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メッセージ56:
野路便り Letter from Noji (06-06-13 Tue)
立命館学園で働く方々へ
Dear colleagues,

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  【1】「立命館の賃金水準」 ー あるメールニュースから
  【2】「立命館の財政分析」 ー 春闘フォーラム 本日(6/13)
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【1】「立命館の賃金水準」ーーあるメールニュースより

  50代の教授の方が、学術的メールニュース(本年5月創刊)に、
  立命館の賃金水準について以下のように書いておられます。
  立命館の大多数の教員が感じていることを的確に表明されて
  いると感じました。転載許可を得ましたのでご紹介します。

--転載--

No 243 (2006.6.13)

    皆様

    今回は立命館の賃金水準について考えて見たいと思います。

     従来は、立命館は相対的低学費だから、低賃金は当然と
    いう論理でした。我々は生活苦を余儀なくされましたが、
    低学費なら仕方ない、とあきらめているところがありまし
    た。しかし、最近では相対的低学費とは同じ学費水準なら
    より良いサービスをするのが、相対的低学費だとされてい
    ます。学費は年々上がり続け、私学の平均水準より高くなっ
    てしまいました。

     一方、賃金はといえば主要私学の中で最低水準です。主
    要10私学(早稲田。慶応。明治。立教。法政。中央。関
    大。関学。同志社。立命館)で最も低いのです。例えば関
    西大学と比べると私のもらっている賃金は年間500万円も低
    い水準です。

     私の研究や教育が、関西大学の教授たちの3分の2以下し
    か価値がないのでしょうか。立命館の教職員の研究や教育
    あるいは行政のサービス生産性はそんなに低いのでしょう
    か。

     私はそうは思いません。むしろ関西大学より良いサービ
    スをしていると考えています。国立はもちろん、普通の私
    立大学より働かされていると感じます。もちろん、関西大
    学の人の中には私より良い研究・教育をされている方がい
    らっしゃるかもしれないとは思います。しかし、平均的に
    見れば、立命館のほうが関西大学よりより強度な労働密度
    で働いていると思うのです。

     一人当たり受験者数、一人当たり学生数、一人当たり持
    ちコマ数で、そんなに関西大学より低いとは到底思われま
    せん。同じ賃金水準でより良い生産性を提供せよというな
    ら、そのようにします。事実は違うのではないでしょうか。

     私は広島修道大学に講演に行った際、立命館の人たちは
    我々の3分の2以下の低賃金でよくまあそんなに働いていま
    すね、と皮肉を言われました。広島修道大学は学費も高い
    からある程度は仕方ないとして、関西大学と立命館は、同
    じ学費水準なのになぜ私たちだけが、絶対的にも相対的に
    も、低賃金ではたらかねばならないのでしょうか。高い授
    業料を支払う人たち(父母や学生達)も不思議に思うと私は
    考えます。

     高いローンを支払って子供が高等教育を受けている私達
    の世代は本当に生活が厳しいのです。

     おまけに仕事のし過ぎで年間数十万円の医療費の支払い
    を余儀なくされています。その上、研究費も権力に擦り寄
    るような研究しか研究費がつきませんから毎年100万円以上、
    家計から持ち出しです。

     このような現状を皆様はどのように感じられますか?


No 244 (2006.6.13)

    皆様

    既に前号で記しましたように、同じ学費水準の関西大学と
    の賃金格差は大きく広がっています。その原因のひとつは
    ボーナスが昨年1ヶ月カットされたことで決定的に拡がり
    ました。

     そのとき理事側が取った戦術は3種類あります。まず夏と
    冬のボーナスの支給を夏は少なく春(3月)を廃止して、一
    時的に冬を手厚くする作戦に出たことです。これで冬に限っ
    ていえば、ボーナス水準は高くなりましたが、全体とすれ
    ばボーナスは削減されたのです。こうした不利な条件を組
    合側に認めさせました。これは2005年度に冬のボーナスを
    カットするための準備作業であったわけです。

     第2の戦術は多様な雇用形態をつくり出し、従業員の分断
    を図ったことです。非常勤講師の採用を始め、5年間の期限
    付き教員の採用が大胆に採用され、非組合員を大量に作り
    出したことです。これにより、教職員の団結が分断された
    ばかりでなく、組合の存在基盤を極めて脆弱にすると言う
    作戦です。内部に格差を持ち込んで下の条件に全体を引き
    下げるという戦略です。これは実際功を奏し、教授会に属
    しない教員数を増やし、教職員の団結にひびを入れました。

     第3に理事会が労使合意のないままに一方的に労使交渉を
    打ち切るという作戦です。怒りの抗議が殺到しても、理事
    長はなんに説明もなく、労使交渉を打ち切り「理事会の責
    任で」一方的に交渉を打ち切るどころか、無責任に労使交
    渉の場に顔を出すことすらしないのです。

     組合側はこうした戦術に戸惑い、右往左往するばかりで
    一方的な労働条件を受け入れてしまっているのです。

     敵を知り己を知らば、百戦危うからずという孫子の兵法
    の言葉があります。理事会は常任理事の任期を3年間にして
    プロの戦略家を雇い、徹底的に組合の分断に出ているので
    す。

     そしてこの8年ほど日本の雇用情勢が厳しかったことを受
    け、組合の要求を受け付けないばかりか、授業料を引き上
    げ続けているにもかかわらず、賃金は年棒にして大きくカッ
    トされ、私学の中で一人勝ちを納めようとしているのです。

     立命館は単に賃金が低いだけでなく、私学全体の水準を
    引き下げる役割を果たして、文科省に気に入られようとい
    う魂胆です。

     このようなことを許していけば組合は分断されつぶれる
    でしょう。不当な労働行為です。悪質な労働協約違反です。

     立命館は「自由と清新」「平和と民主主義」を理念とし
    て永らく掲げていました。しかし、働く組合員には交渉の
    自由がなく、民主主義も分断されているのです。

     わたしはこうした戦術に対して、「共生」を掲げるべき
    だと思います。日本の私学全体が父母や学生の支援の下に、
    横暴な理事会を、自らが裸の王様と化していることを広く
    世間に訴えて、全父母に授業料を値上げしながら、労働条
    件を厳しくしつつ、賃金カットを行っている実態を知って
    もらう必要があると広く知らせるべきだと考えます。そし
    て少子減少化社会の中で手を携えながら共存しながら進ん
    でゆく方向を示すべきだと思います。そういう方向で、全
    父母に向けて手紙を出すべきだと思います。そのためには
    全父母に、全学生に、全交友にビラをかいて訴える価値が
    あるとおもいます。父母、学生、交友、全国の大学関係者
    と共同で苦しい私学経営危機を力を合わせ乗り切る方向で
    働きを強めることが重要だと考えます。

     父母は立命館の経営戦略をある程度知っていますが、そ
    こで働く人々の実態を知らないのです。高い授業料を支払っ
    ているのに、働く人々の人権が侵害されている事実を知ら
    されていません。その実態をビラでも書いて父母に訴える
    べきだと思います。

    誰の主張が正しいのか、を丁寧に説明する必要があります。
    そして「多様な雇用形態」の置かれている人々の不安定な
    生活を、正規雇用にして味方を増やしてゆかねばならない
    と、私は考えます。父母は高い学費でもあるにもかかわら
    ず、また、立命館が厳しい職場であるにもかかわらず、労
    働条件が他の私学より低い点に不思議さを感じるでしょう。
    そして賃金を引き下げているのに授業料は毎年上がってい
    ることを不思議に思うでしょう。びっくりするかもしれま
    せん。高い授業料はどこに使われているのでしょう。

     研究や教育を担う人材を養成するためには、最低限に賃
    金の保証と研究時間の保証が必要です。

     私はこの18年あまりで約20冊の本を出版してきましたが、
    研究費はたった一度しかもらえていません。地道に研究を
    やっている研究者には、研究費がつかず、国家の意向に沿
    う研究だけが、優遇されるのです。このようなことは宇宙
    の隅々までを研究する大学研究者の意欲をデスカレッジし
    ているのです。

     本を出せは、儲かっていると人々は考えるかもしれませ
    ん。しかし、本を出せば出すほど、自腹を切らねばならな
    いのです。たとえば、3000円の本を1500部刷ったとしましょ
    う。総経費は450万円です。このうち著者に印税として入っ
    てくるのは1割で45万円ということになります。そこから1
    割が源泉聴取で引かれるのです。40万円しか残りません。
    しかも100人から200人あまりの人に献本しなければなりま
    せん。そうなると40万円は吹っ飛んでしまい、手元にも残
    るのは借金です。それでも研究者として社会的責任を果た
    すため、私達は出版しなければならず、やむを得ず赤字で
    出版しているのです。

     研究費も権力に迎合するものしか採用されない仕組みに
    なっています。私はこの18年間、単著で15冊の本を出版し
    てきました。編著を入れると20冊を上回ります。論文数は
    120本を優に上回っています。しかし、この私に大学は何を
    援助してくれたでしょうか。学内の研究費がもらえたのは
    たった一度きりです。私は身銭を切って研究を進めざるを
    得ませんでした。地道に研究する者が損をする仕組みになっ
    ているのです。毎年私が私費で支払う研究費は100万円を超
    えるのです。そして高い住宅ローンと、子供の教育費がか
    さんでおり、食費もぎりぎりに切り詰めています。家族の
    衣服も十分買えません。

     こうした状況は当然なのでしょうか?許されて良いので
    しょうか?

     このままで行くと立命館にいるメリットは感じられませ
    ん。ジョブホッピングをしたくなります。どうか皆様、立
    命館の置かれている状況を冷静に見て欲しいのです。

     皆様はどのようにお考えになりますでしょうか?

     忌憚ない御意見を是非お寄せください。
    
  立命館大学教授、53歳

ーー転載終ーー  


(編註)同種類の他大学と学費は同程度でありながら教員給与
  が格段に低い大学に子供を積極的に行かせようとする父母が
  いるかどうか、社会的常識で考えてもわかることです(低給
  与に耐える教員を尊敬すべきなのに、何故転職しないのか、
  と低く評価するのが、残念ながら世間的常識)。このメール
  ニュースで提案されているように、組合は、学生の全父母に、
  現状を正確に伝えるべきと思います。ストライキや訴訟より
  遥かに簡単な運動ではないでしょうか。

  アクティブな方が(アクティブであればこそ)転職を意識し
  はじめること自身が「研究高度化」の原資を給与カットから
  得ようとする常任理事会の経営方針の誤りを明白に証明する
  ものと感じます。

  組合弱体化により理事会の一人勝ち体制が発生し、「給与カッ
  トによる研究高度化」に象徴されるような愚かな経営により
  立命館がとめどなく衰退することを食いとめるためにも、過
  半数となった非正規雇用の教職員の多くが参加できるような
  方向に転換することを、組合は真摯に検討すべき時がきたの
  ではないでしょうか。


【2】本日(6/13)春闘フォーラム「立命館の財政分析」

  立命館学園の財政構造の正確な全体像が全構成員の共通認識
  となることは「立命館民主主義」再生に不可欠なステップで
  す。


  ーーゆにおん No 43 [2006.6.8] より抜粋転載ーー

              春闘フォーラム第3弾 

	立 命 館 の 財 政 分 析
	ー中期計画の見通しにもふれてー

	日時:2006年6月13日(火)18時30分~
	場所:教職員組合会議室 ( KIC/BKC )

	話題提供:松村 勝弘さん(経営学部)
		  <専門分野:経営財務論>


「理事会は、今次回答書で昨年の一時金カットの理由に「私学
  の脆弱性」にふれ、学費依存の厳しさと、自らの努力によっ
  て財政的見通しを切り開く必要を強調していますが、はたし
  て、教職員の一時金の一ヶ月カット(年収の7%相当)をしな
  くてはいけない理由が、財政的にあるのか?それとも「厳し
  い」「危機だ」というあいまいな不安だけを煽られて、賃金
  カットを納得せよと言われているのか?中期計画のてんこ盛
  りの政策は、財政的裏づけはあるのか?我々のカットされた
  賃金分はどうなっているのか?

  学園財政の問題点について参加者とともに解明・分析をおこ
  ないます。多くのみなさんの参加をお待ちしています。」

  問合先: 組合書記局(内線: 衣笠 511-2782, BKC 515-7800)


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編集発行人:辻下 徹  Toru Tsujishita ( BKC 教員 )  
連絡先:tjst@rtm.ac-net.org