立命館学園で働く方々へ Dear colleagues, 今日のBKC月曜会で、ある出席者が『僕達に対する大学の 姿勢は「釣った魚に餌はやらぬ」という感じだ』と言う在学 生の不安を紹介されました。学生に限らず、構成員すべてに 対する現理事会の基本姿勢は「釣った魚に餌はやらぬ」に尽 きるとも言えるでしょう。留学生に対しても同様であること が懸念されます。 5月23日の第55回総合科学技術会議(*)で、議長の小泉首 相が海外に開かれた大学として「大分の立命館」に言及しま した。国際交流活動は、日本への好意を産む機会であると同 時に、日本への憎悪や軽蔑を産むきっかけにもなります。国 際交流への真の関心がない国際的活動の中で日本を知る異国 の人達は、日本への不信や軽蔑や憎悪の念を抱いて母国に戻 ることになります。中期計画案のように、APUを学園拡張 と学園改革の推進装置とみなし続けるならば、立命館は日本 への憎悪を草の根的に世界に拡げる罪科を負うことになるで しょう。 (*) http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu56/siryo6.pdf そうならないためには、少くとも立命館大学におけると同様 の権限を教学部門に付与し、教員身分を保障し待遇をよくし、 また、APU開学時と同様の潤沢な奨学金を今後も用意し、 入学した留学生が日本の学生とともに、落ち着いた質の高い 理念ある教育研究環境の中で思う存分に学び成長し、日本へ の好意と感謝と尊敬の念をもって母国に帰ってもらうことが 不可欠です。こういったことは、立命館の余裕ある資金積立 状況では、理事会が決意するだけで実現可能です。 また、APUだけでなく立命館学園全体で教鞭をとる外国籍 の教員の方々が多数おられますが、その方々は立命館に対し て良い印象をもっていただくこともきわめて重要です。しか し、立命館について悪印象を持ち不信と憎悪に近い感情とと もに立命館を不本意に去る教員も少なくないとようです。残 念です。異国の研究者に立命館への悪感情だけでなく日本へ の悪感情まで植えつけてしまっているとすれば、その科は容 易に免じられるような類のものではないと思います。こういっ た重大な問題を立命館が抱えていることに全く気づかないよ うにみえる教員人事政策は、立命館の現運営体制には国際交 流への真の関心が無いことを証明しています。 昨年、APUの外国籍専任講師のかたが解雇されましたが、 5月10日に京都地裁は、そのかたの地位保全仮処分申請を 認めました。「平成17年(ヨ)第580号地位保全等仮処 分命令申立事件」の決定文書には 『 以上から、債務者(編 註:立命館大学)の主張にかかわわる債権者(編註:解雇さ れた専任講師)の解雇理由を認めることはできないから、本 件解雇は解雇権を濫用したものとして無効というほかない。』 と述べられています。地位保全仮処分申立の審査は厳しいこ とを考えると、立命館学園が社会的良識に反する理由で外国 籍の専任教員を解雇していたことになります。しかし、立命 館は和解するわけではなく訴訟は続くようです。 これだけでなく、現運営体制の種々の問題を概観し、近未来 の崩壊が必至であると警告するメールをいただきましたので、 許可を得てその一部を転載します。 不治の改革病に冒され消尽しつつある立命館学園が、外科手 術によるのではなく禅譲に近いプロセスを経て自然治癒し活 力を取りもどし、やがて品格と良識ある学園に向けて第一歩 を踏み出す日が到来することを祈ります。 ーー転載始-- Date: Sun, 18 Jun 2006 01:39:15 +0900 現体制の崩壊は、APU(立命館アジア太平洋大学)問題 は本質的な引き金にはならないでしょう。既に、昨年解雇 されたAPU外国籍専任講師に対しては、地位保全仮処分 が認められ、京都地裁より「解雇権濫用」との判断が下さ れていますが、衣笠やBKCでは、特に教員層には事実の 認知が浸透していない事から見ても、相対的に関心は薄い と思われます。 むしろ、立命館大学本校が直面する現状、すなわち賃下げ、 及び専任・非専任の賃金格差問題による労働の分断と勤労 意欲の慢性的低下、特別任用教授制度の初年度からの実施 決行に対する50代後半から60代前半の教員における不 満の蓄積、「学園憲章」はじめとする学内重要案件に関与 する教職員の固定化傾向、非論理的な理事会側文書の横行、 学部の声を無視した盲目的拡大路線への不安などが、直接 の導火線になると考えます。さらに、芦田先生をはじめ、 旧理事者の方々による反発も表面化しており、まさに「品 格ある大学運営」や「オーナーでもないのに学園を壟断支 配する理事会への異議申し立て」が、どこからか発火し始 めたら、原野の火種のように、瞬く間に燃え広がるのでは ないでしょうか? 別府問題についても、理事会は「飛んで火に入る夏の虫」 的な失策をおかしたと考えます。黙っていれば構成員(特 に教員。職員の場合は配置転換でAPU勤務という可能性 もあるため、相対的に「危なさ」を知っています)もあま り気にかけなかったところを、組合への春闘回答において、 あたかも「APUに学べ運動」的な提起がなされたために、 その実態はいかにあるかという関心は、否応なしに高まり ます。(中略)組合などが、実態調査や教職員のヒアリン グなどを主導するならば、更に加速度的に「正体みたり枯 れ尾花」といった評価が定着すると思います。 この段階で、これまでに発生した数々の不祥事(教員の実 質的解雇事件、当人の責任にも起因するものも多いが、こ のような人物を採用した側の責任はどうするのか?)の多 発、外国籍専任講師の地位保全仮処分問題、職員の高い離 職率(最近は立命館大学でも増加傾向)、学生や職員の自 殺者や精神疾患発病者の頻発などなど、陰の部分、隠蔽し ていた部分が浮かび上がって来て、更に本年3月末に失職 させられたAPU常勤講師の地位保全仮処分申請の行動も 知れ渡るならば、「救いようがない」大学が、どうして立 命館大学の未来像、あるいは各種交流のパートナー足りう るのかといった、本質的議論になるのではないでしょうか? (中略) しかしそれでも、理事会に先見性があるのならば構いませ ん。だが最近の事例では、「中国政府との約束」で、「日 本には一校だけ」設立されるはずだった「孔子学院」が、 確かに第一号は立命館に誘致してきたようですが、現時点 で既に愛知大学・北陸大学・桜美林大学にも「孔子学院」 が開設され、中国側から様々に「値踏み」されるようにな るでしょう。要するに、数年先の予測も出来ていないのに 「理事会の責任」で強行突破する事例が、あまりに増えて います。しかも、まもなく数字がでる法科大学院、入学者 数に泣いた初年度の会計大学院、日大芸術学部や早稲田大 学文学部など「業界」において寡占的な人材配置が行われ ている「映像文化学部」設立、共学よりも一段と厳しい環 境下にある「女子大学」との提携→系列化、市立守山高校 の買収にともなう地域住民からの反発など、「極楽トンボ」 を絵に描いたような「改革」を自画自賛していますが、時 間的推移と共に、理事会が予測していない(予測したくな い、あるいは予測できない?)マイナス面が顕在化するの は、ほぼ確実だとだと分析しています。 (中略) 長々と書き続けてしまい、申し訳ございません。どんな国 家であれ組織であれ、20年も30年も同じ体制が継続し た試しは、大枠としての江戸時代(パクス・トクガワーナ) を除くと、世界史の中に例がありませんので、日時の予言 は不可能ですが、これまでに書きなぐったような「変容」 は必至です。 ーー転載終-- ============================== 編集発行人:辻下 徹 Toru Tsujishita ( BKC 教員 ) 連絡先:tjst@rtm.ac-net.org