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メッセージ94:
(7/20業務協議会傍聴者からの投稿)
学園の亀裂、分裂をさらに拡げた理事長発言
ーボーナス1カ月カットに対する理事会の態度ー
7月19日に常任理事会と組合との団体交渉()が約2
時間半行われたが、その模様を中継で聞くことができた。こ
の交渉は「ボーナス1ヶ月カットの撤回」要求や中期計画などを
議題としていた。この議論を通じて学園の深刻な実情が浮き
彫りになるとともに、明るい兆しも見えてきた形である。

1.「はじめにボーナス・カットありき」
	     -説得力のない賃金切り下げの理由

  組合側は教職員の意思、反発を背に、重ねて昨年来の「ボー
  ナス1ヶ月カットの撤回」を強く要求し、理事会があげる3
  つの理由に合理的な根拠や説得力がないことを懇々と諭した。

  理事会は紋切型の答えを時に大声を上げて繰り返しただけで
  あったが、「はじめにボーナス・カットありき(熟慮してカッ
  トを決めたのではなく、決めてから理由をつけた)」という
  ことことがまたしても確認された。たとえば理事会が「私学
  が危機にあり、九州の私学の25%は定員割れである。将来
  の危機に備えて早めに賃金切り下げに踏み切った(予算化も
  し、財源はあるにもかかわらず)」「他の大手私学の水準と
  比較し給与が低いから、ボーナス・カットが不当であるとい
  うのは間違いである」と断言したことに表れている。「世界
  水準」まで行かなくても、ほぼ同等レベル、規模の大学と同
  じ給与水準を確保することなくして、教育や研究のレベルを
  引き上げられると考えているのだろうか。

2.「光の見えてきたボーナス・カットの撤回」
	-孤独、動揺の中にある権力者、独裁な者

  組合委員長、書記長はじめ執行部の厳しい態度、道理ある説
  明に対して、理事会側には乱暴な言葉、「賃金はできるだけ
  低く、労働は長く強める」という旧式の経営感覚が露骨に表
  れた。それは次の発言によく表れている。「長期的に教職員
  の生活を保障するためにボーナス・カットを断行した」(現
  在は十分支払い能力があることの表明)「大学の運命に理事
  会は責任を持っているが、組合は持っていない」(理事会は
  法的にはそうだが、組合=教職員は同等の責任を持っていると
  考えるべき)「賃金やボーナスは組合が納得するまで、話し
  合いを続ける必要はない」。この点は特に重要である。ボー
  ナス・カットに正当な理由、合理的な根拠があるなら、理事
  会は自信を持って組合が納得できるまで話し合いを続けるべ
  きではないだろうか。「経営の論理を組合が理解できるはず
  がない」というのは今日、営利企業の経営者ですら取らない
  スタンスである。理事会はいつから、そのように旧式の経営
  者になったのだろうか。権力者や独裁者は孤独の中にあり、
  周りが見えなくなって動揺するという。理事会に道理がほと
  んどないのに対して、組合、教職員の要求の正当性がいっそ
  う鮮明になったという意味でボーナス・カットの撤回(2005
  年を含めて)に、光が見えてきたと思うのである。

3.空疎に響く「学生のため」「社会貢献」という言葉

  理事会は発言の冠詞にしばしば「学生のため」「社会貢献」
  という言葉を用いる。組合は「理事会が人心の分裂や業務へ
  の動機の低下、学園指導部に対する不信、不満、不安をどれ
  ほど知っているか」(組合ニュース71)と問うているが、
  これを解消せずによい教育の条件は失われる。今回の団体交
  渉でも空疎にしか響かないのは、「大学運営が経営、ビジネ
  ス優先で、学生(教育)や社会をその手段としている」から
  ではないだろうか。そうでなければ、ボーナス1ヶ月カット
  というひどい仕打ちはできないはずである。長田総長は今年
  末で退任する。一定の功績をあげたが、ボーナス・カットに
  よって総長に対する尊敬や感謝は水泡に帰しつつある。交渉
  での総長挨拶が心なしか哀調を帯びていたが、そのせいだろ
  うか。「ボーナス・カットの撤回」を決断することによって、
  「立つ鳥跡を濁さずに」してもらいたいものだ。