[amp 09-05-07] (転載)グローバル30についての見解、他

立命館大学新任教員の皆様へ
  Cc: 立命館大学教員の皆様へ

  立命館大学では3千名近い教員と千名を超える職員が研究活動と
  3.5万人の学生・院生の教育活動に携わっています。仕事の内容
  の多様性だけでなく雇用形態の多様化が進み、教育・研究の現場
  のかかえる諸問題についての情報と認識を共有することが困難に
  なっています。立命館大学は種々の面で岐路にあり、特に数年前
  から深刻化している学園幹部と教職員間の亀裂は修復されるに至っ
  ていません。長期化している危機的状況(*)において、構成員が重
  要な情報を共有することが危機の克服に不可欠と思われます。
  (*) 参考:「コンプライアンスアンケート」回答アーカイブ
      http://www.ac-net.org/rtm/cmpl/

  前号[amp 09-04-29]では、通称「グローバル30」への応募が4月
  28日の臨時常任理事会で決定されたと書きましたが、【1】によれ
  ば法学部・国際関係学部・理工学部・産業社会学部から明確な反
  対意見が文書で提出され、また文学部・経済学部・政策科学部で
  は教授会審議が行われていなかったため、結論は明日5/8の臨時常
  任理事会に持ち越されたようです。

  ところで、立命館学園では深い危機感から、種々の教職員有志の
  会が形成され、多くの教職員が本務の合間に学園の正常化に向け
  てボランティア的に活動し、学園構成員の情報共有を支えている
  教職員組合の活動と相俟って、この危機的状況打開に向けてのボ
  トムアップの動きが次第に明確になっています。

  ◇立命館学園一時金訴訟をすすめる会(RU専任教職員)
     http://ameblo.jp/rits-soshou/

  ◇立命館の民主主義を考える会(RU教職員OB. 立命館の元幹部が多数参加)
    http://rits-democracy.blogspot.com/

  ◇総長公選制を実現し、学園民主主義を創造する会( RU 教職員 )
   ( http://ameblo.jp/jitsugen2010  5/6現在アクセスできず)

  ◇BKC(琵琶湖草津キャンパス)月曜会(主にBKC専任教員)
    シンポジウムとメーリングリスト
    紹介記事:http://www.ac-net.org/rtm/amp/28.html
    メーリングリストへの入会は小笠原宏教授(理工学部)へ連絡

  ◇衣笠フォーラム(主に衣笠キャンパス専任教員)
    シンポジウム、衣笠フォーラム通信、メーリングリスト
    例:今回の総長選任についての評価 http://ac-net.org/rtm/No/148
  メーリングリストへの入会は、所属、氏名、電子アドレスを
    owner-kinugasa-forum@freeml.com に送付。

  ◇APU常勤講師を支援する立命館教員ネットワーク(RU教員,APU教員)
     http://www.ac-net.org/rtm-net/

 組合としては以下のものがあります:

  ◇立命館教職員組合連合(RU,APU,付属校 専任教職員)
      https://j-union.com/-/rits-union/

  ◇ゼネラルユニオン立命支部(主にRU嘱託講師・常勤講師)
      http://www.generalunion.org/rits/?lang=jp

  ◇関西圏大学非常勤講師組合(非常勤講師)
      http://www.hijokin.org/

  ◇ユニオンぼちぼち立命館分会(非正規雇用のRU職員・学生(院生))
      http://blog.goo.ne.jp/rbotiunion

  ◇大分地域労組APU分会(主にAPU常勤講師)
     http://www.geocities.jp/apuunion/

  このメールニュースでは、個人的に重要と思われる学園内に関することを
  不定期に配信しています。これまでのログは
    http://ac-net.org/rtm/amp
 にあります。( 配信不要な方は、tjst2@rtm.ac-net.org に空メー
  ルを送ってください。)

  また学園内限定ブログ Rtm Blog( http://ac-net.org/rtm/wp/ ) を
  作りました。誰でも登録し情報や意見やコメントを投稿できます。
  ご活用ください。学外からは id,passwd: "rtm" でアクセスできます。

─ 目次 ───────────────────────

【1】(転載)[ml-bkc-mf 196] G30月曜会報告
【2】(転載)[kinugasa-forum:0741] グローバル30の問題点について

────────────────────────

 ┌1───
 │[ml-bkc-mf 196] G30月曜会報告
     From: IKEDA Kensuke
     Date: Mon, 4 May 2009

   全文:  http://www.ac-net.org/rtm/wp/?p=9
                 (学外からは要認証: id,passwd: rtm)


(一部転載)

              ***************************
              グローバル30に関する討論会
              ***************************
                  5月1日(金)  6:30
                 エポック21 307号室

   +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

   既報どおり今週の常任理事会で法、国際、理工、産社からは文書と
   ともに反対の意志が表明された模様。経済・文・政策などでは、教
   授会議論がなされていない模様。

   5月8日の常任理事会でグローバル30を申請する方向で採決を強行す
   る模様。

   -------------
   ● 全員の感想
   -------------

   しばらく鳴りをひそめていたと思っていたら、文部科学省の提起
   に無批判にのっかり、トップダウンで事に処するという例のやり
   口が、またでてきた。

   ---------------------------------------------------
   ● どうして政府はあんな展望が不明確な公募をやるのか?
                                          そして立命はのるのか?
   ---------------------------------------------------

   グローバル30は30万人留学生増員計画という殆ど現状を無視した
   成算が立たない計画が基盤になっている。急遽公募を立命館に要
   請したと推測される。グローバル30は文部省の役人でさ問題があ
   ると指摘もある。まったくなげやりで無責任な計画だ。たぶん文
   科省以外からの圧力で決まったものではないだろうか。今年採用
   の12校は、文科省直轄の国立大7+1,2校に無理矢理公募させて採
   択されるだろう。残り4校くらいを、私大で埋めるつもりだろう
   がマトモな私大はアブナサが見え見えのこんな計画に乗るはずが
   ない。そこで文科省に借りがある私大に声をかけたのであろう。
   立命は元文部官僚を幹部に入れた事からも傍証されるように文科
   省に迎合してきた経緯があって文科省から公募を要請されたので
   はないか。同志社も来年新学部ラッシュなので文科省に借りがあ
   るのではないか。

   ---------------------------------------------------
   ● 10パーセントを占める留学生の奨学金はどうするのだ?
   ---------------------------------------------------

   理事会に提案された文章を見ると財政に関する記述が殆どみられ
   ない。この不況下アジアからの留学生を入れようとすれば、奨学
   金を準備せざるを得ない。文科省からの援助は奨学金に使えない
   ので毎年少なくとも十億オーダーの予算を考えざるを得ない。こ
   の金を学費から調達するのなら高い学費で苦しんでいる日本人学
   生をどう説得するのか?

   国際化以前に立命館がいまやらねばならない事は、教育内容の徹
   底的改善であるはずなのに、教員が少な過ぎる。学生一人当りの
   常勤教員数がこれほど貧しい私大は少ない。(常勤講師や任期付
   きの教員などを含めると、そこそこの位置に立命は来ていると理
   事会はいっているが、常勤に関して相当な劣位にある。ついでに
   言えば、教授会に所属しない、現場と直結しない常勤教員が増え
   つつある。)

   教員側が「こういう事を企画して教育の中身を充実したい。ので、
   資金と人員を保障せよ。」と強く朱雀の幹部に迫るべきであるは
   ずなのに、教員側からそういう要求を出してるのは理工ぐらいし
   か聞かない。他学部ではどうだろう?  あれば是非教えてほしい
   連携したい。理工では執行部といくつかの学科がタイアップして、
   できる範囲から、学生の教育を質的に改善しようという、地味だ
   が本当に意味のある計画を立ち上げている。こういう計画を各学
   部学科でいくつも立ち上げ、朱雀の官僚連中を下からゆさぶって、
   くだらない事に使う金を現場に回させるべきだ。月曜会は現場か
   らの教育改革のネットワークの為に存在する。

   朱雀は常勤教員の割合を見掛け上高めるために、非教授会教員の
   数を増やしている。金だけ使って、現場の教育にはなんのプラス
   にもならない事をやっている。又、助教など任期つき教員の数を
   妙に増やしたが、時間をかけてsystematicに粘り強く進めていか
   ねばならない現場の教育改革に、短期しか在任できない任期つき
   教員を巻き込む事は不可能である事を痛感させられる。実際に教
   育をなんとかしようとして努力している学科なら、常勤教員を増
   やす事は確実に教育効果をあげる事になるのだが、現場を見てい
   ない朱雀の学園トップ層にそんな事をいくら言ってもナシのツブ
   テだろう。

   こういう事に学生から集めた貴重な授業料を使わず、不良債権と
   しか考えられぬ高校買いに走る「事業展開」や、G30のような
   「留学事業展開」に無駄に予算を浪費する。煮えくりかえるほど
   腹がたつ。

   ---------------------------------------------------
   ● 立命は<国際化>に苦労してきた。
                  この機会に<国際化>なるものを考えてみよう。
   ---------------------------------------------------

   現場では、国際化に苦心惨憺しているところが殆ど。自分もその
   現場にいるが中国系の留学生は生活圏でもかたまってしまう傾向
   が強く日本人学生と混ざり合う事がない。又、殆どがアルバイト
   に走る。単に卒業資格を獲得する為にきているとしか思えない。
   又、留学生は自分が日本いた事をよい体験にできる仕掛けがない。
   又、日本企業は日本語に堪能でない外国人を採用したがらないの
   で卒業後日本企業に就職できるチャンスも少ない。

   現状を把握しない学部レベルでの国際化=英語授業、英語環境の
   準備を早急に進めるというのは妄想である。日本語を修得させる
   仕掛けを作って留学生が日本語を学ぶ。逆に日本人学生が留学生
   からアジア語を学ぶ。こういう相互交流が自然発生的におきる仕
   掛けを通じて学生どうしが学びあう環境を作ることこそが本当の
   国際化ではないか。既存の国際化の様々のプロジェクトを本当に
   国際的なものにするためには、留学生と日本人学生が混りあえる
   ようなものにする仕掛けが最も必要だ。

    (中略)

   ------------------------------------------------------------
   ● どうしてこんな破滅的計画に肯定的な学部長理事が多いのか?
                             現場も腐り始めているのではないか?
   ------------------------------------------------------------

   現場にはこの計画の全貌が伝わっていない。ユニオンで始めて知っ
   た人すらいるくらいだ。現場が腐り始めている事は事実だ。教員
   が相当なげやりになっており未来が見えていないので、研究の殻
   にとじこもってしまう。だから教授会でも発言が少ない。

   この後、学部という現場と理事会幹部の境界に立つ、あまりにス
   トレスが大きい、文字どおり<特異点>とも言える地位に置かれて
   いる学部長の発言に関して、意見が出されました。なぜある学部
   長はまじめにG30に対応して現場と正面からむきあうのに、別の
   学部長今回の問題に関わって教授会すら開かず現場をツンボサジ
   キにおくのか、又ある学部長は現場の意見を換骨奪胎した発言を
   常任理事会でするのか、その背景に関するきわめて納得ゆくさま
   ざまな話が紹介され、極めて興味深いものでした。しかし、その
   内容はあまりにもナマナマしいのでここでは差し控えることにし
   ました。

   ---------------------------------------------------------
   ● 10%の学生が留学生で占められるという状態を
                 シミュレーションしてみよう。
   ---------------------------------------------------------

   自分は留学生教育にかかわってきたが, 何が起こるか想像すらで
   きない。ともかく現場がえらい事になる。今でさえ日本人学生と
   のコミュニケーションでさえ十分でないのに教育をやった「ふり」
   をする事で教員は消極的抵抗をするようになると、教育現場は崩
   壊する。

   事務職員の数が少ない上、半数ちかくが非正規雇用の事務員で占
   められている現状で、日本語でのcommunication不可能な10%も
   の留学生を相手にどういう風にサービスができるのか? 殆ど対応
   が不可能であろう。現場の崩壊は目に見えている。

   中国からは本国の大学に入学できない学生がおしよせる可能性が
   ある。彼らは大学卒業資格が欲しい。多数派を占める日本人学生
   はコミュニケーションできない留学生と交わらないだろうし、少
   数派の留学生はそれでも10%と結構数は多いので少数派社会を構
   成して彼らだけで生活圏も含めて孤立する可能性がつよい。学内
   に二つのグループが意識の上でも物理的にも分離して存在し、し
   かも留学生に奨学金が偏るに違いなかろうから日本人学生は不公
   平感を強く感じ、トラブルが頻発する可能性もある。

   文科省提案だと10%の留学生は英語で教育を受ける。日本語でや
   る日本人学生の大学教育すらおぼつかないのに、英語で日本人の
   大学生教育ができる筈がない。勢い、日本人むけ日本語授業と留
   学生むけ授業が分離する。当然、留学生集団と日本人学生集団は
   分離し、国際化とほど遠い事になる事は自明だ。現状の少数人数
   の留学生ですら、現場での様々な努力にも拘わらず、留学生と日
   本人学生の間に相互作用が生まれているとは言いがたい状況があ
   る。

                        (転載終わり)

 ┌2───
 │[kinugasa-forum:0741] グローバル30の問題点について
   Date: Thu, 7 May 2009

(転載始)

   一時金訴訟のみなさん、衣笠フォーラムの皆さん

   広く学園にかかわることなので、グローバル30のことでメール
   します。

   国際化は推進しなければいけない、一般論としては私も含めて反
   対はないと思います。しかし、質を問わず、英語や日本語もでき
   ない留学生でも今の数倍来てもよいとは、思わないのではないで
   しょうか。なお、常任理事会は、科研費採択数やこれまでの留学
   生数などからして通りそうだと、このグローバル30を、8日に、
   決定を強行しようとしています。

   私はいくつかの点で、グローバル30に懸念を持っています。

 1、英語対応では、すまないのではないか。

   グローバル30で確保しなければならない留学生の数は最低
   3600です。今の二倍から三倍です。英語で履修できるコースがあ
   れば達成できる数字でしょうか。また、非正規の短期留学生で数
   を稼げばよい、という考え方もあるようですが、奨学金をつけず
   に、質もそれほど落とさずに、数が確保できるという算段は、ど
   こにあるのでしょうか。また、サマー・スクールで教えるにして
   も、誰が教えるのでしょうか。負担はどう考えるのでしょうか。
   英語も日本語もきついという留学生は、かなり意欲的な留学生で
   もある問題です。それで、数を集めるためにレベルを落としたと
   したら、どういう状態になるのかは、容易に想像が出来るのでは
   ないでしょうか。

   もっと、言えば、こういう具体的な手立て抜きに申請してしまっ
   て、採択されれば、結局、どんな手段を使ってでも留学生を集め
   ないといけないということになる可能性は十分にあります。なぜ、
   今、それだけのリスクを、ほとんど議論なしに数日で決定しなけ
   ればならないのでしょうか。

   RUにAPUがもう一つ出来る規模なので、APUでの経験が生きるとい
   う声もあります。しかし、APUの留学生確保も大変な中、本学の
   グローバル30は、APUの留学生確保と競合が予想されます。し
   かも、奨学金を積んで学生を確保できない場合は、質を落として
   留学生を集めなくてはなりません。本当に、英語対応でコースを
   作れば済む問題なのでしょうか。


 2、深刻な残業問題は解決していないのに、職員の体制は大丈夫か。

   昨年の今頃は、各学部の事務室の残業問題解決が大きなテーマと
   なってきました。事務室が増員を要求しても、昨年理事会は全体
   で数名程度でも容易に増やそうとはしませんでした。その結果、
   今でも厚生労働省が一種の基準にしている年間360時間の残業
   時間を越える職場があります。昨年の組合の会議では、過労死基
   準(月80時間)を超える例も報告されています。この現状を放
   置して、留学生数を2倍化・3倍化する方針を取って、グローバ
   ル30という縛りをかけてしまってよいのでしょうか。

   過去の組合の議論などでも、残業が激増する背景には、無理な改
   革があります。現状の残業問題さえ解決されていないのに、現場
   の負担の飛躍的増大を、旧日本軍張りの精神主義で承認してよい
   のでしょうか。

   しかも、この問題は、職員においては行政ラインでほとんど議論
   されていないと聞きます。


 3、特別転籍と構造は全く同じ

   グローバル30は、間違いなく教学問題です。各学部で具体的な
   議論を通じて考える必要があります。しかし、その一方で、教授
   会で議論された学部はごく少数であると聞きます。また、学部長
   の中には、学部で議論しようとしない態度もあると聞きます。

   特別転籍問題は、本来、教授会の議を経るべき教学問題で、常任
   理事会が先に決めてしまったことが大きな問題となりました。今
   回の問題も、明らかな教学問題であるのにもかかわらず、常任理
   事会で先に事実上決められようとしています。

   昨年の苦い教訓から理事会は、教職員の合意を重視すると述べて
   きましたが、このように教学問題を、教授会の議論を経ずに事実
   上決定してしまう態度は、特別転籍問題から何の教訓も得ていな
   い、といわれても仕方ないのではないでしょうか。


 4、財政問題はどうするのか。

   現実問題として、留学生はタダでは集まりません。グローバル3
   0では、当然補助金も出ますが、それでどれくらいペイするので
   しょうか。奨学金を出すならば、当然その原資は学費その他にな
   ります。どれくらいの負担になるかは、精査すべきでしょう。ま
   た、寄付ということになれば、教職員も負担を強いられるでしょ
   う。あのときは関心がなかったで、許してもらえる大学ではない
   ことは、誰もが承知しているはずです。


 5、申請は実は来年もある。

   一部には、この案件を強引に通そうとする人の中には、「今年が
   最後のチャンス」などと言っている人もいると聞きます。しかし、
   実際には来年も申請があります。

   新中期計画を全学の議論で行うというのであれば、先にグローバ
   ル30を申請してしまい、議論の手が縛られてしまうのは本末転
   倒ではないでしょうか。

   上記の理由から、少なくとも今回は、申請を見送り、できるかど
   うかを真剣に検討してみてはどうでしょうか。

   -------------
   小堀眞裕
   立命館大学法学部教授

                           (転載終)

┌───────
│¶以下は発信人の註.
  ログ目次:http://ac-net.org/rtm/amp/