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メッセージ75:
野路便り Letter from Noji (06-07-06 Thur)

【1】(予告)BKC月曜会7月10日(月曜)18時エポック立命307
   教育研究的観点から中期計画・新財政政策をどう考えるべきか
【2】読売新聞2006/7/5: APU、予備校「早稲田塾」に推薦入試枠
【3】毎日新聞2006/7/2: 21世紀の大学職員像/京都
【4】(転載) 教育現場からみたAPU
    UNITAS HOT NEWS 12「APUの到達点と課題」の感想


立命館学園で働く方々へ
Dear colleagues,


  APUは予備校「早稲田塾」に推薦入試枠5人を設け、その枠
  からの合格者に対する入学前教育を同予備校で施すと、読売が
  報じています【2】。予備校からの推薦枠は初めてのことらしく
  「大学改革」のフロントランナー健在、という感じですが、こ
  のような教学政策の実質的意思決定はAPUの誰が行っている
  のか気になるところです。「職員が学園すべての分野において
  主要な主人公として登場する大学をつくらなければだめ」【3】
  という理事長の信念をAPUはほぼ実現したように見えます。

  教育現場からみえるAPUのスケッチを頂きました【4】。

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【1】第12回BKC月曜会の案内 7月10日(月曜)午後6時~
  エポック立命307会議室  自由討論会
    教育研究的観点から中期計画・新財政政策をどう考えるべきか
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  今回は中期計画・新財政政策に如何に我々の主張を盛りこま
  せるべきか月曜会の見解をだすべく自由討論という事で進め
  たいと思います。

  自治会代表の学生諸君にも討論に加わっていただきたいと思
  います。

  参加は、会員の方に限りません。どなたでも関心のある方が
  広く参加されるよう会員の方はご報知お願いします。

  夕食もちこみでどうぞご参加ください。

 月曜会世話人
   理工・池田 研介 経営・三浦 正行 経済・藤岡 敦


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【2】読売新聞 2006年7月5日  
     APU、予備校「早稲田塾」に推薦入試枠
    
    http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20060705ur01.htm

(要約)APUは高校生向け予備校「早稲田塾」の推薦枠5人を設
けた。この推薦枠の合格者については、英語力などについての入学
前教育を同予備校で施す予定。


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【3】毎日新聞(2006/07/02)21世紀の大学職員像 /京都
    川本氏「職員が学園すべての分野において主要な主人
    公として登場する大学をつくらなければだめ」

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【4】教育現場からみたAPU
     UNITAS HOT NEWS 12 「APUの到達点と課題」 の感想
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教育現場から見えるAPUのスケッチをいただきました。新入
生の留学生は全員、大学のそばにある寮に住むが、別府の町に
出るのにバス代が高いので、寮からほとんど出ない学生もよく
いること、町からこんなに離れているのを知っていたらAPU
に来なかったという学生もいることなども、聞きました。(編
集人)

ーー転載始ーー

  APUには、大学が学生の意見を尊重してくれないという不満を
  持っている学生が少なくありません。

  例えば、2005年度にこのような出来事がありました。軍隊に
  入隊するために休学していた韓国の男子学生たち(韓国では
  男性に兵役義務がある)が、APUに復学した際に授業の選
  択肢が非常に限られてしまっていることに対して、何とかし
  てほしいと、同じ境遇の一定の人数の学生が大学側に要請し
  ました。その際、「徒党を組む奴は退学にする」と脅され、
  門前払いになったそうです。1人で要請に行っても聞いても
  らえないと分かっているので同じ境遇の学生でまとまって要
  請しただけであるのに、それだけで「退学」などと言い出す
  大学側の対応は、常軌を逸しているのではないでしょうか。

  また、このような例もあります。

  留学生は歌ったり踊ったり達者な学生が多いのですが、そう
  いったお祭り的な「国際交流」を進めるのを大学側は大変好
  んでいるようで、そのようなイベントを大学の管理の下に推
  進しています。ところが、国連HABITATのAPU支部を作りた
  いと申し出た学生たちに対しては、それを認可せず、「あな
  たたちは自分たちで独自の活動ができる力があるから、独自
  の活動をしなさい」などと却下したそうです。立命館大学を
  含め多くの主要大学には支部があるのに、なぜこのようなこ
  とを言うのでしょうか。学生を大学の管理下に置いておきた
  いということなのでしょうか。

  遠方から高校生の集団の訪問などがよくありますが、APU
  がかなりの負担をしているそうです。海外から高校教員の集
  団が訪れることも多くあり、それについても同様です。宣伝
  にはお金を惜しまないという考えのようですが、もう少し今
  いる学生を満足させることを考えた方がよいのではないでしょ
  うか。在学生・卒業生の声というのは新入生に対して大きな
  影響力をもっていると思われます。在学生が有意義で充実し
  た大学生活を送れていれば、後輩たちにも是非APUに来る
  ようにと心から勧めるものですし、逆に反感や不満だけをもっ
  て大学生活を送っていれば、絶対にAPUには来るなと後輩
  たちにアドバイスすることでしょう。兄弟が在学しているか
  ら心安いので自分もAPUに来たという留学生はいますが、
  逆に、在学生が母国の後輩にAPUには来るなとアドバイス
  すると言っていることを聞くこともしばしばあります。実際
  の姿よりも良く見せて学生を入学させ失望させるというのは、
  大学のブランドという面から見ても逆効果ではないでしょう
  か。

  APUは入学時に英語基準か日本語基準のいずれかで入って
  くることになっており、入学時にどちらかの言語でコミュニ
  ケーション可能なレベルであるはずなのですが、実際はそう
  でないことがままあります。英語基準として日本語のクラス
  に入ってくる学生の中に、「big」や「post office」という
  ような基本中の基本の英単語さえ分からない学生が1人や2人
  でなく存在します。アカデミック・オフィス(学部事務室に
  あたる)やアドミッションズ・オフィス(入学課にあたる)
  に相談しても、もう入学させてしまったのだから・・・と教
  員に理不尽な苦労を押し付けてきます。それが毎学期あり、
  これからはこういう学生を入学させないでほしいと何度も言っ
  ていますが、いっこうになくなりません。このような極端な
  点については入試の面接などで分からないはずはなく、知っ
  ていながら入学させているのだと思われても仕方がないでしょ
  う。学生自身も大変苦労することになり、結局退学する羽目
  になることも多いのですから、入学させればよいというもの
  ではないのです。

  学校法人立命館の経営サイドは、APUのプレゼンテーショ
  ン能力の高さ・二言語教育を褒め称えているようですが、に
  もかかわらず、実際にはそういった体制を崩壊させる方向に
  向かっていることは確かであると思います。APUの学生の
  4 割を占める留学生の教育を支える日本語教育で言えば、A
  PUでは日本語ゼロの学生を二年間で、日本語でなされる専
  門科目の授業が受講できたりプレゼンテーションができたり
  レポートが書けたりするレベルにまで引き上げるということ
  を目標としてきました。留学生にとってはそれがAPUに来
  ることの魅力でもあったはずですが、この目標を外して、で
  きる学生だけが選択的にそういった教育を受けるようにしよ
  うという提案も出ていて、これに対して現場の多くの教員は
  反対しています。留学生に日本語でのそのような能力がつい
  ているからこそ就職時にも有利になっているはずなのですが、
  そのことが十分に大学側には認識されていないように思えま
  す。言語教育において、マルティプル・チョイスの問題だけ
  で構成されている検定試験の点数を重視する方向を打ち出し
  てもいます。語学の検定試験を受けることを奨励し、それに
  合格した場合、そのレベルを目標とする授業の単位分の授業
  料を払わせ、学生に単位を「売る」ということもしているよ
  うです。これはサービスを全くしないで済むので経営的には
  丸儲けということになりますが、教育機関としてはいかがな
  ものでしょうか。英語では英会話学校への外注もすでに始まっ
  ています。日本語もそうなるのではないかと危惧されていま
  す。総長のインタビュー記事(*) に出ていましたが、立命が
  語学講師派遣会社を数年内に作り、「非常勤講師に頼るいび
  つな形を解消する」ことを企図しているようです。目下大き
  な問題となっている常勤講師の雇い止め問題とも合わせて考
  えると、大学に教育・研究のプロが必要ない状態を目指して
  いるのだろうかと思えてきます。
 (*) http://www.kyoto-np.co.jp/kp/rensai/shidai/060404.html

  言語教育はAPUにとって生命線です。この点は立命館大学
  や他大学とは明らかに異なるのです。立命法人もAPUのア
  ジア太平洋学はまだ端緒についたばかりだと認めています。
  学生の意見を聞いてみれば、APUに来る学生にとって、言
  語教育がいかに重要であるかは容易に分かるはずです。AP
  Uにおいて言語教育を軽視し、二言語体制を崩壊させるよう
  な方向性を選択すれば、自殺行為になるだろうと多くの教員
  や学生が危惧しています。」

ーー転載終ーー

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編集発行人:辻下 徹  Toru Tsujishita ( BKC 教員 )  
連絡先:tjst@rtm.ac-net.org