通信ログ
国公立大学通信 2003.07.01-ex(月)

--[kd 03-07-01-ex 目次]--------------------------------------------
[1] 7/1 国会情勢速報 No.29 直ちに3日採決強行反対のファックスを!

   [1-1] 参議院文教科学委員会名簿

[2] 毎日新聞 7/1 全国版意見広告より:

  [2-1] 各界からの意見

   赤川次郎(作家)

   櫻井よしこ(ジャーナリスト)

   ノーム・チョムスキー
         (マサチューセッツ工科大学教授 生成文法の創始者)

   森 重文(京都大学数理解析研究所教授)

   森村誠一(作家)

   山口二郎(北海道大学法学研究科教授)

  [2-2] 会に寄せられた支援者からの意見(茨城県・主婦)
----------------------------------------------------------------------

----------------------------------------------------------------------
[1] 7/1 国会情勢速報 No.29 直ちに3日採決強行反対のファックスを!

独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局
/独立行政法人問題千葉大学情報分析センター事務局:共同編集
----------------------------------------------------------------------

与党、1日の理事懇談会で3日採決を提案。
各党、持ち帰り。2日、改めて理事懇談会へ。

直ちに3日採決強行反対のファックスを!

  1日の文教科学委員会では、佐藤(民主)、畑野(共
産)、西岡(国連)の各委員が鋭い質疑を行い、文科省
側はしばしば答弁不能状態に陥った。西岡委員は、最後
に「引き続き次回に質問を行う」と宣言し、未解明の問
題が山積みしていることを強く主張した。

  しかし、与党は、委員会後の理事懇談会で、3日の委
員会における民主60 分、共産30分、国連30分の
質疑を確認した後、3日の委員会採決を提案したので 
ある。しかし、この提案はその場では受け入れられず、
各党持ち帰りとなった。理事 懇談会は、2日午前10
時〜10時10分の参議院本会議後、開催され、与党提
案を議論することとなった。

 10時10分から開かれる理事懇談会に、3日採決方
針を取り下げ、徹底審議 の続行を要請しよう

  事態は緊迫している。委員会審議で次々と破綻する文
科省を与党は採決強行で 救おうとしているのである。
直ちに、文教科学委員、とりわけ理事諸氏、各党・会派 
党首、幹事長(書記局長)、政策委員長、国会対策委員
長などに、採決強行反対、徹 底審議継続の要請ファッ
クスを、全国から集中しよう。そして、明日、午前10
時10分から開かれる理事懇談会で、3日採決方針を取
り下げさせ、徹底審議の続行を確認させよう。
----------------------------------------------------------------------


----------------------------------------------------------------------
[1-1] 参議院文教科学委員会名簿

議 員 名      党派  選挙区  文科委  会館 会館TEL  FAX

大野 つや子    自保  岐 阜  委員長  242  3508-8242  5512-2242
仲道  俊哉    自保  大 分  理 事  429  3508-8429  5512-2429
橋本  聖子    自保  比 例  理 事  302  3508-8302  5512-2302
有馬  朗人    自保  比 例  委 員  223  3508-8223  5512-2223
有村  治子    自保  比 例  委 員  229  3508-8229  5512-2229
大仁田  厚    自保  比 例  委 員  706  3508-8706  5512-2706
扇   千景    自保  比 例  委 員  436  3508-8436  3592-0407
北岡  秀二    自保  徳 島  委 員  236  3508-8236  5512-2236
後藤  博子    自保  大 分  委 員  538  3508-8538  5512-2538
中曽根 弘文    自保  群 馬  委 員  630  3508-8630  3592-2424
山本  香苗    公明  比 例  理 事  319  3508-8319  5512-2319
草川  昭三    公明  比 例  委 員  202  3508-8202  5512-5400

--------------------------------------

佐藤  泰介    民主  愛 知  理 事  411  3508-8411  5512-2411
岩本   司    民主  福 岡  委 員  231  3508-8231  5512-2231
江本  孟紀    民主  比 例  委 員  740  3508-8740  3580-1116
神本 美恵子    民主  比 例  委 員  421  3508-8421  3508-0010
山根  隆治    民主  埼 玉  委 員  707  3508-8707  5512-2707
林   紀子    共産  比 例  理 事  342  3508-8342  3508-8342
畑野  君枝    共産  神奈川  委 員  629  5512-2629  3508-8629
西岡  武夫    国連  比 例  委 員  542  3508-8542  5512-2542
山本  正和    国連  比 例  委 員  216  3508-8216  3502-8853

---------------------------------------------------------------
審議に加った議員:

内藤  正光    民主  比 例          424  3508-8424  5512-2424
鈴木   寛    民主  東 京          635  3508-8635  5512-2635
櫻井   充    民主  宮 城          324  3508-8324  5512-2324
----------------------------------------------------------------------


----------------------------------------------------------------------
[2] 毎日新聞全国版意見広告より:各界からの意見
----------------------------------------------------------------------

私たち大学人と市民は、現在国会で審議中の「国立大学
法人法案」の内容に危惧を表明し、これを廃案とするこ
とを訴えます。

--------------------------------------------------
  赤川次郎(作家)
--------------------------------------------------
 経済的な事情から、大学へ進学せずに就職した私は、
「大学生活」というものに、長いこと憧れを持っていた。

 「大学」とは、何よりもまず「自由な空間」であり、
その中で若者たちが存分に想像力や情熱を発揮できる場
所だった。ところが、今日本の教育からはどんどん「自
由」という酸素が失われつつある。

 小学生に配られた「こころのノート」から「国立大学
法人化」まで、これは一つにつながった「自由を奪う政
策」である。酸素の薄くなった空間では、人は独創的な
発想などできるはずがない。

 すぐれた学問研究の成果は、国や時代を超えて人を幸
福にする。たかが数年しか在任しない首相や大臣よりも、
それは遙かに高い存在なのだ。大学人はプライドを持っ
て、この「法人化法案」に抵抗してほしい。
--------------------------------------------------

--------------------------------------------------
   櫻井よしこ(ジャーナリスト)
--------------------------------------------------

 国立大学法人化で、大学の教育・研究目標を六年単位
で区切って中期目標とし、それを文部科学大臣が決める
ようになるのだそうだ。

 全国でいずれ八七になる国立大学の教育・研究の中期
的概要を決定する能力が、一体、文科大臣や文科官僚に
あるのか。問うのさえ赤面の至りで、答えは明白だ。

 にも拘わらず、日本の大学教育・研究は、いまや彼ら
の狭量な支配の下に置かれようとしている。国費を投入
するからには、国として責任をもたなければならないか
らだと遠山大臣は力説する。しかし、これまでも、今も、
国立大学に国費は投入されてきた。それでも教育・研究
目標を、政治や行政が決めるなどという愚かなことはか
つてなかった。政治家も官僚も犯してはならない知の領
域の重要性を辛うじて認識していたからである。

 それが今回の法人化議論でたがが外れ、世界に類例の
ない、政治と行政による学問の支配が法制化されようと
している。

 学問への支配は、大学の人事の支配によって更に息苦
しいまでに強化される。法人化された大学では学長の任
命権も解任権も文科大臣が握ることになる。生殺与奪の
力を文科大臣に握られてしまえば、学長は文科省の意向
に従わざるを得なくなり、大学の自立の精神は土台から
揺らぐ。理事の数まで、大学毎にこと細かに法律によっ
て決められてしまう制度のなかで、大学の自由裁量は絶
望的に損なわれていく。文科省の顔色を忖度しながら行
われている現在の大学運営は、法人化以降は更に蝕まれ、
文科省の指導に決定的に隷属する形で行われるようにな
るだろう。

 大学の自主自立と独創性を高め、学問を深めると説明
された国立大学法人化は、その建前とは裏腹に、自主自
立と独創性を大学から奪い取り、大学教育と学問を殺し
てしまうだろう。

 経済政策で間違っても、産業政策で間違っても、やり
直しは可能だ。しかし教育政策における間違いは決して
やり直しがきかない。日本の未来の可能性を喰い潰して
しまうこの大学法人化に、心から反対する所以である。
--------------------------------------------------


--------------------------------------------------
   ノーム・チョムスキー
(マサチューセッツ工科大学教授 生成文法の創始者)
--------------------------------------------------
 現在審議中の国立大学法人法案に関して送っていただ
いた資料を読んで、私は憂慮を感じました。この問題と
提案されている法案に関する詳細な知識がないので、私
には細部にわたる意見を述べることはできません。しか
しこうした不十分な情報しかもたない私の立場からも、
この法案は大学とその教官の独立性を損ない、それらを
官僚的決定に従属させるのではないかと思われます。そ
してこうした従属は単に日本の高等教育と知的文化にとっ
てのみならず、世界における日本の役割の重要性を考え
るなら、世界全体にとっても極めて有害なものです。私
はこうした重大な問題が十分慎重に考慮されること、そ
していかなる大学改革も独立性と創造性を抑圧し制限す
るためでなく、それらを活気づけるために設計されるこ
とを希望します。そして事がそのように運ばれるであろ
うと信じています。
--------------------------------------------------

--------------------------------------------------
   森 重文(京都大学数理解析研究所教授)
※フィールズ賞1990年受賞
--------------------------------------------------

 研究について述べたい。

 研究者は研究費の申請のために研究計画を作るが、計
画と実際の研究の進み方にいかに大きな食い違いがあり
うるか、理解されているのだろうか。大きな発見や発展
は、方針転換したときや、極端な場合としては、間違い
や失敗がきっかけになって、起こったりする。何人かの
高名な科学者が、何かの失敗が大発見のきっかけだった、
と発言するのを最近も耳にしたが、自分でも実際に同種
の経験をした。自分には、むしろその思いがけない瞬間
に巡り会いたくて、地道な研究を続けているという思い
すらする。

 また、方向が決まった後でも、結果を出せずに数年以
上の時間がかかった後、何かをきっかけにして急に解決
するということも、経験した。

 このように大きな食い違いが生ずることがあるが、そ
れでも、研究者は研究計画は立てるのである。ただ、食
い違いが生ずるものだということをわかった上で運営に
余裕をもたせてほしいのだ。大学が法人化されれば、研
究者個人が研究費を申請するのとは別に、各研究機関も
中期計画を立てて審査を受けるようになる。

 一つの研究機関全体が中期計画を立て、数年後に計画
の成果を評価される状況になったら、研究者はそれでも
野心的な試みを続けられるのだろうか。

------------------------------
※フィールズ賞
 数学界のノーベル賞ともいわれる。日本人では、小平
邦彦、広中平祐、森重文が受賞。
--------------------------------------------------

--------------------------------------------------
   森村誠一(作家)
--------------------------------------------------
人格統制法案反対

 教育の統制は人格形成の統制、つまり人格の統制であ
る。学問・教育の自由は基本的人権の核であり、思想、
良心、また信教の自由も学問と教育を踏まえている。こ
れを国家権力の統制下に置くという発想は、まさに人間
のすべての基本的自由を圧殺することである。教育、特
に高等教育と研究が官僚の鋳型に閉じ込められたらどう
なるか。

 そもそも官僚とは国政に影響力をもつ上級公務員であ
り、官僚主義とは権力組織に特有の気風や態度・行動様
式、規則と前例に対する執着、権限の墨守、新奇なもの
に対する抵抗、創意の欠如、傲慢、秘密主義、権威主義
などの代名詞、あるいは形容詞に用いられている。いか
にも官僚が考え出しそうな発想であり、法案であるが、
こんなものの支配下に大学が置かれたらとおもうだけで
ぞっとする。法案の提出に際して、官僚的なもっともら
しい説明がなされているが、要するに、官僚による人格
統制法案である。

 かつて軍国主義時代、陸士、海兵、その他の軍学校に
全国の若い優秀な頭脳を吸い集め、中等学校以上に配属
将校をばらまいて、軍事教育一色に染め上げようとした
時世においてすら、リベラルな大学は生きていた。

 大学が政府の統制下に置かれたとき、民主主義は崩壊
すると言われる。民主主義以前に人格が破壊される。辞
書の解釈を見るまでもなく、学問と教育の天敵は官僚で
あり、官僚制度である。危険な法案が次々に現われる中、
最も危険な法案が国会をまかり通ろうとしている。いま、
日本の学問の府は未曾有の学難ともいうべき危機にさら
されている。官僚の首はすげ替えられるが、学問と教育
は永遠である。一過性の官僚のおもいつきによって、永
遠の学問と大学教育を歪めてはならない。私はこの法案
に絶対反対である。
--------------------------------------------------

--------------------------------------------------
   山口二郎(北海道大学法学研究科教授)
--------------------------------------------------

  この十年、いろいろな改革がありましたが、選挙制
度改革、中央省庁再編など、それらはほとんど外形だけ
の改革でした。政治の腐敗や官僚の天下りが相変わらず
続いていることに示されるように、これらの改革は本来
の課題に答えるものではありませんでした。いま議論さ
れている大学改革も、こうした形だけの改革と同じもの
です。

 いや、日本の学問を破壊し、国民の高等教育を受ける
機会を狭めることによって、むしろ現状をさらに悪化さ
せるものになるとさえいうことができます。

 仮に独立法人化法案が成立すれば、国立大学は「独立」
法人ではなく、「従属」法人になるに違いありません。
その理由はいくつもあります。たとえば、大学は中期計
画を作り、文部科学大臣の認可を得なければなりません。
そうすると、いままでと違い、研究や教育の中身にまで、
大臣(実質的には文科省の官僚)の統制が及ぶのです。
また、すぐに金儲けにつながる研究が優遇されることも
確実です。学者が、官僚の権威におびえ、営利に走らさ
れるようになっては、研究、教育などできるはずはあり
ません。日本における「知」の世界は貧弱なものになる
でしょう。

 本来の大学改革の課題には逆行する独立法人化を、世
論の力で廃案に追い込むべきです。
--------------------------------------------------

--------------------------------------------------
[2-2] 会に寄せられた支援者からの意見(茨城県・主婦)
--------------------------------------------------

 読売新聞(6/10付)の意見広告を見て、大変驚きま
した。法案には絶対反対です。

 私は一主婦として現在小学4年と1年の子供を育ててい
ます。進学塾も私立の中学もない田舎の子供たちにとっ
て、これ以上教育を受ける権利を奪わないで下さい。 
現在でさえゆとり教育の名のもと、教育内容の3割削減
を強行している文部科学省の考えにはついて行けません。

 もっと子供たちの声を聞いてください。実際の子供た
ちはもっと学びたがっています。大人の勝手な解釈で子
供たちの学びの場を奪わないで下さい。先日、我が家の
小1の娘が「ねえ、お母さん、このまま小学校で勉強し
てて、大学に行けるの?」と、聞いてきました。どうし
てと聞くと、「だって簡単すぎるんだけど、お医者さん
になれる?」「塾に行ってないと無理だよね」と…。自
分の夢が学校の勉強だけでかなうのかと、小1にして、
子供心にも思ったようです。小4の息子は往復3時間もか
けて首都圏提携塾に通っています。やはり彼にも夢があ
り夢の実現のためには小学校の勉強だけでは無理と考え
ているようです。塾に通い始めた頃、自分の学校では教
えてくれない内容が塾ではおしえてくれるから楽しいし、
おもしろいと。また、どうして自分の学校では教えてく
れない内容がこんなにも多いのかと。いつも不思議そう
に言っていました。自分の学びたい学問を教えてくれる
大学に入ること。それは産業として国益にはつながらな
いかもしれませんが国立大学で自分の興味のある分野を
突き詰めること。そんな子供たちの夢をつぶさないで下
さい。他の子供たちの中にも、同じようなことを言って
いる子が大勢います。公立の小・中・高から学ぶべきこ
とを奪って今度は国立大学からも奪おうとしているので
はないでしょうか?

 もし、大学が国によって法人化されたならば、国益を
最優先する学問のみにお金が使われ、中期・長期計画と
いうような枠の中では、国益になるかどうかわからない
学問に興味を持った子供たちはきりすてられてしまうの
でしょうか?企業のように利益を追求する団体の中にお
いては、最優先事項だと思いますが、学問において、こ
の論理をあてはめるのは、絶対危険です。もし、学びた
い学問によって、学ぶ為にかかる学費が高額になれば、
学ぶこと自体をあきらめなければなりません。子供たち
の未来にとって、こんな残酷なことはありません。日本
の未来にとってもマイナスであると思われます。また、
私たちが納めている税金をなぜ、天下り文部官僚の理事・
監事職の給与にあてなければならないのか。現在その職
種がなくても国立大学の運営にはなんら支障がないので
すから、その分の予算を研究費・開発費に回してあげた
ほうがよほど子供たちのためになると考えます。

 私たちのような地方に住んでいる小市民が国に対して
意見を言えることなんてないと思っていました。声にな
らない声がたくさんあることと思います。今回の意見広
告を見るまでは国会でこんなことが審議されているなん
て知る由もなく…。知らなかったというのは、おそろし
いことです。意見広告を出していただき有難う御座いま
した。陰ながら支援致します。どうぞ、法案反対にご尽
力下さいますようお願い致します。
--------------------------------------------------


----------------------------------------------------------------------
配信停止連絡:Subject欄に以下を記載してメールを発行人までお送りください。
  配信停止連絡は
       no-kd
  配信停止るアドレスが、連絡状の発信アドレスと異る場合は
	no-kd-1
  二度目の配信停止連絡の場合は、
	no-kd-2
登録等:http://ac-net.org/kd/a.html
----------------------------------------------------------------------
編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
国公立大学通信ログ:http://ac-net.org/kd
転載・転送歓迎。ただし URL "http://ac-net.org/kd" を併記してください。
----------------------------------------------------------------------