日新聞ニュース速報

 民主党は13日、国立大学を04年度に独立法人化するための政府の国立大
学法人化法案に対する修正案を提出する。大学への国の関与をより弱め、各大
学の自主性を尊重する内容を盛り込んでいる。

 政府案では、国立大学が目指す経営の中期目標の作成者を文部科学相として
いるが、修正案は国立大学に変更したうえ、中期目標達成のために各大学がつ
くる中期計画は、文科相の認可ではなく届け出にするよう求めている。

 修正案はほかに、大学ごとに決められた理事の定員数を「10人以内」に緩
める▽民間企業の役員にあたる「監事」を文科相が任命する際は、天下りを防
ぐため学部長らの意見を聞く▽経営協議会の学外委員を2分の1以上とする要
件を廃止する▽経営協議会だけでなく、教員で構成する教育研究評議会にも予
算関連の審議を認める――などとしている。【横井信洋】」


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[] 共同通信5/12 大改革に懸念隠せず 国の介入、地方大の衰退 国立大法人法
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共同通信ニュース速報

 全国の国立大を国の直轄から切り離して法人化する法案が今国会に提出され、
審議が続いている。文部科学省は「明治以来の大学制度の大改革」と位置付け
「大学の裁量が増し、研究などが活性化する」と意義を強調するが、大学関係
者の間で「むしろ国家の介入が強まる」などと懸念する声が広がりつつある。

 ▽賛否で火花
 「官僚が強力な権限を持ち、大学への規制が強化される。競争原理の導入で
地方の国立大の衰退を招くのはほぼ確実」。今月七日の衆院文部科学委員会。
参考人の田中弘允・前鹿児島大学長は厳しく法案を批判した。
 一方で、牟田泰三・広島大学長が「ぬるま湯につかっていた面がある国立大
は新しい展開をすべきだ」と支持を表明するなど、大学関係者が火花を散らし
ている。
 法案が成立すれば、来年四月に短大も含め八十九の国立大学法人が誕生、約
十二万三千人の教職員は非公務員になる。
 学長の権限を強化して「トップダウン」経営の実現を図り、個別の大学債発
行も認める。経営を審議する協議会には過半数の学外委員を置くことなどが柱
だ。

 ▽「枠内の自由」
 「自律的な環境のもとでより活性化し、個性豊かな魅力ある国立大を実現す
る」。審議入りの際、遠山敦子文科相は法案の意図を説明した。
 だが、大学関係者からは、文科相が定める「中期目標」制度の創設などに対
し「国が教育内容を決める規制強化だ」との批判が出ている。
 中期目標は、文科相が大学の意見を聞き、各校ごとに六年間を期間として決
定。大学はこれに沿い経営や研究などの中期計画を作成、文科相の認可を受け
る。文科省に置く評価委員会が研究実績などを評価、国が交付する運営費の配
分に反映させる仕組みだ。
 「大学が自主性を発揮できる余地はあまりない。与えられた枠の中での自由
にすぎない」と、ある国立大学長。
 「これからは経営上、外部資金を稼げる研究も重視しないといけない」と打
ち明ける。
 東大職員組合委員長の小林正彦・東大大学院教授は「産業界の受けが良く、
金になる学問ばかりがもてはやされ、基礎研究などは衰退しかねない。期限を
区切る評価からは真に独創的な研究は生まれない」と批判する。
 どの大学、どの学部でも一律に年間約五十万円だった授業料も、大学や学部
によって変わりそうだ。文科省が一定の範囲を示した上で、各大学が経営上の
観点から額を決めることになる。
 財務省との折衝や、大学に配分される運営交付金次第の面があるが「しわ寄
せは結局、学生のところにくる」(小林教授)と値上がりを予測する声が多い。

 ▽もの言えぬ雰囲気
 法案はまだ成立していないが、一方で、各大学は昨年夏ごろから中期目標の
原案づくりなど法人化準備を始めている。
 東京外国語大の岩崎稔・助教授は「十回ぐらい書き直しをした。どの大学も
大量の行政文書づくりに追われ、肝心の教育や研究が犠牲になっている。法人
化でこの作業が延々と続くのかと思うとたまらない」と話す。
 「交付金配分を考えると文科省にものを言いにくい雰囲気が既にある」と地
方国立大の幹部。
 北海道大大学院の辻下徹教授ら国立大教官有志は、法案の賛否を問う匿名の
電子投票を呼び掛けた。全国の国立大の教職員や学生らを対象に四月二十八日
から十日間実施したところ、賛成が七十九票、反対が二千八百五十一票だった。
(了)」
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[11] お便り紹介:ビンソンラティフ氏「教特法を知らなかった教官」
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「当方の大学の医学部の教官を十数年にわたって勤めた後、大学の近くで開業
した医者がおり、受診してみた折、雑談で大学の法人化の話をしたところ、な
んとこの元教官は自分が教特法を適用されていたことも、いや教特法の存在自
体を知らなかったことが判り、愕然としたことがあります。教官といっても一
様ではなく、医学部の場合は、悪名高い「医局制度」が存在し、まるで「相撲
部屋」(東大医学部と喧嘩して飛び出した和田秀樹医師)のような封建的な世
界であるらしいため、こういうことになるのかもしれません。またそれが原因
なのか医学系学部の教官の職員団体への加入率は低いようです。また、法人化
の問題では医学系の学部・教官があまり反対しない傾向があることが反対運動
の過程で明らかになってきたと思いますが、それもこれが原因なのかもしれま
せん。医師免許さえ持っていれば怖いものは無い、と思っているのかもしれま
せん。なんとかここにテコ入れできれば、と思うのですが。」

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[12]「市大を考える市民の会」通信   第31号 2003.05.09.(金)
http://www8.big.or.jp/~y-shimin/  e-mail:y-shimin@big.or.jp
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目次
  「市大を考える市民の会」声明 2003.4.19
  学内の動き・3学部教授会決議
     (1)商学部教授会決議 2003.5.2
     (2)総合理学八景研究科委員会の決議 2003.5.1
     (3)国際文化学部教授会決議 2003.5.1
     (4)教員有志による学長への要望書 2003.5.1
  小川学長が市長と会談、「あり方懇」答申を踏まえる?(5月7日)
  お手紙紹介 (昭和20年代、30年代卒業のOBより)
  「市大を考える市民の夕べ」 6月7日(土)開催
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学内の動き・3学部教授会決議
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(1)商学部教授会決議

小川惠一学長殿                               
   平成15年5月2日
                                      
      商学部長 川内 克忠

平成15年5月1日商学部教授会において、以下の事項を確認し学長に申し入れるこ
とを決議しましたのでご通知申し上げます。

1 学長による「あり方懇答申に対する要望」(平成15年4月9日) は、評議会
および教授会の議を経ていないことを確認する。

2  将来構想委員会答申案中間報告、各部局から提出された中期目標・中期計
画等を踏まえ、早急に全学の意見を取りまとめ、大学の改革案を作成し、市当局
に提示するよう学長に要請する。     

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 (2)総合理学八景研究科委員会の決議

横浜市立大学学長、小川恵一様

 横浜市立大学学長小川恵一氏は、市長からの諮問に応じ、さる4月9日に「あり
方懇答申に対する要望」を提出した。この「要望」に記された内容は以下に述べ
る理由で、容認しがたいものである。

1.「要望」に述べられている内容は「あり方懇談会」の答申の路線をそのまま
無批判に追認しているものであり、学問の府としての大学のあり方を充分考慮し
たものになっていない。

2・横浜市立大学が市民に貢献する大学であるためには、大学内部の議論も踏ま
えて意見を表明するべきである。

本学では、今まで「将来構想委員会」等の全学委員会や各部局で真摯な議論を重
ねてきたが、今回の「要望」には、これらの議論の成果は反映されていない。

本研究科委員会としては、大学改革の基本方針について学長が全学に対して誠実
に説明されると同時に、今後の評議会等における議論において、今まで本学内部
で積重ねられてきた議論の結果も十分考慮されるよう強く要望する。

平成15年5月1日

総合理学研究科八景研究科委員会

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(3)国際文化学部教授会決議

平成15年5月1日

1 学長が市に対して提出した「あり方懇答申に対する要望」(H15/4/9付け
の文書)は、本学全体が進むべき改革方向を示したものでなく、また国際文化学
部の意見を反映したものとは考えられない。またこの文書は、評議会で正式に配
られ、承認されたわけではなく、教授会で確認された文書でもなく、大学の意見
をとりまとめた上で作成された文書とは認められない。

2 「あり方懇答申」とこれまで大学内の将来構想委員会などで検討された改革
案を再検討し、学内の意見を集約して具体的な改革案を策定する委員会を立ち上
げ、評議会で承認を得るよう学長に要望する。

3 学長は責任を持って全教員・職員・学生・院生に対して、大学改革の基本方
針について直接説明することを要請する。

以上決議する。

尚、国際文化学部としてはこれまでに検討してきた中期計画等を中心として改革
を具体的に進めるよう努力することを表明する。


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(4)教員有志による学長への要望書

小川学長への要望

 横浜市立大学学長小川恵一氏は、さる4月9日に市長からの要望に応じ「あり
方懇答申に対する要望」を市長に提出した。以下に述べる理由で、その内容、手
続き、ともに容認しがたいものである。全学集会を開催し、以下の疑問を解消す
べく誠実にご説明されるよう要望する。

1. 「基本的考え」に述べられていることは、これまで、大学内部でまったく
議論されて来なかった内容であり、これを学長の見解として市長に提出すること
は、学長の権限を越えたものである。

2. プラクティカル・リバラル・アーツカレッジという概念で、魅力ある大学
を造ることは不可能である。

3. 学内での議論なしに、学科別授業料の導入を容認することも、学長の権限
を逸脱したものであり、大学の自治の否定である。

平成15年5月1日

市立大学教員、理学部  一楽重雄 外17名
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  「横浜市立大学を考える市民の夕べ」
  「市民の会」の声明発表、討論、決議採択ほか
   日時: 6月7日(土) 18:10〜20:40 (開場17:40)
   場所: 横浜市開港記念会館にて(JR関内下車、徒歩10分)
  参加無料です。ぜひお越し下さい!
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編集委員会:重岡理恵(H2年卒)、田村冬美(H8年卒)、矢吹晋(教員)
編集長:重岡理恵(H2年卒)
「横浜市立大学を考える市民の会」事務局  
 〒236-0028 横浜市金沢区洲崎町5−52
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編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
国公立大学通信ログ:http://ac-net.org/kd
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