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メッセージ37:
(転載)『中期計画』長屋問答、全3幕(Ver 3) 

第1幕

熊「『中期計画』ってのが出てきたんだってなぁ」

八「あたぼうよ。」

熊「何で今頃、このど忙しいのに。」

八「お上のお約束じゃねぇか。『ガバナンス文書』てぇのを覚えてるだろうが。そこに『21世紀立命館学園における責務と役割』にもとつづいて作るって書いているじゃねぇか。」

熊「で、その『21世紀立命館学園における責務と役割』てぇ奴はどこにあるでぇ。」

八「そいっつあ、『立命館憲章』て名前を変えて今議論中じゃねぇか。」

熊「じゃぁ何かい。まで決まってもいねぇもんにもとつづいてるてのかい。」

八「そう、もとづいていらっしゃるんだよ。」

ご隠居「八もそそっかしねぇ。『立命館憲章』と名前を変えたのは、『立命館学園の責務と役割』だよ。」

八「同じもんじゃねぇんですかい。」

ご隠居「どこにそんなことを書いてある。勝手に思いこんじゃいけないよ。
 文章というものは一文一句丁寧に読まねばいけないよ。特に、偉らーいお方の書いたものはな。」

熊「で、そのお約束を書いてある『ガバナンス文書』てのは、もう決まったんですかい。」

ご隠居「いや、『第二次ガバナンス文書』では、"今後の提起を踏まえて総合的に議論していく"ということだから、まだ決まってはいないよ。
 ただなぁ、その文書では、全学討議を"『21世紀立命館学園の責務と役割』・『中期計画』を機軸にした学園運営(とあと2つ)が、共通認識となった。"とまとめているんだよ。」

八「どこの教授会も"そんなこと共通認識にした覚えはない"てぇんで、むくれてしまったってぇ奴ですね。」

熊「ごちゃごちゃしてよう分わからん。こういうことですかい。
 お上は"こうやりてぇ"てのを『ガバナンス文書』てぇのに書いて下々に示した。だけど、下々がごちゃごちゃ言うので、その文書ってぇのはまだ正式決定はしていない。
 だけど、お上は、下々がごちゃごちゃ言ってるのは別のことであり、"『21世紀立命館学園の責務と役割』・『中期計画』を機軸にした学園運営"というやり方は、下々も分かった"と思って...」

八「勝手に思うなってんだ。」

熊「俺が思ってんじゃねえよ。そう思ったお上は、まだ影も形もない『21世紀立命館学園の責務と役割』にもとづいて『中期計画』をお示し遊ばしたってとこか。あれ、今度は『21世紀立命館学園の責務と役割』だよ。まだ影も形もないてぇのは間違いで、『立命館憲章』として、今議論中のものだよな。今議論中でしかないものにもとづいちゃうのかい。おっとと、今度は、2つの文書の間は、中黒だよ。それじゃ、もとづかなくて同時並行でもいいってことか。成る程ねぇ。」

ご隠居「熊も文章を読む力が少しは身に付いたようだな。」

熊「どうだ八、分かったか。」

八「分かるはずねぇだろう。」

第2幕

熊「八っぁん。ケイパビリティって何だ。」

八「競馬のビリ馬がどうしたって。」

熊「そうじゃねえゃ。ケイパビリティって何だってきいてんだよ。」

八「俺が知ってるはずなかろう。ご隠居さんにでもきけ。」

熊「ご隠居。ケイパビリティって何ですかい。」

ご隠居「さぁ何んだろなぁ。ちょっとそこに英語の辞書があるから取っておくれよ。 capablility と。能力とか手腕ということらしいな。」

熊「じゃ、"ヒューマン・ケイパビリティの向上"てぇのは、人間の能力の向上てぇことで、教育てぇのはそういうことだから、今更何で APU だけがわざわざそれを目指さにゃ何ねぇんです。」

八「APU にゃそれが欠けてたってことじゃないのかい。」

熊「横から茶々をいれるんじゃねぇや。それにしても、ご隠居が辞書を引かにゃならんのを、立命の先生や職員さんはすらすら分かるんですかい。」

ご隠居「そりゃ、国際化だもんなぁ。」

八「でもさぁ、『ガバナンス文書』のときにゃ、理工学部の教授会じゃぁ、"ステークホルダー"ってなんだか分かりません言うてたで。」

ご隠居「理工学部は一番国際化が遅れてんだろう。多分。」

八「ついでにご隠居、スクラップ・アンド・ビルドてぇのは何なんです。」

ご隠居「今あるものをぶっつぶして、新しいものを作ろうってことだよ。」

熊「もったいねぇ。そんなに廃棄物を作っちゃ地球温暖化にも悪いんじゃありませんかい。」

ご隠居「学部や学科をつぶそうというのであった、建物までつぶすわけではないから、地球温暖化にゃ関係ないよ。受験生が集まらない学部や学科はすぐに定員を減らしたり、廃止しましょう、てことだよ。」

八「そんなことできるんですかねぇ。」

ご隠居「もうやってるな。映像学部を作るのに、産業社会学部や理工学部・電子情報光工学科、情報理工学部から定員を持っていってるんだ。数理科学科もあわや定員減というところだったんだから。」

八「そりゃ大変だ。受験生の少ない学科の先生はみんなで手分けしたて、受験生集めに必死に走り回らなならんですね。」

ご隠居「どうして。」

八「何でって言われても。当然だよなぁ、熊。」

ご隠居「そこはよくしたもので、先生達には、"あなたの首は切りません。誰かが辞めたとき、補充しないだけです。"と囁いているので、先生達の身は安泰なんだから。」

熊「そんなことしたら先生がだぶついてしまうじゃねぇのかい。」

ご隠居「若くて優秀な先生は他大学から引き抜かれるだろうし。もう一つ奥の手があってな、先生達には、業績評価というものがあって、それを突きつければ首切りも満更難しいことではないんだよ。」

八「じゃ、無能な先生は首を切られ、優秀な先生は引き抜かれ、中途半端な先生だけが残るということですか。そんなことしていて日本の学問はどうなるうですかねぇ。」

熊「八、お前変なこと言うじゃないか。何で一私学の立命館が日本の学問の心配をしなきゃなんねんだよ。」

八「だって、研究力強化って言ってんだぞ。」

ご隠居「だから、COE のとれる研究分野に"集中"しようとしてるんだ。」

八「そんで、一旦縮小した学科にまた日が当たってきても、もうそれを担える先生はいないですよね。」

熊「札束で顔をひっぱたいて先生をつれてくりゃいいんだよ。」

第3幕

八「ご隠居、一寸小耳に挟んだんですけど、昔の第三次長期計画ってぇのは、2年もかけて、教授会と何度も往復して作られたんですってね。」

熊「てやんでぇ。日進月歩のご時世だい。そんなのんびりしたこたやってられるかい。明治は遠くなったんだい。」

ご隠居「明治じゃないよ、昭和の終わり頃だよ。」

八「なんぼ、日進月歩のご時世でも、こんなに急いで作って実効性があるんですかねぇ。」

熊「またまた、八は変なことを言う。実効性って何んだ。」

八「みんなが"よし、これでやろう"という気になるかどうかということだ。」

熊「誰のやる気だい。そんなのいらねえよ。」

熊、ご隠居「!?」

熊「あっしもね、小耳に挟んだんですけどね、第三次長期計画ってぇのにはお足の話がきっちり書いてあったって言うじゃないですか。今度のには"お金は外から取ってきましょう"としか書いてありませんよ。まあ、"エベレストに登りたい"というお上の夢は書いてありますがね、登頂する人にはどんなトレーニングが必要なのか、裏方の兵站基地はどこに作るのか、それにはどれだけのお金がいるのか、何も書いてませんよ。夢のお話。だから、誰のやる気も要らないの。」

ご隠居「だけど、登頂する人には、既にトレーニングを積んだ人を呼んでくるって書いてあるぞ。」

熊「そう、あわよくば、国のお金を貰って、"立命館大学"のゼッケンを付けてくれる人を雇えればいいな、というお話。」

熊「まだあるぞ。やい、八、お前この計画をやって欲しいのか。」

八「桑原桑原。わしゃ、大学と無縁で良かったよ。」

熊「何言ってやがる。てめぇんとこの餓鬼ゃ立命にいってるんだろうが。れっきとしたステーク・ホルダー様じゃねぇか。」

八「なんだそりゃ、なんとかホルダー様ってぇのは。偉ぇんか。」

熊「あたぼーよ。偉ぇの何のって、節目節目にゃ大学のおえらさんがご意見伺いにやってくるんだぞ。」

八「俺のとこにゃ来てねーよ。」

熊「そんなあほな。『立命館憲章』作るにゃホルダー様にご意見伺いをするって書いてあるぞ。」

ご隠居「ステーク・ホルダーにも松・竹・梅とあるんだろうなぁ。」

熊「話元へ戻そうか。八、お前、こんな計画やって欲しくねーんだろ。なら、じっくり議論せよとか、実効性のあるものにせよとか、何でそんなゴタクを並べるんだ。実効性がないから丁度いいんじゃなねぇか。」

八「でも、スクラップはお金なしでもできるぞ。そんなのやったらどうなるんだろうねぇ。」

熊「明日のはやり廃りなど誰が分かるか。ラッシャン・ルーレトみたいなもんだ。首を洗って待とれ、ってとこよ。」

八「そして順繰りに玉に当たってみんないなくなってしまったとさ。」

熊「どっこい、立命館は不滅さ。ゼッケン付けてくれる人はゴマンといるさ。」

八「話は変わりますがね、ご隠居。『中期計画』の中期ってのは何年間ぐらいなんですか。」

ご隠居「07年から10年までの4年間って書いてあるな。」

熊「ご隠居も年だねぇ。のんびりしてらぁ。激動の時代だよ。文学部なんざぁ、04 年にそれまでゴチャゴチャ沢山あった学科をすっきり2学科にしたかと思えば、翌年にはもう改革して1学科にまとめてしまったんだから。世間の動きはこんなに早いんだぜ。じっくり議論なんかしてた日にゃ、ご時勢に乗り遅れてしまうってぇもんだ。」

八「でもさぁ。そんなんでうまくいくかねぇ。みんなが働くかねぇ。」

熊「うまくいかんのは下々がたるんどるからだ。足らぬ足らぬは工夫が足りぬ。立命魂と竹槍さえあれば怖いものはない、ってハッパをかけときゃいいんだよ。教職員なんて。」

お粗末の一席。