立命館学園で働く方々へ Dear colleagues, ◇◇ 理工学部の物理学科が、中期計画案とは基本的方向が異 なる「代案」と提案を出しています。多くの構成員が立命に 今必要だと感じている方向転換を象徴する代案と思いますの で二回に分けて紹介します。 ◇◇ APU常勤講師の方が、ネット署名で「ニューチャレン ジ」の現状を伝えています。 ◇◇ 業務協議会の傍聴者からの投稿や意見がありましたので 紹介します。【3-1】では、「私は経営責任者として君達には 見えないものが見える」「経営の論理を組合が理解できるは ずがない」と理事長が強調したことで、理事会が時代遅れの 経営陣であることが誰の目にも明らかになったことは良かっ たと述べています。【3-2】理事会が推進する立命ナショナリ ズム政策が私学全体の衰退の遠因となりかねないことに注意 を喚起しています。 ◇◇ 「交渉術」については、いくつかコメントをいただきま した。この主の交渉術はすでに20年前から始まっていて、 BKC移転の成功以来「本性を剥き出し」になったという意 見もありました。 また、規模拡大期に「非常識に一致団結して神風特攻隊のよ うな雰囲気」を感じたというコメントを専任職員の方からい ただいていますが、「一致団結させられて」という面もあっ たのではないかと推測します。愛校心は、学園が普通に機能 していれば、学生でも教員でも職員でも誰でも自然に抱くも のです。愛校心を煽ったり強制する度合は、自然な愛校心が もてなくなるような事態の進行、あるいは、特殊な目的に向 けて学園全体を駆動しようとする一部の人の意図の存在、と 連動しますので、学園が陥っている危機を知る手掛りの一つ となるように思います。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【1】理工学部物理科学科の中期計画意見集約結果より(1) [ml-cm-bkcmf 364] Date: Wed, 19 Jul 2006 13:56:50 +0900 全文 http://ac-net.org/rtm/No/96 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 〔1〕全体を見渡して:専任教員を早稲田、慶応なみに充実させ、 立命改革を教育の内実化にむけよ。 ここ十年の立命館の大学としての規模拡大が、教育に於 ける内実化をまったく伴っていない。立命館の評価は官 界財界では高いのかもしれぬが、高校教員、受験生とそ の父母の評価や受験界の評価は依然として、全く残念な 事に、同志社以下である。教育界での評価が高くない。 それは立命改革が教育に於ける内実化を伴っていない事 の反映である。 一方で基本金への組み入れという見掛け上の財政赤字化 政策のおかげで、立命館の実質的人件費への財政収入に 対する割合は(35%前後か)は他大学(50%前後)に比べ著し く低い。 「早稲田、慶応につぐ私大」である事を標榜する立命館 の学生一人当たり専任教員数は早稲田慶応の学生一人当 たり専任教員数に比して60%以下という貧困さである。 早稲田(学生3万8千/教員数1995人)。慶応(学 生2万8千/教員数1925人)。立命(学生数約3万 2千/教員数1017人) 要するに、カネがあるのにヒトに使わない。この悪弊を 撤回し教員の充実という<内実化>へに着手すべきであ る。それを中期政策最優先課題とするべしが物理科学科 の全員一致した意見でる。 ーーーーーーーー 〔2〕「第2は、学びのありようと社会的需要変化に対応した選 択と集中創造的再編......」(P.11) ==> 以下の「創造的再編の原則」を明文化せよ。 提案文書は旧文書と比べ、スクラップ.アンド.ビルド を''創造的再編''と書き換えただけで何ら本質的内容は 変わっていない。「創造的再編の原則」とあるがその原 則が書かれていない。定義がない。 学科の再編は当然ありうる。しかし以下の原則が必要。 これが我々が提起する「創造的再編の原則」である。 a).教育組織再編には研究教育に与る現場がこれを協議 決定する責任をもつ。 b).教育組織には長時間スケールで変えてはならない古 典的、基幹的組織と逆に再編が活性化をもたらす流動 的組織がある。この二種の教育組織をバランスよく合 わせ持つ事を前提として再編が議論される。 何を古典と看做し、何を流動的と看做すかは正しく大学 の見識である。受験人気のように世間の表層の動きに支 配されるような教育組織の再編を「創造的再編」とは呼 ばない。 (続く) -------------------------------- 【2】(転載)現実を見てください (APU・日本語常勤講師) 迅速で公正な地位保全仮処分命令を求めるネット署名より http://university.sub.jp/apu/saiban/?job=kobetsuhyouji&aux=175 -------------------------------- 2006-07-19 15:50:07 「APUの開学時の実情を全く知らない人たちが、これまでの 一番の功労者を切り捨てて、絵空事のような将来の展望を語っ ている様子は、あまりにも情けなく、訴える気力まで無くなっ てしまったのが、今の現場の現状です。 新入生の半数が日本語が全くわからない外国人で占められ ているAPUの教育全てが、他の大学(もちろん京都の立命 館も含めて)とはかなり違って、彼らに教室で日本語を教え る語学教員に負うところが大きいことは誰が見ても明らかで す。 今春3名の日本語常勤講師の契約更新が打ち切られてから、 最初の学期が終わろうとしています。代わりに数人の嘱託講 師や非常勤講師が新しく加わり、なんとか授業はこなしてき ましたが、経験の少ない新任教員が増えたために、様々な面 で以前からいる教員の負担は多くなりました。大学側の考え どおりに来年、再来年ですべての常勤講師が契約を打ち切ら れた場合、次々に入れ替わるであろうAPUでの教育経験の 無い、条件の悪い(仕事は以前より増え、収入は減少してい る)講師たちと、現場でほとんど教えていない数人の専任 (担当授業数は全体の数パーセント)で、APUの語学教育 が成り立つと大学側は考えているのでしょうか?どうか現実 を見てください。 既に、誰にとっても今後の保証がない不安定な職場である ことがはっきりしている現場では、この大学のために自分が がんばらなければという士気は完全に落ちてしまっています。 開学前の約束を守ってほしいのは言うまでもありませんが、 開学時から今までの常勤講師が果たした働きをもう一度確認 した上で、今回の大学側の措置が正しいといえるのかどうか を判断していただきたいと思います。」 ーーーーーーーーーーーーーーーー 【3】業務協議会傍聴者者の意見より ーーーーーーーーーーーーーーーー 【3-1】学園の亀裂、分裂をさらに拡げた理事長発言 -ボーナス1カ月カットに対する理事会の態度- http://ac-net.org/rtm/No/94 7月19日に常任理事会と組合との団体交渉(業務協議会)が約2 時間半行われたが、その模様を中継で聞くことができた。こ の交渉は「ボーナス1ヶ月カットの撤回」要求や中期計画などを 議題としていた。この議論を通じて学園の深刻な実情が浮き 彫りになるとともに、明るい兆しも見えてきた形である。 1.「はじめにボーナス・カットありき」 -説得力のない賃金切り下げの理由 組合側は教職員の意思、反発を背に、重ねて昨年来の「ボー ナス1ヶ月カットの撤回」を強く要求し、理事会があげる3 つの理由に合理的な根拠や説得力がないことを懇々と諭した。 理事会は紋切型の答えを時に大声を上げて繰り返しただけで あったが、「はじめにボーナス・カットありき(熟慮してカッ トを決めたのではなく、決めてから理由をつけた)」という ことことがまたしても確認された。たとえば理事会が「私学 が危機にあり、九州の私学の25%は定員割れである。将来 の危機に備えて早めに賃金切り下げに踏み切った(予算化も し、財源はあるにもかかわらず)」「他の大手私学の水準と 比較し給与が低いから、ボーナス・カットが不当であるとい うのは間違いである」と断言したことに表れている。「世界 水準」まで行かなくても、ほぼ同等レベル、規模の大学と同 じ給与水準を確保することなくして、教育や研究のレベルを 引き上げられると考えているのだろうか。 2.「光の見えてきたボーナス・カットの撤回」 -孤独、動揺の中にある権力者、独裁な者 組合委員長、書記長はじめ執行部の厳しい態度、道理ある説 明に対して、理事会側には乱暴な言葉、「賃金はできるだけ 低く、労働は長く強める」という旧式の経営感覚が露骨に表 れた。それは次の発言によく表れている。「長期的に教職員 の生活を保障するためにボーナス・カットを断行した」(現 在は十分支払い能力があることの表明)「大学の運命に理事 会は責任を持っているが、組合は持っていない」(理事会は 法的にはそうだが、組合=教職員は同等の責任を持っていると 考えるべき)「賃金やボーナスは組合が納得するまで、話し 合いを続ける必要はない」。この点は特に重要である。ボー ナス・カットに正当な理由、合理的な根拠があるなら、理事 会は自信を持って組合が納得できるまで話し合いを続けるべ きではないだろうか。「経営の論理を組合が理解できるはず がない」というのは今日、営利企業の経営者ですら取らない スタンスである。理事会はいつから、そのように旧式の経営 者になったのだろうか。権力者や独裁者は孤独の中にあり、 周りが見えなくなって動揺するという。理事会に道理がほと んどないのに対して、組合、教職員の要求の正当性がいっそ う鮮明になったという意味でボーナス・カットの撤回(2005 年を含めて)に、光が見えてきたと思うのである。 3.空疎に響く「学生のため」「社会貢献」という言葉 理事会は発言の冠詞にしばしば「学生のため」「社会貢献」 という言葉を用いる。組合は「理事会が人心の分裂や業務へ の動機の低下、学園指導部に対する不信、不満、不安をどれ ほど知っているか」(組合ニュース71)と問うているが、 これを解消せずによい教育の条件は失われる。今回の団体交 渉でも空疎にしか響かないのは、「大学運営が経営、ビジネ ス優先で、学生(教育)や社会をその手段としている」から ではないだろうか。そうでなければ、ボーナス1ヶ月カット というひどい仕打ちはできないはずである。長田総長は今年 末で退任する。一定の功績をあげたが、ボーナス・カットに よって総長に対する尊敬や感謝は水泡に帰しつつある。交渉 での総長挨拶が心なしか哀調を帯びていたが、そのせいだろ うか。「ボーナス・カットの撤回」を決断することによって、 「立つ鳥跡を濁さずに」してもらいたいものだ。 ---------------------------- 【3-2】『理事会自身が私学危機を促進している』(要約) http://ac-net.org/rtm/No/95 ---------------------------- 理事会自身が「私学危機」の元凶となっていることが指摘さ れている:(i)私学危機の原因とされる「少子化」の最大の原 因は若い世代に正規職が保障されていないことにあるので、 非正規雇用率が日本で突出している立命館は私学危機の元凶 となっている。(ii)立命館のように授業料の値上げを続け 教員人件費の削減に情熱を持つ大学の存在は、私立大学で学 ぶことの費用対効果の目減り感を日本社会に与え私学危機を 進めている。(iii)他の私学から種々のものを奪って立命を 大きくする「一人勝ち」経営は、私学危機を促進させている。 また、組合側は、非正規雇用者、学生・父母、マスコミに、 わかりやすく問題を訴え、社会的に理事会を包囲する必要が あることと、一時金カットで具体的に困っている人の声を伝 えることも重要と指摘。 (編集人) ============================== 編集発行人:辻下 徹 Toru Tsujishita ( BKC 教員 ) 連絡先:tjst@rtm.ac-net.org 配信数 3870 [ http://ac-net.org/rtm/No/97 ]