通信ログ
国公私立大学通信 2003.08.25(月)
http://ac-net.org/kd/825.html

--[kd 03-08-25 目次]--------------------------------------------
【1】名古屋工業大学における「学長所信表明+学長信任決議」の経緯
    名古屋工業大学教官(選挙で選ばれた役職者)からの投稿 2003.8.23

【2】東京大学教官からの投稿
     「iken koukoku --- news046 2003.8.17」より転載
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【1】名古屋工業大学における「学長所信表明+学長信任決議」の経緯
    名古屋工業大学教官(選挙で選ばれた役職者)からの投稿
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 東京大学教官からの投稿(8月17日;iken koukoku --- news 046)
【2】で、東大と名工大で行われた、法人化にあたっての学長の
「所信表明+信任投票要請」の類似点が述べられると共に、このや
り方が一部国大協幹部と文科省が関係した統一的戦術である可能性
があるとの指摘がありました。両大学での所信表明および信任投票
が予定された日時とその背景並びに学長自身が法人化を先取りして
いると公言している名工大のここ2年間の出来事を考えると、更に
その可能性が大きくなるようです。これは今後他大学でも十分起こ
りうる話です。この「所信表明+信任投票」に纏わる名工大での経
緯を時系列で説明します。

<<プロローグ>>

(1) 柳田学長就任前:学長以外の執行部の役職者は副学長1名(教
授会の意向を考慮した指名;実質上は選挙)以外は、学生部長(現
副学長)、第二部(夜間学部)主事、図書館長はすべて教授会選挙
で選ぶ。

(2) 柳田学長就任後:副学長2名は学長指名、第二部主事・図書館
長はそのまま教授会で選挙に変更。また、学長指名による学長補佐
4名、顧問(元学長補佐)2 名を設ける(現在の員数)。毎月開か
れていた教授会(単科大学では評議会はなく教授会が意志決定機関)
を3ヶ月に1回に減らす。それに代わり、運営協議会を設置しほと
んどの議題はここで審議決定するように規則変更。また、学長特命
(指名)による委員会、ワーキングが多くできる。しかし、教官の
会議負担は決して軽減されたとはいえず、むしろ負担は増し且つ意
志決定のプロセスが不明確になる。

(3) 学長が言うところの法人化を先取りした組織改革始まる。従来
の「学部(教官所属)+専攻」の組織から、「領域(教官所属)+
学部+専攻」に変更。そして、運営の主体を領域に置く。しかし、
領域は4つ(「おもひ」、「つくり」、「しくみ」、「ながれ」)
つくるが、各領域には専門性に関係なく教官をランダムに配属させ
る(学長の意志)。世間に対しては、"従来の専門学科の壁を打ち
破った新しい組織"と改革のイメージだけがマスコミを通じて宣伝
される。その他、法人化を控えての、入試方法、予算配分、人事、
カリキュラム、学科改組等が、学長特命(指名)委員によるワーキ
ングや委員会で学内意見や関連する学科に関係なく勝手に決められ
るようになる。

<<本編>>

(4) 本年6月末で任期が切れる第二部主事・図書館長の選考にあた
り、学長から第二部主事を指名制にする要請。しかし構成員の強い
反対に遭い断念。現行規則に従い5月28日に選挙で両役職者を選ぶ
ことになる。

(5) トップダウン的手法で作られた専門性のない領域の設置に伴う
教育、研究、人材育成上の問題や学内事務・運営の混乱を指摘した
長野・中井両名が、領域をより専門性のある合理的なものにする公
約や、学長のリーダーシップは認めるもののそのチェック機能の必
要性を説いて第二部主事・図書館長に学内構成員の有志より推薦を
受ける。両名はその推薦に応えて、学内mailや全構成員がアクセス
出来るサイト(名工大フリートーキングサイト)を使って所信を述
べる。両名は、5月28日の教授会選挙で学長の推す候補者を大差で
破り、第二部主事・図書館長に選ばれる。

(6) 選挙結果を受け、新たに選ばれた役職者2名が学長に面談を申
し込むも、6月6日に30分面談しただけで、その後は面談の日時を指
定せず多忙を理由に面会拒否状態が続く。

(7) 6月23日:学長は、新役職者2名が面談時に提案した学長補佐の
交代を「人事介入」といい、面会を強いられたため夜も寝られず体
調を崩したとする趣旨のmailを学内に発信し、突然休暇に入る(単
身赴任のため東京に戻る)。これに対し、新役職者2 名は、30分面
談しただけで強圧的な言動をしたわけでもないのにこれを理由に体
調を崩したと言われるのは実に心外であるが、学長の早い回復をお
祈りするとの一文を学内に発信。その後は学長の周りのごく一部
(副学長や一部学長補佐)を省き、学長の様子は役職者でも判らず。
学内では軽い脳梗塞あるいは鬱病の噂広がる。精神科を専門とする
学医も確かに学長は病気ですと発表。この間、学長が議長を務める
べき運営会議、委員会、教授会はすべて学長が欠席あるいは会議が
中止。

(8) 7月9日:法人化法案が参議院本会議で23項目の付帯決議付きで
可決したその時に、病気休養中と思い心配していた学長からの教授
会構成員各位へという文書と7月14日に臨時教授会を開催し学長自
身の信任を問うための所信表明文(A4用紙計7枚)が事務局を通じ
て全構成員に配布される。

 文書の中で

  ”・・・実は、私はいま悲しみと悔しさに包まれております。7月
  14日に臨時教授会を開催させていただきますのは・・・・私は5月
  28日の教授会選挙の結果に大きなショックを覚えたからで
  す。・・・・私は、就任以来約2年半の間、本学の社会的認知の向
  上のため努めてきたと思っています。・・・・ところが、先の教授
  会の結果はそうした私の努力にまさに水をかけるように私には思わ
  れました。私としてはその場で直ちに辞任してもいいという気分で
  した。・・・・”

と書かれているように、自分の意に添わない新役職者2名が選ばれ
たことが信任投票を要請する理由としている。すなわち、大学の役
職者は学長を支持する人間だけで固めないと法人化後の運営が出来
ないと言っていることになる。


(9) 新役職者2名は学長所信表明に対する見解をmailやサイトを使っ
て発信する。特に、学長所信表明の中の

  *************************************************************
  ・・・・また初代の法人化後の学長を引き受けるに当たっては以下
  の方針を断固としてとらせていただきたいと考えています。・・・・
               ・
               ・
  なお確認のため、以上の基本方針6点を要約したものを以下に示さ
  せていただきます。

  (1)学内意見と社会の総意が相反したと学長が判断した場合、学
  長は社会のために学内意見に対し拒否権を行使することがあります。
			   ・
  (3)大学運営は学長一人ではできません。したがって大学運営に
  関する担当ポストの設定とその担当者の任免については学長がすべ
  て権利を持ちます。
  ************************************************************

に対して

  ”この所信表明文から読みとれますのは、これからも学長の判断で
  すべて決めていくそれが法人化にあたって求められているリーダー
  シップであり、それに対する批判は断固として許さないという姿勢
  です。今回の第二部主事、図書館長選挙で、これまでの執行部の施
  策に異論を唱え、その変更を求めた我々がなぜ歴史的大差をつけて
  選ばれたのか、学長はその後ご自身で考えられたのでしょうか?こ
  れは過去2年余り学長が名工大でやってこられたことに全幅の信頼
  がおけないと構成員が判断したことを意味しています。また、声明
  文を通して、学長の施策に対するチェック機能をこれからどうする
  かについては一言も触れられていません。上の声明文の中で「社会
  の総意」、「社会のため」と書かれていますが、文面からは「社会」
  とは学長の恣意的な判断(極言しますと、学長を中心としたごく限
  られた集団)としか受け取れません。ちなみに、9日に参院で可決
  された法人化法案でも、法案の審議の中で学長の専断的運営を危惧
  する多くの意見が述べられ、23項目の付帯決議が付けられています。

   今回の学長の声明文では、本案成立の条件として決めた23の付帯
  決議の多くを完全に無視されています。今一度、付帯決議を含めて
  法人化法案を精読される事を切に望みます。多くの大学が、法人化
  後にいかに構成員の意見を集約するシステムを構築するかを真剣に
  考えている時に、大学の自尊心を失ったような声明文しか出せない
  学長に失望の念を禁じえません。”

と見解を述べ、対案も示す。学内サイト(名工大フリートーキング
サイト)を通して、信任投票の是非を含め様々な意見が配信される。


(10) 7月14日:教授会開催前にテレビカメラが入り、マスコミ関係
が多く駆けつける。前日及び前々日に一部新聞に改革派対非改革派
的なとらえ方で記事が載る(きわめて恣意的な記事で事実と全く異
なる)。教授会ではマスコミが動員されただけでなく、名工大の同
窓会である工業会理事長や学長特別顧問(民間人)も出席し学長支
持の意見を述べる(きわめて異例)。そこで、所信表明の内容につ
いての(学長の独善的運営にcheck機能がない、ボトムアップシス
テムがない等の)意見に対し、学長の支持者は学長が辞めたら名工
大は潰れるあるいは名大に吸収されると主張し議論は全くかみ合わ
ない。白紙委任しか認めない信任投票に対し、リーダーシップの必
要性は認めるものの構成員の意見を反映するように修正を求める意
見も出されたが、学長は一切の修正を受けつけず。結果は賛59%, 
否および白票41%. このことが、全国の大学の法人化にあたって悪
しき前例になる可能性大。

(11) 7月15日:東京大学で佐々木学長(総長)の所信表明が示され
る。名工大同様法人化にあたり学長自身の信任を7月24日に求める
内容。

(12) 7月24日:東京大学臨時評議会は学長の信任投票を行わず、逆
に評議会が最高意志決定機関であるとの決議がなされる。この事実
をうけて、名工大の新役職者2名は以下の内容の声明をmailで全学
に発信。

  ************************************************************
   東大では学長が希望した信任投票は行わず、逆にボトムアップ組
  織である評議会(単科大学では教授会に相当する)が大学としての
  最高意志決定機関であることを宣言している。そこでは独法化後に
  おいても学長のリーダーシップは認めるものの、大学創りの最終的
  な方向づけをするのは構成員自らであるという考えが明確に示され
  ている。
   一方、名工大の学長の所信声明は、学長への白紙委任しか認めな
  いという強権的な内容であったにも拘らず、その再検討を一切せず、
  更に信任投票を行った本学の行動は、「大学は構成員自身が創るも
  のであるという意志を自ら放棄したもの」であり、今後他大学を含
  め社会から嘲笑・非難されても仕方がないと思われる。大学人とし
  て猛省すべきではないでしょうか。
  ************************************************************


<<エピローグ>>

・名工大では7月9日に病気療養で休暇中の学長から急に所信表明が
あり、7月14日の教授会で信任投票を請求している。その間わずか4
日であり、土日を除けば2日しかない。東大も7月15日の所信表明で、
7月24日に評議会での信任投票を求めています。その間は8日(土
日祭日を除けば5日)。いずれも(特に名工大)は学科あるいは専
攻で十分議論する時間を与えていない点で共通する。

・名工大の信任投票が14日で、その翌日に東大学長の所信表明がな
されている。東大から見れば、名工大の信任投票(前例のない投票)
の結果(信任)を見て、所信表明を行ったことになる。名工大から
見れば、東大の「所信表明+信任投票」の前座をやったことになる。
一方、名工大の教授会の前に東大の「所信表明+信任投票要請」の
内容やその日程が判っていれば、14日の信任投票は行われなかった
可能性もある。なぜなら、名工大では信任投票をやめるという動議
もあり、議論の結果投票で信任投票をやることを決めた。つまり、
東大の所信表明の前に名工大の信任投票をやる必要があったと考え
られる。

・名工大が信任投票を行った14日は遠山文科省大臣が国立大学学長
会議に全国の学長を東京に招集していた。所信声明文が出された9
日(5日前)には、その予定は事務局長らを通じて各大学に知らさ
れていたと考えられる。法人化法案が通った直後の重要な会議をキャ
ンセルしてまで、一個人といえる学長の信任投票をやる必要性があっ
た理由は・・・?。噂では全国99大学で欠席したのは名工大を含め
3大学らしい。なお、名工大では事務局長は14日の信任投票を行っ
た教授会に出席していた。


・本学では重要案件は、役職者や事務局長らで構成される運営会議
(役職者会議;毎週開催)で先ず議論することになっている。しか
し、信任投票後(正確に言えば選挙で新役職者2名が選ばれた5月
28日から)、この運営会議(役職者会議)が開かれたのは7月末の
わずか一度(30分)である。8月も月末に一度予定されたが、学長
からの”重要な案件はない”との理由で中止。白紙委任で信任を与
えた結果、現在名工大では、法人化前に早くも学内意見は一切反映
されず、学長とその取り巻き(+文科省の意向?)で法人化に伴う
規則制定が行われようとしている。この本学の現状は、”法人化で
は、トップダウン型の運営がトップの資質により直ぐに独裁運営に
なる”ことの実例である。

・文科省大臣が国会で述べたように、法人化は各大学が自由裁量で
もって大学の方針・将来を決め、文科省は関与しないと言う。また、
大学の評価は少なくとも事前ではなく、事後の研究・教育成果です
ることになっている。この言葉を信じたいが・・・・。


 今回マスコミの取り上げ方に大きな問題がありました。大学の改
革そのものには反対でなくても、改革のコンセプトややり方に問題
があるといえば、新聞等では改革に反対する反改革派になります。
その報道を学長らが利用しているとも考えられます。今後、各大学
で法人化に伴う大学改革問題を議論されるとき注意が必要です。今
回ももう少し、他大学の情勢等が事前に判っていれば展開は変わっ
たかもしれません。大学間の情報交換の必要性を痛感しました。ご
意見・情報等下記mail addressにいただければ幸いです。
opinion@manage.nitech.ac.jp 
また、名工大の一連の「所信表明+信任投票」およびその前後の動
きに関する資料等ご希望があれば、このaddressにお知らせくださ
い。お送りします。
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【2】 「東京大学教官からの投稿」
「iken koukoku --- news046 2003.8.17」  より転載 
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 教授会で議論が行われた部局は駒場の教養学部だけだった … は
正確ではありません。 農学部は評議会の前日に臨時教授会を開き
ました。 そこでの発言はおおむね総長 「所信」に批判的で、次の
ような発言がありました: 

「 所信は 『事態の変化に伴い、図らずも[法人化]の作業を行わざ
るを得ない立場に置かれた』 と述べているが、国会では 『基本的
に賛成』 と述べ、法案成立に協力したのだから 『図った』 の
であり、白々しい」 「法律の施行は来年4月なのだから、それま
では評議会が現制度のもとでの責任を全うすべき」工学部も臨時教
授会を開いたはずです。 

 ************************************ 
<< 名工大学長の所信表明と信任投票について >> 

 名古屋工業大学では 7月14日に 柳田博明学長の 「所信表明」
に関する信任投票が行われ、59%の賛成で成立しました。 これに
ついての私の意見を以下に述べます。

(柳田氏は数年前まで東大にいた人です) 

   **************** 

  この間東大と名工大で行われた、法人化にあたっての学長の「所
信表明+信任投票要請」には興味深い類似点がある。 二つの「所
信」の重要部分は以下のとおり。( 強調“” は引用者)

◆ 東大・佐々木総長  

『今後の法人化作業についての所信表明』 (7/15 学内広報)   

  … 以下のような基本方針に基づいて法人化作業に取り組むこと
の是非について評議会の判断を求め、… この作業に “取り組むこ
とについて信任してもらえるかどうか”の決定を仰ぎたいと思いま
す。
  … これまでの大学はミクロのレベルではそれぞれに資源の有効
管理を行ってきたといえるかも知れませんが、これからは大学全体
のそれが正に問われることになります。…
何を目標にし、何を達成しようとしているかについて学内的に説得
できないならば、そうした組織は大学にとって意義のある組織とは
言えません。存在意味の曖昧な組織の持っていた資源は別の形で有
効に活用されることになります。…
大学全体を見通す管理能力を備えた中枢機能そのものを創出するこ
とが必要です。… 私はそれに必要な人員と財源を断固として動員
する覚悟を決めております。 …
  … そのために必要な資源の集約について、 “学内の意見が一致
して支持しない場合にも実行に移さなければならない”
 事態や、時間が限られていますから “早急に判断を迫られる重大
な案件” も当然覚悟しなければなりません。この点について相当 
“包括的な授権がなければ法人化作業に責任を持てない” ことは
はっきりしています。…
  … 法人化後において総長が資源の学内配分において従来とは比
較にならないほど大きな責任を持つことに鑑み、中枢組織の創出と
その維持、その他総長の “リーダーシップにとって必要と思われ
る資源を留保する” つもりであることをここで予め申し上げてお
きます。…
 今回の所信表明は、評議会に対し今後の “総長職の執行につき
私に対する信任の存否を求める” ことを目的としております。こ
れは極めて異例のことであることは十分に承知しておりますが、事
柄の重大性に鑑み、このような措置をお願いする次第です。…

◆ 名工大 柳田学長 

国立大学法人施行決定に当たっての学長所信表明 
    (7月14日教授会で本人欠席にて読上げ)  

… 今秋の10月1日には、文部科学大臣の指名によって、現学長
である私が2004年(平成16年)10月末の任期まで法人の初
代学長を務めることが確定します。しかしながら、私は、今回、大
臣指名による法人初代学長という職を受けるに当たって、無条件で
はなく、この機会に、ひとつ条件を付けさせていただきたいと考え
ております。その条件とは、法人施行決定に当たっての学長所信を
教授会構成員に表明し、これを皆様にご理解いただき、これに対し
皆様からの強い支持を頂戴するということです。… 今回の問いか
けは … ある意味では一種の学長選挙とお考え下さい。… 皆様の
強い支持を確信できない場合には、… 早急に学長を辞任させてい
ただきます。

柳田博明の基本方針6点 

1. 意志決定の立脚点 

 … 大学構成員の主張と社会の認識が乖離したときには、学長が
リーダーシップを発揮し、その時点で大学運営に最善と思うことを
学長が決裁することにします。 また期限が限られた議案の議決が
求められたとき、学長はその時点での最善と思われる案で決裁を行
います。このことにより運営・意志決定の遅滞から生ずる不利益を
回避したいと思います。

2. 工科大学構想の積極的な推進

(1) … 新制度適用によって生じた不便は知恵と “経営資源を
集中” して解決します。

…………………………………
基本方針6点の要約 

(1)学内意見と社会の総意が相反したと学長が判断した場合、学
長は社会のために学内意見に対し拒否権を行使することがあります。 
…
(3)… “大学運営に関する担当ポストの設定とその担当者の任
免については学長がすべて権利を持ちます”。…

 以上の基本方針6点についてこの席で皆様のご判断を仰ぎたいと
思います。私の “所信への支持、不支持をはっきりさせていただ
きたい” と思います。… もしこのような形で学長信任を問うこと
はまかりならんという声が大きく、本日信任投票が出来ない場合、
あるいは定足数に足らずに教授会が成立しない場合には、私の問い
かけに真剣に応える気持ちが皆様にはないのだと判断し、私は 
“直ちに辞任” させていただきます。 …

2003年(平成15年)7月14日    
名古屋工業大学学長 柳田博明 
  ************************** 

◆ 二つの 「所信+信任要請」 の類似点 :

1.  法人化は過去からの断絶であり、今後はトップダウンの意思決
定が必要であること。その理由として 

(1) 学内の意見一致が得られなくても実行しなければならない案
   件がありうること、

(2)  短時間での決断が必要となる場合がありうること。  

2.  経営資源の集中が必要であること  

3.  自分あるいは所信表明に対する「信任」 (*下記参照) が法人
化への対応に不可欠であり、これが受け入れられなければ自分は辞
任する、と述べていること。

< 佐々木総長は辞任 という言葉は使っていないが、この「信任」 
がなされなければ法人化作業に「責任を持てない」と述べているの
で辞任するのが筋である >

* どちらの所信も「信任」が学長(個人)に対するものなのか「所
信」に対するものか曖昧である。 そもそも「信任」は人に対して
なされるものであり、態度・意見が対象の場合は「支持」とか「同
意」というべきである。このような言葉の詐術も両者に共通してい
る。

<追伸>
  8月4日(頃) の朝日に「法人化に当たり信任を得た名工大柳田
学長」というコラムが出ました。 NHKと並んで佐々木総長の 「35
年ぶり信任」の報道をした朝日が、同様の形で佐々木氏を取り上げ
ないのは奇妙です。

<以上>
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編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org
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転載歓迎(転載の際「http://ac-net.org/kd」を併記ください。)
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