Date: Sat, 17 Jun 2006 00:22:58 +0900
立命館学園で働く方々へ
Dear colleagues,
火曜日の「春闘フォーラム」で、立命館の財政構造の解説を
聞くことができました【1】。「中期計画」の学園拡張政策が
全学的批判を浴びていますが、その資金となる「学園将来構
想推進準備資金引当特定資産」は、昨年度に積み立てた50
億円も加えて、すでに256億円に達しています。これは説
明を要することと感じました。財政民主主義を立命館で実現
するために、今回のフォーラムの記録や資料が公表され、立
命財政の実態が全構成員の共通認識となることが望まれます。
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前号で紹介したメールニュースに、「就職試験予備校」となっ
てしまった母校を悲しむ卒業生の意見が掲載されていました
ので転載します【3】。また、関西大学教員の給与が500万円
多い、という記事について「本当か」という意見も多いよう
です。それについての続報【4】も転載しました。いずれも許
可を得て転載します。
なお、2005年調査の京都私大教職員連絡協議会の『労働条件
等資料集』には次のようなデータが記載されているそうです。
50歳の教授(配偶者・こども2人の扶養)
立命 1166.7万円
関西大学 1326.7万円
同志社 1333.9万円
55歳の教授(配偶者・こども1人扶養)
立命 1221.9万円
関西大学 1383.5万円
同志社 1386.7万円
60歳の教授(配偶者1人扶養)
立命 1241.6万円
関西大学 1416.1万円
同志社 1410.5万円
一時金カットが定着すると50代教員の給与は、関西大学や同
志社との格差が少くとも年200万円を越えることとなります。
先週の「業務協議会」で、理事側発言に「私たちは、モチベー
ションというときは、教職員の力量を高めるということや働
き甲斐を含めて考えます。賃金だけがモチベーションではな
い。」がありました(ゆにおんNo 45)。人をなぐっておいて
「なぐられてモーチベーションが下るとは思わない」となぐっ
た方が言うも同然の破廉恥なことを言っていることに気付か
ない鈍感さに心底驚きました。一事が万事ですので、社会的
信用についても鈍感であろう人達が学園運営において一人勝
ち状態になりかけている事態は、立命館の将来にとって憂う
べきことと思います。常任理事会が最近提案したと聞く(B
KCにホテルやプールを作る)ウェルネス計画は,その鈍感
さを証明するものです。
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【1】6/13「立命館の財政分析」の配布資料からの引用
「立命館大学の資金配分は一言で言えば、「競争に打ち勝つた
め」の拡大戦略である。「理念なき拡大」と言われても仕方
がないような状態である。だからこそ、「21世紀の立命館学
園における新財政政策-戦略と目標ー」でも言うように、同
志社大学に規模では勝るようになったが「星取表」の結果が
変らないわけである。」
「当初予算と決算の乖離からわかるように、財政的に見る限り、
事業の推進がアド・ホックなのである。・・・中期計画が論
じられているのであるから、その中に財政の民主的なあり方
を組み込む必要がある。」
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【2】BKC 第10回月曜会 2006年6月20日(火曜)午後6時より
Subject: [ml-cm-bkcmf 310] 来週火曜日6時から月曜会を開きます
From: "atsushi fujioka"
以下の要領で第10回目の月曜会を開きたいと思います。テーマ
は、立命館・BKCの教養教育の現状をどう把握し、どう改革
したらいいのかという問題です。
これまで立命館学園憲章、中期計画、生命科学系の新学部構想
などを議論してきましたが、その底にある問題は、煎じ詰める
と、立命館・BKCにおける学士課程教育をどのような理念と
内容・制度のもとで再設計すべきなのかという問題に帰着する
と思います。
BKCには多様な「学部」が林立しています。この多様な扇を
束ねる「要」になるのが、「文理融合」という教学理念であり、
教養教育ではなかったでしょうか。この「要」がなくなったと
き、扇はばらばらに分解し、「総合大学」が解体していく「危
機」に直面しないでしょうか。
話題提供者は、長年全学の教養教育センター長を務められ、現
在教養教育改革の原案づくりに奮闘されている吉田 真先生で
す。先生のご都合で、開催日を定例日を一日遅らした火曜日の
6時からに設定しました。キャリア教育の立場、学生の立場から
コメントしていただく方にも、出席していただきます。充実し
た議論が期待されますので、ぜひ、ご参集ください。
とき 2006年6月20日(火曜)午後6時ーー
ところ エポック立命308会議室
テーマ 「BKCにおける教養教育の現状と課題」
--BKCにおける学士課程教育の再設計
の理念を求めて
話題提供者 吉田 真(理工学部教員・教養教育センター長)
月曜会世話人
理工・池田 敬介 経営・三浦 正行 経済・藤岡 惇
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【3】転載:国立大学に進学した卒業生の意見
あるメールニュースより
No 251 (2006.6.13)
皆様
ある国立大学に進学したS君から「立命館の賃金問題」を巡っ
て、以下のような意見が寄せられました。
X先生
いつも、通信を配信いただき誠にありがとうございます。
今回は立命館の賃金問題について意見を述べさせていた
だきたいと思います。毎回、自分なりの意見を述べよう
と思っているのですが、なかなか思うようにいきません。
でも、何分、母校のことですので今回はとペンを執らせ
ていただきました。
私は学部の4年間を立命館でお世話になり、現在は(ある国
立)大学の大学院に在籍しておりますが、外部から立命館
を見ていて思うのは、学生時代つまり学部4年間を過ごすに
は良い大学だということです。実際エクステンションセン
ターは本当にありがたかったですし、京都大学も立命館に
倣って就職に力を入れだしたほどです。しかし、大学院に
おいて研究生活を送るには良い大学だとは思いません(こ
こでは大学のシステムについてのことで、先生方の研究水
準についてのことではありません)。私は学生時代にお世
話になったある非常勤講師の先生に大学院進学について報
告に行くと、こう言われました。「立命館に来なくてよかっ
たな」と。私はどういうことかと真意を正すと今回、先生
がおっしゃっていた問題と同じようなことを言われました。
立命館は大きな発展を遂げました。私が在籍したたった4年
ですらそのように感じました。それほどのスピードで発展
を遂げてきました。それと同時に社会的評価も著しく上昇
しました。国家I種試験の合格者もトップ10の常連となりま
したし、内定者も年々増加しています。このようなことが
クローズアップされてくると出身者としてはうれしい限り
ですが、学外に移って最近こう思うのです。立命館は就職
試験予備校になってしまったと。
大学の評価とは学生の就職先の良し悪しで決まるのでしょ
うか?私は決してそうだとは思いません。このことは周知
の事実です。こんな基本的なことを理解していないという
のは非常に残念でなりません。もちろん立命館も私学です
から経営のことも考えなくてはならないのは知っています
(国立でも法人化後は特に理系で苦慮されています、特に
医学部)。しかし、経営の効率ばかりを優先してみたとこ
ろで長期的なスパンで考えた場合、このことは決してプラ
スには作用しないと思います。「二兎追うものは一兎も得
ず」ということわざがあるように、経営と研究を両天秤に
かけることすらナンセンスだと考えます。
これも時代の流れだという人もいるかもしれません。小泉
政権に移ってからというもの改革という言葉を耳にしない
日はないといっても言い過ぎではないでしょう。でも、実
際何が変わったでしょうか。もちろん景気は回復しました。
それは紛れもない事実です。ただ、失業者をはじめとする
社会的弱者および自殺者、凶悪犯罪者、税金の額およびそ
の種類が増えただけです。「小さな政府」とは裏腹にむし
ろ「大きな政府」になってしまいました。小さくなったの
は国民に行政サービスを提供する機能とセーフティ・ネッ
トです。肝心の既得権は打破されたとは言いがたいでしょ
う。それは談合事件が物語っていると思います。
通信を拝見していて立命館もこうした小泉政権と同じよう
な経路を辿っているように思えてなりません。「改革」と
は「著しく非効率なものあるいは悪いものを、新たに改め
ることあるいは作り直すこと」です。もう一度、「改革」
という言葉の意味をよくよく吟味する必要があるのではな
いかと考えます。同時に、大学という場の本来の意味を考
え直すことも大切です。大学は学問をするところ。これが
本来の大学の姿なのです。地方においても、地域ブランド
というものの登場で、特色ある地方ということが盛んに新
聞で見受けられます。人に追従するのは簡単です。地方の
場合で言えば、国に従っていればよいのですから。しかし、
それでは駄目だということをこのことは証明してくれてい
ます。
また、こうしたものを作り上げていくのは人です。つまり、
大学で言えば先生方です。人をないがしろにしては何も生
まれません。イギリスは民営化に成功した国として賞賛さ
れますが、実際その中身はひどいものであると聞きます。
例を挙げれば、イギリスの鉄道はよくトラブルが発生する
と聞きます。しかし、たいていその問題は放置されるそう
です。人がいないからです。いざというときに対処できな
いのです。
今後、立命館においてもこうしたことを踏まえて今とは違
う真の特色ある、つまり研究の多様性で特色ある「立命館
ブランド」というものを持ってほしいと切に願うところで
す。そのために改革するのですし、そのための改革である
べきです。そうすれば通信にあるような出来事も起こらな
いし、またできないはずです。私はこのように思います。
(以上)
学生や校友からは、このように立命館が見えているのです。
彼のいうように、「就職予備校」としてではなく、「研究」
の場として「立命館ブランド」を育てていかねばなりません。
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【4】転載:関大の給与水準、中京地区私学の「共生」の路線
あるメールニュースより
No 254(2006-6-14)
皆様
No.245で記した関大の給与水準につき、これは事実か、とい
う問い合わせがきています。私の昨年の年俸は約1100万円程
度ですが、ある関西大学の教授が1600万円台をもらっている
という話を(京大の経済研究所から教授から)聞きました。関
大は教員組合と、職員組合が分かれていて、教員組合は高い
給与水準であるのは確かなことです。お調べになればわかる
ことです。もし1600万円台の中に役職手当が含まれていたと
しても、少なくとも300万円は離されていることは事実です。
知り合いの方に聞いてみれば判ることです。
関大の水準は確かに高すぎるという印象を持ちます。しかし、
メーカーに勤めた友人ももし大学に転職すれば給与水準は3分
の2に落ち込んでしまうから、大学へこないのだといっていま
す(松下電器の社員)。広島修道大学では私達の約1.5倍の給
与水準で研究費は一人当たり100万円を超えています。これも
事実です。
京大と比べても、立命館の給与水準は低いのです。彼らは都
市調整手当がつきますし、さらに大学院手当てが付きますの
で、私のように大学院手当てをもらっていない人間に比べる
と、明らかに高いのです。
かつて低いといわれた龍谷大学も既に10年ほど前から立命館
を上回る給与水準をもらっています。
もちろん中小の私学には、立命より財政事情が厳しく立命を
下回っているところもあります。でもそれは例外なのです。
慶応は低い水準でしたが数年前から優秀な人材の確保のため、
賃金水準をぐんと引き上げました。
また名古屋近郊の大学の水準は関西の私学より遥かに高いの
です。これは人材が首都圏や関西に逃げなくするために意識
的に採っている政策です。
名古屋や愛知の私学について言えば、明らかに「共生」の路
線を行っています。一人勝ちするのではなく、私学全体が父
母の協力を得ながら、政府や自治体などへの私学助成運動に
熱心に取り組んでいます。そうした教職員と父母との連携に、
理事会側も手を貸さざるを得なくなり、一丸となって「子供
を大切にする」教育に取り組んでいます。一人勝ちを狙う立
命館とは対照的なやり方です。
こうした多様な経験に,立命館も謙虚に学ぶ必要があるのでは
ないでしょうか。
--転載終--
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編集発行人:辻下 徹 Toru Tsujishita ( BKC 教員 )
連絡先:tjst@rtm.ac-net.org