立命館で昨夜行われた業協で、組合側は、学園財政の分析を示し、大学教員の 賃金の社会的水準論を展開したのに対し、理事会側は、私学危機論を展開し、 両者は平行線のまま終わりました。
この問題で、理事会の説く私学危機論は3重に意味で矛盾があります。 第1に、確かに統計上、少子化が進んでおり、人口減社会になっています。そ の最大の原因は、現在の20代から30代前半の人に正規職を保障してこなかった ことにあります。社会的には、ニート、フリーターなど「下流社会」を生み出 していますが、立命館も「多様な雇用形態」の名の下で、非常勤や非正規教職 員に頼る状況を生み出し、彼らに結婚できる賃金を提供してこなかったのです。 社会全体で非正規雇用は3分の1ですが、立命館は2分の1以上だと言われていま す。このような雇用のあり方が、日本の私学危機を作り出す元凶であり、理事 会はそのような状況にした責任を取ってもらわなければなりません。 第2に、私学危機だというけれど、立命館は一貫して授業料を値上げしつづけ ているわけです。これは、私学危機を助長させているのではないでしょうか。 一方で授業料を毎年引き上げておき、他方で賃金はカットする。この手法は確 かに財源を豊かにするには役立つでしょうが、私学がその研究・教育水準を向 上させ、社会に貢献できる研究と教育を進める上ではマイナスです。私学危機 を進めているのは、まさしく理事会そのものなのです。 第3に、私学の危機意識は私も感じるのですが、それを私学共同の「共生」と 言う立場に立って解決すべきであり、立命館の理事会がこれまで取ってきたよ うな一人勝ちのやり方だと、たくさんの私学の破綻を生ぜしめると言う事です。 この点においても正しく責められるべきは理事会の姿勢です。私学全体の連携 の中で、共生の中でこそ打開方向を見出すべきです。 したがって、理事会はこれら3点の矛盾点について説明する義務があると考え ます。 次に組合側の問題点も指摘しないわけには行きません。 組合は事実上、組合員だけに眼を向けて、非正規雇用の立場に置かれている弱 い人々との連携や、授業料を負担する学生・父母との連携を十分に活かしてき ませんでした。ですから昨年からの膠着状態を打ち破れないのです。もっと、 非常勤の教職員や父母、マスコミなどにわかりやすく、問題を訴え、社会的に 理事会を包囲する必要があります。 また、賃金の社会的水準を言うばかりでなく、実際生活で困窮している私たち の声を届けるべきだと思います。重い住宅ローンと高い教育費のため、私たち の世代は本当に苦しい家計のやりくりを余儀なくされています。常任理事のよ うに住宅ローンも終わり、子女の教育費負担もない家庭と生活の困難さがまる で違うのです。この点を良く踏まえて要求していただきたいと考えます。