国立大学法人法案の賛否を問う国立大学電子レファレンダム(全体投票)

                                      国立大学レファレンダム準備会
				      実施責任者  辻下 徹
				      連絡先:rfr@ac-net.org
				      
  趣旨説明

  国会で審議中の国立大学法人法案は、日本の大学の使命を根底から変更する
ものです。このレファレンダムの目的は、当事者である国立大学および大学共
同利用機関の全構成員(教官・事務官・技官・非常勤職員・院生・学生)に、
法案による「大学改革」を吟味し、是非の判断を行ない、その結果を表明する
機会を提供するところにあります。

  1999年より文部科学省は国立大学の独立行政法人化の検討を進めてきま
したが、その際、国立大学協会の意見を尊重する形式をとってきましたので、
法案には大学側の意見も反映されているという誤解が広がっているようです。
しかし、検討過程において実質的議論はしばしば密室で進められ、その中で、
大学関係者の意向が尊重されたようには思えません。実際、種々の問題点が多
くの国立大学から上り、法案に対する国立大学協会の見解はまとめられない状
態のまま今日に到っています。

  この法案による大学改革の核心は、第二次世界大戦後、時々の政権と産業界
の強い影響力から国立大学をある程度は守ってきた法律群と財政基盤を廃し、
時々の政権と産業界の要請に従順に従う存在に国立大学を「改革」することに
あります。高等教育と学術研究の普遍性と公共性は有害無益なものとする政策
が、将来の日本に与えるであろう災厄は相当なものとなることが予測されます。

  しかし、国立大学構成員でも、独立行政法人化により国立大学が企業のよう
に逞しくなり、産業界から資金を得て、その研究と教育の機能を活性化させ、
国際競争力を増す、と主張する人たちも居ます。国立大学法人制度は本当に大
学を活性化できるのか。理事会によるトップダウンな経営により大学が本当に
活性化するのか。教職員の身分を不安定にし成果主義を導入することで、教育
や研究の質が本当に高まるのか。その判断を適切に行なうのに必要な経験と知
見を大学の現場に居る者が他の者より多く持っていることを否定する人は少い
と思います。ところが、法案の是非について国立大学構成員の判断が問われた
ことはありません。大学は、構成員一人一人の自律的活動で支えられている以
上、大半の大学教職員の意向を無視し、大学を外から強制的に変えること自身
が、大学の活性を著しく損なう懸念があります。

  個人から組織まで、すべてをサバイバル的競争に曝す国立大学法人制度への
移行の可能性が高まっている現在、率直な意見表明がためらわれる状況に国立
大学構成員の大半が置かれています。この全体投票の主旨は、その状況下で、
国立大学の全構成員が法案をどのように評価しているかを確認するところにあ
ります。

  この電子投票では、投票者に確認番号発行を送付し、その番号を用いて投票
してもらいます。電子住所は復号化できない暗号化の後に記録しますので、デー
タがたとえ流出しても、投票者の匿名性は完全に保たれます。

  投票結果は、国会議員に送付し報道発表する予定です。当事者がそれぞれど
のように法案の是非を判断しているかを、国会議員に、そして日本社会に伝え
ることにより、国会審議において議論が深まり、真の大学改革につながる結果
が得られることを願っています。