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メッセージ72:
野路便り Letter from Noji (06-07-04 Tue)
立命館学園で働く方々へ
Dear colleagues,


「中期計画」(案)が先週末配布されました。5月の意見集約で全
  学からの多様な徹底した批判を受け、この「中期計画」は、実は
  計画ではなく、『戦略目的を明確にして学園構成員の基本合意を
  確立する』(*1:p3) ものとなりました。「中期計画」確定後も、
  個別課題については、従来通り、その都度全学で論議をかけた上
  で常任理事会が決めて執行する、という点が強調されています
  (*1:p4 上から4~7 行)。中期計画がテーマとなった6/28の組合
  と理事会の交渉(*2)でも、理事会側が強調したのは、これが「執
  行計画」ではなく「方向性を示す」だけのものだ、という点です。
    (*1)『「中期計画」(案)の全学討議を提起するにあたって』
    (*2) 第1回副総長・教学担当常務理事交渉議事メモ

  その方向性を示す「戦略目的」は、中期計画のサブタイトル『世
  界に開かれたアジア太平洋地域の学術拠点へ』であり、中期計画
  案p10の表現では

    「アジア太平洋地域の日本に位置し、私立総合学園であ
      る立命館は、「平和と民主主義」を教学理念とする立
      命館大学と「平和・自由・ヒューマニズム」を設立の
      理念の一つとしているAPUとの協力を軸に、世界の
      拠点大学等と共同で特色ある研究成果を発信し、附属
      校を含めた総合学園として21世紀の世界を切り拓く
      人材を育成する、ネットワーク型のアジア太平洋地域
      の学術拠点を目指す。」

  となり、この「方向性」ではAPUを理想の学園とする認識を基
  盤としています。

  ところが、科研費研究遂行のための海外出張申請を承認せず、や
  むをえず「無断」出張したAPU専任講師を「教員として不適格」
  として解雇し、京都地裁に解雇権濫用として解雇無効と判定(*3)
  されてしまうような杜撰な教員任免がAPUでは行われています。
  (*3)http://university.main.jp/blog3/apu_karishobun(20060510).pdf

  また、雇用継続の約束があると参加者全員が思ってしまう説明会
  を開催しておきながら、それを聞いて就職したAPU常勤講師を
  雇い止したため(*4)、地位保全仮処分申立があり、大分地裁での
  審理が始まりました 。
  (*4)http://ac-net.org/rtm-net/index.php?job=apushousai

「立命館ブランド価値」(*5 p16)を台無しにする解雇権濫用事件を
  起した己が責任を明確にしない常任理事会が提示する「方向性」
  に、現在の立命館教員が基本合意することは、将来の立命館学園
  構成員に対し余りに無責任なことでですし、教員も常任理事会と
  同罪となって「立命館ブランド価値」の形成を絶望的なものとす
  るでしょう。活気あるのは経営部門だけで、教学部門は青息吐息
  で経営部門の言うなりとなる大学に「ブランド」と縁があるよう
  には思えません。大学の根幹にかかわる教員任免で重大な問題が
  発生しているAPUを理想とする「方向性」に合意するようなこ
  とを大学教員はしてはならないと考えています。
  (*5)「21 世紀の立命館学園における新財政政策-戦略と目標-」

                   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

  前便で言及しました、人件費に関する「新財政政策」にある「ト
  リック」を指摘するメール【1】を転載します。

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【1】(転載)「人件費」に関連する「トリック」
   ・人件費の伸び率の過大な見積もり
   ・固定資産維持管理費の「人件費」への組みいれ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(許可を得て転載します。)

ーー転載始ーー

◎「人件費の伸び率の過大な見積もり」があること

『まず、問題なのは2005年決算の人件費(246.9億円)から
  2006年予算(297.9 億円)に大幅に増加しているが、その
  根拠ははっきりしていないこと

  次に、その根拠不明の2006年予算の人件費(297.9億円)を
  ベースに2010年の目標基準なる予算がくみ上げられている
  こと(現状ベースでもほぼ同じ)財政見積もりの具体的数
  字が上げられている裏面では、2006年→2010年の人件費予
  算の伸びについて「人件費の定昇分など経費単価に一定の
  伸び率を見込」んだ数値と説明されていますが、

    ○定昇分は、新規若手教職員の採用と比較的高い高齢退
    職者との相殺(人事の新陳代謝)が見込まれるため「増
    加する」ということは通常であれば考慮に入れません。

    ○仮に、この議論が正しいとすれば、無理な拡大で無計
    画に大量人員採用した結果として将来的に人事年齢構成
    に歪な構造ができることを前提としていることになり、
    これは労務政策の失敗を意味します

    ○ところで、そうではないと主張するとすると、「伸び
    率の根拠」を示さなければなりませんが、小生が計算し
    たところ、どうも2005年予算を起点にしてそこでの人件
    費に、財政政策文書のP.10の「将来の消費者物価の上昇
    率予測」を加味して積算すると、目標基準の323億円にな
    ることがわかりました。

    ○そうすると、理事会は、定昇分と「ベア」をはき違え
    ている可能性があること

    ○そうでないとすると、実施するつもりのない「ベア」
    (物価上昇率分の賃上げ)を予算上は約束するという
    「二枚舌」を使っていることになります

  全体を結論すれば、人件費という消費支出を過大に見積も
  る「トリック」を弄して、「高賃金・財政危機論」→「賃
  下げ」の根拠にしているように見えるのです。

ーーーー
◎ 固定資産維持管理費を「人件費」に組みいれるトリック


  中期財政政策の文書の最後のページに算定根拠が出ていま
  すが、この中で人件費について次のような記述があります。

    「なお、目標基準では教育研究経費・管理経費に含まれる
      人件費的支出(委託費、手数料・報酬)を9%(67億円)
      見込んでおり、人件費との合計である「総人件費」は52
      %(390億円)である」。

  これは、建物の管理などの節減を目的にアウトソーシング
  (おそらく、クレオへの外注大半かと思われる)した費用
  を「人件費」であると強弁し、人件費ないし人件費率の高
  さ(「高賃金論」)を側面から補強しようとするものです
  が、これも詭弁だと考えます。つまり、

  建物の管理費は、あくまでも固定資産の維持管理費である。
  したがって、理事会も、当初固定費用の削減と費用内容の
  明確化の意味からオウトソーシングしたのではないかと考
  えられます。しかし、こうした経理操作をしてきたこの金
  額を今の段階で人件費であると強弁する理由は、

   ○過大な投資によってふくれあがった固定資産の維持管
    理費について、理事会の見通しの甘さを隠蔽するもの。

   ○固定資産の維持管理費の増大(計画の見通しの甘さ)
    を教職員の賃金部分にかぶせる形で、賃金引き下げの理
    由にしようとする責任転嫁

  以外のないものでもないように考えられます

ーー転載終ーー


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編集発行人:辻下 徹  Toru Tsujishita ( BKC 教員 )  
連絡先:tjst@rtm.ac-net.org