立命館学園で働く方々へ Dear colleagues, ◇◇ 今回の総長選は、とても選挙とは言いがたいものですが、総長 選考委員【2】の選挙でも、大半の職員区では「トップ」からの指 名で選出されたそうです。立命館教職員組合執行委員の藤岡先生 の文書【1】を採択しなかった組合執行委員会は、この事態を容認 しない姿勢をどのように全学に示すのか、注目されます。Union No 84 (2006.9.25 *)は、一部の職員区で総長選について議論でき たという「到達点」を踏まえ、総長選後は「現場力の育成が重要」 と締め括っていますが、多くの教職員の気持ちと調和するものと は思えません。(*) http://ac-net.org/rtm/f/unionNo84.pdf 選挙人リスト【2】を見ると、理事会や評議会からの選挙人には専 任教職員を入れない規約がある一方、評議員を除く選挙区からは 理事を選ぶことができ、立命館慶祥中学校・高等学校から常務理 事(総務担当)、APU(4 人)からの選挙人は全員理事で、副総長・立 命館アジア太平洋大学長、専務理事・立命館アジア太平洋大学学 長補佐、理事・立命館アジア太平洋大学副学長、理事・アジア太 平洋学部長。職員区では、理事ではないものの、総務部長、APU事 務局長などの名前もあります。附属校校長はほぼ全員が選挙人と なっています。 無記名投票による選挙人選挙が行われたのは、立命館大学の教員 区に限られているのではないかと推測されます。学園の教学の最 高責任者を選ぶ選挙人選挙も選挙ではなく大半が指名で行われ、 経営幹部が多数が選挙人となったことは、教学と経営のバラ ンス が大きく崩れてしまっている立命館の現状を象徴するものです。 ◇◇ 地位保全仮処分申立第4回審尋(2006年9月28日)の概要【3】 から仮処分申立審査が大詰めに近づいていることがわかります。 地位保全仮処分申立中の常勤講師支援を再度呼びかけます。 支援カンパ振込先:滋賀銀行南草津駅前支店 ( 店番 214 ) 普通預金口座 633143 名義人:立命館教員ネット ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【1】「職員区の総長選考委員はどのように選ばれたか ーー立命館民主主義の形骸化を懸念する」 藤岡 惇(経済学部教授) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「個人の平等と尊厳」にもとづく民主主義--これが戦前の全体 主義体制を否定して発足した戦後の日本国憲法の基本原則であっ た。この原則と「学園の自治」の精神に則り、これまで立命館学 園では、総長の選任だけでなく、評議員の選任、学部長候補の選 出に際しても、専任職員の方に、個人として無記名秘密投票を行 う権利が保障されてきた。4年前の総長選任にあたっては、(1)投 票権の平等を保障するために、ほぼ同数の職員からなる「選挙区」 が設けられ、職員の多様な意見が正確に反映されるように、多様 な構成(年齢別でも、男女別でも)に配慮した「選挙人」候補の 推薦が下から展開され、職員一人ひとりの秘密投票にもとづいて、 総長選挙人が選ばれてきた。職場単位で旺盛な議論が展開され、 投票率100%に達した部課も少なくなかった。 昨年、総長選任のしくみが改定されたが、秘密投票で個人の意思 にもとづいて、「選考委員」を選ぶという権利を否定する規定は まったくないし、学部教授会では、従来どおり、構成員の投票で、 選考人が選ばれたので、職員区でも従来どおりの方法がとられる ものと考えていた。しかし昨今のトップダウン風の学園運営を危 惧して、組合の執行委員会も、とくに職員区の選考委員の選任に あたっては、「上からの指名」といったやりかたはおこなわない という確認を7月の業務協議会で行おうと試みた。理事長は、組合 の要求を受ける形で、「末端職場の職員の納得と合意がえられる 形で進める」と言い切ったので、この点は落着したと私は安心し ていた。 しかしそれは「ぬか喜び」にすぎなかった。実際には職員区では、 理事長の先の約束に反して、これまでの民主的な到達点をふみに じるかたちで、総長選考委員の選考(職員からは17名の定員)が 進んだことが判明したからである。すなわち、関連分野の課長 (一部課長補佐)を集めて、開催される行政上の会議である「部 会議」で、会議の主宰者が、事実上、「選考委員」を指名ないし 提案するかたちで決まっていったのである。そして、その「決定」 というのは、末端の「業務会議」の場では、「決定事項」として 伝達されるにとどまったという。いくつかの部課では、丁寧な議 論がおこなわれたともいうが、「決定の伝達」であることは変わ らない。職員も個人として尊重され、無記名秘密投票というかた ちで自己の意思を表明する権利をもつ、という戦後民主主義の基 本的原則が踏みにじられたわけである。このような事実を放置す ると、こんご職員選挙区というのは、トップダウンの「投票機械」 に堕してしまうだろう。「立命館民主主義」というのは画餅にな り、戦前に似た「全体主義」的な学園ガバナンスへの道を掃き清 めることになろう。職員区における今次の選考委員の選任のあり かたに抗議するとともに、「立命館に民主主義を取り戻す」立場 にたった、総長が選ばれるように厳重に監視していきたいと思う。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 【2】総長候補者選考委員名簿公示 ーーーーーーーーーーーーーーーー 学校法人立命館総長選任規程第8条にもとづき、総長候補者選考 委員の届出があったので公示する。 2006年10月2日 学校法人立命館理事長 川 本 八 郎 (※五十音順) 理事長 川本 八郎 理事(ただし、専任の教職員である理事を除く7人) 植松 繁一 岡 泰造 薦田 守弘 高木 茂太市 高橋 宗治郎 道端 進 村上 健治 評議員(ただし、理事および専任の教職員である評議員を除く16人) 稲岡 宗傳 大井 一星 門川 大作 蟹江 嘉信 岸野 洋 齊藤 修 中川 祐夫 中川 誠二 永多 外男 西村 義行 畑中 和夫 降旗 顕英 堀江 眞造 松井 珍男子 山岸 永一 吉田 幸彦 法学部 2人 葛野 尋之 宮井 雅明 経済学部 2人 角田 修一 斎藤 敏康 経営学部 2人 木下 明浩 三浦 正行 産業社会学部 2人 木田 融男 津止 正敏 国際関係学部 2人 奥田 宏司 南野 泰義 政策科学部 2人 見上 崇洋 山本 隆司 文学部 2人 木村 一信 杉橋 隆夫 理工学部 2人 荒井 正治 坂根 政男 情報理工学部 2人 小川 均 萩原 啓 独立研究科等 2人 上田 寛 西 成彦 大学協議会 3人 井上 純一 河口 昭義 利根川 孝一 アジア太平洋学部 2人 モンテ・カセム 山神 進 アジア太平洋マネジメント学部 2人 甲賀 光秀 林 堅太郎 立命館中学校・高等学校 2人 汐崎 澄夫 前澤 俊介 立命館宇治中学校・高等学校 2人 川崎 昭治 三宅 進一 立命館慶祥中学校・高等学校 2人 高杉 巴彦 西脇 終 立命館守山高等学校 1人 小畠 敏夫 立命館小学校 1人 後藤 文男 専任の職員 13人 伊藤 則男 今村 正治 大島 英穂 太田 啓子 大谷 晃弘 北本 暢 相根 誠 塩田 邦成 志垣 陽 平井 英嗣 松原 修 森島 朋三 山本 修司 学生 立命館大学 大学院研究科2人 高橋 慎一 森下 直紀 法学部 1人 長坂 恵美 経済学部 1人 上田 倫之学 経営学部 1人 栗原 孝幸 産業社会学部 1人 澤田 果那子 国際関係学部 1人 鮫島 奈々実 政策科学部 1人 川田 浩之 文学部 1人 西山 頌秀 理工学部 1人 山根 慎史 情報理工学部 1人 一本木 俊博 学生全体 4人 大月 英雄 田中 良典 坪倉 正佳 藤田 ちひろ APU 学部および研究科 2人 SHAIK AZAHAR B.S.H 山本 大 卒業生4人 清家 邦敏 竹本 慎也 布垣 豊 山中 諄 父母3人 今西 清裕 工藤 高史 日野 タヅ子 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【3】地位保全仮処分申立第4回審尋(2006年9月28日)の概要 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 裁判官が、原告側主張と法人側主張を確認。 原告側主張は以下の4点。 99年の説明会で有権代理(説明者は権限を委任された代理人) により特約が付加された。 仮に有権代理が認められないとしても表見代理(説明者は権限 があると思われても仕方のない状況で説明)が成立。 総合的に判断して今回の雇い止めは無効。 任用期間4年は労働基準法14条の脱法行為。 法人側はいずれも否認。 今回原告側に新たな主張が加わったことと法人側が直前に書面を 提出したために、議論を尽くすべく次回審尋(最後となる予定) がもたれることになった。 ============================== 配信数 3814