立命館学園で働く方々へ Dear colleagues, 「中期計画」(案)が先週末配布されました。5月の意見集約で全 学からの多様な徹底した批判を受け、この「中期計画」は、実は 計画ではなく、『戦略目的を明確にして学園構成員の基本合意を 確立する』(*1:p3) ものとなりました。「中期計画」確定後も、 個別課題については、従来通り、その都度全学で論議をかけた上 で常任理事会が決めて執行する、という点が強調されています (*1:p4 上から4~7 行)。中期計画がテーマとなった6/28の組合 と理事会の交渉(*2)でも、理事会側が強調したのは、これが「執 行計画」ではなく「方向性を示す」だけのものだ、という点です。 (*1)『「中期計画」(案)の全学討議を提起するにあたって』 (*2) 第1回副総長・教学担当常務理事交渉議事メモ その方向性を示す「戦略目的」は、中期計画のサブタイトル『世 界に開かれたアジア太平洋地域の学術拠点へ』であり、中期計画 案p10の表現では 「アジア太平洋地域の日本に位置し、私立総合学園であ る立命館は、「平和と民主主義」を教学理念とする立 命館大学と「平和・自由・ヒューマニズム」を設立の 理念の一つとしているAPUとの協力を軸に、世界の 拠点大学等と共同で特色ある研究成果を発信し、附属 校を含めた総合学園として21世紀の世界を切り拓く 人材を育成する、ネットワーク型のアジア太平洋地域 の学術拠点を目指す。」 となり、この「方向性」ではAPUを理想の学園とする認識を基 盤としています。 ところが、科研費研究遂行のための海外出張申請を承認せず、や むをえず「無断」出張したAPU専任講師を「教員として不適格」 として解雇し、京都地裁に解雇権濫用として解雇無効と判定(*3) されてしまうような杜撰な教員任免がAPUでは行われています。 (*3)http://university.main.jp/blog3/apu_karishobun(20060510).pdf また、雇用継続の約束があると参加者全員が思ってしまう説明会 を開催しておきながら、それを聞いて就職したAPU常勤講師を 雇い止したため(*4)、地位保全仮処分申立があり、大分地裁での 審理が始まりました 。 (*4)http://ac-net.org/rtm-net/index.php?job=apushousai 「立命館ブランド価値」(*5 p16)を台無しにする解雇権濫用事件を 起した己が責任を明確にしない常任理事会が提示する「方向性」 に、現在の立命館教員が基本合意することは、将来の立命館学園 構成員に対し余りに無責任なことでですし、教員も常任理事会と 同罪となって「立命館ブランド価値」の形成を絶望的なものとす るでしょう。活気あるのは経営部門だけで、教学部門は青息吐息 で経営部門の言うなりとなる大学に「ブランド」と縁があるよう には思えません。大学の根幹にかかわる教員任免で重大な問題が 発生しているAPUを理想とする「方向性」に合意するようなこ とを大学教員はしてはならないと考えています。 (*5)「21 世紀の立命館学園における新財政政策-戦略と目標-」 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 前便で言及しました、人件費に関する「新財政政策」にある「ト リック」を指摘するメール【1】を転載します。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【1】(転載)「人件費」に関連する「トリック」 ・人件費の伸び率の過大な見積もり ・固定資産維持管理費の「人件費」への組みいれ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー (許可を得て転載します。) ーー転載始ーー ◎「人件費の伸び率の過大な見積もり」があること 『まず、問題なのは2005年決算の人件費(246.9億円)から 2006年予算(297.9 億円)に大幅に増加しているが、その 根拠ははっきりしていないこと 次に、その根拠不明の2006年予算の人件費(297.9億円)を ベースに2010年の目標基準なる予算がくみ上げられている こと(現状ベースでもほぼ同じ)財政見積もりの具体的数 字が上げられている裏面では、2006年→2010年の人件費予 算の伸びについて「人件費の定昇分など経費単価に一定の 伸び率を見込」んだ数値と説明されていますが、 ○定昇分は、新規若手教職員の採用と比較的高い高齢退 職者との相殺(人事の新陳代謝)が見込まれるため「増 加する」ということは通常であれば考慮に入れません。 ○仮に、この議論が正しいとすれば、無理な拡大で無計 画に大量人員採用した結果として将来的に人事年齢構成 に歪な構造ができることを前提としていることになり、 これは労務政策の失敗を意味します ○ところで、そうではないと主張するとすると、「伸び 率の根拠」を示さなければなりませんが、小生が計算し たところ、どうも2005年予算を起点にしてそこでの人件 費に、財政政策文書のP.10の「将来の消費者物価の上昇 率予測」を加味して積算すると、目標基準の323億円にな ることがわかりました。 ○そうすると、理事会は、定昇分と「ベア」をはき違え ている可能性があること ○そうでないとすると、実施するつもりのない「ベア」 (物価上昇率分の賃上げ)を予算上は約束するという 「二枚舌」を使っていることになります 全体を結論すれば、人件費という消費支出を過大に見積も る「トリック」を弄して、「高賃金・財政危機論」→「賃 下げ」の根拠にしているように見えるのです。 ーーーー ◎ 固定資産維持管理費を「人件費」に組みいれるトリック 中期財政政策の文書の最後のページに算定根拠が出ていま すが、この中で人件費について次のような記述があります。 「なお、目標基準では教育研究経費・管理経費に含まれる 人件費的支出(委託費、手数料・報酬)を9%(67億円) 見込んでおり、人件費との合計である「総人件費」は52 %(390億円)である」。 これは、建物の管理などの節減を目的にアウトソーシング (おそらく、クレオへの外注大半かと思われる)した費用 を「人件費」であると強弁し、人件費ないし人件費率の高 さ(「高賃金論」)を側面から補強しようとするものです が、これも詭弁だと考えます。つまり、 建物の管理費は、あくまでも固定資産の維持管理費である。 したがって、理事会も、当初固定費用の削減と費用内容の 明確化の意味からオウトソーシングしたのではないかと考 えられます。しかし、こうした経理操作をしてきたこの金 額を今の段階で人件費であると強弁する理由は、 ○過大な投資によってふくれあがった固定資産の維持管 理費について、理事会の見通しの甘さを隠蔽するもの。 ○固定資産の維持管理費の増大(計画の見通しの甘さ) を教職員の賃金部分にかぶせる形で、賃金引き下げの理 由にしようとする責任転嫁 以外のないものでもないように考えられます ーー転載終ーー ============================== 編集発行人:辻下 徹 Toru Tsujishita ( BKC 教員 ) 連絡先:tjst@rtm.ac-net.org