立命館学園で働く方々へ Dear colleagues, 組合への常任理事会の春闘回答【1】 を受けて、組合では6月 3日(土)に集中執行委員会が開かれ、本日6月5日(月)に 職場委員・執行委員合同会議が開かれるそうです。6月9日 (金)には第一回業務協議会が開催されるようですが、理事長 の出席は未定とのことです。組合側の出席者限定については譲 歩しても、経営責任者である理事長出席については譲歩しない ようにと願っています。 回答【1】には 「常任理事会は、2005年度の一時金についての組合との協議は、 昨年度において終了したと認識している。それは、手続きの 期限が終了したからという理由だけではなく、提起した内容 に確信を持っており、昨年度の協議を通じて説明を尽くした と考えているからである。」 とあります。「尽した説明」は、回答書にある三点に尽きます。 すなわち (1)公的資金を受けている以上、従来の「高い賃金」では社会 的説明責任を果せない、 (2) 立命館学生の父母の平均給与に比して高すぎるし、国立 大学法人の給与も切りさげられつつある、 (3)財政的に健全な今こそ人件費をカットし将来の財政的困難 に対する予防措置をしておくことは経営者の見識であり責任。 (詳細は以下転載の抜粋参照) しかし、これらの説明の欠陥と独善性は、昨年の交渉における 種々の方面から批判され、理事会は反論できなくなってしまっ て鸚鵡のように同じ言葉を繰りかえすだけになっているもので す。 たとえば、(1)については、衣笠キャンパスの若い助教授の方の 昨年末の批判は多くの人の気持ちを代弁していると思いますの で再掲します。 1.今回の理事会の提案は、一時金の1ヶ月カット、生涯 賃金にすれば1000万円を超えるもので到底受け入れら れません。 2.仮に、これだけの条件変更をするのであれば、それ相 応の理由(危機的な経営状態に陥っているなど)が必要で す。理事会はこれを「社会的責任」ということでまとめて います。社会的責任の内容をみると、公的支援を受けてい るからということに集約されるようです。 3.確かに公的支援の額は多いのですが、これだけの公的 支援を受けるに至ったのは、なにより、教職員の不断の努 力により立命館が社会的に評価されたからに他なりません。 4.「公的資金を得ているから社会的責任があり、したがっ て社会的責任を果たすために一時金をカットする」という 論理は間違っています。社会的責任を、給与カットによっ て果たすことはそもそもできません。むしろ、いただいた 支援を活かして仕事の内容を充実させなければなりません。 5.また「公的資金を得ているから社会的責任があり、し たがって社会的責任を果たすために一時金をカットする」 という論理は、社会的評価を受けるための努力を教職員が すればするほど、給与を減らすと言っているのに等しいも のです。これは、教職員の努力を愚弄するものに他なりま せん。 6.理事会の論理が正しいと仮にしたとすれば、公的資金 を得るための努力については、教職員は今後一切しないほ うがよいという考えにつながります。 7.理事会は、これだけ大きな賃金条件上の変更を組合と の妥結なしにはできないはずです。強行すれば、労働意欲 を大きく減退させ、学生へのサービスが低下し、ひいては 社会的責任も結果的に果たせなくなることになります。 (2) については、大学教員が専門職であることを度外視したも のですし、国立大学法人教職員と立命館教職員の職務の重さの 違いに比して、給与の違いはほとんどないこと自身が、私立大 学として突出していることを無視しているように思います。今 回のカットは更にこの歪みを拡大するものとなっています。 (3)は、現在検討されている中期計画のような歯止めない学園拡 大政策を前提に将来の財務危機を予測しているので全く説明に もなっていないように思います。学園の「私物化」意識を象徴 するような説明と感じます。 ところで、一時金カットで昨年度得た7億円の使途はどうであっ たのか、説明は聞いたことがありません。特別会計として別枠 になっていない以上、平安女学院への昨年度の7億円寄付は、一 時金カットから捻出されたといっても間違いとは言えないでしょ う。 これに限らず、立命館の「財政公開」では、どこにどれだけ支 出されているか、たとえば経営部門の支出がどれだけの割合を 占めるようになっているのか、など、外部の人だけでなく教職 員にも全くわかりません。研究棟の部屋まで教室に転用するよ うな慢性的な教室不足や、学内無線LAN スポットの絶対的不足 など、巨額の費用がかかるとは思えない箱物的基本的教学環境 の不全すら放置されたままで、不要不急とも思えるBKCイン フォメーションセンターの大規模な建設工事などが突然はじま るなど、学園の財政計画は、一般教職員には納得できないこと ばかりです。 なお、一次金カットは昨年だけのことと思っていた人も居たよ うですが、回答で明記されたように、常任理事会は恒久的なも のと考えています。昨年度の一時金カットは決着済みとするだ けでなく、それを恒久的なものとすることは、説得力に欠く理 由しか述べられないまま一時金カットを強行したことで蔓延し ている全学的不信感の炎に油を注ぐものであることさえ理解で きない人達は、社会的信用の喪失にも鈍感であることが懸念さ れます。このまま大学運営を任せ続けることは立命館の将来に とって余りにリスクが大きすぎると思う人は序々に増えつつあ ると思います。 組合としては、ストライキなどの伝統的な方法だけにとらわれ ず、大学運営の責任者層が信任できるかどうかについて、整然 とした信頼のおける無記名全学投票を実施するなど、新しい方 法で、理事会が信頼を失いつつあり学園崩壊が進行しつつある 事の重大さを理事会が認識してもらうよう努めて欲しいと思い ます。このまま一時金カットが定着すれば年8千万余の組合費が 泣き、組織率がさらに下ることは不可避でしょう。 なお、過度な危機感を口実にした止処ない学園拡張政策を見直 し、専任教員と教学部門専任職員を増やすことを学園政策の中 核とするような学園政策の転換が提案されるのであれば、個人 的には一時金カットも許容できると思っています。6% の給与を カットしたのですから、教職員数を 1/0.94 (≒1.06) 倍できま す。すなわち、一時金カットで生じた7億円により100 名前後の 専任教職員を増やせるはずです。 ________________________________________________________ 【1】「立命館教職員組合連合への常任理事会の提案」抜粋 全文:http://ac-net.org/rtm/f/2006shuntou.pdf 2006年5月31日 立命館教職員組合連合 執行委員長 木田融男 殿 2006年度 立命館教職員組合連合要求書への回答 ~「立命館教職員組合連合への常任理事会の提案」~ 学 校 法 人 立 命 館 常 任 理 事 会 (公印省略) <目 次> (編註:* 印のみ転載) ■立命館の学園課題に関する常任理事会の考え方 1.2006年度、立命館教職員組合連合と協議する重要な意義 (1)立命館学園における組合の重要な役割 (2)歴史的に新たな段階にすすむ立命館学園と教職員への期待 2.立命館学園の到達点と今後の主要課題-新たな学園像構築のために (1)立命館学園の到達点と主要課題の特徴 (2)国際大学APUの到達点に学ぶ必要性 3.2006年度の具体的課題 -「教育力・研究力・国際力」三位一体となった政策の確立 (1)立命館学園が目指す「研究高度化中期計画(06~10年)」とは (2)国際水準の大学・大学院・附属校確立にむけた今年度の課題 -APUと立命館大学の連携、附属校間の連携の推進 (3)学園をめぐる厳しい課題認識と教職員への学園創造への参加の呼びかけ 4.今後の業務協議会等交渉のあり方について *(1)学園創造に相応しい交渉のあり方 (2)今後の業務協議会や懇談会のあり方-新しい情報発信のあり方の提起 *5.2005年度一時金の提起と執行について-2006年度の議論と関わって (1)「社会的説明責任」を負う教育研究機関に働く者として (2)「社会的水準」にそった教職員の待遇・諸条件 (3)私学の優位性の発揮と脆弱性の克服に向けて ■2006年度常任理事会の提案-今年度具体化する主要課題について ーー本文より抜粋ーー 4.今後の業務協議会等交渉のあり方について *(1)学園創造に相応しい交渉のあり方 常任理事会は学園課題を推進していくためには、組合と協議を 進めることは重要な意味があると考えている。とりわけ、常任 理事会と組合が労働協約を締結し歴史的に確立してきた業務協 議会は、労使の立場を越えて学園創造を推進するための重要な 議論の場であった。しかしながら、昨年度はその業務協議会が 事実上の大衆団交となり、本来の業務協議会の役割が果たせな いものとなってしまった。現在の本学の労使関係において大衆 団交の開催はなじまない。近年学園は多キャンパス化し、専任 教職員数は第3次長期計画開始時(1984年)と比較して約2.5倍 に増加している。往時のように業務協議会の会場の議論を通じ て、教職員が学園政策を「学ぶ」ということはいまや困難であ る。そもそも、学園の運営は寄附行為等学園諸規程により間接 民主主義が前提である。各々の規程にもとづき選任された代表 者が責任をもって運営することがきわめて重要である。個々の 教職員が交渉に参加し発言をするという直接民主主義的な運営 は一見民主的に見えるが、選任された代表者の責任が曖昧とな り、結果としては無責任とならざるを得ない。学園運営に責任 をもつ立場から常任理事会はこのような対応をとることはでき ない。 なお、社会的説明責任を果たすという観点等から提起をした 2005年度一時金(5.1ヶ月+10万円)に関する議論は、常任理事 会としては昨年度で終了したと認識している(詳細は後述)。 また、05回答で行った「大学院手当?」は細目を確認して今年 度から実施することとし、学内行政の業務高度化に対応した職 務手当の見直しも検討を開始するものとする。 **5.2005年度一時金(5.1ヶ月+10万円)の提起と執行について -2006年度の議論と関わって 2005年度一時金(5.1ヶ月+10万円)について、組合の要求に今 年度も引き続いた議論要求が掲げられている。常任理事会とし ては、昨年度の団体交渉を通じて、2005年度一時金提起の意味、 そしてその後の基本的態度を明確にしてきたが、今般回答を行 うにあたって、再度丁寧にその基本的考え方を整理しておくこ ととする。 そもそも、常任理事会の教職員に対する基本的な責任は、長期 にわたって教職員の生活を守ることである。しかしその長期に わたる保障は、立命館学園が私学として国民の支持を得てはじ めて可能となるものであり、そうした観点から社会に通用する 教職員の処遇条件を維持しなければならないと考えたものであ る。具体的には以下に示す3点がその基本であり、この考え方は いまや他の私学にも広がりつつあり常任理事会としては確信を もって社会的に提起できる内容であると認識している。 (1)「社会的説明責任」を負う教育研究機関に働く者として その第1は、本学園は、私学といえども大学や附属校をもつ教 育研究機関として公的な性格を有しており、「社会的説明責任」 を負っている。そのことにより、学園の人件費や教育研究の基 盤的な経費に対して、国や地方自治体から補助金が支給されて いる。この額は昨年度一年間で約83億円に上るものである。 BKCやAPUの開学にあたって、滋賀県・草津市から134億円、大分 県・別府市から192億円もの多額の財政支援を受けたが、これら は本学の社会性ある政策の評価によるものである。このことは とりもなおさず、我々が公的な存在であり、そこに公的資金の 助成がなされる根拠がうまれ、したがってそこでは事業や財政 のあり方について社会的な説明責任を負っていると考えなけれ ばならない。 (2)「社会的水準」にそった教職員の待遇・諸条件 第2は、公的な教育研究機関であるということを強く認識するな らば、教育研究に勤しむとともに、その待遇・諸条件も「社会 的水準」を踏まえたものにしていかなければならないというこ とである。国家公務員や地方公務員は言うに及ばず、国立大学 法人の教職員も、同様の考えにより「社会的水準」の基本とも いえる人事院勧告を参考にして給与等を整備している。先日の 新聞報道によると、国立大学法人の人件費は向こう5年間で5% 削減するとの厳しい報道もなされている。 立命館学園における新入生父母アンケートによれば、主たる家 計支持者の年収でもっとも多い層は700~800万円というところ である。同一年齢層における教職員の待遇と比較してみれば、 明らかに本学の水準が父母年収の平均値を上回っている。 なお、最近の情報によると、首都圏の大規模私学でも今年の待 遇改善交渉において一時金0.5ヶ月分削減の回答がなされたが、 その理由も「社会的水準」であるとのことである。 (3)私学の優位性の発揮と脆弱性の克服に向けて そして、最後に本学は私学であるということの認識である。私 学であるということの特性を意識すれば、その優位性と脆弱性 も見える。私学の優位性は、いうまでもなく、建学の精神・教 学理念に則って自由で個性ある人づくりを誇り高く行えるとい うことである。他方、学費を主要な財源として学園運営をせざ るを得ないということは、どのような財政政策をとるにしても、 私学にとっては来るべき少子化社会のもとできわめて厳しい環 境におかれることはいうまでもない。こうした脆弱性は私学に とって本質的課題であり、多様な収入の確保や社会的ネットワー クによる教育研究の遂行等不断の努力により克服に取り組むべ き課題であるという他ない。私学では自らの努力によって、そ の学園の教育研究の発展に寄与する健全で展望ある財政的見通 しを切り拓く必要があり、常任理事会はその責任を負っている のである。 常任理事会は、2005年度の一時金についての組合との協議は、 昨年度において終了したと認識している。それは、手続きの期 限が終了したからという理由だけではなく、提起した内容に確 信を持っており、昨年度の協議を通じて説明を尽くしたと考え ているからである。 さらにここで明らかにしておかなければならないことは、給与 や労働条件に関する議論は組合と議論すべき内容であると考え ている。したがって、本回答書も組合の要求に応えて策定して いるものである。この点は労働組合法の精神に則して相互にルー ルを守り協議に臨むことについて労使双方で確認しておきたい。 ■2006年度常任理事会の提案 -今年度具体化する主要課題について(p9ー18)より 2.給与・一時金について(p17) 05年度一時金の議論に関して、常任理事会としては、昨年度 の一時金に関する議論は終了したと認識している。また、昨 年度提起した「社会的水準」「社会的説明責任」等に関する 基本視点、高度で重層的な課題に対応する教職員の力量形成 に関する原則的な視点は、今日に至ってもなんら情勢に変化 はないものと認識している。 このような観点から、給与に関して昨年実績どおりとする。 また、06年度一時金については、立命館職員給与規程第29条 (*1)、APU教職員給与規程第27条にもとづき、年間5.1ヶ月+ 10万円とする。 (編註*1) 立命館職員給与規定第29条条 職員に対しては、 賞与および臨時手当を、予算の範囲内で、理事長が定め る要領により支給することができる。(編註:なお、「理 事長が定める要領」に意味は、立命館例規集のデータベー スにはありませんでした。) 有期雇用教職員の課題(18) 1.有期雇用教職員の待遇改善について 立命館学園においては、有期雇用の教職員の処遇について 1980 年代以降、いくつかの節目を通じてそのあり様を議論し てきた歴史がある。その際、本学が整理してきた基本的な見 解は、教育職、事務職各々整理の仕方は異なるものの基本的 な私学の矛盾から現出する課題性は共通する。学費に依存す る学校法人において、その多くを有期雇用教職員に依存せざ るを得ない状況にあることは否定できない。18歳人口の減少 期にある現在、こうした矛盾はますます厳しい状況になるこ とが予想され、組合が主張する要求の根拠について、常任理 事会としては理解できるものではない。 しかし、他方このような基本的な見解を前提にしつつも、附 属校のように公立学校も含めて厳しい競争環境にある場合、 別途の判断も必要となる。また、今後のあり様については多 様な検討が必要であり、従来どおりの一律的な処遇改善は困 難であるが、重点的対応を検討することとする。 以上 ーー転載終ーー ________________________________________________________ 【2】本日(6/5)のBKC月曜会(18:00よりエポック立命 K 307) --転載----------- 「急なご案内になりましたが、BKCの将来構想のなかで、新学部 構想をどう位置づけたらよいのかというテーマは、大変、重 要だと思います。来週の月曜日に(編註:本日)、このテー マをかかげて、とくにバイオ・サイエンス系の新学部のあり かたについて、考えてこられた久保先生を迎えて、下記のよ うに月曜会を開きたいと存じます。どうぞご参集いただきま すように、ご案内いたします。」 =========================== BKC月曜会の案内 日時: 2006年6月5日(月) 18:00~ 場所: エポック立命21 K307 話題: 立命館の教育はどうあるべきか: 『新学部構想における立命館の教育』 話題提供者: 久保 幹 先生(化学生物工学科教授 前BKC教学副部長) =========================== 呼びかけ人 藤岡 惇(経済学部) ============================== 編集発行人:辻下 徹 ( 琵琶湖草津キャンパス・教員 ) 連絡先:tjst@rtm.ac-net.org