通信ログ
国公立大学通信 2003.06.10(火)

--[kd 03-06-10 目次]--------------------------------------------
[1] 6/10参議院文教科学委員会の予定
[2] JANU -- An Irony of Contemporary Japanese History
[3] 6/9 編集者より国立大学長への電子書簡
[4] 6/9 往復書簡:「法案の内容を小泉首相は把握しているのでしょうか」
[5] 6/9首都圏ネット声明:国大協総会は法案廃案の立場を表明すべきである
[6] 6/9全大協総務「国大協第112回定期総会への要望」
[7] 6/8豊島耕一氏から国会議員へ
[8] 6/9文部科学教官助手から参議院文教科学委員へのメール
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本日と明日は国立大学協会総会です。国立大学社会で唯一法案を支持している
人たちの言葉巧みで不誠実な協会運営を、他の大学長の方々が黙認して共犯と
なるのかどうか、そこに、国立大学の命運がかかっているようです[2] [3]
[5] [6]。

「法案の内容を小泉首相は把握しているのか」というメールがありました
[4-1]。すぐに民営化できなかったことにはご不満でしょうが、民営化すると
きに最も困難であるはずの、教職員の公務員身分剥奪作業があっけなく済んだ
ことに十分ご満足であると推測しています[4-2]。非公務員型を国立大学協会
が了承した直後の昨年5月に、「この一年間で,小泉改革の具体的な成果とい
えるようなものが何かありますか」という記者の質問に、麻生議員が「東京大
学がなくなる.国立大学がすべてなくなることを決めたのがやっぱり大きいで
しょうね.国立大学は全部なくなりますから.独立大学法人に変わる,そして
数年後には,できるところから民営化ですよ.」と答えたことは、それを裏書
していると思います。

「民営化」は通常、非営利法人である学校法人にすること(私学化)を意味し
ますが、独立行政法人化では企業会計原則が導入されますので営利法人化する
とも言えます。「独立行政法人化は学校法人化よりまし」と言う暗黙の前提が
正しいのかどうか、わからないように思います。(編集人)
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[1] 6/10参議院文教科学委員会の予定
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030609sainnin.html
ビデオ中継:http://www.sangiin.go.jp/japanese/frame/joho1.htm
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■6月10日(火)参議院文教科学委員会
 仲道俊哉 自保 10:00〜11:00
 内藤正光 民主 11:00〜12:00
 櫻井 充 民主 12:00〜12:30
  <休憩>
 草川昭三 公明 13:30〜14:10
 林 紀子 共産 14:10〜14:50
 山本正和 国連 14:50〜15:30
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[2] JANU -- An Irony of Contemporary Japanese History
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/UniversityIssues/english/JANU-irony.html
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#(From "Handout for an International Conference Coalition of
Organizations and Individuals Against the Bill of National University
Corporations", June 2003
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/UniversityIssues/english/handoutindex.html 
)

      The Japan Association of National Universities--- An Irony of
      Contemporary Japanese History

It is one of the biggest ironies of contemporary Japanese history that
the Japan Association of National Universities (JANU), an organization
that was originally established to defend the academic freedom and the
autonomy of Japanese national universities on 1950, is now acting as an
obedient servant to the executors of these two fundamental values of
Japanese society. To make how such a shameful degradation could happen
intelligible will be the task of future researchers of Japanese
contemporary history. What we want to do here is to show how much the
intentions of JANU were ignored and betrayed by the whole bureaucracy of
Japan in the affairs of university corporations and that they now have
every reason to protest against the Bill of National University
Corporations and that it is the last chance for them to restore their
lost dignity. 

・・・・・・・・・

It is only one of many points with respect to which the Bill of National
University Corporations mercilessly betrayed JANU's original
expectations. For example JANU originally wanted the intermediary
objectives to be established by each university, but BNUC stipulates
them to be established by the Minister of the Education; JANU wanted the
central government to be the establisher of each national university
since this mean the government takes fiscal responsibility for the
management of university, but the bill stipulates each national
university corporation to be the establisher of the university; JANU
wanted the employees of universities to keep the status of government
employees which they enjoy now, but they are to lose that status under
the new law. It cannot be said to pay any respect to the original
objectives of the whole process of national university reform, namely
better higher education and research in Japanese national universities.
The simplest explanation of how the intentions of JANU could be ignored
so relentlessly is that the bill of National University Corporations is
not the product of debate over what the Japanese national universities
should be like, but the product of political compromise between the
Ministry of Education and other Ministries. That is why the bill does no
good to Japanese national universities. It is just forced to them for
the interests of bureaucrats.

Therefore, there is no reason for JANU to accept the bill and every
reason for them to refuse it if they want their universities to be
better at all. They have to speak out now. This is the last chance for
them to keep their identity.」
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[3] 6/9 編集者より国立大学長への電子書簡
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                                                    2003年6月9日(月)
国立大学長の方々へ

1999年以来、一国立大学教員として、ほぼ総会ごとにお手紙を差しあげて
まいりましたが、これが最後の機会になるかも知れません。国立大学法人法案
を総会の議題にするという「自明な」お願いを、どうぞお聞い入れいただけれ
ば、と願っております。これは、5月23日に国立大学協会に提出しました共
同意見書(現在、55国立大学の245名の教員が連署。最後に添付します。)
で要望していることでもあります。


国立大学協会の会員は学長のみなさまではなく、国立大学であることを御存知
でしょうか。国立大学を代表する場合だけ、学長のみなさまは国立大学協会の
「会員」と称することが許されるのです。

しかし、国立大学法人関連法案が公表された2月27日以降、国会やメディア
で法案について、国立大学関係者で明確な支持表明をしたのは、現職の国立大
学教職員では、4名の国立大学長だけです:一橋大学長、東京大学長、名古屋
大学長、広島大学長以外に誰一人として、法案を支持する意見を公的に述べた
現職の国立大学関係者は居ない、と思われます。それに対し、法案を危惧する
国立大学関係者や機関の意見は数え切れないほど公表されています。

これは何を物語っているのでしょうか?

教育研究の現場に居る者は,国立大学法人法案で教育と研究の基盤が破損する
ことは自明にわかります。しかも、昨年来の「法人化準備作業」で、法人化が
教育と研究を使命とする大学を破壊することは全員が体で理解したことです。
しかし、学長の皆様の中には、大学運営に長く携わり、官僚の方々や産業界の
方々や「有識者」と日常的に付き会ううちに、教育研究を支えるものを内面的
に理解する感性を失い、法案のもたらすダメージを感得できなくなっている方
がおられるようです。大学社会では学長だけが法案支持を表明していることが、
そのことを物語っているのです。(しかし、そういう方が学長の大多数である
とは私は思いませんし、実際に、2月に法案概要についての問題点を明確に指
摘された学長が少なくなかったことが、それを示しています。)

国立大学法人法が成立するとすればーーその可能性は極めて高い状況ですがーー
それは、政治的圧力や社会的要請が強いためではなく、法案成立に向けた一部
の学長の強引な策略を、大多数の学長のみなさまが容認し、国立大学協会が法
案成立に向けて全力を挙げることを看過するがゆえに成立するのだ、というこ
とを認識してください。つまり、この総会が、法案について知らんぷりを決め
こむことを容認するのであれば、法案を成立させる真の「功労者」は96名の
学長の皆さん全員である、ということです。

大学を守るためには非難され悪者になっても厭わない、という無私の精神を発
揮されるているとすれば、それは守り方の方向を間違えておられます。「国立
大学を守る」唯一の方法は、日本社会の支持を得ることであり、それは、政府
や産業界が求めるテーマで素晴しい研究成果を挙げ、政府が求める教育を実施
することだけでは得られず、政治的な経済的な諸勢力から独立した気概と倫理
性を持つ社会セクタとしての評価を得ることによってしか得られません。その
第一歩は、今、国立大学に求められている説明責任を果すべく、国立大学法人
法案についての認識を社会に表明することではないでしょうか。

5月上旬の石副会長文書で明らかにされた認識ーーすなわち、この法案による
法人化後の大学にとり、自主性自律性を守る歯止めは「行政の善意」しかない
こと、来年4月からの法人化は法を破ることなしには無理である等々の認識ーー
を日本社会に向けて表明することーーこれは国立大学という公共的財産を現場
で維持する存在として、社会の付託に応え信用を得るために、最低限果さなけ
ればならない責務です。国立大学協会が法案についての疑義を表明すれば、そ
を無視した強行採決は難しくなるのでしょう。強行採決されたとしても、その
法は大学の意思に反したいかがわしいものであることが明らかになります。

しかし、この責務を怠たり、国立大学法人法案が国立大学自身の意思に沿うも
のであるかのような外見を整えることに協力するのであれば、国立大学全体の
信用は衰退の一歩を辿ることになるでしょう。一部の大学が洪水のような資金
を国や企業からもらい、人海戦術により産学連携で非公開の成果をあげても、
社会の支持を失うばかりでしょう。そのような「独立行政法人大学」を国が維
持する必要があるという世論が形成されるとは思えません。


いよいよ、本当に最後の機会になりました。国立大学社会の意思よりも、産業
界や行政の意向を優先させ、法案成立に全力を挙げて協力し国立大学を利用す
る勢力の仕えるか、あるいは、産業界や政府の強い意向に対し、国立大学社会
の意思を対峙させ、国立大学の未来の形成に能動的に参画し、真に独立した大
学セクタ形成の第一歩を歩み出すか、そのいずれかの選択ができる最後の機会
になりました。

どうか、大学運営の日常性の呪縛を越え、国立大学を代表する存在として、大
学における学問の自由を守るために設立された国立大学協会に参加しているこ
とを念頭において、明日と明後日の総会に臨んでくださいますよう、お願い致
します。

北海道大学教員  辻下 徹 
連絡先:tel/fax 011-706-3823(univ)
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[4] 6/9 往復書簡:「法案の内容を小泉首相は把握しているのでしょうか」
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[4-1]  to tjst@ac-net.org
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「これまで送信いただいた通信を読み直していて気づいたのですが、

そもそも法人化法案の内容を小泉首相は把握しているのでしょうか。文教委員
各氏には通信なさっているようですが。これまでの通信で、現法案の抱える問
題点が要点を押さえて説明されてきております。この内容は首相の耳に届いて
いるのでしょうか。というのは5月16日の通信で、衆議院委員会で強行採決
に踏み切った古谷圭司委員が

「現内閣の忠臣の一人として、小泉内閣のただ一つの目覚ましい業績と言われ
ている国立大学制度廃止だけは何としても実現しなければならない、と意気込
んで」

いるのならば、この一連の問題は委員会レベルでいくら声をあげたところで解
決には至らないにではと思いあたったからです。私が世間知らずでこんなこと
は皆承知だったのでしょうか。

改革を掲げている首相の理想像が、原文のままの法人化法案で実現すると首相
自身が考えているのなら、それまでですが、もしそうでない可能性があるなら
ば、意見広告は首相宛の問い掛けという形にするのが、インパクトもあって、
皆の関心を引きつけるのではないでしょうか。もう遅いでしょうか。

私は大学改革の手段として法人化という方法を取り入れること自体には反対し
ません。が、現時点の文面のまま法律として法人法案が成立することに強い危
惧を覚えます。」
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[4-2] from tjst@ac-net.org

「
> そもそも法人化法案の内容を小泉首相は把握しているのでしょうか。文教委
> 員各氏には通信なさっているようですが。これまでの通信で、現法案の抱え
> る問題点が要点を押さえて説明されてきております。この内容は首相の耳に
> 届いているのでしょうか。

2001年5月に、小泉首相は、内閣発足直後に、国立大学の民営化と地方移管の
方針を国会で述べ、それを阻止するために文科省が急遽作ったのが遠山プラン
です。従って、小泉首相が、(遠山プランの一部である)現法案に満足してい
るはずはありませんが、それを小泉内閣が容認したということは、あとでいく
らでも修正できると認識し、民営化の困難な第一歩を実現するものとして法案
を容認した、ということだと思います。実際に数年後に民営化できるようにし
たことが小泉内閣の大成果である、という趣旨の発言を麻生議員がしています(*)。

国立大学協会や文科省は、民営化を当面回避できたことを成功と考えています
が、小泉内閣は、非公務員化という最も困難なステップがあっけなく実現でき、
数年後の民営化の準備ができた、と認識しており、その意味で成功と考えてい
る、と推測しています。

直接の民営化であれば国民的議論がしやすいので、「正しい民営化」(交付国
債などを付与する等の財政的基盤を与える民営化)が実現できるかも知れませ
んが、独立行政法人化後の民営化は単に「廃校」に過ぎません。文科省も国大
協も、正常な判断ができない麻痺状態、あるいは、さらに悪く、知っているが
もはや何も出きない絶望状態にあるのではないかと懸念されます。」
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(*)http://www.ac-net.org/kd/03/223.html
(2002年5月4日号週間現代「直撃インタビュー 麻生太郎・・・」 より)
記者:この一年間で,小泉改革の具体的な成果といえるようなものが何かあり
      ますか.
麻生:東京大学がなくなる.国立大学がすべてなくなることを決めたのがやっ
      ぱり大きいでしょうね.国立大学は全部なくなりますから.独立大学法
      人に変わる,そして数年後には,できるところから民営化ですよ.」
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[4-3] to tjst@ac-net.org

「私の認識が一段、数段浅かったことを認識させていただきました。

「民営化」が原点、そもそもの始まりということですね。教育研究に対する国
の責務という各著名人のご意見も、この観点からとらえるべきでした。

大学法人化が原案のままで強行されると(現在が"bad"として)数年間は
worse, その先はworst?。せめて修正されてから(来年からではなく)法人化
されても数年後からworse?。

想定していなかった因子(民営化)が加わってくれば、実験結果に対する解釈、
結論(法人化)も変わってきます。次の実験計画も練り直さねばなりません。
(ただ、民営化の中身について?な現時点では意見はもてません。)

この一連の流れが、民営化を最終の目的していたという視野が欠けていたのは
私だけでしょうか。

現法案の文面、審議内容についての問題点はもちろんですが、問題はそれだけ
ではなかったことを認識させていただきました。
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[5] 6/9首都圏ネット声明:国大協総会は法案廃案の立場を表明すべきである
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/web030609syutokennet.htm
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はじめに
一、法案をめぐる国大協執行部の対応は異常である
二、執行部は、国大協の立場を僭称している
三、国会審議で明らかにされた法案の諸問題
四、急速に広がる法案への批判、与党からも疑問の声
五、国大協が取るべき態度 
      ― 総会で「国立大学法人法案」に反対の意思決定を
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[6] 6/9全大協総務「国大協第112回定期総会への要望」
http://www.zendaikyo.or.jp/dokuhouka/zendaikyo/03-6-10kokudaiyoubou.htm
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[7] 6/8豊島耕一氏から国会議員へ
http://ac-net.org/kd/03/610.html#[7]
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オックスフォード大学ベイリオル・カレッジのリチャード・ゴンブリッチ教授
から届いたメッセージを紹介ます(メールアドレス部分は伏せ字).同氏はサ
ンスクリット学の世界的権威とのことで,また親日家でもあり,2000年に
aは「宗教問題とアジア」と題した東京でのシンポジウムで基調講演をされてい
ます[1].[1] 産経新聞2000年1月27日付け参照.
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日本の真の友人たちと同様,学問の自由に影響を及ぼすようなやり方で国立大
学を「改革」するという政府の提案には,私も失望しています.官僚や政治家
に学問的,知的活動を支配する権力を与えるこのような動きは,悲惨な結果を
もたらし得るだけであることを,歴史は繰り返し示しています.

リチャード・ゴンブリッチ2003年5月13日付
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[8] 6/9文部科学教官助手から参議院文教科学委員へのメール
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「参議院文教科学委員の皆様
大野 つや子・仲道 俊哉・橋本 聖子・佐藤 泰介・山本 香苗・林 紀子・
有馬 朗人・有村 治子・大仁田 厚・扇 千景・北岡 秀二・後藤 博子・
中曽根 弘文・岩本 司・江本 孟紀・神本 美恵子・山根 隆治・草川 昭
三・畑野 君枝・西岡 武夫・山本 正和 各議員殿

初めまして,私は大学で文部科学教官助手をしているものです.

現在,貴委員会で審議されております国立大学法人法案については,引き続き
慎重な審議を続けられることを強く要望致します.

 大学改革は,すべての国民の幸福に貢献し,わが国や地球の平和で明るく生
き生きとした未来を,国民が力を合わせて作り出すことに貢献するものでなけ
ればならないと思います.

 しかし,審議中の国立大学法人法案が参議院でもこのまま可決された場合,
「文部科学省からの天下りによる官僚支配の大学となってしまうのではないか」
とか,「授業料値上げが必須となり庶民の子どもの就学がよりいっそう困難に
なるのではないか」とか,「一部の企業に利益をもたらす教育研究が国によっ
て誘導されるのではないか」とか,「時の政権による管理強化のためにイエス
マンしか残れない大学に成り下がるのではないか」とか,「任期制も合わせて
導入され,再任拒否をちらつかせて大学が運営されるため,学問の自由どころ
か言論の自由さえ侵害されかねないのではないか」・・・など,数々の不安が
あります.これらについて,多くの国立大学教官や文化人などが新聞広告その
他で声を挙げていることもご存じのことと思います.

 私も,国立大学法人法案によって,大学改革があるべき姿とは全く異なる方
向に進むのではないかと危惧しています.このような世論を無視して,与野党
不一致のまま採決が強行される事態は、ぜひとも避けていただきたいと強く願
い,このメールを送信しております.

 会期にとらわれず,「良識の府」として理性ある法案への対応をお願いした
いのです.衆議院で通過したものは,参議院でも通過するのが慣例となってい
るように世間では受け止め始めています.これでは,二つの議院がある意味が
ありません.国民の血税によって議員報酬を受け取られている以上,参議院の
存在意義をここで示していただきたいのです.
 衆議院と全く同様におざなりな審議しか行われないのならば,意味のない二
院制はやめて議員数を減らす行政改革が必要という世論が高まっても仕方がな
いように思います.

 大学内部にいる者としては「職員間で自由にものが言え,真剣な議論が職階
を越えて対等にできる開放的な関係性のある大学」が私の理想です.これは,
「庶民に開かれた大学」にも通じるのではないでしょうか.

  現在の大学は,職階によるヒエラルヒーが当然のことながらあり,助手には
講師以上と対等に学生を教育する権利もなく,教官最下層である助手の立場で
諸問題について発言をするのには,かなりの労力と勇気を要します.「助手は
対等にものが言える立場にない」「助手のくせに」という雰囲気もある中で,
自己卑下に陥らず,人間として当然の発言ができる自らを保ち,「ものが言え
ない」人間にならないよう日々努力しています.

 しかし,国立大学法人法案可決によって,このことが改善されるよりもむし
ろ,「ものが言えない」職階が増え,教授も含めたすべての人々が経営側には
「ものが言えない」雰囲気が出来上がってしまうのではないかと危惧していま
す.仮に国立大学法人法によってこのような雰囲気が大学内に蔓延するとする
なら,「新たな独創性のある」研究の芽生えのエネルギーを,大学は完全に失っ
てしまうのではないでしょうか.そして,国民のための開かれた大学というよ
りも,時の政権や官僚の利害,企業の利潤追求の道具としての大学に成り下がっ
てしまうのではないかと思います.

  これらのことがすべて杞憂であって欲しいのですが,現時点では不安の方が
大変大きいと言わざるを得ません.

  また,非公務員型の待遇とするならば,労働諸法が適用されるはずですが,
性急な決定によって,それが間に合うのかも疑問です.
 これまで必要なときには夜中や明け方まで休日も返上して,頑張ってきまし
たが,今後はこういう働き方には夜勤手当・休日手当などがつくようになると
いうことでしょうか? 教官のフレックスタイム制の導入など検討されている
のでしょうか?

  任期制導入も同時に行われた場合,失業保険もないこれまでの状態で任期切
れになった場合,即,生活権を奪われることにもなります.

  慎重にご審議の上,継続審議とするか,廃案にするか,修正すべき点は修正
するか,いずれにしても後世に禍根を残さないようにしていただきたいと切望
しております.また,国民に対して分かり易い言葉で説明責任を果たされます
ようにお願い致します.

  文部科学教官助手」
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編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
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