財務状況の改善を考える場合、学生数の減少によって一般的には収入を大きく 伸ばすことは難しく、「改革のポイントは人件費比率の削減」(比留間進・日 本私立学校振興・共済事業団経営相談班長)という。
立命館大の場合、人材派遣子会社の利用や、ボーナス削減などの人件費抑制策 を進め、50%が目安とされている人件費比率を35%まで引き下げ、大きな 黒字につなげた。また、関西大、早稲田大など人件費比率40%台に抑制する ことに成功している大学のほとんどが、帰属収入差額比率10%以上の黒字に なっている。
ただ、ここに挙げたブランド大学には、学部増設などの拡大策で学生数を増や し、収入自体を伸ばして居るところもある。立命館大、京都産業大、法政大な どが代表例といえる。一方、中小規模の大学がこうした収入拡大を目指すのは 難しく、比留間班長は「強みのある学部への『選択を集中』を進め、それに合 わせて人件費を抑制していくのが基本的な道筋だ」と話す。(乾 達・編集部)
表2 医大を除く主要私大の財務指標(2005年度)
大学名 | 帰属収入(億円) | 帰属収入(差額比率%) | 学納金依存率(%) | 人件費比率(%) |
私大全体 | ーー | 9.6 | 72.6 | 51.3 |
立命館 | 687 | 24.8 | 69.8 | 35.9 |
京都産業 | 167 | 19.5 | 79.7 | 47.0 |
法政 | 441 | 18.7 | 79.6 | 49.5 |
関西 | 428 | 18.4 | 72.3 | 44.4 |
同志社 | 348 | 13.0 | 73.8 | 47.9 |
上智 | 246 | 12.4 | 52.3 | 45.5 |
早稲田 | 947 | 11.4 | 63.7 | 45.3 |
関西学院 | 270 | 10.3 | 75.5 | 54.0 |
立教 | 225 | 10.2 | 74.7 | 54.0 |
専修 | 268 | 9.3 | 78.2 | 54.1 |
東京理科 | 345 | 9.1 | 74.0 | 46.0 |
中央 | 421 | 7.3 | 73.5 | 56.2 |
明治 | 446 | 5.8 | 74.1 | 56.7 |
駒沢 | 176 | 5.7 | 80.8 | 57.2 |
青山学院 | 327 | 5.3 | 73.1 | 55.5 |