立命館学園で働く方々へ Dear colleagues, ◇◇ 7月28日金曜日に、APUでの教育と研究についてAP Uの専任教員の方に話をしていただくテレビ会議が、衣笠とB KCを結んで、組合・衣笠フォーラム・BKC月曜会の共同企 画で行われます【3】。 ◇◇ 6月20日の月曜会では、教養教育センター長の吉田先生 が話をされました【2】。印象的だったのは、立命館では「創造 的再編」が絶えず行われているため新カリと旧カリの同時並行 が常態となっていることも原因で、専門科目の開講数が1万1 千余り(第二位の早稲田は4千)に達しているため、教誰科目 のための「時間枠」を設定して、学生が自由に科目を選択でき るようにすることができず、そのため、興味のない教養科目の 履修を強いられる学生が多く私語を蔓延させている、という実 態でした。5~600名の出席者がいるクラスでは、私語がど うにもコントロールできなくなる場合もある、という体験を複 数のかたから聞きました。 理工学部では、企画委員会と教務委員会が中心となって理工 学部の教養教育のあり方を議論する検討委員会を立ち上げるこ とになったという通知があり、今週木曜日に「新たな教養教育 改革の必要性」という報告書の説明があるようです。 ◇◇ 野路便り(06-07-21) に、業務協議会で、一時金カットの 根拠として「私学危機論」が突如として出てきたことに関連し たコメントを紹介しましたが、それに関して直接会議に臨んだ 方が、『 理事会側は「私学危機論」と「賃下げ」が論理的につ ながるような議論は何もしていない 』とコメントし、野路便り で言及した「交渉術」を目の当たりにして憤っておられます。 ◇◇ 研究費流用事件で、経済的に困窮する留学生の存在が知ら れるようになりました。この例は決して例外ではないというメー ルをいただきましたので紹介します【5】。早急に、全留学生の 経済的困窮度の実態を調査し、困窮者数が多い場合は、抜本的 な救済策を講じるべきです、すでに、関係者が取り組んでおら れるのではないかとは思いますが。 ◇◇ 立命館学園同僚の協力により部分的な英訳版を、外国から 来られた同僚に配信しています。 Partial translations of the Noji Letters, thanks to a colleague, are sent to colleagues from abroad. 最近の英訳版は: 7月20日(木):業務協議会についてのコメント http://ac-net.org/rtm/No/99 7月18日(火):APU留学生のブログから http://ac-net.org/rtm/No/92 7月15日(土):APU常勤講師へのカンパ用口座開設 http://ac-net.org/rtm/No/98 7月12日(月):立命館教員ネットからの呼掛け http://ac-net.org/rtm/No/88 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【1】第12回BKC月曜会 7月24日午後6時から エポック立命 308号室 中期計画を検討する そのII 「世界水準の研究成果の創出」の意義 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 我々が真にやりたい創造的研究とは一体なになのか? それを実現させてくれる環境とは一体なになのか? それを議論しようではありませんか!! 若手研究者の参加をのぞみます!!!!! 第12回BKC月曜会 中期計画を検討する そのII 「世界水準の研究成果の創出」の意義 7月24日(月) エポック立命 308号室 午後 6時 - 8時 中期計画では「世界水準の研究成果の創出」や「世界水準の 大学」が謳われています。しかし、世界水準の研究とは何な のか、どういう研究を世界水準と呼び、「世界水準」を目指 す事で立命からどのような研究を開花させたいのか全く不明 で、いたずらに「世界水準」が呼号されているだけに見えま す。 もしこの政策の提案者が自らが自信をもって創造的独 創的な研究を行っているならばこれほど貧しいアイデアが並 ぶ事にはならないでしょう。 立命館から自立的、創造的な研究を開花させたい思いは全て の立命館教員にあるでしょう。しかしそれは中期計画で呼号 されている「世界水準の研究」とずいぶん違うのではないで しょうか?「世界水準」と銘うつ事によって研究に成果主義 を導入しようという匂いがぷんぷんします。成果主義に隷属 した研究はくちるのも早い。自らの問題意識の上に自立して 地道に自分の研究を育ててきた人なら成果主義がいかにくだ らない成果しか生まないかよく知ってるはずです。 我々が立命館の土壌に開花させたい自立的、創造的な研究と は何なのか?個性的な研究群によって学園が輝く為のインフ ラとは何なのか? そういう議論を、我々教育研究の現場で 苦闘している教員が リードしてゆかないと、研究の現場を 知らぬ人々にまかれた中期計画文書的金権政策という化学肥 料や農薬によって、立命館の研究土壌が荒されてしまう事を 強く危惧します。そういった議論を前期最後の月曜会でやろ ではありませんか。特に若手教員が参加される事を強く願う しだいです。 数多くの多様な自立的個性的な研究群が育っていて始めて、 その中に時代と遭遇し、時代と共に輝く研究もでてくるので はないでしょうか? 白川静先生の研究のように。 世話人 池田研介(理工) 藤岡 惇 (経済) 三浦正行(経営) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【2】第10回(6月20日)月曜会要約 学士課程教育の再構築 ー 教養教育の立場からの提案 全文:http://ac-net.org/rtm/No/89 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ( 抜粋 ) ●「教養」の重要性 「大学の教育は出世に関係するか」という面白い報告1)を職員 の方から紹介していただいた。それによると,所得を決めている のは「現在の知識能力と読書量」であって,「大学卒業時の知識 能力と読書量」ではない。大学教育は無駄であるという証明に見 えるが実はそうではなく,前者と後者には強い正の相関がある。 つまり,「大学卒業時の知識能力と読書量」が「現在の知識能力 と読書量」を左右しており,間接的に所得に反映しているのだ。 考えてみれば,自分の現在は過去の積み上げで決まっているのだ から,当然の結果ともいえる。 さらに面白いことに,所得や役職を決めているのは「現在の専門 の知識能力」ではなく,「現在の専門外(教養系)の知識能力」 だという。そしてこれらは,「大学卒業時の専門の知識能力」お よび「大学卒業時の専門外(教養系)の知識能力」とそれぞれ強 く相関している。また,「現在の専門の知識能力」と「大学卒業 時の専門外(教養系)の知識能力」,「現在の専門外(教養系) の知識能力」と「大学卒業時の専門の知識能力」の間にも正の相 関がある。これは,東大の研究者などが三つの大学の工学部卒業 生数千人から集めたアンケート分析の結果であり,統計的に検証 されたものである。専門と教養,現在と過去がこのように複雑に 関連していることは,僕にとって衝撃的な発見であった。 「大学卒業時の専門外(教養系)の知識能力」の形成には,大学 で受けた教養教育だけではなく,クラブ活動やアルバイトで得た もの,いろんなジャンルの読書など,さまざまなものが寄与して いると思われる。 1)矢野眞和・濱中淳子.2006.「大学の教育は出世に関係する か」カレッジマネジメント138:34-38. ●教養教育の新しい波 1)大綱化と文科省の立場 ( 略 ) 2)各大学の動向 <旧国立大学> ( 略:東京大学、京都大学、北海道大学、名古屋大学の改革 ) <全人教育を目指す私立大学> ( 略:国際基督教大学、上智大学、立教大学の例 ) ● 専門重視から教養重視へ 大綱化以降に専門重視・大学院重視政策に転換した大手私大でも, 21世紀に入ってからは教養回帰の動きが顕著である。ここでは, 本学の教学展開にとって参考になると思われる慶応大学・早稲田 大学・同志社大学の動向に触れる。 ( 略 ) このように,とくにここ数年,教養教育重視の教学展開を図る大 学は急増しており,本学でも,学士課程教育の重要な構成部分と して教養教育をしっかりと位置づけ,近い将来にGPを獲得できる ような,学生にとっても魅力的な展開を図る必要性を改めて強調 しなければならない。 ● 2004改革から2008改革へ 本学では,2年にわたる全学討議を受けて,2004年から教養教育の 新たなプログラム「総合学術科目」がスタートした。しかし,専 任率の低下傾向が続き,新たにできた教養教育センターや教養教 育委員会がうまく機能しないなど,当初の目論見が十分に達成で きない状況が続いている。 私はいま本学の教養教育センター長を務めているが,このような 状況に危機感を持ち,2004年改革の精神は受け継ぎつつ,専門教 育,教養教育,基礎教育をどのような関係で捉えて,新たな学生 課程教育を構築するかを,この数年考えてきた。 最近になって教学対策会議の諮問委員会として教養教育改革検討 委員会が作られ,つい先日その答申が出された。各学部やセンター での論議が始まったばかりであるので,その詳細は割愛させてい ただき,論議が進んだ時点で改めて皆さんに紹介したい(続く)。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【3】7月28日(金):「APUの教育と研究を考える」 教職員組合・衣笠フォーラム・BKC月曜会 共同企画 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー [kinugasa-forum:0214] より転載 「28日金曜日午後6時半から9時までで、教職員組合・衣笠フォー ラム・月曜会の共同企画を行います。内容は、以下のとおりで す。 「APUと総長選を考える」 話題提供:アスキュー・デイビッド(APU助教授、法学・政治思想史) 「APUの教育と研究を考える」 話題提供:未定 「総長選任のあり方について」 場所:組合会議室(衣笠・BKC) 日時:7月28日午後6時半から9時まで (編註:BKCの組合会議室はイーストウィング1階組合室の隣) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【4】業務協議会傍聴者からの意見より ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー (編註:野路便り 06-07-21 で紹介した「私学危機論」批判 http://ac-net.org/rtm/No/95 に対するコメント) 昨晩業況の場に居た者として一言感想を述べさせてもらうと、 理事会側は「私学危機論」と「賃下げ」が論理的につながるよ うな議論は何もしていません。「野路便り」で指摘されている ように 「相手のちょっとした言葉尻をつかまえては完膚なきまで にたたきのめし、そうすることで十中八九自分の負けで あった交渉を有利にひっくりかえす..詭弁・強弁・因縁 の類い」 でしかなかったと思います。おおよそ全く聞き耳を持たない。 つまり、相手の言うことを一切遮断するための暴言の中で「私 学危機」なる言葉が出てきたにすぎず、それが賃下げとどうつ ながるかなど説明する必要は彼らにはないわけです(ですから 論理的関連性を説明できるわけないのです)。議論の出発点が ここにあるのですから、交渉ないし議論など成立するはずもな く、立命館大学にきたばかりの若輩者としては、これが近代的 な大学での労使交渉なのかと、疑うばかりです。 ちなみに、野路便りで引用されているレビュー氏は、 「ヤクザが、シノギ相手にしろカタギ相手にしろ、こうし た戦術を取ることが可能なのも、最終的には暴力によって 相手を殺害してしまうことがありうるということが、互い の了解事項として存在しているからでしょう。それは、核 兵器をちらつかせながら外交交渉を有利に進めようとする 国のようなものです。」 とコメントしていますが、現在の理事会はこうした程度の人間 性の者たちか、こうした事態になることすら理解できない非民 主的な、非近代人かのいずれかとしか思えません。 で、こうした人たちには何を言っても無駄ですので、当面採り うる手段はそれほど多くないように思えるのです。もちろん、 世論形成による地ならしが必要であることを前提の上ですが.. ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【5】(転載)科研費流用に関連するコメント ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー Date: Mon, 10 Jul 2006 00:33:10 +0900 (JST) 「APU時代は、学費未納入除籍直前になると、個人研究室に留 学生が訪問してきて(大講義に参加しているとはいえ、顔と名 前が一致しない学生ばかりでしたが)、10万~30万といっ た金額の借用を懇願されることが屡々でした。 小生は、当初は全て断り、後にその時期には個人研究室にいな いようにして「難」を逃れましたが、国際学生(留学生)と最 も長い時間接触している日本語常勤講師の中には、何人か「貸 したまま」であるという同僚もおります。留学生の動向を最も 理解している職務の方々を、労使双方の合意も経ずして切り捨 てる現状に、あらためて立腹します。 またかつて、経営学部所属学生(台湾出身)の保証人をつとめ ていた時期があります。やはり例の時期が到ると、大学からは 機械的な督促状が届きます。本人は、高卒後に仕事をして貯蓄 をした後に来日し、その後も南草津のラーメン屋でバイトしな がら自活していたので、配偶者とも相談して学費立替を提言し ましたが、彼女の場合は最後まで自力で頑張り続けました。し かし、正直なところ見るに見かねて、別府出向を機に空き家と なった自宅マンションを管理してもらう代わりに、なるべくバ イト時間は減少させて勉学に専念してもらう約束をとりつけ、 居住スペースとコスト削減の機会は提供した次第です。 幸い、この留学生は熱心に勉強してくれて、最終年度にはロー タリー奨学生として、恐らくは大学時代の最後の一年だけは、 学生らしいのびのびとした生活を謳歌できたと思っています。 かたやAPUでは奨学金を「ばらまいて」いた時期でもあり、 本学との矛盾に呆れた記憶が鮮明です。 思うに新事業とは、十二分に蓄積された経験と勘こそが、成否 の分かれ目となるものなのでしょうが、立命館大学においてす ら満足に展開できていなかった留学生奨学金の制度を、国際学 生50%の数値目標達成の為に、傾斜的に資金投入していたの でしょう。 どなたが「不正流用」を行ったのかは存じませんが、個人的な 判断で経済的苦境にある留学生に一息つかせる方策であったこ とは疑いようが無く、現状のシステムの中においては、留学生 数の拡大など、絵に描いた餅と同じです。善意あるものを「不 正」行為者におとしめた原因も、立命館の「国際化」路線だっ たと考えます。」 ============================== 配信数 3867 [ http://ac-net.org/rtm/No/100 ]