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主要私大の財政を見るーー立命館大は人件費抑制が強み(エコノミスト 2007.1.16号 p30 )

主要私大の財政を見るーー立命館大は人件費抑制が強み(エコノミスト 2007.1.16号 p30 )

医大・歯科大を除く首都圏、関西の主な私立大学法人15校の2005年度の財 政指標を比較すると、「改革のデパート」とも呼ばれる立命館が、帰属収入差 額比率24.8%という際立った黒字になった(表2)。このほか、経営意識 が高いといわれる関西勢や、マネジメントの強化を進めてきた法政大など、改 革に熱心な大学が着実に成果を上げていることが数字からうかがわれる。

財務状況の改善を考える場合、学生数の減少によって一般的には収入を大きく 伸ばすことは難しく、「改革のポイントは人件費比率の削減」(比留間進・日 本私立学校振興・共済事業団経営相談班長)という。

立命館大の場合、人材派遣子会社の利用や、ボーナス削減などの人件費抑制策 を進め、50%が目安とされている人件費比率を35%まで引き下げ、大きな 黒字につなげた。また、関西大、早稲田大など人件費比率40%台に抑制する ことに成功している大学のほとんどが、帰属収入差額比率10%以上の黒字に なっている。

ただ、ここに挙げたブランド大学には、学部増設などの拡大策で学生数を増や し、収入自体を伸ばして居るところもある。立命館大、京都産業大、法政大な どが代表例といえる。一方、中小規模の大学がこうした収入拡大を目指すのは 難しく、比留間班長は「強みのある学部への『選択を集中』を進め、それに合 わせて人件費を抑制していくのが基本的な道筋だ」と話す。(乾 達・編集部)

表2 医大を除く主要私大の財務指標(2005年度)

大学名 帰属収入(億円) 帰属収入(差額比率%) 学納金依存率(%) 人件費比率(%)
私大全体 ーー 9.6 72.6 51.3
立命館 687 24.8 69.8 35.9
京都産業 167 19.5 79.7 47.0
法政 441 18.7 79.6 49.5
関西 428 18.4 72.3 44.4
同志社 348 13.0 73.8 47.9
上智 246 12.4 52.3 45.5
早稲田 947 11.4 63.7 45.3
関西学院 270 10.3 75.5 54.0
立教 225 10.2 74.7 54.0
専修 268 9.3 78.2 54.1
東京理科 345 9.1 74.0 46.0
中央 421 7.3 73.5 56.2
明治 446 5.8 74.1 56.7
駒沢 176 5.7 80.8 57.2
青山学院 327 5.3 73.1 55.5