学部長理事の皆様へ
Subject: 学部長理事の皆様へ
Date: Wed, 26 Nov 2008
学部長理事の皆様へ
Cc: 立命館学園のみなさま
立命館大学教員 T. T.
立命館学園が直面する多様で困難な諸問題と日夜取り組んでくだ
さっていることに一教員としていつも深く感謝しております。
先週、一時金カット問題について常任理事会が適切な判断をし、
暗黒に閉ざされてきた学園にかすかな光が差し込んできた印象を受
けました。先生方のご尽力によるものと深く感謝しております。
ところで、先週の常任理事会でAPU専任職員の懲戒解雇が承認され
たという噂を聞きました。今年3月に施行された新労働契約法には、
第十五条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、
当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他
の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相
当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、
当該懲戒は、無効とする。
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相
当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、
無効とする
とありますので、その噂が本当だとすると、相当に慎重な判断をさ
れたと思いますが、この噂の真偽については何も確かな情報を得る
ことができませんので、10月までの情報を基に、噂について検討
してみました。
APU教職員就業規則【1】にある懲戒理由13項目中で、Kさんの解雇
を正当化するよう事由としては、もしも法人が3月以来主張してい
る(傷病手当支給申請書にKさんが添付した)診断書の偽造が確証さ
れた場合に、(8)の
「金銭の横領、汚職、刑法その他法令に規定する犯罪に該当する行
為をしたとき、または金銭以外の法人の財産を横領もしくは窃取
した」
が該当する可能性があるだけで、他にはありません。噂が正しいと
すれば、診断書偽造が確証され、その違法行為が解雇の根拠になっ
たのではないかと推測されます。
診断書偽造疑惑について私が知っていることは以下の通りです。
傷病手当受給期間の最後の時期(2007年11-2008年1月)の申請書(毎
月申請が必要だが3ヶ月毎にまとめて申請していた)に添付した診
断書に記載されている氏名の医師に法人が照会したところ、その診
断書を書いていないと証言し、その氏名で医師登録をしている人が
一名だけであったため、法人は診断書偽造と断定し、公文書偽造・
傷病手当金搾取の疑いで告訴すると3月頃に法人はKさんに伝えまし
た。
これに対し、Kさんは、鬱病の時期にカトリック教会で知り合い、カ
ウンセリングやリハビリをしてくれていた司祭志望の医師に診断書
を書いてもらったと説明しています。その方が医師であることを今
なお疑ってはいないそうですが、法人に提出した最後の弁明書【2】
(2008.9.29)では
「私は、今でも、命の恩人であるN先生が偽医者であったとも偽
名を使っていたとも思いませんが、万が一そうであったとすれ
ば、私がN先生に騙されたのであって、私が学園や私学共済を
騙したのではありません。私がN先生に騙されたことが、懲戒
事由となるのでしょうか。」
とKさんは書いています。診断書について法人が疑いを持ったため、
診療を受けていた病院の診断書をKさんは法人に提出しましたので、
傷病手当金搾取の意図はなかったことは明らかですので、懲戒解雇
の根拠となりえるとしても「有印私文書偽造、有印私文書偽造行使」
という違法行為だけとなります。
Kさんが言うようにN先生が診断書を書いたとすれば、N先生は その
時点で医師の資格がないことをK さんに伝えずN先生はKさんに嘘を
ついていたことになりますが、Kさん自身が違法行為をしたわけでは
なく、懲戒解雇どころかそもそも懲戒にも該当しません。もしも噂
通り懲戒解雇処分が常任理事会で承認されたのだとすると、常任理
事会はN先生が実在しないと判断したことになります。N 先生が実在
しないことを証明する直接証拠があるとは思えないので、K さんが
信用できない人物であることを示すような「事実」が提示され、そ
ういう人物の弁明は信用できない、だから診断書は偽造されたに違
いない、という状況証拠に基づく判断が行われたとしか考えられま
せん。
Kさんを懲戒解雇処分にするにはKさんの診断書偽造という違法行為
が行われたことが確認されることが不可欠ですが、この件の場合は、
上のように、本来、司法が時間をかけて慎重に判断するしかない厄
介な種類のものです。法人が裁判所を代行してその判断を短期間に
行うことは判断ミスをおかす危険性が高く、N先生の実在が証明され
冤罪であったことが明らかになる可能性もあり、そのような場合に
は非人道的な歴史的「冤罪事件」となって、学園は測り知れないダ
メージを受けることになりますので、冤罪のリスクを減らすために、
「疑わしきは罰せず」という裁判の基本原理を尊重し、Kさんには酷
と思うのですが、一旦、診断書偽造について、まだ提出されてはい
ない段階ですが診断書提出先である日本私立学校振興・共済事業団
に代わって告発し裁判所に判断を委ね、もしも有罪が確定した場合
に、改めて懲戒について検討する、という慎重な手順を踏まれては
どうでしょうか。
もちろん診断書偽造という判決が出たとしても、傷病手当受給の条
件は満たされていた以上、その動機は傷病手当金搾取ではなく診断
書作成経費節約であったわけですから、休職の最初の1年間は傷病
手当金が支給されず収入は手取り月2万円程度の給与しかなかったと
いう経済状況を考えると、懲戒解雇は社会通念上相当であるとはと
ても言えないように思います。そういう意味では,今回、何らかの
理由で懲戒処分を断行するとしても、新労働契約法を尊重し、出勤
停止等の処分にとどめるのが禍根を残さないために必要ではないか
と思います。
噂が間違っていることを願っておりますが、立命館学園の名誉のた
めにも、どうぞ、よろしく慎重なご検討のほどをお願いいたします。
立命館大学教員 T.T.
追伸 なお、Kさんの友人が、本人とお母さんの話しを記録した動画
(10分ほど)があります。懲戒解雇は、再就職も困難になる非常
に重い制裁であるという点を考慮し、「冤罪」の可能性が1%でも
あると判断されましたら、判断を司法に委ねることをお願いいたし
ます。
http://www.ac-net.org/pwhr/
id: apu20051130, pwd: beppu-juumonji
(64MBあるのでダウンロードに数分時間がかかります):
┌─1──
│立命館アジア太平洋大学教職員就業規則50条
(懲戒の事由)
第50条 法人は、教職員が次の各号の一に該当する場合は、懲戒することができる。
(1) 重要な経歴を詐わり雇用されたとき。
(2) 削除(第19条第2号に統合)
(¶:第19条 法人は、教職員が各号の一に該当するときは、解職することが
できる。(2) 勤務状況または勤務成績が不良で改善の見込みがないと認
められたとき。)
(3) 故意に業務の能率を阻害し、または業務の遂行を妨げたとき。
(4) ハラスメントと認められる行為のあったとき、または素行不良で大学の風
紀、秩序を乱したとき。
(5) 故意または過失により、法人の名誉もしくは社会的信用を傷つけ、または
法人に損害を与えたとき。
(6) 業務上重要な機密をもらし、またはもらそうとしたとき。
(7) 許可なく在職のまま他の業に就いたとき、ただし、別に定める届出、許可
のある場合を除く。
(8) 金銭の横領、汚職、刑法その他法令に規定する犯罪に該当する行為をした
とき、または金銭以外の法人の財産を横領もしくは窃取したとき。
(9) 教職員、学生等の大学構成員または大学構成員以外の者に対し、暴行、脅
迫または重大な侮辱を加えたとき。
(10) 職務上の指示命令、義務または職場規律に違反したとき。
(11) 研究成果における剽窃、データの捏造、研究費の不正使用等、研究活動
において不正な行為を行ったとき。
(12) 休講回数と同回数の補講を行なわなかったとき。ただし、事前に承認を
得ている場合はこの限りではない。
(13) 対面による授業を行なわなかったとき。ただし、「卒業研究」および
「卒業論文」等、教学部長が遠隔指導を認めた場合は除く。
(14) その他前各号に準ずる行為があったとき。
┌2───
│Kさんの弁明書 2008.9.29
¶これは調査委員会の出席要請書【2】に対する回答。
¶イニシャルまたは伏字は編集時に変換したもの。
2008年9月29日
弁明書
審査委員会委員長
若林 洋夫 様
K
08年3月24日に**副事務長から文書で指摘された、07年11月13日提
出診断書、08年1月28日提出「傷病手当金・傷病手当金付加請求書」
の疑義については、08年3月30日と08年4月9日提出の文書および、
08年7月31日と08年8月12日の面談でご説明した通りです。この診断
書は、私が数年前にカトリック教会で知り合い、医者でありながら
司祭を目指しておられたN先生に書いていただいたものです。当時
私は、N先生に、無償で往診して頂き、カウンセリングや、リハビ
リを行って頂いておりました。このことは、**副事務局長が、母
にも確認されていることです。私は、今でも、命の恩人であるN先
生が偽医者であったとも偽名を使っていたとも思いませんが、万が
一そうであったとすれば、私がN先生に騙されたのであって、私が
学園や私学共済を騙したのではありません。私がN先生に騙された
ことが、懲戒事由となるのでしょうか。
しかも、「N先生から書いていただいた診断書が偽物である」との指
摘を受け、熊本市民病院や、おがた整形外科からその期間、本当に
病気であり、かつ両方の病院に通院していたとの診断書や傷病手当
金・傷病手当金付加請求書を発行してもらい、大学側に提出してい
ます。これらの新しい書類で、私が嫌疑をかけられるようなことが
ないことを証明できるはずです。
08年7月31日の**次長の次の言葉が耳を離れません「君が何と言お
うと偽物の診断書だ」「騙された人間が、何で、騙した人間のこと
を信用するの そんなことバカのすることだ」「あなたとの雇用関係
についてはもう切りますから」。**次長は、その日、私が何を弁
明しても、私の言うことは信用できない、診断書が偽造である、と
断定し、もし私が退職しなければ、刑事告訴や懲戒解雇をすると迫
りました。
私は、05年12月から病気療養中ですが、率直に申し上げて、この間
の学園の対応には、多くの疑問があります。
第一の疑問点は、労災保険についてです。当初の診断書に「鬱病の
発症の原因として上司との人間関係が考えられる」という記載があ
りましたが、学園はこの件を労災として申請していません。私は、
労災のことはよく分からないのですが、ある相談員の方がそれは労
災隠しにあたるのではないかとおっしゃっていました。今からでも、
労災として申請をしていただきたく存じます。
第二の疑問点は、私学共済についてです。私はこの間、学園を通し
て「傷病手当金請求書」で私学共済の傷病手当を申請してきており、
そのお金は、私学共済からの傷病手当であると信じておりました。
ところが、私学共済に問い合わせたところ、08 年4月ごろ「あなた
から傷病手当金は請求されていない」との回答をもらいました。08
年7月に、そのことを学園に照会すると「大学側が、あなたの傷病手
当金を立て替えている」ということでした。一体私がこの間提出し
た「傷病手当金請求書」はどうなってしまったのでしょうか。どう
して、大学が立て替えるということが行われたのでしょうか。
この間、全く身に覚えのないことで、退職しなければ告訴する、退
職か解雇かどちらかしかない、と何度も迫られ、大きな苦痛を味わっ
て来ましたが、このたび、懲戒の手続きが進んでいるということで、
このまま懲戒解雇にされてしまうのかと思うと、非常に不安です。
08年8月より自宅待機命令が出ていますが、幸い、右腕神経叢引き抜
き症候群も改善してきております。一日も早く、復職して、学園と
学生のために役に立ちたいと思っております。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー